※この作品はR-18です。

商人と冒険者と娼婦   作:にやまな

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第四話 冬の娼婦

 

 

 

 

 

 

 

 

 契約が結ばれてからの二日間は準備期間となった。この砦の四隅にはくみ上げ式の井戸があり春風のキャラバンはその一角を借り受けて、そこを中心に自らの生活環境を整えていく。荷物はそこまで多くないので、目立つのは三つの組み立て式の天幕くらいのものだ。

 

 

 

 

 

 動物の骨を加工して作られた骨組みは軽くて柔軟性があり、分厚い毛布をかけて壁代わりにすれば風に飛ばされない程度には安定性があった。

 

 

 

 

 

 大きさは街の公演で使う物よりずっと小さいが、それでもぼろ宿よりは広いだろう。それなりの高さとそれなりの奥行があり、天幕の真ん中には囲炉裏が作られ中もまたそれなりに温かい。そこを中心にいくつかのカーテンで仕切りが作られ、従業員の個室兼仕事場が存在している。

 

 

 

 

 

 カーテン程度の区切りではプライベートもなにもあったものではないが、文句を言えるような状況でもない上に、そもそもそこに不満を訴えるような感覚を持った者が少ない。旅をしながら様々な場所に出向いて商売をして、その度に娼館は開かれる。そうやって周囲の環境と自分たちを比べてみると、こうやって天幕付きで仕事ができる環境は恵まれているとすら思っていた。

 

 

 

 

 

 カーテンで仕切られた空間を覗いてみると毛皮を丸めて紐で縛り、その上に清潔な毛布がかぶせられた簡易の寝床がある。

 

 

 

 

 

 ある者はお香を焚いて、またある者は香水を吹きかけ、またある者は果物の皮から作った香袋を設置している。そのあたりは個人の趣向に任せるせるらしい。

 

 

 

 

 

 各人が準備に余念のない中で、ただ一人エミリーだけが耳まで顔を赤くして身もだえていた。

 

 

 

 

 

「嫌なら止めちまえよ、団長も別に強制じゃないって言ってたろ?」

 

 

 

 

 

 いつまで経っても準備を始めない友人を見かねてシャルルはそう言った。その隣で毛皮の束を床に敷き詰めているキャロルも無言で頷く。

 

 

 

 

 

「オレらは別にあれじゃん、娼婦として正式に契約を結んでるわけじゃないんだから、娼館で働く義務もないんだぞ?」

 

 

 

 

 

「それはそうですが、このまま何もせずに冬を過ごすのはさすがに心苦しくて……しかもお二人は働かれるわけですからなおのこと肩身が狭くなってしまいます」

 

 

 

 

 

「……変なところで律儀……誰も怒らないのに気にしてる」

 

 

 

 

 

「お二人ほど割り切れないんです。別に娼婦という仕事に偏見があるわけではなくてですね……なんと言いますか、そのぉ……私に務まるんでしょうか?」

 

 

 

 

 

「いけるんじゃないか、別に何か特別なことをやらされるわけじゃないしなぁ……金欠になった時に小遣い稼ぎで店に出てるけど、なんかこう、ちょっと痛くて気が付いたら終わってる感じだ。セックスなんてそんなもんだ、キャロルもそうだろ?」

 

 

 

 

 

「……痛い?」

 

 

 

 

 

 シャルルの言葉に首を傾けたキャロルはこれまでの行為を思い出して答えを返す。

 

 

 

 

 

「ん……別に痛くない、むしろ気持ちいい」

 

 

 

 

 

「そうなのか?じゃあ、オレが相手した男はヘタクソだったんだな」

 

 

 

 

 

「なんだか上手く想像できません、お二人はどうしてそんなにどっしりと構えていられるのでしょうか」

 

 

 

 

 

「そりゃ団長が臨時契約のボーナス出してくれるって言ってるし、冬の間は絶対に暇になるだろうしなぁ……それなら別に良いかなって思う、こんな冬も悪くないだろ」

 

 

 

 

