商人と冒険者と娼婦 作:にやまな
戦力が足りない。そして英雄と戦えるような魔王は簡単には生まれない。
雑兵が幾らいたとしてもそれは雑兵を押し留めることしかできないだろう。数には数を、質には質をぶつけることが基本である。
特に英雄という存在には散々苦しめられてきたエキドナにとっては、ああいった人種は大なり小なり不可能をひっくり返す魂の熱量と幸運を持つとよく知っているのだ。
奴らは勝てない敵に何故か勝って、絶対に死ぬ状況なのに不思議と生還する。そんな理不尽の化身だ。
わかっているとも、実際に何度も手を煩わされて幾度も子を殺され続けて来た身であるのだから、説明されるまでもない。
多少の個人差はあれど、英雄は幸運なのだ。
何もかもを良い方向に持っていく、そんな存在である。
勇者はその筆頭だろう、アレに関しては幸運どころか奇跡すらも容易く引き寄せる悍ましく理不尽な存在であった。
そんな連中と戦うにはやはり魔王と呼ばれる存在をぶつけることが最低条件だろう。低位の悪魔や魔獣をどれだけぶつけようと死体の山ができるだけである。
手持ちは少ない、そして都合よく魔王は生み出せない、色々と考えなければならないだろう。。
「ねぇ、そうは思わない?」
「ひぐッ!?」
「んやぁあああッ!!」
肉のベッドの上でシャルルのくぐもった悲鳴と、キャロルの絶頂に震える声が重なった。
「まぁ聞こえちゃいないか」
そんな二人を同じ職種のベッドの上で見下ろすエキドナは、興奮と欲情で体を熱くさせながら触手を動かす。
彼女の股間からは房中術で作ったであろう男性器が伸びているのだが、それは一般的な形をしておらずタコの足のようにうねりながら無数に枝分かれている形をしていた。
人の腕のように器用で、タコの足のように柔軟なそれは四本に分かれており、それぞれがシャルルとキャロルの秘所を弄っている。
膣と肛門でそれらを受け入れる二人は、本来ならば苦痛を感じてもおかしくはない衝撃だというのに、媚毒と度重なる凌辱で甘い痺れだけを感じているようだ。
卑猥なベッドの上で胡坐を作りだらしなく腰を下ろすエキドナは、股間から伸びる触手だけを動かして二人を責め立てる。
だがシャルルとキャロルはもうまともな意識も残されていないのだろう。顔の上半分は花弁の触手を被っており、おそらくは良い夢でも見ているのだろう。
「やった……うッ……あッ、あうッ……皆、やっと会えた……団長……シャーシャ……ロウ姉……み、んな」
シャルルはどうやらキャラバンと合流できた時のことを夢見ているらしい。花弁の触手に包まれていない唇はだらしなく緩んでおり涎を垂らしているが、それでも笑みの形を保っていた。
凌辱されているという自覚すらもう無いのかもしれない。夢の中はとても幸福なのだろう。
「ふッ……ふぅ……うッ……んッ……シャル姉……ダ、メ……そっちにいっちゃ、ダメ……あうッ」
隣にいるキャロルもまた同じようにエキドナの触手に弄られて顔の上半分を花弁に包まれた状態ではあるが、こちらは意識がまだ残っているらしい。
二人が持つ加護や幸運の方向性の問題だろうか、この辺りは個人差が大きいらしい。ただそれも時間の問題ではあるだろうが。
キャロルは健気にも姉に手を伸ばして掌を重ね合うのだが、その温もりが今のシャルルに届いているかは誰にもわからない。
「あはッ……そういう健気な感じ、凄く好き……おッ、おッ……ん、ふふ」
二人の様子を見下ろすエキドナは気分を良くしてより触手を激しく動かす。既に何度も二人の中に興奮を注ぎ込んでいるが、萎える気配がまるでないらしい。
「貴女、とっても家族思いなのね……んんッ……あんまり似てないけど姉妹かしら、尊く素敵な関係ね。わかるわよ、私にも姉と妹がいるもの」
時折、その姉と妹の関係を交換するような歪な関係ではあるが、間違いなくもう一人のエキドナは家族であり肉親である。
だから今のエキドナの発言は嘘ではない。嘘ではないが別にキャロルに理解を向けた訳でもなかった。
