※この作品はR-18です。

商人と冒険者と娼婦   作:にやまな

159 / 287
第九話 儀式を楽しむ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マリーの悩みを大雑把に説明するのならば、娼婦神の神官として働く為の儀式……つまりはセックスに関するものであった。

 

 

 

 元々は娼婦神の眷属ではないマリーは、魔術師としての見分を広める為と、房中術による器と魔力の強化を目的として励んでおり、専属の神殿娼婦という立場ではない。

 

 

 

 ただ本人の性格故か半端なことができないのだろう、聖印を受け取ったことからも真面目かつ高度な形で儀式に挑みたいようだ。

 

 

 

 客には困っていないらしい、噂の聖女に相手をしてもらえる栄誉を求めて、彼女が娼婦神の神殿に出向する時は、その時間に予約を入れる為に男たちはあの手この手で行動しているのだろう。

 

 

 

 マリーとしても、生命神の神殿で癒し手として働いた時に消耗した魔力の補充もできる上に、魔術師として高みに進めることもあって良い循環になっていた。

 

 

 

 だが最近はどうにもスランプ気味とのことらしい、精液を魔力に変換して器を広げることも最初よりは効果が薄くなっているそうだ。

 

 

 

 彼女はそれを房中術に対する理解が浅いからだと考えているようだ、もっと深く広く習得すれば効率的に器の拡張もできるのではと結論を出していた。

 

 

 

 その考えは間違いではないとエミリーも思った、どんな魔術にも言えることだが練度や質で結果も異なるのだから、より深い理解は必要である。

 

 

 

 マリーも合間を見つけて研鑽や研究をしてきたようだが、彼女の本分は医療であり医者としての責務だ、どうしてもそちらを優先するしかないのだろう。

 

 

 

「ふふ、それで私に声をかけてくださったのですね」

 

 

 

「あッ、は、はい……んんッ……こんなこと、エミリー様にしか頼めなくて、あッ」

 

 

 

 ただ房中術の利点として習得が容易いことが挙げられる、特に魔術師同士ならば更に容易い、房中術を使いながら交わればまず間違いはない。

 

 

 

 この場合、より練度と質の高い者と交わるのがとても楽である、房中術は魂の干渉なのでより深く繋がり合えば、それは知識と経験の譲渡にも等しいのだ。

 

 

 

 エミリーとしてもそこに不満は無い、おそらくマリーが相手なら神殿も煩く言わないだろう、何より彼女にとってこの状況は垂涎物である。

 

 

 

 とても仲良くしてもらっている友人であり、美しくも可憐な存在でもある、何より聖女と称されるだけの神秘性を垣間見えるのだ、そんな相手と肌を重ねられるのは同性愛を嗜むエミリーにとって望むところであった。

 

 

 

 実は客として予約を入れようと迷ったことすらもあるが、友人としての関係を壊すのではと一歩踏みとどまったのは彼女の中にしかない秘密である、それ以前に人気があり過ぎて予約は取れなかったのだが。

 

 

 

 だが今はそんな配慮は不要である、何しろマリーの方からそういう関係を望んで来たのだから憂いは何もない、鼻息荒く手を伸ばしても許されるのだ。

 

 

 

 虹色の炎が照らす工房を後にして、二人が向かったのは湯船であった、肌を重ねる前に湯浴みを済ませようとしているのだろう。

 

 

 

 ただお互いに法衣を脱いで肌を晒してしまうと、エミリーの指先は待ちきれないとばかりにマリーの柔肌へと伸びていた。

 

 

 

 丁寧に爪を整えられた先端がマリーの首筋から腰辺りまで緩やかに撫でると、もどかしい愛撫に彼女の体が震えていく。

 

 

 

「んッ、んんんッ……エミリー様、ひッ……あぁあぁ」

 

 

 

「ふふ、思った通り敏感なんですね」

 

 

 

「思った通りなどと……あ、はッ……」

 

 

 

 指先で撫でられるだけでゾクゾクと体を震わせる相手を微笑ましく思いながら、優しく手を取り合うとそのまま脱衣所から湯船へと導く。

 

 

 

 突然のことだったので貯水してある水しかなくそのままでは冷たさを感じるのだが、そこは炎の魔術師の出番とばかりに湯船へ手を突っ込んで魔術を行使すれば、ものの数秒で水風呂が温められていった。

 

 

 

