「うわぁ……すごぉ……」
島に降り立った少年――みなとは思わずそうひとりごちた。
人々に夢を見せる為に作られたその島は、南国の日差しを受けて瑞々しいフルーツのようにきらめいて見えた。
「みなと!」
「! みさきねぇ!」
ビキニにパーカーを羽織った、明るい茶髪の女の子に声をかけられ、みなとは弾んだ声で返事をする。
「おつかれ~♪ 船、大丈夫だった?」
「うん、平気。結構おもしろかった」
「じゃ、カフェ行こう! その後に部屋ね!」
彼女は「みさき」。この島でアルバイトをしている、みなとの姉だ。
明るい茶髪を短いサイドテールにまとめ、橙色の水着にパーカーを羽織っている。
年は18歳、12歳のみなとからすると、背も高く、かなりお姉さんという印象だ。
みなとは、いつもフランクに接してくれ笑顔を絶やさないみさきの事をとても信頼していたし、美人で自慢のお姉ちゃんだと思っていた。
「部活はどう? 筋肉ついた?」
「あんまり、でもタイムは良くなってる!」
みなとの所属する陸上部の話や、クラスの事、お母さんとお父さんの事を話しながら歩くと、すぐにプールサイドのカフェに到着した。
「クレープ二つと、カフェオレと、みなとは何飲む?」
「え、と……こ、コーヒー」
「ふふっ、カフェオレふたつー!」
みなとの返答にぷっと噴き出して、みさきは店員に注文を伝えた。
「なにすんだよ、俺、コーヒーって言ったのに」
「だって、またみなとの飲みかけコーヒー飲むのやだもーん♪」
「ずっと前の話じゃん、もう飲めるの!」
「まあまあ、カフェオレも美味しいから♪」
口をとがらせるみなとに、みさきは苦笑いして向き直る。
「ごめんごめん、また次に注文しよ? しばらく居られるんでしょ?」
「うん、オーナーさん?はいつまで居てくれても良いって……」
そこまで言いかけた時、冷たい声が遮った。
「いいわけないでしょ」
みさきとみなとは驚いて声の方を振り向く。
「お姉ちゃん……」「なぎさ姉ちゃん……」
その黒髪ショートの女の子は二人の座ったソファにずんずんと近づいてくる。
なぜか赤いサンバイザーを被り、黄色いメガホンを手に持っている。
明るい黄色の水着と合わさって、何かの応援に来たような恰好だった。
「何でここに……?」
「オーナーさんが仕事中、妙にそわそわしててね。理由を訊いても答えないからどうせろくな事じゃないと思って……」
手にしたメガホンを、ひゅっ、と縦に振った。
「吐かせたの」
「そ、そうなんだ……」
彼女は「なぎさ」。三姉弟の長女だ。みさきより2つ年上で、舞台女優を仕事にしている。
みなとは彼女が苦手だった。
それは決して意地悪をされている、といった事ではなく……
「みなと、言ったよね?」
「ちょっ……」
なぎさは座っているみなとに目線を合わせ、息がかかりそうな距離に顔を近づける。
「知らない人に誘われても付いて行っちゃダメって、言ったでしょ?」
「お、俺を呼んでくれたの、みさきねぇだし!」
「俺じゃなくてぼく、みさきお姉ちゃんってちゃんと言いなさい?」
「あ、頭撫でんなってば!」
20歳のなぎさは、ずっと年下のみなとに対して過剰な愛情を注いでおり、みなとは辟易としていた。
その愛情は中学生になっても衰えず、子ども扱いはむしろ悪化しているのだった。
「お、お姉ちゃん、わたしが呼んだの! 今ほら、島がお休みじゃない? オーナーに言ったらタダで泊めてくれるって……」
今、島の一部の女性――島では
どこか遠くで格闘技の大会があるとかで、島でバカンス中の彼女たちにも声がかかったのだ。
なら島に丸ごとお休みをあげよう、と提案があり、大会が終わるまで島はお客を受けない事になっている。
その間は従業員の家族に無料で楽しんでもらう事になり、島は今、バカンスを
「それならちゃんと言いなさい、家まで迎えに行かないと危ないでしょ?」
「過保護だって! ちゃんと今日、みなと一人で来られたんだよ?」
「何かあってからじゃ遅いでしょ? みなと、島の中では必ず、わたしかみさきと一緒に行動する事、守れる?」
「えーっ!?」
みなとは悲鳴を上げる。南国でのバカンスを友達に自慢するつもりで来たのに、ずっと姉が同伴なんて笑いものだ。
そのなぎさの発言に、みさきが噛み付いた。
「お姉ちゃん、言ってたじゃん! 何事も経験だーって!」
「それは舞台演技の話で……」
「大丈夫だって、普段なら知らないお客さんも多いけど、今なら少ないし。居るのはスタッフと、その家族だけなんだから」
「それと、
ね!ね!とみさきが押していく。
みなとは心の中でみさきにエールを送る。この二人の言い合いに、弟の発言権は基本的に存在しないからだ。
みさきがダメ押しといった感じでまくしたてる。
「こんな経験めったにないよ、楽しい青春の思い出になると思うなぁ~♪ オーナーも、みなとにいろいろ話したい事があるって――」
「バカわんこにだけは会わせないで」
ぴしゃりと言い、氷のように冷たい目で、カフェの奥の大きな建物を睨む。
みさきは二の句が継げず、あはは……と乾いた笑いを漏らす。
と、なぎさは肩の力を抜いた。
「二つだけ守って。何かあったらすぐ連絡する、オーナーに会わせない」
「わかった、任せてお姉ちゃん♪ いいよね、みなと?」
「うん、大丈夫。心配させるような事しないよ」
「はぁ……じゃあ、オーナーの所に戻るわ。近づかないよう言っておかないと」
なぎさに手を振りながら、みさきは後ろ手でコッソリ、みなとにピースサインを送る。
みなとも、ピースしてみせた。
みさき
身長156cm B85/W54/H89
みなとの姉①。明るく優しいイマドキな18歳の女の子。
ちょっとチョロいところがチャームポイント。
なぎさ
身長156cm B79/W54/H87
みなとの姉②。自他に厳しい真面目な20歳の女の子。
みなと、みさきに過保護なシスコンブラコンな一面も。
みなと
身長146cm 黒髪、ちょっと日焼け
主人公。陸上部に所属する12歳の中学生男子。
姉たちに似て整った顔立ちと流されやすい性格をしている。
早く登場してほしいキャラ(書き溜め以降のキャラ順の参考にさせてください)
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モニカ
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つくし
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ななみ
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エリーゼ
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こはる
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たまき