「だから少しだけ同情してあげちゃう」
因みに、この発言は嘘である。
エキドナを胡坐を解いて肉のベッドの上を移ろい、キャロルを押し倒すような形となる。
顔の上半分が花弁に包まれているキャロルは視界が閉ざされておりエキドナの姿を確認することはできないが、それでも自分に圧し掛かって来る悪魔の唇が三日月の形に歪んでいることは想像できてしまう。
「お姉さんを少しだけ休ませてあげようか?」
「……ッ」
それは悪魔の囁きだ。自分で追い込んでおいて、まるで救世主であるかのように振る舞う、傲慢で小賢しい振る舞いであるのだが、それが本当に救いに聞こえてくるのだから、正しく悪魔の囁きなのだろう。
「んッ……ひッうッ」
「うぁッ!? あッ!? あぁッ!?」
グリグリと、キャロルの蜜壺を責め立てる触手が動きを緩める。代わりとばかりにシャルルを弄る触手は動きを増していった。
「代わりに、アンタが私のお願いを少しだけ叶えてくれるのならね」
「うッ……や、やぁ」
答えてはならないと、無視するべきだとわかっているが、それでもキャロルの口からは弱弱しい声が漏れ出てしまう。
或いはそれが悍ましい嘘だとわかっているのに、ほんの僅かな希望に見えてしまったのだろうか。
「あら、良いのかしら? アナタのお姉さんはこんなに追い詰められてるのに?」
「あぐぅぁッ!!?」
すぐ隣からシャルルの声が聞こえて来る。それは内臓を掻き混ぜられたかのような苦痛が宿った、絞り出すような悲鳴であった。
肉体的に追い詰められるシャルルだが、精神的に追い詰められているのはキャロルである。
花弁の触手を帽子のように被っているので視界が閉ざされており、だからこそ恐怖も大きいのだろう。今の彼女にとって音こそが世界を知る最大の感覚なのだ。
隣から聞こえて来る触手がうねる音と姉のくぐもった悲鳴、どちらも耳朶から不安を煽って来るには十分なものである。
「……な、なにを……んッ……すれば良いの?」
だからなのかキャロルはそんなことを言っていた。無視して何も答えないのが一番だとわかっていながら、弱り切った精神はまさに藁をも掴む思いでそれを希望としたのだろう。
悪魔の囁きが甘い筈がないと冷静な部分が警戒しているのに、それでもだ。
「ふふ……何も難しいことなんてないのよ。ただ少しだけ血を欲しいってだけだもの」
エキドナとしては何だって構わない、重要なのは小さな契約を結ぶことであり受け取る何かは血でも汗でも髪でも構わないのだろう。
「……そ、それだけ?」
「そう、とっても簡単でしょう?」
唇を固く結びながらも、その奥から弱音と隙を吐き出しそうになっているキャロルにトドメを刺すかのようにエキドナはシャルルをまたも鳴かせるのだった。
「……で? どうするの?」
「……ちょっと、だけ……あッ、あッ……ちょっとだけなら」
その返答にエキドナはニンマリと唇を歪める。自分と彼女の間に千切れてしまいそうなほどに細く脆いながらも、確かな契約の縁ができたことを理解したからだろう。
その縁を感じ取りながらエキドナは股間から伸びる触手の内の二つ、シャルルを攻めていたものを引き抜くと、それをキャロルへと集中させた。
「んぐッ!!? んんッ!! んんんんんッ!!?」
シャルルの愛液を大量に塗りたくった触手はそのままキャロルの口内を蹂躙していき、余った一本は体に絡みつき吸い付く。
そして元々彼女を責め立てていた二本の触手はより動きを速めていった。
「んッ……あは、イクッ、イクわよ? ちゃんと全部受け止めなさい!!」
「あぐッ――――んんんんんんんんッ!!?」
「んふッ」
キャロルを押し倒すエキドナはこみ上がって来る絶頂の予感に震えながら、快楽の爆発と共にキャロルの首筋に噛みつく。
約束通り血を受け取ったらしい。別にどうしても欲しい物でもなく約束を成立させる為の過程でしかないが、貰えるのならば貰っておこうという考えである。
