商人と冒険者と娼婦 作:にやまな
なんてやりにくい情事だろうか、そんなことを思ったのはシャルルとキャロルとミューの三人である。
エミリーもまた同様の考えや思いもあったのだが、それ以上に彼女は興奮が大きいのかそこまで気にしてはいないようだ。
「んんッ……はぁ……ん……んぐッ……ぷぁッ」
「ちゅ、ちゅる……ん……んん……はぁ……ミューさん、ほら、もっと舌を出してください……んむッ」
「ま、待ってくれエミリー殿……息が続かないんだ……んッ……んんッ!?」
大きなベッドの上でミューとエミリーは向かい合い、両手を前で重ね合いながら指を絡めた状態で激しいキスを繰り返していた。
啄むようなものではなくがっつりと舌を絡める貪るようなキスである、互いの舌先が押し合うように触れあい、絡めとるように蠢いているのだ。
エヴァの依頼に従ってベッドの上で絡み合うことになったのだが、場の主導権を握るのはこんな状況であってもしっかりと楽しめるエミリーであり、そんな彼女が最初に手を付けたのがミューである。
特に深い理由はないのだろう、言ってしまえば気まぐれであり、その気まぐれによってミューは息苦しいほどの貪るようなキスを受けているらしい。
重なり合った唇が僅かに離れると唾液の糸が伸びてぷつりと切れる、そんな淫靡な光景に声を上げるのはキャンパスの前に座るエヴァであった。
「やはり美少女の絡みは絵になるな、少年同士の絡みは以前にも描いたが……そういえばあれは帝都のご婦人方になかなかの好評だったか」
どうやらこういった依頼は過去にも行っていたらしい、おそらく男娼に依頼でも出したのだろう。
「娼婦神の神殿は同性愛にも寛容であったね、そもそも奉じる神が男であり女でもあるのだから愛情の定義も広い……求める全ての愛を認める、なんとも素敵じゃないか」
エヴァの指先がベッドの上で絡み合う四人に向けられて、人差し指と親指で四角を作るとその中心にエミリーたちを収める、絵になる角度を探しているのだろう。
やはりやりにくい、そんな風に思いながらも徐々に体に熱が溜まっていくので、じきに気にならなくなるはずだ。
エミリーとミューが濃厚なキスを繰り返す傍らで、キャロルとシャルルの姉妹も肌を重ねている、ベッドに体を沈めて枕に頭を預けたシャルルに被さるようにキャロルがいた。
あまり似ていない姉妹は、やはりこちらも濃厚なキスをしている。
「んんんんッ……んッ……ちゅ……じゅる……ぷぁッ……シャル姉とのキス、やっぱり好き、ホッとする」
「んぁ……そうか? んッ……はぁ、ちゅ……お前は何だかんだで、寂しがりやな所があるからな」
覆いかぶさる形のキャロルを引き寄せて再び唇を重ねると、姉妹はまた互いの舌先で突き合う。
激しいキスに呼吸を乱しながらも更に相手を求めるように指先が揺れ動き、互いの敏感な所を弄り始めれば、僅かにあった緊張もどこかへと消えていく。
興奮が高まればエヴァの視線も気にならなくなったのか、彼女たちも遠慮することなく艶やかな声を響かせることになる、それこそ自分たちの部屋で肌を重ねた時のように。
「あんッ……ん……ふふ……ねぇ、シャルル、私もキャロルとキスをさせてください」
仲睦まじく口づけを行う姉妹を横目に見ていたエミリーは、覆いかぶさって積極的に求めて来るキャロルの姿に妙な刺激を受けたのか、横取りするかのように手を伸ばす。
「あッ、こら、取るなよ」
「良いではありませんか、いつものように、皆で楽しみましょう」
そう言ってエミリーはミューの唇を開放してキャロルを引き寄せる、そして唇を重ねると二人はそのままベッドに倒れこむのだった。
「さぁキャロル、私とも楽しみましょう……んッ、んッ……んんんッ」
「ん……はむッ、ちゅる……はッ……あむ」
せっかく楽しんでいたのに妹を取られてご立腹なシャルルは、横取りしたエミリーに不機嫌そうな視線を向けながらも、いつものことかと納得するしかない。
エミリーは四人で楽しんでいるととにかく全員と楽しもうとする傾向が強い、味見するかのように相手を次々変えて交わろうとするのだ。
そんな彼女に相手を取られてしまったシャルルは、言っても無駄だとわかっているのか文句を言うこともなく、同じく放置される形になったミューへと寄り添う。