 一瞬で湯気を立ち上らせていく湯船の光景を見せられてマリーは感心したように驚いて見せる、彼女にはできない魔術の行使であるので、他派閥の魔術は興味深いのだろう。

 

 

 

「さて、これで準備は整いました、これから房中術の教練を行おうと思いますが、その前に聞いておきたいことが……マリー様は神殿で儀式を行う際はどのような心構えをなさっておられるのでしょうか?」

 

 

 

「心構え、でございますか?」

 

 

 

 そんな問いかけにマリーは特に迷うこともなく、祈りを捧げるように両手を組んでこう返す。

 

 

 

「それは勿論、真摯であろうと心構えております。迎え入れるお客様に失礼のないように、聖なる儀式を乱さぬように、何よりも娼婦神の眷属として恥とならにように、常に己を律しております」

 

 

 

「なるほど、マリー様らしいあり方ですね、でも娼婦神の神殿で働くにはもう一つだけ重要なことがあります、房中術を理解する上でもとても重要なことが」

 

 

 

「そ、そのようなものが……なるほど、私はまだまだ心構えが足りなかったのですね」

 

 

 

「私も娼婦として働いたばかりの頃はそれを自覚できていなかったんです、でもそれを自覚してからは色々と捗ったものです……きっとマリー様も同じかと」

 

 

 

「おぉ、それは一体なんなのでしょうか?」

 

 

 

 ふふふ、と穏やかな笑みを見せるエミリーは、マリーの手首を掴んで湯船へと導くと、背後から抱きしめるように肌を重ねた。

 

 

 

「重要なのは儀式を楽しむことですよ、責任感も大事ですけどセックスは義務感だけでは上手くいきません。勿論、房中術も同様です」

 

 

 

「楽しむ、ですか……確かにそんなことは考えたことがありません。いつも儀式を成功させることばかり考えておりましたので」

 

 

 

「それだけマリー様の責任感が強いということでしょう、それは何も悪いことではありませんよ」

 

 

 

 よくよく考えてみればエミリーも最初は似たようなものだったと思う、いつの間にかセックスを楽しめるようになっていて、房中術への理解も深まっていたのだ。

 

 

 

 その切っ掛けさえあればマリーも上手く行くのではないかと考えて、だからこそエミリーの指先は湯船の中で背後から聖女の秘所へと伸びていく。

 

 

 

「だからまずは楽しんでくださいませ、それがより房中術を理解することにも繋がりますので」

 

 

 

「んッ!? んッ、んッ、んんんんッ……あ、はぁ、エミリー、様……そんな強く、いやんッ!!」

 

 

 

 ジャブジャブと二人が体をつけている湯船から湯が零れ落ちていく、愛撫の動きに応じて聖女の体が敏感に反応するので、すぐに水位は浅くなってしまった。

 

 

 

 湯船のギリギリまで満たされていた水位が彼女たちの胸辺りまで低くなって、ようやく零れ落ちていく量が少なくなっていく。

 

 

 

 そんなことを気にした様子もなく、エミリーは背後からマリーを抱きしめて愛撫を繰り返していた。

 

 

 

「あぁ、マリー様、凄く敏感なのですね……はぁ、肌もこんなに綺麗で」

 

 

 

 ちゅ、ちゅ、と音を立てながらうなじに吸い付きながら、右手は乳房へと伸びて、左手は股間の割れ目を舐めるように触れていく。

 

 

 

 マリーはエミリーの腕と足の間で翻弄されるだけのようだ、二年ほど娼婦として働いていたのでこういった行為にもある程度は慣れているはずなのだが、彼女の反応は生娘のように新鮮である。

 

 

 

「やぁん……うぁ、凄くピリピリします……これ……はぁ、房中術が深くて」

 

 

 

「ふふッ、そうですよぉ、普通に肌を重ねるよりもずっと心地いいものです」

 

 

 

 ただ指先での愛撫でしかなく、敏感な場所をこねくり回しているだけでしかないのだが、それでも与えられる快楽は通常よりずっと大きいのだろう。

 

 

 

 単純な肉体の接触だけではなく、魂も重ね合う房中術だからこその甘い痺れである。

 

 

 

「これが、すぐに癖になってしまうんです」

 

 

 

「ひゃんッ!?」

 

 

 

