※この作品はR-18です。

商人と冒険者と娼婦   作:にやまな

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第二話 肌を撫でる犬歯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の街に二人して繰り出してから適当な酒場へと入り、ほろ酔い気分になるまでそう時間はかからなかった、上等な食事と酒を楽しみながらステージで舞う踊り子に他の男たちと同様に興奮するルールーに呆れながらも、久しぶりに気楽な時間を過ごしていた。

 

 

 

 護衛役として働いている間はどうしても責任が伴うので適度な緊張に包まれており、少しばかり方がこっていたのだが、ルールーの前ではそこまで気を張る必要はないと思っているのだろう。

 

 

 

 一応、ルールーも帝国では貴族階級に属する立場ではあるのだが、それを感じさせない気楽さがあるのでシャルルとしてもやりやすい。

 

 

 

「おうおうッ!! もっと腰を振らんか腰を!!」

 

 

 

 妖艶な踊り子に野次を飛ばす姿は貴族には程遠いということだろう。

 

 

 

「んで、低位の悪魔であったか? 其方が切ったというのは?」

 

 

 

 踊り子に構うことに満足したのか、ルールーは酒を煽るように飲んでからハムへと手を伸ばし、行儀悪く食べながらそう尋ねて来た。

 

 

 

「あぁ、なんかこう、見るからに悪魔って感じの奴でさ、あんまり強くはなかったんだけどアリーヤが言うには悪魔が色んな所に出没してるらしくて気になってるんだよ」

 

 

 

「ふ~ん? 手前は近衛騎士じゃからのう、帝城にでも乗り込んでこん限りは戦わんのでなぁ。ただそういう話はロビンめから多少は聞いておる」

 

 

 

「帝国三騎士の一人か、最高の騎士ロビンフッド」

 

 

 

「そうそう、あ奴じゃ、あの根性無し……あれは帝国の防衛が主な任務でな、警邏中に何匹か処理したそうだぞ。まぁ、何か目的があったというよりは、彷徨っていたという感じらしいが」

 

 

 

「じゃあ、帝国でも姿は見かけるわけだ」

 

 

 

「おそらく帝国以外でも似たようなもんじゃろう、確固たる意志で暴れとるわけでもないようだし、触発されておるのやもな」

 

 

 

「……触発?」

 

 

 

「魔王が暴れまわっておるんだ、野や山に隠れていた雑魚どもが調子に乗っておるのではないか」

 

 

 

「あの首なし騎士とかに引っ張られてるってことか」

 

 

 

「確証はないがの……まぁ、大した敵でもないのだから気にするまい。暴れるのならば間引けばよい、そう考えると猪や熊と大差はなかろう」

 

 

 

「気楽だなぁ」

 

 

 

「おうとも、どれだけ頭を捻っても手前ではどうしようもないのだから、気楽に構えていざという時は全力でぶん殴ればよい、戦士などそれくらいが丁度いいんだろうさ」

 

 

 

 魔王が暴れて悪魔が闊歩するような時代になってしまってもそこまで深く考える必要はないと彼女は言う、己の力で道を切り開くという確固たる自信があるからそう断言できるのだろう。

 

 

 

 普通ならばそんな時代になってしまえば不安に思うはずだ、悪魔など普通に生活していればまず関わることなど無いのだから。

 

 

 

 或いは、そんな時代ですら楽しめるくらいでなければ、戦士としては失格なのかもしれない。

 

 

 

「まぁ、そんな連中はどうでもよい。大した敵でもないし、いよいよ目障りならばぶん殴ればそれで終いなのだからな」

 

 

 

 そう言って雑に悪魔の存在を片付けたルールーは、上質な酒を一気に飲み干してグラスを空にする。

 

 

 

 酔いも回って来たのであろう、僅かに頬も赤く気分も良くなってきているようだ、ギュッと、虎のような瞳孔が狭まり、獲物を狙うかのように舌なめずりをして見せる。

 

 

 

 そのままシャルルへと寄りかかると、首筋にすり寄りながら匂いを嗅ぎだした。

 

 

 

「はぁ~……相変わらず其方の匂いは癖になるな、帝国に戻ってからはどうにも物足りなくてな、やはりこれじゃよ」

 

 

 

「あんッ……ん、こら、こんな所でくっ付くな」

 

 

 

「カカッ、ならば寝床へ行くか!!」

 