 

「ん……お金は大事、稼げる時に稼ぐ……それに私は娼婦の仕事は嫌いじゃない」

 

 

 

 

 

 稼ぐことに働くことに貪欲な二人は、その手段はあまり気にしていないのだろう。傭兵として、あるいは劇団員として舞台や公演に立つことで得られる給金と、娼婦として働いた給金に大した違いはない。

 

 

 

 

 

 むしろ仕事を選り好みして儲け話をふいにしてしまえば、そちらの方ががっかりしてしまう。

 

 

 

 

 

「それでどうすんだよ? やるのか、やらないのか、はっきりしたらどうだ?」

 

 

 

 

 

「あんまり急かさないで、もう少し覚悟を決める時間が必要なの……うう、娼婦の神よ私に勇気をお与え下さい」

 

 

 

 

 

「あぁ、参加する意思はあるんだな……というか娼婦の神なんているのかよ?」

 

 

 

 

 

「それはもちろんです。職業や現象の数だけ神様は存在しますから」

 

 

 

 

 

「……飽きたら準備してね」

 

 

 

 

 

「わかっています、あともう少しだけ時間をくださいな」

 

 

 

 

 

 手のひらを合わせて娼婦の神とやらに祈りを捧げる友人を放置して、シャルルとキャロルは自分たちの準備を整える。

 

 

 

 

 

 寝床はもう完成していた、後はローレライに教えてもらったように薄く化粧を施して、服装を整えるだけだ。

 

 

 

 

 

 シャルルは愛用の上着とズボンを脱ぎ捨て、代わりに身にまとうのは清潔感を感じさせる白い下着だった。そして両足には新雪を思わせる下着と同じ色のソックスを履く、ずり落ちないようにガーターベルトも忘れない。装着した仕事着には鮮やかな意匠が細かく散りばめられており、これ一つで結構なお値段がかかるらしい。

 

 

 

 

 

 下着一つにそんなこだわってどうするのか……この下着を渡された時シャルルはそんなことを言ったのだが、ローレライにやんわりと窘められてしまう。

 

 

 

 

 

 彼女いわく、これは娼婦の剣であり鎧のようなものらしい。そう言われてしまえばシャルルも頷くしかなかった。

 

 

 

 

 

 三人の中で最も発育の進んでいる彼女がそれを身に着ければ、もう少女という言葉は似合わない雰囲気を醸し出す。普段はどこかおおざっぱで、男勝りな言動を繰り返している彼女だが、その体はしっかりと女らしさを備えている。

 

 

 

 

 

「……シャル姉、髪も整えた方が良い、ぼさぼさ」

 

 

 

 

 

 シャルルとは対照的に小柄であまり発育の進んでいないキャロルは、向こう側が僅かに透けて見える透明感を持ったネグリジェを下着の上に身にまとっている。敢えて幼さを残すためなのかフリルやリボンが多く、彼女自身の幼さも相まって倒錯的な魅力を醸し出す。

 

 

 

 

 

 三人の中で最も娼婦に前向きであり、経験も豊富な彼女はそんな恰好にも慣れているようだ。

 

 

 

 

 

 おおざっぱで細かいことを気にしない姉の髪を整え、何度説明しても理解しない化粧を代わりに施す姿は、姉と妹の立場を逆転したかのようにも思える。

 

 

 

 

 

「……エミリーもそろそろ着替える」

 

 

 

 

 

「うぅ……わかりました」

 

 

 

 

 

 二人の姿を見てエミリーは顔をさらに熱くする。恥ずかしくないのか、自分もこれから身にまとうのか、羞恥と恐れが胸いっぱいに広がるが……もはや逃げ場はなく、覚悟を決める時がきたらしい。

 

 

 

 

 

「優しくしてくださいね?」

 

 

 

 

 

「……それは客に言って欲しい」

 

 

 

 

 

 慣れない服装に着替え、髪はキャロルに手伝ってもらいながら整える、彼女はシャルルとは真逆の黒い下着だった。せめて少しでも露出を選らすためなのか薄いネグリジェをまとうが、艶やかな雰囲気が消えることはなかった。