重要なのは二人の間に結ばれた約束であり実際の物の取引は大した問題ではない。
小さく脆い縁は約束となり、約束はやがては契約となっていくだろう。
一つ一つは矮小なものであったとしても、その積み重ねが大事なのだ。
これが終ればきっとエキドナはキャロルを嬲りながらシャルルに向かってこう言うのだろう。
私の願いを叶えてくれれば妹は暫く休ませてやると。
そうやって小さな願いを叶え続けていった先に、どのような結果が待っているかを彼女たちはまだ知らない。
「うッ……あッ……また熱くなってきちゃった……もう一度愛し合いましょうか?」
「やッ……やぁぁぁぁあッ」
離れた位置からキャロルの悲鳴が聞こえて来る。それにミューは長く尖った耳をピクッと反応させながらも、助けにいけない自分の無力を呪った。
「んぉ……おッ……おッ……ほら、もっと出しなさいよ、ほらッ!!」
「ひぅッ……ダメ、もう、もう出なッ……んきゅんッ!?」
「これを固くして出せって言ってんのよ……んッ」
仲間たちの悲鳴が聞こえようと助けに行ける状態ではないのだ。ミューもエミリーももう一人のエキドナに搾精されている最中なのだから。
全く同じように見えるエキドナではあるが、そんな彼女たちにも少しだけ趣味趣向が異なることを知ったのは最近のことである。
一方は男性的に交わることを好んで、もう片方は女性的な成功を望む傾向があるらしい。知りたくも無い性癖であったが、それが理解できてしまう位には彼女たちに嬲られてしまっているらしい。
二人の前にいるエキドナは女性的な交わりを好んでおり、魔力が豊富なエミリーとミューによく房中術をかけて精を搾り取っている。
今も触手でエミリーを組み伏せながら、その上に跨り彼女に生やした肉棒をその体で貪っていた。
背中を肉のベッドに預けて跨るエキドナを見上げるエミリーは、淫らな腰使いに翻弄されながらもう数え切れないほどの射精を行っており、それを証明するかのようにエキドナの腹部は少しだけ膨れ上がっているようにも見える。
魔獣母としての性なのか自慢気にその腹を撫でるエキドナではあるが、それに決して満足した様子はなく、その腹はエミリーの肉棒を締め付けて離しはしない。
「ひぅッ……うッ……やめ、いやッ……んッ!?」
もう何度も何度も何度も繰り返した射精はその度にエミリーの魔力を奪い続け、既に空になっても続けられた結果、もう一滴も出すことはできない状態である。
エキドナの膣内で跳ねる肉棒はもう何も吐き出さない、しかし蜜壺の撫で上げられて甘い痺れは広がっており、まさに吸い取られるように次の熱を作り出そうとしていた。
魔力はない、あるのは血だけであり、それを精液に変換して吐き出しているのだろう。エミリーは深刻な喉の渇きを訴えているらしい。
「ほら、何をしているのよ、お前もさっさと吐き出しなさい」
犯しつくされているのはエミリーだけではない。同じ卑猥なベッドの上にはミューの姿もあり、彼女もまたエキドナに貪られていた。
「エミリーは……もう限界だッ……わ、私が代わりに……はぁ、はぁ」
「ふぅん?」
彼女がいる場所はエキドナの背後だ、そこで膝立ちとなり両手を触手に絡めとられた状態でへこへこと腰を揺さぶっている。
挿入しているのはエキドナの後ろの穴であり、もう何度か射精した後なのか白い粘液が肉棒に絡みついてい泡立っているのがわかった。
それでもエミリーよりは自分のペースで動ける分、まだマシなのだろう。
エキドナは取るに足らない言葉のような返事をしてミューの提案を脳内で転がす。何でもないように表情は整えているが、内心では笑っているようだ。
都合良く向こうから交渉事を持ちかけて来たことを喜んでいるらしい。
「嫌よ、何で私がそっちの言うことを聞かなきゃならないのよ」
「んッ」
「うぁッ」
そう言い返しながら彼女は腰を揺さぶる。すると膣口と肛門を満たす肉棒も刺激されてエミリーとミューは甘い痺れに体を震わせた。