 

 

 そうして二人は酒場から二階の個室へと移動する、シャルルもその気ではあったのか抵抗するつもりはないようだ。

 

 

 

 二階にある個室に入った瞬間にルールーは待ちきれないとばかりにシャルルへと飛びつく、とても強引で力強くベッドへと押し倒されてしまう。

 

 

 

「やはり匂いが良いな、癖になってしもうたらしい……ん、ちゅる、あぐ」

 

 

 

「うぁッ……こら、噛みつくなぁ」

 

 

 

「カカッ、何を言う、これが好きなんだろう」

 

 

 

 普通の人よりも長い犬歯が服を脱がされたシャルルの鎖骨を撫でる、少し強く擦り付けられると彼女の背筋はゾクゾクと震えて反応を返した。

 

 

 

 痛いくらいの刺激だというのに、体に走るのは甘い痺れである、我ながら開発されているとシャルルは思うのだった。

 

 

 

 肌に残された赤い線を見てルールーは更に気分が昂ったのか、次々と衣服を剥ぎ取っていき互いに一糸まとわぬ姿となる。

 

 

 

「よ~し、今日こそ孕ましてやるので覚悟すると良い、カカッ!!」

 

 

 

「娼婦神の加護があるから無理だって」

 

 

 

「何を言う、神の加護も絶対ではないのだ、注ぎ込み続ければどこかで孕もう……手前とシャルルの子だからな、きっと強い戦士になるだろうて、いずれは戦場で戦うやもしれん、想像すると昂るな!!」

 

 

 

「……獣人の感覚はなんでそう大雑把になるかなぁ」

 

 

 

「カカッ、一生など短いのでな、戦って抱いて食って寝てれば終わってしまうだろ、ならば貪欲に求めてこそだ、それともシャルルが手前を孕ませるか? どちらでも構わんぞ」

 

 

 

 相変わらずの調子に妙に落ち着いてしまうのは、彼女との交わりに慣れているからだろう。

 

 

 

「どっちもごめんだっての……んぁ」

 

 

 

「なぁに、これから幾らでも機会はあろう、まぁそれまではせいぜい楽しもうて」

 

 

 

 シャルルの鎖骨に吸い付き犬歯を引っ掛けながらルールーは己の欲望を高ぶらせていく、雌雄同体の体を持つので房中術を使わなくても彼女には男性器が備わっている。

 

 

 

 既に固くなっているそこは、小刻み動く彼女の腰に合わせてシャルルの秘所を擦りあげていた。

 

 

 

 亀頭が肉豆へと引っ掛かりにじみ出て来た愛液に絡まって徐々に滑りが良くなっていく、挿入せずともただそれだけで心地よく感じてしまうようだ。

 

 

 

「うッ……ふぅ……あッ……お、おい」

 

 

 

「ん~? なんじゃい?」

 

 

 

「い、いつまで擦ってんだ……はぁ、もう準備は済んでるって、ひゃッ!!」

 

 

 

「そうは言うがなぁ、どうせ交わるのならば痛いのは嫌であろう、ちゃんと準備せねばなぁ」

 

 

 

「……うッ……もう、焦らすなよッ!!」

 

 

 

「カカッ、ならば言うべきことがあるだろうて」

 

 

 

 どうやらルールーはシャルルの反応を楽しんでいるようだ、ニヤリと妖しく笑って見下ろしている。

 

 

 

 そのまま腰を緩やかに動かして更に亀頭と肉豆を擦り合わせていく、くちゃくちゃと粘液が混ぜ合わさる音が周囲に響き、粘度が増しているらしい。

 

 

 

「あぁ、もう、わかったよ……ほら、入れてくれ」

 

 

 

「ん~……もう一声欲しいのう」

 

 

 

「……うひゃッ!?」

 

 

 

 渋る相手にトドメを刺すかのように愛液でドロドロに濡れた亀頭が膣口を突く、完全に挿入することはなく先端で僅かに撫でる程度の刺激であり、じんわりとした感覚がもどかしい。

 

 

 

 甘い熱は感じるのに絶頂するのはまだ足りない、女を抱くことに慣れたルールーはそんな状態を維持しながらいやらしい笑みを浮かべていた。

 

 

 

 どうやら焦らすことを楽しんでいるようだ、普段は激しく力強い獣のような交わりを好むだけに、シャルルとしては意外にも思う。

 

