商人と冒険者と娼婦 作:にやまな
王都の門を守る番兵の仕事は多岐に渡り、そして長い上に給料だってそこまで高くはない。
立身出世が望みなら前線に配備されることの多い部署を選ぶだろうし、あるいは上司である貴族に取り入る機会の多い後方支援を担当する兵科を選ぶのが兵士を職業に選んだ男の基本となるだろう。
番兵と言うのはそのどちらでもない、そして街の治安を守る衛兵とも違う。
兵士にとってはそこまで人気のある兵科ではないのだ、しかし安全かつ安心に、そして安定的な収入が欲しいのなら、そういった人物には需要のある職種なのかもしれない。
例えば他国と戦争が起こった際、番兵が召集されるようなことはまず無いと断言できる、訓練を繰り返して規律と連携を学んだ兵士や騎士と比べて貧弱であると言わざるをえないので戦力にならず、しかも士気が低いときている。
その街そのものが攻められればさすがに番兵も戦わざるをえないのだろうが、ここは国のど真ん中にある王都でありその可能性は低いのだ。
戦争に、戦いに参戦するのは嫌だ、でも後方勤務で活躍できるほどの学や知恵はない、しかしそこそこの収入は欲しい、王都の番兵たちの多くがそんな理由でその仕事に就いている。
命の危険が少ない上に安定的であるということは重要だろう、決して多くの収入は望めまいが底辺とは違う、そんなわけで彼らはそれなりに安定した生活を送っていた。
最近は政変の影響で東の方が騒がしいのだが、その喧騒は王都からでは少し遠い、上からの命令で以前より警備と荷物検査が厳重になりはしたがそれくらいの変化しかない。
内乱が終わればまた以前と同じように仕事はそこそこにこなして、安酒をあおる生活に戻るだろう。
彼らにとって国のトップが誰になるかなど大した興味はないのだ、重要なのはちゃんと給料を払ってくれるのかどうかといった心配だけであり、そこさえ保障されるのなら誰でも良かった。
少しくらいは、次の王様は気前が良ければ嬉しいな、なんてありもしない妄想をしてみるが叶わぬ願いなのだろう。
なんにせよ彼らの仕事は変わらない、今日もまた荷物検査と身分証の確認に精を出す。
「昼は少しだけ暖かくなってきたが、夜になるとまだ冷えるな」
「ですねぇ、これくらいの時期は寒暖差が激しくて毎年いやんなりますよ」
王都の入口である門を守る番兵たちは片手にホットワインを持ちながら談笑していた、本日の業務はほとんどが終了している、昼の間に行き来した人々はもう姿が見えず、いつもどおりの静かな夜だった。
夜なので既に門は閉じられている、人もいないので荷物検査や身分証の確認をする相手もおらず、この王都に襲撃をしてくるような命知らずの賊も確認できない、それでも一応は夜勤組が仕事をこなす必要がある。
正直に言えば面倒な仕事だった、なにより暇なのだ、こうして喋ることくらいしかやることがない。
「まぁもうすぐ春なんだ、それまでの辛抱だろう」
「そうですねぇ……その頃には内乱も終わってるでしょうし、仕事も普段通りに戻ると良いんですけど」
「なんだ今の仕事は不満か」
「だってそうじゃないですか、わざわざカバンや荷物をひっくり返してまで怪しい物はないかって探し回って……剣とかナイフなんて誰だって護身用に持ってますし、手紙や書類だって当たり前のもんじゃないですか、それを指さしてこれは何だって威圧して、俺はもう疲れちゃいましたよ」
「今は内乱中だからなぁ……だがお貴族様たちもちょっとビビりすぎだってのはわかるぞ、暗殺者とか暗号を使っての文通なんて言われても、俺らにわかるかっての」
「そうそう、実際にそんな奴らが居ましたか? 暗殺者も工作員も見当たりませんって」
「それでもやれと言われたんだから、俺らはやるしかないんだよ」