 言葉と共に割れ目をなぞっていた指先が膣口を押し開いて根元まで挿入されていく、既に多くの愛液に満たされていた密壺は二本の指を難なく受け入れているようだ。

 

 

 

 痛いほどに締め付けて来る膣の感触と、そこにある愛液の滑りを感じ取りながら、エミリーの顔は愉悦に満ちていく。

 

 

 

 男性と交わるのも良いが、やはり女性の柔肌を堪能することも良い、それぞれ異なる味わいだ。

 

 

 

 グリグリと膣内を二本の指で掻き混ぜていき、たっぷりと愛液を絡ませてから指を引き抜いて目元へ持っていくと、エミリーは指先に纏わりつく僅かに白濁している愛液を指で弄ぶ。

 

 

 

「ほら見てください……こんなに濡れています」

 

 

 

 そして自分の指先を見せつけるように抱きしめるマリーの眼前へと持っていく、そこで糸を引く愛液を見せびらかした。

 

 

 

 湯船の中で背後から抱きしめているので、エミリーの視点では彼女の顔まではわからないが、うなじや耳まで真っ赤になっている辺り羞恥が振り切れているらしい。

 

 

 

 二年近くも神殿娼婦をやっているのに恥ずかしさを感じられるのは、ある意味で才能なのかもしれない、そういった相手が好きだと言う客もいるのだから。

 

 

 

 エミリーとしても可愛らしく思う、こういった羞恥は忘れてしまったのだろう。

 

 

 

「ん、ふふ……美味しい」

 

 

 

 指先を濡らしていた愛液を見せびらかすことに満足したのか、それを自分の口元に持ってきて濡れた舌で舐めとると、エミリーの笑顔はますます深まった。

 

 

 

 房中術を習得してから男性の精液を不思議と美味しく思えるようになっていたが、女性の愛液も同様なのだろう、特に彼女にとってはその傾向が強い。

 

 

 

 柔らかな肌や独特の香りは、男性との交わりでは遠いものなのだ。

 

 

 

「さぁ、もっと交わりを楽しみましょう……房中術を理解するのならば、それが一番です」

 

 

 

「はぁ、はぁ……その、神聖な儀式を楽しむという感覚が、どうしても……」

 

 

 

「大丈夫ですとも、ただ私に身を任せて蕩ければいいんですから」

 

 

 

 温かな湯船の中で肌を重ねていた為か、興奮も手伝って少しばかりのぼせ気味になっていた二人だが、そこで休憩としないまま荒い息を繰り返して房中術を深めていく。

 

 

 

 これまで積み重ねて来た経験が魔術的な道を通じて流れ、その道が太ければ太い程に交わりも濃くなっていくのだ、ましてやお互いに魔術へそれなりの理解があればより繋がりやすい。

 

 

 

「んん……んッ、んむッ」

 

 

 

「ちゅ、ん……ちゅる」

 

 

 

 そして彼女たちは指や肌だけでなく唇と舌を重ね合う、最初は啄むようなキスであったが、徐々に深く混ざり合い、互いの舌で押し合うかのように求めあった。

 

 

 

 どちらかといえばエミリーの方が優勢だろうか、突っつき合い押し合い、逃げるように引っ込んだマリーの舌を絡めとるように引き付けて逃がさない。

 

 

 

 そして酸素を求めてジタバタと湯船の中でもがく彼女の体を強く抱きしめて、熱を帯びる秘所へと房中術で生やした男性器を前触れもなく挿入するのだった。

 

 

 

「んん~~~~ッ!?」

 

 

 

 突然の衝撃にマリーは大きく体を仰け反らして震わせてしまう、へその下辺りに感じる感触は娼婦をしていれば慣れたものでもあるのだが、エミリーのそれはどうにも普段の相手とは異なる。

 

 

 

 最初は苦しいと思ったのに、形を自在に変えてマリーの体に最も適した形に合されたからだろう。

 

 

 

「ぷはッ……はぁ~、はぁ~……も、もう、エミリー様、意地悪です」

 

 

 

「ふふふ、マリー様が可愛すぎるからいけないんですよ」

 

 

 

 背後から抱きしめる形だったが今は向かい合う形で湯船に浸かっている、熱っぽい視線で見つめ合う二人の唇の間にかかる唾液の橋がぷつりと途切れた。

 

 

 

「さぁ、もっと楽しんでください、何度でも付き合いますから」

 

 

 