 

 

 まるで変態おやじのようだ、と考えてから、大差はないかと納得してしまった。

 

 

 

「あう……ほら、ここに、ください……これで良いんだろ?」

 

 

 

「カカカッ、そこまでおねだりされると嫌な気にはならんのう、ほーれ、お望みの物をくれてやろう」

 

 

 

 自らの指で濡れる秘所を広げて淫らに誘う姿に、気分を良くしたルールーは荒い息でシャルルの肌を撫でながら己の欲望を押し込んでいく。

 

 

 

「おッ、おぉッ……はぁ~……良いな、やはり其方の具合は良い」

 

 

 

「あッ、んッ――~~~~ッ!!」

 

 

 

 個室に備え付けられたベッドが軋む音を響かせた、それと同時にシャルルはへその下辺りに大きな存在感を感じた。

 

 

 

 それを感じると決まって体から力が抜けていく、ふにゃりと柔らかくなり抵抗ができなくなる。

 

 

 

 後は与えられる快楽に震えて体を揺らすだけだ、痛いくらいに求められると簡単に達してしまうのだろう。

 

 

 

 ルールーもその辺りはわかっているのか、犬歯で肌を撫でながら血を流さない程度に赤い線を残し、激しく腰を動かしていく。

 

 

 

「んぁッ!? あッ、あッ……うぁ、おっきッ……あぁああッ」

 

 

 

「はぁ、痛いくらいに締め付けてくるではないか……カカッ、其方も待ちわびていたのだろう?」

 

 

 

「う、うん、これ良い……気持ちいい、奥ッ、押し上げて……凄く良いんだ」

 

 

 

 まだ挿入してそこまで経った訳ではないが、既にシャルルは蕩けきった表情を見せている、上気した頬に加えて瞳も夢でも見ているかのように微睡んでいた。

 

 

 

 子宮で感じる熱と存在感に体と心が歓喜しているのだろう、個人的にセックスを好んでいることもそうだがルールーとの相性がとてもいいからだろう。

 

 

 

 少し苦しく痛いくらいの交わりがとても心地いい、相手もそれがわかっているので行為は自然と激しくなっていった。

 

 

 

 パンパンと肉と腰がぶつかる音が部屋に響き、それに伴い愛液が攪拌される音も大きくなっていく。

 

 

 

 ぞりっとルールーの犬歯が鎖骨や胸を滑り、爪で引っかいたかのような赤い線が残される度に、シャルルの体から力が抜けていくのだった。

 

 

 

「ふッくッ……んんんッ――~~~~ッ!!」

 

 

 

 甘い痺れと僅かな痛み、それを交互に繰り返されるだけで、簡単に絶頂へと押し上げられてしまったらしい。

 

 

 

 あまりにも簡単に達してしまった様子にルールーはいやらしい笑みを浮かべると、そのまま相手を休ませることなく腰を激しく動かしていく。

 

 

 

「あッ!? あッ、あッ、あああッ!? ま、まって、今は駄目ッ――んんんんッ!!?」

 

 

 

「嫌よ嫌よも好きな内ってな……うッ……ほれほれ、これが良いんじゃろうが」

 

 

 

 まだ絶頂の余韻が強く残っており、快楽の波が引いていない体へと己の欲望を押し付けるルールーは楽し気な表情をしていた。

 

 

 

 シャルルを責め立てて追い込むのが嬉しいのだろう、とても良い笑顔である。

 

 

 

「あぁ~……あぁ~……激しッ、うぁ、うぁああッ……イク、イクイク、またイクッ」

 

 

 

「よしよし、愛い奴じゃのう、何度でもイカしてやるでな!!」

 

 

 

 激しい腰使いに揺れる乳房の先端にある桜色の突起を、ルールーは犬歯を使って甘噛みした。

 

 

 

 そのまま舌と歯で乳首を転がしながらも腰使いは激しいままである、ただでさえ快楽と痛みに弱いシャルルがそれに耐えられる筈もなく、重ねるように絶頂へと至る。

 

 

 

「んひゃあああぁぁぁああッ!?」

 

 

 

「カッ、カッ、カッ、どれ、手前もそろそろかの」

 

 

 

 最後に、彼女は胸から唇を離して鋭い犬歯を首筋へと近づけ、まるで吸血鬼のように噛みついた。

 

 

 