 

 

 

 

 

「さ、さすがに開放感がありすぎるじゃ……男性はこういった装いがほんとに好きなの?」

 

 

 

 

 

「ん……受けは悪くない……チップをはずんでくれる」

 

 

 

 

 

「そうなんですか……不思議なものね」

 

 

 

 

 

 部屋と個人の準備はほとんど完了しており、ほかの天幕もそれは変わらない。手持無沙汰になった三人はそれぞれの方法で時間を潰すのだが、やはりエミリーだけはそわそわと落ち着かない様子を残している。

 

 

 

 

 

 今更、娼館で働くことに後悔はない。故郷を離れて数年、これまで彼女が見てきた光景は凄惨なものだった。女手一つで世界を渡り歩けるほど甘い時代ではないことを理解しているのだ。貧困に飢餓、差別に理不尽、そんなものはこの世界にいくらでも溢れており、変えようのない現実でもある。

 

 

 

 

 

 ではどうするのか? その疑問の答えは簡単……それでも生きていくしかない、ただそれだけだ。

 

 

 

 

 

 例え魔法が使えるのだとしても、自分のような年も若く、大きな後ろ盾もない小娘が体一つで野に放たれたら待っているのは死だ。飢えに殺されるか刃に倒れるか野盗やモンスターに殺されるかの違いでしかない。

 

 

 

 

 

 こうしてキャラバンに所属して働いていける自分はまだ幸運だという自覚が彼女にはあるのだ。旅の途中、立ち寄った街や国ではどうしようもない現状があり、変えられない現実が広がっている。

 

 

 

 

 

 だからこそ集団に属する。自分より大きな存在の庇護下に入り、その見返りとして集団の利益となるのだ。護衛として戦うのも、舞台に立って芸を披露するのも、娼婦として働くのも、全ては自分と集団の利益の為にあった。

 

 

 

 

 

 利口な彼女はそれがわかっているのだ、おそらくは団員のだれよりも。だからこそ娼婦として働くことを受け入れたのだし、そこに不満など欠片も存在しない。また娼婦という職業に偏見もなく、それもまた一つの生き方であり、女の生存戦略だと理解もしている。

 

 

 

 

 

 それでもいざその時が来ると、戸惑ってしまうのも無理はないだろう。

 

 

 

 

 

 羞恥と怖気、そして僅かな好奇心が胸の中で渦巻いて、エミリーの頭はパンク寸前だった。

 

 

 

 

 

 性的な接触に興味自体はあるのもまた否定できない。とある事情で金欠になったシャルルや暇を持て余したキャロルが小遣い稼ぎの為に一時的に娼館で働いていたこともあり、それを聞いて少しばかりの妄想もしたこともある。

 

 

 

 

 

 自分もいつかはそういった行為をするのだろうか、そういった場所で働くのだろうか、そんなことを考えながら悶々とした夜を過ごした。

 

 

 

 

 

 そして今夜、妄想の中でしかなかった行為を自分がするのだ。体中が不安と羞恥で奇妙な熱を持っている。

 

 

 

 

 

「アイツは大丈夫なのか?」

 

 

 

 

 

「ん、大丈夫……なんだかんだ言いつつも、興味津々だから……案外、ドはまりするかも」

 

 

 

 

 

 そんなエミリーを眺めながら二人は苦笑いを浮かべる、初心な友人を見ているとこちらまで気恥ずかしくなってしまうかのようだ。

 

 

 

 

 

 結局、開店時間になって客が訪れるまで、エミリーが落ち着くことはなかった。

 

 

 

 

 

 春風のキャラバンが開いている娼館は基本的に入場料というものが存在しており、それを払ってから店に入れるのだ。これはキャラバン全体の収入となり、運転資金や団員全体の給料へと変換されていく。もちろん、契約している娼婦への基本給の一部はここから捻出される。

 

 

 

 

 