「まったくエミリーには困ったもんだ、すぐに横取りしてくるんだから……ほら、ミュー、こっちはこっちで楽しもう」
「い、いや、ちょっと待ってくれ、エミリー殿の口づけが激しすぎて……んぁッ!?」
言い終わる前にシャルルが肩を抱いて覆いかぶさると、そのまま貪るようなキスを繰り返す。
「んんんんッ!? はぷッ、ぷはッ!!」
酸素を求めるかのようにミューは唇を押し返して抵抗するのだが、体中に広がり始めた熱が徐々に手足から力を抜いていってしまう。
抵抗は無駄だと理解したのか、それとも諦めたのか、最後には完全に抵抗を無くしてクテッとベッドに体を預けることになるのだった。
「うら若き乙女たちの肉欲の饗宴ッ!! これだよこれッ!! これこそが芸術なんだッ!! だというのに愚かな連中は下品だな卑猥だのと、全くもって愚かしい!!」
観察者であるエヴァも興奮しているようだ、何やら愚痴も混ざっておりやはり帝都の大通りに性的な芸術作品を並べることは様々な苦労があるということなのだろう。
「ふうぉおおおおおおおおッ、その舌使い素晴らしいよッ!!」
外野の声がかなりうるさいと全員が思ったが、気にしていてはまともに仕事もできないと割り切って目の前の相手に集中していく。
しかしだ、血走った眼で近づいてきてあれやこれやと興奮を言葉にする相手を気にしないというのは、なかなかに難しいことではある。
特にエヴァはグイグイ距離を詰めて来るのだ、椅子の前に置かれたキャンパスは何なのかと疑問に思うくらいに放置されていた。
もしかしたら自分たちは本当に面倒な仕事を引き受けてしまったのかもしれない、ベッドのすぐ近くで鼻息荒くこちらを観測するエヴァを見て全員がそう思うのだった。
「ミュー……お前のここ、凄く濡れてるじゃないか」
「あッ、待って、シャルル殿、そんなに舐めては……ひぁッ!?」
甘い声が漏れる、それはベッドに体を預けるミューの股の間を舌で愛撫されたからだ。
見ればシャルルの頭が太ももの間に挟まれており、彼女の舌は執拗なまでに秘所を責め続けている。
舌先が肉豆を弄び、愛液を垂らす膣口を舐め上げれば、その度に甘い声を聞かせてくれるので今のミューは楽器のようであった。
だが彼女も責められてばかりではない、目の前にあるシャルルの秘所へと同じように舌を伸ばしたからだ。
「んんッ、ふッ……ミューもやる気が出て来たな……あんッ」
互いが互いの太ももで頭を挟んで貪り合う体制だ、少し離れた位置から興奮した依頼主の声が聞こえて来るが気にしていられるほどの冷静さは残っていないのか、体に蓄積されていく熱が他者の声を遠ざけていく。
気が付けば目の前に広がる淫靡な秘所にしか意識が向かない、シャルルもミューも愛液に濡れる膣口を眼前にしながら興奮を高めていくのだ。
突く度に体は震えて、舐める度に声が響く、それを繰り返せば彼女たちの膣口は溢れる愛液で糸を引くようになった。
試しとばかりにシャルルが舌だけでなく指でミューの膣口を開くと、にちゃっと音を立てて白く濁った愛液が糸を引くのが見えた。
なんともいやらしい光景である、そしてそれは自分も同じなのだろうと思えば、僅かな羞恥も生まれて来るというものだ。
「シャルル殿も……奥からどんどん溢れてきている……ん、じゅる……興奮しているのだな」
「んッ……んんッ……お前の舌が貪って来るからだろ」
そうして二人は溢れる蜜を次々と舐めとっていき、快楽を高めていく。
きっとそれは彼女たちが絶頂するまで続くのだろう。
秘所を舐め合う両者の傍らではエミリーとキャロルが絡み合っている、執拗なほどに激しく舌と絡めており、指先は膣へと深く差し込まれているようだ。
幼い子を抱きかかえるかのようにエミリーはキャロルを膝に乗せており、その体勢のままキスをして股間を弄っている様子である。
「んんんッ!? んッ、んッ……んちゅ、あむ……ぷは、エミリー、待って……あッ、あッ」
「だ~め……もっと気持ちよくなってください……私、キャロルの感じている顔が好きなんです」
因みに、今のエミリーのセリフは彼女と肌を重ねると良く聞くことがある、おそらくシャルルもミューも言われたことがあるだろう。