「そりゃそうっすけど、少しくらいボーナスがあったって良いじゃないですか」
否定はできない、それは彼らの共通認識なのだから。
「東の内乱も集結寸前だって噂だし、あろもうちょっとの辛抱ーーーおい、誰か来たようだぞ」
「こんな時間にですか?」
確かに言葉の通り、門に近づいて来る影が三つある。
どうやら全員が女性のようだ、その姿はまだ若く幼さが抜けきっていない、成人したばかりといった年齢だろう。
ただ、どこか年齢に似つかわしくない艶っぽさを醸し出している。
「すいません、もう門は閉じていますよね」
三人の内の一人が前に出てそう言った、言葉遣いや仕草もそうだが、どこか品の良い印象を与えてくれる、そういった教育をしっかりと受けているのだろう。
身にまとっている服も仕立てが良い、神に仕える聖職者のように汚れ一つない。
「ええ、もう閉まっています、朝になるまで開きません」
「どうにか入れてもらうことはできないでしょうか? 私たちは東の戦災から逃れてようやくここに来たのです」
番兵たちは顔を見合わせる、どうしたものかと。
「ああ、え~っとですね……今は上からのお達しで街への出入りは厳しく制限されていましてね」
「そ、そんな……ようやく王都まで来れたというのに」
品の良い少女はふらりと体の力を抜いて倒れそうになるが、他の二人がそれを支えこむ。
「お嬢さんたちは東から来たと言ったが……難民なのかね?」
「はい、住む場所も働く場所も奪われ……それでも王都ならと思い、体一つでここまで歩いて来たのです」
「そうか、まぁこんなご時世だ……しかし今はなぁ」
「君たちみたいに戦争を逃れてここにたどり着くものも少なくないんだけど、貴族様からの命令でね……身分の不確かな者は受け入れられないんだ、王都の住民票なんかは……持ってないよね?」
難民なのでから持っているはずがない、わかりきった質問だった。
「持っていません……以前に暮らしていた街の住民票も持ち出せなかったのです」
「じゃあ紹介状とか……あるわけないか」
少女はこくりと頷く、その瞳は涙で潤んでいる。
番兵たちの胸に広がったのは罪悪感だ、おそらくここに来るまで多くの苦労をしたであろう三人の少女に残酷なことを自分たちの口で伝えなければならない。
「それだと、少し厳しいかな……以前ならともかく、今はさ……」
「そ、そこをなんとかなりませんか!? 私たちは行く当てがないわけではなく、王都の知人の店なら働くこともできます」
「ううん……すまないな」
そこで無常にも話を打ち切ろうとした番兵に少女は一歩踏み込んで懐へと潜り込む、そして彼の手を掴み上目遣いでしだれかかると熱っぽい呼吸と共にこう伝えるのだった。
「なんとか、なりませんでしょうか……私たちは以前の街で殿方に愛してもらうことで生活していました、皆様のお役に立てることもできるのです」
「え、知人の店ってそういう……いやいやいや! 別に僕らはそういうことを要求してるんじゃなくてさ」
だが少女は諦めることはなかった、番兵の手を両手で握りしめたまま自らの口元に持っていくと、そのままゴツゴツした指先へと口づけする。
ちゅ、ちゅっと音を出しながらのキスをして指を甘噛みすると、次は小さな舌で優しく触れてじらすように蠢かした。
まだ少女と言ってもおかしくない年齢だというのにその舌遣いは慣れがある、いやらしく動かして男の欲情を誘うには十分だろう。
「ふ、ちゅ……ふふ、どう、でしょうか? 私たちはほんの少しのお情けが欲しいだけなんです」
「ん……楽しませる」
「そうそう、い~っぱいお礼するからさ!」
後ろで見ていた二人の少女も同じように身を寄せて擦り付けてくる、ただの少女だと思っていたがその表情は男を誘う娼婦のそれだ。
ゴクリと、番兵の誰かが喉を鳴らす。