 その基本給とは別に、チップという形で娼婦は利益を得ることができる。上役の方針や悪質な店ではそれすらも納めなければならないのだが、春風のキャラバンではそのまま懐に収めることが許された。そういう契約のもとで娼婦として働くのだ。

 

 

 

 

 

 この入場料というのが、春風のキャラバンではそれなりに高く設定されている。

 

 

 

 

 

 理由は多々あるが、一番は事前に客を選別してトラブルを防ぐためだろう。ある程度の敷居を作って悪質な客を遠ざけるのだ。行為に及んで挙句、チップも渡さず強引に逃げるような相手は少なくない。

 

 

 

 

 

 一定の、それも安定した収入を持っている者ならばそのあたりの分別があり、余計な問題は起こさない、完璧とは言えないがある程度の効果はあるだろう。

 

 

 

 

 

 ただ今回は状況が状況なので、入場料は普段よりも軽く設定されている。庶民にとっては背伸びしなければ少し難しい金額から、薄給の兵士でも気軽に通えるくらいの値段に落とされていた。後は客となる兵士たちが紳士的であることを願うしかない。

 

 

 

 

 

 エミリー、シャルル、キャロルの三人が過ごしている天幕に客として兵士が訪れたのは日が沈んで暫くしてからだった。一日の訓練と業務を終えてやってきたのは三人の兵士だ。それぞれ異なる反応を見せてくれる。

 

 

 

 

 

 一番年配の中年男性は落ち着いていた、こういった場所に来ることに慣れているのだろう。次に背が高くがっしりした体格の青年は何故か涙ぐんでおり、新兵と思われる少年は顔を赤くしながら艶やかな姿の少女たちを見つめている。三者三様の反応を見せてくれるが、三人とも共通しているのは期待に胸を膨らませているということだ。

 

 

 

 

 

「……いらっしゃいませ、さっそくで悪いけど、この中で一番経験のある人は……誰?」

 

 

 

 

 

 キャロルの問いかけに少年と青年が中年男性へと視線を向けた、年齢的にも不思議ではない。

 

 

 

 

 

「それはまぁ班長ですよね、子だくさんの家庭なわけだし奥さんも……今度五人目を産むんでしたっけ?」

 

 

 

 

 

「いや、六人目だな」

 

 

 

 

 

「えぇ……班長ってば奥さんがいるのにここに来たんですか? 絶対に怒られますよ」

 

 

 

 

 

「バレなきゃ大丈夫だ、バレなきゃな。見つかったら大目玉だろうがこんな状況なんだ、言い訳くらいは聞いてくれるだろうさ……多分な」

 

 

 

 

 

 ガハハと笑う男性に悪びれた様子はない、おそらくこれまでも妻の目を掻い潜って遊んでいたのだろう。

 

 

 

 

 

「ん……経験豊富ならエミリーの相手をお願いしたい、この子は娼婦として働いた経験が無い……リードしてあげて欲しい」

 

 

 

 

 

「お、そうなのか? よしよしわかった、私に任せてくれ、若いもんはガサツだからな」

 

 

 

 

 

「す、すいません! 無作法をしでかすかもしれませんが、どうかお付き合いください」

 

 

 

 

 

エミリーの相手は決まった、必然的に残りの二人はシャルルとキャロルが相手をすることになる。

 

 

 

 

 

 感極まって涙ぐんでいた青年はシャルルとカーテンの向こうに消えて、新兵と思われる少年はキャロルに引きずられて寝床に放り込まれてしまう。

 

 

 

 

 

 そして、砦の一角は冬を忘れてしまうかのような大きな熱気に包まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、チップの相場はどれくらいになるんだ? 普段は高級娼館だって聞いてたしやっぱり高いのかな」

 

 

 

 

 

 そう尋ねたのはシャルルと寝床に入った青年だった。それなりに遊んでいるような雰囲気はあるが、それは給料に見合った遊びなのだろう。店に入る為に多額の入場料が必要な場所には足を運んではいないらしい。

 

 

 

 