「でもそうね……貴女の髪を一房くれるのなら考えてあげなくもないわよ?」
「か、髪?」
「そう、簡単でしょう?」
エキドナは僅かに身を捻って背後にいるミューに視線を向けた。それによってミュートエミリーの間にある頭も移動したので、僅かに表情を伺うことができる。
エキドナの歪んだ笑顔の向こう側にあるエミリーの顔は、度重なる凌辱と搾精で完全に疲れ切っており、砂漠で水を求めるかのような顔をしていた。
もう限界だ、魔力の欠乏だけでなく体内の水分も足りていないのだろう。
それをエキドナの横顔越しに見つめるミューは、悪魔の囁きだとわかっていても取引に応じるしかなかった。
「わ、わかった……一房、だけだな?」
「そうよ、それ以上は求めないわ」
ここに取引が成立することになる、それは約束であり契約でもある。
とても小さくて単純明快な、エキドナとの縁だ。
それそのものは何の強制力も存在しないものなのだろうが、塵も積もれば何とやらである。ほんの僅かであってもこの約束は彼女たちの魂を繋ぎ合わせて近づけることになるだろう。
それはつまり、ほんの僅かにだが魂への干渉に他ならない。
小さな約束と契約は、いつか大きな契約に繋がる第一歩である。
まだ心の余裕がある頃の四人であるならば警戒と敵意で退けられたであろう悪魔の囁きも、今では甘い誘惑になってしまっていることに、まだ気が付いてはいないらしい。
これくらいならば構わない、受け入れられる。
それは悪魔を相手にやってはいけないことなのだが、余裕のある態度はとれなかった。
「んは……じゃあコイツは少し休ませてあげる、ほら、こっちに入れなさい」
エキドナは結んだ契約を守ってエミリーを休ませることにしたらしい。僅かに腰を浮かして挿入されっぱなしだったエミリーの肉棒を開放すると、大量に精液が滴り落ちてくる膣口を指で開いてミューの見せつけて来る。
腹を膨らませるほどに精液が満たされたそこは今も卑猥に震えており、大量の愛液と混ざって蜜壺と化していた。
「はぁ、はぁ……ごく、はぁ……うッ、んッ……んんんんんッ!!」
淫らなそれを見つめるミューは、興奮と嫌悪を混ぜ合わせながらも、肉棒の先端を合わせて腰だけを動かし挿入していくことになる。
膝立ちの状態で両手は触手に拘束されているので、やはりへこへことした腰使いで何度か膣口と亀頭を擦り合わせることになり、幾度かそれを繰り返した後でようやく挿入が叶ったかと思えば、予想以上の甘い痺れに声が漏れ出てしまった。
肛門もそうであったが、膣への挿入はまた段違いに心地が良い。それこそ暴力的な快楽とさえ言えるだろう。
「うぉッ……あッ、あッ、やめッ……そんなに、締め付けては……んんッ!?」
「んッ……ほら、出しなさいッ!!」
抵抗は虚しく、ミューは搾り取られるようにエキドナの最奥へ射精してしまう。
根元から先端へと圧力が移り変わり全てを嚥下するかのような膣の動きに、彼女は何もかもを吐き出すほかなく、全身に広がる最高の射精感に酔いしれるしかなかった。
「うッ、ぁぁッ……おッ、おッ……あへぁ」
「あはッ……良いじゃない、もっと寄こしなさい」
ドクドクと力強く跳ね上がる心臓に合わせるように射精も続く、それがようやく静まると体中に広がるのは重たい倦怠感である。
「はぁ、はぁ……はぁ」
自分の中にある魔力がごっそりと減った感覚を感じながら、それでも絞り出すようにエキドナに奉仕しなければならないのがミューの立場であった。
悪魔と交わることに抵抗感がなくなっていることを薄々感じ取りながらも、ミューは再び腰を振るのだった。
「あぁ~、あぁ~……おッ、おッ」
口から漏れ出るのは仲間を守りたいと言う使命感とは程遠い、甘く蕩けきったものである。
エキドナと結んだ小さな約束と契約は、彼女たちの魂を少しだけ縛ったのかもしれない。
それがどのような結果を招くのかを予想して警戒できるだけの心の余裕は、彼女たちにはなかったのだろう。