その女の視線に晒されて体の奥から沸々と熱が沸き上がると、もう拒絶の言葉は出てこなかった。
エミリー、シャルル、キャロルが王都に潜入する方法に頭を悩ませることになるのは必然だっただろう、彼女たちには自分たちの身分を証明する物がなく、堂々と門を通ろうとすれば必ず職務質問が待っている。
大きな城壁に囲まれた王都は隙が無く、唯一の出入り口である門は警備と警戒が厳重、力づくで押し通ろうなど論外だ。
密かに入り込むことはできない、かといって真正面からの突入は無謀に過ぎる、ならば後はその中間しかない。
結果として彼女たちは砦で過ごした経験を生かして、男に取り入ることを突破口としたのだ、提案者はキャロル、賛成者はシャルル、最終判断はエミリーが下した。
「うん、ちゅる、ちゅ……ふぁ、おっきいです」
門の横にある番兵の兵舎、そこに連れ込まれた三人は欲望に塗れた男たちに囲まれている。
エミリーは床に座り込み、椅子に座った番兵の一人の股間に顔を埋めて固くそそり立った肉竿を咥えこみ、その舌と唇で激しい奉仕を繰り返していた。
これも砦で娼婦として働いていた時に身に着けた行為だ、最初はキャロルがしているのを見よう見まねで繰り返していただけだが、あの一カ月間で随分と慣れたものだと本人も思っている。
「んッ、んッ、んッ……うん、ふぅ……どうでしょうか?」
大きな肉竿を咥えて唾液を塗りたくり、舌で舐め回して離す、すると唾液の橋かかって淫靡な光景が広がった。
「あぁ……いい感じだ、まだまだ若いのに慣れてるんだな」
「ふふ、それはもう、娼婦ですから」
舐めている最中に視線は見下ろしている男へ向ける、自分に跪き股間にむしゃぶりつく少女の姿を見て征服欲を刺激されているからなのか、その男の顔はいやらしく歪んでいた。
「んぐ!? んんん! ぐッ、ちゅ、んぐ、うむ、あが! んんんんん!!」
だが男はただエミリーに奉仕させるだけではなく頭を強引に掴んで口内を蹂躙し始めた、長く太いそれは小さな彼女の口にはあまりにも大きく全てを受け入れられる物ではない。
呼吸すら困難な暴挙の中で、乱暴とさえ言える行為を受けたエミリーは自分の下腹部がキュンと引き締まるのを感じてしまう、それが来るとわかったからだ。
「んんんむうううううううう!!」
口内に吐き出される熱い精液を喉奥で受け止める、入り口が男のそれで塞がれているので飲み干すしかない。
熱い、あまりにも熱い、口に広がる男の粘液は喉から食道へ移り腹部へと落ちていくと、そのままエミリーの下腹部に生まれた熱と混ざり合うかのように体に広がった。
「う、くぅん、ん、ごく……ふぁぁ、すご」
よほど溜まっていたのだろう、吐き出された精液は飲み干しきれずに彼女の口から零れ落ちて顎を濡らす。
口元の精液をペロリと舐めると、男たちの顔がさらに征服欲によって歪んでいた。
「うぅ、はあぁ……ひやああ!? ちょっとお待ちになってください! 準備いたしますから! そんな乱暴にしないで、ああ!」
もはや彼らに理性はなくなっているのだろう、まだ激しい奉仕の余韻に浸っていたエミリーの手を引っ張って強引に立ち上がらせると、兵舎の丸机に押し付けてその股間をたぎらせるのだ。
エミリーは粗末な丸机に上半身をうつ伏せの状態で預けて、その小ぶりな臀部を突き出す形で男たちに拘束されてしまう。
「んん!……ふッ、くうう……あッ、アッ、アッ……うあぁ、激し、すぎ……んんんん!」
「あああ! あぁ! あ、ぐううう! 奥ぅ! 奥だめッ! そこ弱いから、あんまり突くなって、ふああああ!」
その丸机にうつ伏せで拘束されていたのはシャルルとキャロルも同じだった、エミリーと同じように臀部を突き出して背後から男たちに突かれてよがっていたのだ。
二人とも暴力的な快楽から逃げるように身を捩るが、両手を引っ張られているので逃げようがない。