「うぁッ、あッ、あんッ……やッ、んあああぁぁッ」

 

 

 

 向かい合う形で抱き合い器用に腰を振るエミリーの技術は巧みと言って良いだろう、欲望を押し込まれる度にジャバジャバと湯船から水が零れ落ちていき、その力強さを物語っている。

 

 

 

 優しい交わりではない、ゆっくりではあるが力強く、何よりサイズ感が完璧に合わさっているのだ、単純な動きだけで甘い痺れは増していくだろう。

 

 

 

「うッ……おッ……マリー様、凄く締め付けてますね」

 

 

 

「ま、待ってください、やぁ……これ、いつもより、感じてしまって……あん」

 

 

 

 子宮を押し上げて、膣口まで引き抜かれ、また押し上げられる、そんな単純な上下運動でしかないが、既に大量の愛液を絡めとっており白濁したそれが湯に混ざって流れているようだ。

 

 

 

「ああぁ、ダメ、です……固くて、熱くて、うッ……あぁ~ッ!?」

 

 

 

「んんッ……マリー様も凄く熱く濡れて……はぁ、はぁ、腰、止まらない、うッ」

 

 

 

 エミリーの肉棒が根元まで埋まったタイミングで痛いくらいに締め付けられてしまう、明らかに狙ってやったことであり、マリーの様子を伺ってみると悪戯が成功した子供のような表情を見せつけて来る。

 

 

 

 どうやら、彼女もセックスを楽しみ始めたらしい。

 

 

 

 それが房中術を深く理解する方法だと、言葉だけでなく感覚で理解したのだろう。

 

 

 

「マ、マリー様も……房中術を……おッ……使っていますね」

 

 

 

「ふ、ふふ、はい……楽しめと言ったのは、ひんッ……はッ……エミリー様ですから」

 

 

 

 いつの間にかマリーの方からも腰を動かしており、湯船は二人の交わりでギシギシと揺れ動いていた。

 

 

 

 両者の腰使いが一致すれば、房中術による繋がりもより深くなり、循環する情報も濃くなっていく。

 

 

 

 そうか、房中術はこうやって使うのか……エミリーから流れて来た知識や情報を得て、マリーがそう理解した段階で優位性は崩れていたのかもしれない。

 

 

 

「はぁ~……エミリー様、さぁ高まりましょう……あ、ん……私も、もう、達してしまいそうで、んんんッ!!」

 

 

 

「はいッ、一緒に……んふッ……イキましょう、いく、イク……――うッ!!」

 

 

 

「~~~~ッッんんんんんッ」

 

 

 

 二人の快楽が最高潮にまで高まった時点で、両者ともに我慢を止めて絶頂を受け入れる、互いの両手は背中に回されて爪を立てており、赤い線のような跡が残されるほどに強く抱きしめ合いながら硬直が続いた。

 

 

 

 顎を強く結んで噛みしめながら快楽の爆発が過ぎ去るのを待ち、そんな状態が一分ほど過ぎた辺りで、エミリーとマリーは緊張を解く。

 

 

 

「はぁ~、はぁ~……ん……はぁ~」

 

 

 

「あ、あぁ……エミリー様……あッ……その、もう一度」

 

 

 

「一度だけでは……足りませんか? ふふ、構いませんよ、何度でも付き合いますとも」

 

 

 

 長く使っていた湯船から立ち上がって二人は浴室を後にすると、そのまま工房の隅にあるエミリーの趣味である天蓋付きのベッドに移動していく。

 

 

 

 濡れる体を気にすることもなく、シーツに倒れこんでまた情事に耽っていくのだ。

 

 

 

「今度は私から……ふふ、エミリー様をいじめちゃいますね」

 

 

 

 マリーの下腹部に淡い光が広がったかと思えば、そこには房中術で生やされた男性器が固く伸びていた。

 

 

 

 どうやら先ほどの交わりでそういった技術も習得したらしい、とても興奮した様子でエミリーの腰を引き寄せている。

 

 

 

 これは長く楽しめそうだ、そう思ったのはどちらだろうか。

 

 

 

 なんであれ、二人の交わりは朝まで続くことになる、既に知識や経験の共有は済んでいるので、ここから先は完全に娯楽としてのセックスになるだろう。

 

 

 

 そういえばあの卵はどうなっただろうかと、思い出す頃には、工房の窓から朝日が差し込んでいたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。