別に嘘は言っていない筈だ、彼女は女性が快楽で蕩ける顔が好きなのだから。
「二年前もそうでしたけど、キャロルは華奢でとても可愛らしいですね……ふふふ……とても弄りがいがあるんですよ、だから――」
「ひぁんッ!?」
言葉と共に膣へと押し込められていた二本の指が蠢き、敏感な部分を刺激するととたんに甘い声を漏れ出る。
どうやら軽い絶頂へと押し上げられたらしい、蕩けた顔を見せるキャロルにエミリーの笑顔は更に晴れやかとなった。
「こうして苛めたくなるんです、ふふ」
そこから先は遠慮が無くなったのか指の動きはとても激しく乱暴になってしまう、普通なら痛みすら感じてしまうほどの愛撫だがしっかりと濡れそぼった秘所はグチャグチャと音を響かせて甘い痺れを広げるだけである。
エミリーの悪い癖が出始めたとキャロルは思うのだが、文句を言う為の口も塞がれて舌は簡単に絡めとられてしまうのだった。
「はぷッ!? んむんんんッ……んッ、んんッ!?」
「はぁ、あむ、ちゅ、ちゅる、じゅる……はッ、はッ」
唇と舌を弄ばれてこのまま吸い取られてしまうのではと不安になるような激しいキスである、その状態で膣内では二本の指が暴れまわるのだ、華奢な体は堪らず震えて快楽を限界まで高められていく。
そして震えているのはキャロルだけではない、攻める側であるエミリーもまた甘い痺れを感じているようだ。
嗜虐的な快楽を得ているのだろう、付き合わされる側からしてみれば迷惑なものであるのだが、しっかりと相手を気持ちよくさせるのだから困ったものである。
「んんんんんんんんんッ!!?」
最後にエミリーはトドメを刺すかのように指先と舌を相手の最も深い場所に押し込んでグリグリト蠢かせると、ただそれだけでキャロルは快楽を爆発させるのだった。
大きすぎる衝撃にビクビクと痙攣を繰り返す体を抱きしめながらますますエミリーの笑みが深まっていく、そんな彼女も引っ張られるように浅い絶頂を迎えているようだ。
ギュッと抱きしめられているので逃げ出すこともできないまま、キャロルはそのままの体勢で大きな波が過ぎ去るのを耐えるしかない、思わず噛みしめてしまったので口内を蹂躙していたエミリーの舌を巻き込んでしまったのだが、そんなことを気にすることもないまま舌は蠢き続ける。
ようやく絶頂の波が過ぎ去った頃、キャロルの体はようやく膝上から解放されることになる、思うままに蹂躙を許していた指と舌が引き抜かれると、唾液と愛液の橋が伸びていた。
「ふふ……はぁ」
エミリーはご満悦だ、意図せず噛まれてしまった舌はヒリヒリと痛みを訴えており、二人の間に繋がる唾液の橋は僅かに赤み交じっているが、それすらも愛おしいとばかりにしっかりと舐めとっている。
クテッと体から力を無くしたキャロルは大きく柔らかなベッドに体を預けると、そのまま激しい呼吸を繰り返していた、熱い風呂にのぼせてしまったかのように広がった熱の余韻に浸っているようだ。
暫くはそのままだろう、つまりエミリーは欲望を押し付ける相手がいないということである。
なので彼女の眼は次へと向けられる、キャロルと同じように大きな絶頂に体を震わせているミューは対象から外しかない、なので候補はただ一人しかいないだろう。
「シャ~ルルッ……ふふ、今度は私と愛し合いましょう?」
自分と同じように相手をベッドに沈めて手隙となっていたシャルルだ、彼女の体を背後から抱きしめればただそれだけで甘えたような猫なで声を奏でてしまう。
その顔と声を聞けば世の男の大半が思わず許してしまいそうなあどけなさがあるのだが、シャルルは女なので騙されることはない、このまま相手の好きにさせればこの戦いは一方的にしかならないと理解しているのだろう。
だからシャルルは流されない、もとより接近戦ならば魔術師よりも戦士の自分の方が有利なのだ。
背後から抱き着いて柔肌を撫でまわそうとした腕を掴むと、そのまま巧みな体捌きで非力な魔術師の体をベッドに押し倒す。
「やぁん」
押し倒されたエミリーはやんわりとした悲鳴らしきものを聞かせるのだが、その中には喜色が含まれているのは誰もがわかっていた。