ただ背後から与えられる快楽を受け入れるしかなく、男たちは次々と彼女たちの中へと欲望を放つのだ。
「あぁ、シャルル、キャロル……大丈夫、でーーーんああああああ!」
二人を心配したエミリーにも背後から肉竿が突きこまれると、既に愛液で満たされていた彼女の肉壺は強引にねじ込まれた男のそれを喜んで迎え入れてしまう。
「うっく……あはは、エミリー、気持ちよさそうな、声だしちゃって……んあ!? だから奥はぁ! アッ、アッ、アッ、イク、いくからぁ」
「ぅあああ、ああぁ……もぅ、ダメ……クル、きちゃう……あはああぁぁぁ」
一足早く犯されていた二人はもう限界なのだろう、背後にいる男たちの激しい腰使いに体を震わせながら絶頂を与えられてしまった。
彼女たちは体をびくつかせながらその子宮に精液を注ぎ込まれるのだが、それで終わりではない。
兵舎の中には十人ほどの番兵がいるのだ、余っていた男たちはその瞬間を待ちわびていた。
まだ絶頂の余韻が残るシャルルとキャロルの背後に回り、その両手を引っ張って乱暴に自分の欲望を突き入れる。
「ちょ、ちょっとまーーーんんんん!?」
「あッくううん……うあん……ああああぁぁ」
「------あ、あ」
絶え間なく与えられる快楽にただただ翻弄される二人の蕩け切った顔を、至近距離で眺めていたエミリーは、言葉に表せない感情に支配されていく。
男に犯され、喘ぎ、そしてあさましく絶頂を迎える二人の姿を見るだけで、彼女の体は言い知れぬ熱を帯びてしまうのだ、砦で娼婦として働いている時も同じ感情が見え隠れしていたが、ここでもまたしっぽを出す。
普段とは違う二人の顔が、たまらなく美しくいやらしい、その体に舌を這わせてむしゃぶりつきたい衝動が生まれてしまうのだが、臀部を突き出す状態で拘束されていればそれもできない、エミリーは目の前に広がる光景に舌を伸ばすしかなかった。
本人に自覚はないが、彼女は二人の痴態を眺めて興奮しているのだ、そのことにまだ気が付いていないらしい。
そしてエミリーの中に生まれた感情をかき消すかのように、背後から彼女を犯していた男が精液を放つ、さきほど飲み込んだ男の性と同じ……いや、それ以上の熱と勢いでエミリーの子宮は満たされていく。
「アッ!? んくぅんんんんんんんんんんん!!」
下腹部から広がる熱に犯され彼女もまたあさましく絶頂を迎えるのだった。
股間から背筋へと駆け抜けた快楽は彼女の体を激しく震わせる、しかしシャルルとキャロルと同じように拘束されているので逃げることはできないだろう。
膣内では男の肉竿が激しく脈打ち、その度にエミリーの体も反応した。
「はあ、はあ、はぁ……う、あぁ……んん」
絶頂の余韻に浸りながらも、いつまでもその状態は許されない、彼女の背後には自分の番を待ちわびている男がまだいるのだから。
「へへへ、ほら! いやらしく誘ってみろよ!」
「……こうですかぁ?」
既に彼女たちは与えられる快楽を素直に受け入れる段階にあるのだろう、自分たちを犯す男の命令もいやらしく受け入れる。
突き出された臀部に自らの指をやり、精液と愛液が混ざりあって白濁に満たされた蜜壺の入口を開くと、そのまま小ぶりな尻を左右に振って男を艶やかに誘う。
そして男を迎え入れるのだ、エミリーもキャロルもシャルルもそれは変わらない。
喘ぎ、声を上げ、体を震わせ、何度も何度も何度も犯され愛される。
男の欲望を受け入れ、その征服欲を満たし、その体で無数の夢を見せる三人の姿は、もう一人前の娼婦と言えるだろう。
そして、彼女たちの娼婦としての仕事は空が僅かに明るくなるまで続くのだった。
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