 軽い甘噛みではない齧ったと表現しても良い、僅かにだが血も滲んでいる。

 

 

 

 ズキリとした痛みが走るのだが、それもすぐに蕩けるような甘い痺れへと変わっていくのだった。

 

 

 

「ほれッ、イクぞ……おッ、おッ!!」

 

 

 

 シャルルの血で口紅を塗ったルールーは、トドメとばかりに最奥へと精液を放つ。

 

 

 

「熱ッ……ふッ……んッ……んんんんんんッ!?」

 

 

 

 ベッドの上で二人の体は限りなく近づいて合わさり、互いにビクビクと痙攣をしながら最も大きな快楽の爆発を耐え忍んでいく。

 

 

 

 耐えるという言葉が出て来るくらいには大きな爆発であった、苦しくすらある絶頂だ。

 

 

 

 細かな痙攣と繰り返しながらも両者の体は強張っており、互いの体を引き寄せた状態でガッチリと固まりながら大きな波が引く時をただ待ちわびた。

 

 

 

 その体勢がどれだけ続いただろうか、たっぷりと時間をかけて大きな波が過ぎるのを待ち、二人は同時に大きく息を吸い込んでようやく体を弛緩させてベッドに倒れこむ。

 

 

 

「はぁ……はぁ」

 

 

 

「ふぅ~……やはり良いの、其方との交わりは」

 

 

 

「う、ぁ……ん」

 

 

 

「カカッ、余韻に浸りながら乳繰り合うか」

 

 

 

 ルールーは前後不覚に陥っていたシャルルの唇へと自分の唇を押し当てる、そして絡めとるように舌を巻き込んだ。

 

 

 

「んッ……んッ……んむ」

 

 

 

「はぁ、ちゅ……ん……ほれ、もっと舌先を動かさんか、んん」

 

 

 

 じんわりと広がる痺れが完全に無くなるまで二人は舌を絡め続け、最後に唾液の橋が伸びてプツンと途切れた。

 

 

 

「はぁ~……ちょいと休憩するか」

 

 

 

「あ、あぁ、喉も渇いたしな」

 

 

 

 どうやらルールー側はまだ続けるつもりらしい、元々怪物じみた体力を持っているので二度や三度では終わらないのだろう。

 

 

 

 シャルルもそれに付き合うことに異論はない、ルールーとの交わりはなんだかんだで好んでいるからだ。

 

 

 

「ほれ酒だ、飲むと良い」

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 差し出された酒瓶を受け取って喉を潤していると、ルールーが虎のような耳と人間よりもずっと鋭い鼻をピクピクと動かして周囲を――正確には宿の外を探っていた。

 

 

 

「こりゃ珍しい、エルフがおるな」

 

 

 

「ふうん、そうなのか?」

 

 

 

「あぁ、奴らは特徴的な匂いをしておるから良く目立つ」

 

 

 

「エルフか……ワタシがいたキャラバンにも一人いたんだよな」

 

 

 

「おぉ、そう言えばキャラバンの仲間を探しておるんだったな、聖都で合流するのだろう? 見つかったのか?」

 

 

 

「いや、まだだけど……あぁ、でももしかしたら近くに来てるかもしれないな、きっとアイツらも聖都を目指してるだろうから」

 

 

 

「合流できれば良いな、其方はずっと迷子であったのだから」

 

 

 

「迷子か……確かにな」

 

 

 

 シャルルもベッドから体を起こして、部屋のガラス窓の向こうにある大通りを見下ろす、やはり人より鋭い視力で周囲を見渡すと、ルールーの言うエルフらしき人物が大通りを歩いているのを発見した。

 

 

 

 彼女はそのまま大通りを挟んで向かい側にある宿へと姿を消していく、その後ろ姿に、特に長い耳の先端にキャラバンの仲間の一人を思い浮かべながら、シャルルは再びベッドに体を沈める。

 

 

 

 仲間たちは元気だろうか、この二年の間に数え切れないほどに思ったことをまた思案してしまう。

 

 

 

 その答えもきっと、目前にまで迫った聖都へ辿り着けば知れるのだろう。

 

 

 

 再び自分に圧し掛かって来たルールーを受け入れながら、彼女は再会の日を今日も夢想する。

 

 

 

 きっと、他の仲間たちを同じように夢見ているだろうと思いながら、今日も変わらず願うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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