攻める側も受ける側も楽しめる辺り、彼女の好色は生粋のものなのだろう。
シャルルはぐったりとしているキャロルとミューの間にシャルルを置いて、彼女の両手を頭の上で固定すると、期待に満ちた瞳にじっと見つめられながらいつかのルールーとの交わりを思い出して白い柔肌に歯を立てていく。
彼女の犬歯は獣人程鋭くはないので、蚯蚓腫れも残らず僅かに赤い線が残されるだけなのだが、その感触にエミリーはゾクゾクと甘い痺れを走らせているらしい。
相手を苛めることは勿論のこと、こうして苛められることもまた良し、その反応がそう語ってくれている。
「うッ……あッ……ひぅんッ……ダメです、傷が残っちゃいますから……あん」
「そう言う割に感じてるじゃないか……はぁ」
吐息が白い肌を撫でる、ただそれだけでなんとも艶やかな反応を返してくれるのだ、エミリーを抱く相手はさぞ気分が良くなることだろう。
歯を立てる、甘い声が漏れる。
吐息を吹きかける、体の熱は一層高まった。
そして唇で吸い付けば、震えはより大きくなるのだ。
蕩けた表情を見れば男は堪らなくなるだろう、同性であるシャルルですらそうなのだから。
「その表情ッ、たまらんッ!! やはりエロこそが芸術ッ、芸術こそがエロッ!!」
外野がうるさいが快楽に蕩けきっている二人には遠い声でしかない。
シャルルがエミリーを見下ろしながらゆっくりと唇を開く、今まさに獲物を食らおうかという控えめな犬歯が近づいていき、それはゆっくりとエミリーの鎖骨を撫でる。
「あッ、あッ……ふぁぁあ」
そのままシャルルの唇はキスの雨を降らしながら徐々に下がっていく、胸や乳首を甘噛みしてから脇へと移ろい、へそを舐めてから鼠蹊部を撫で、最後に行き着くのはドロドロに濡れた蜜壺であった。
「よく濡れてるぞ、これなら少しくらい乱暴にしても大丈夫そうだな」
そう言って彼女は膣口を開くように指を二本差し入れて、そして舌では固くなった肉豆を突く。
「やぁああああッ!!? まってッ……おッ!? それh、ダメええぇぇえッ!!」
刺激が大きすぎたのだろう、これまでの喜色が交じった喘ぎではなく悲鳴に近いものがある、それこそがシャルルの望んだものであった。
激しく出し入れされる二本の指は僅かに曲げられて蜜壺を引っかくように蠢き、舌と歯は執拗に肉豆を攻めたてる、そんなことを数十秒も続ければエミリーの体はあっけなく絶頂へと導かれる。
抵抗など無意味だ、シャルルは絶対に逃がさないように秘所へと吸い付いていた。
そして限界が近いことを指と舌で感じ取っていたのだろう、彼女は最後に爪を立てるように膣内を引っかき、前歯で肉豆を甘噛みするのだった。
「~~~~~~~~ッッ!!?」
声にならない悲鳴を上げて絶頂へと至る、同時に大量の愛液を吹き出しながらシャルルの顔面を盛大に汚してみせた。
「ふぅ……今日はワタシの勝ちだな」
勝利宣言は蕩けきった顔で痙攣を繰り返すエミリーに向けたものである、そしてその両隣で倒れこむキャロルとミューへ向けたものなのだろう。
四人で肌を重ねる時は何故だか勝ち負けにこだわることが多い、最後に立っていたのが勝者であるということだ。
シャルルが最後に残るのは珍しいと言えた、最初に沈むのがミューであることは多く、最後まで立っていることが多いのはエミリーかキャロルのどちらかである。
こんなことで競い合ってなんになるのかという疑問もあるのだが、ベッドに沈む三人を見下ろすとなかなかの優越感が胸の奥に湧いてくるので悪い気分にはならない。
チラッと依頼主であるエヴァへと視線を向けてみると、彼女はキャンパスへと凄まじい勢いで筆を走らせておりその興奮は尋常ではない。
どうやら仕事は上手くこなせたようだ、そんな確信と共にシャルルもまた心地いい疲労と熱を感じながら大きなベッドに体を預ける。
エヴァ曰く、後々個別に絵を描きたいと言っているので、帝都に滞在している間はよく声をかけられることになるだろう、資金調達には困らないはずだ。
少なくとも生活の心配はこれで無くなるだろう、そんな風に安心した瞬間に僅かな眠気が現れて意識を薄めていく。
これからも色々と描かれることになるだろうが、今は先のことを考えずに眠りたい気分であった。