 

「う~ん、確か決まった額はなかったような……でも前に相手したオッサンは銀貨を一枚と銅貨を何枚かくれたな」

 

 

 

 

 

「おぉ、そんなもんか、それならそこまで財布も軽くならないな」

 

 

 

 

 

「人によって違うらしいけどな、オレが……じゃなかった、ワタシの相手がそうだってだけでさ、まあ財布と相談してくれよ」

 

 

 

 

 

 娼婦として働く場合は、言葉遣いを正すようにローレライから教えられていたことを思い出して訂正するが、そこまで大きな違いはなかった。

 

 

 

 

 

「わかった、じゃあとりあえず同じ額を払うとして……えーっと、君の名前は?」

 

 

 

 

 

「シャルルだ、ただのシャルル。それでどうする? すぐに始めるか?」

 

 

 

 

 

「まあ、それを目的に来たから話が早いのはありがたいけど……大丈夫? 慣らさないと苦しいだろ」

 

 

 

 

 

「セックスって苦しいもんだろ、まぁ痛みには慣れてるから大丈夫だ、気にすんな」

 

 

 

 

 

「あんまり感じたことがないってことかぁ……今までずっとそんな状態なのか、それはそれで困るというか」

 

 

 

 

 

「アンタ変わってんな、今まで相手してきた男は入って来るなりいきなり組み伏せて腰を振ってるだけだったし、そんな相手ばかりだったからなぁ」

 

 

 

 

 

「そういう奴がいるのもわかるけど、個人的には互いに楽しめる方が良いんだ。せっかくくじ引きで勝てたんだから全力で羽を伸ばしたい」

 

 

 

 

 

 ほかの兵士たちからの嫉妬の目に串刺しにされながらここまで来たことを思い出し、青年は苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

「うーん、ならアンタが思うようにやってくれよ、ワタシはよくわかんないからさ」

 

 

 

 

 

「了解した、任せてくれ」

 

 

 

 

 

 青年は服を脱いで全裸になると寝床の上に座って背後からシャルルを抱き寄せる。鍛えられた体は無駄のない美しさがあり、猫のようなしなやかさが想像以上に心地よい。

 

 

 

 

 

「結構鍛えてるんだね、細く引き締まってる」

 

 

 

 

 

「そりゃオレは……じゃなかった、ワタシはキャラバンの護衛役としても働いてるからさ」

 

 

 

 

 

「なるほど、確かに女戦士の肉付きだ」

 

 

 

 

 

 背後から両手を伸ばしてシャルルの体に慎重に触れていく、どこか壊れ物でも扱うかのような手つきはこれまで彼女が相手したことのない落ち着きがあった。

 

 

 

 

 

 左手は太ももを撫で、右手は下着の中へと入って形の良い胸を掌に収める。その頂を指の間で優しく挟みこみ、唇は目の前にあるうなじへと吸い寄せられていく。

 

 

 

 

 

 ついばむようなキスをされると、シャルルはたまらず身をよじる。

 

 

 

 

 

「ち、ちょっと! うひぁ! くすぐったいっての!」

 

 

 

 

 

「痛いよりはマシだろ? 大丈夫、大丈夫、これからどんどん気持ちよくさせるからさ」

 

 

 

 

 

 指先が肌を撫でる度、唇で吸い付く度、シャルルは面白いように反応を返してくれるのだ。感度は悪くなく、愛撫を繰り返す度にその体は熱を帯びていく。

 

 

 

 

 

 息は荒くなり、じんわりと汗が流れ始めるとその指先は股間へとようやく伸びた。

 

 

 

 

 

「ひゃん!? ちょ、そこは駄目だろ! な、なんかワタシの体、変になっちまってる」

 

 

 

 

 

「いやいやこれが当たり前だって、感度が良くて助かるよ。やっぱり女の子が感じてる方が楽しいね」

 

 

 

 

 

 うなじから首筋へとキスを繰り返し、右手は乳房を堪能し、左手は股間をまさぐる。一連の行為は雑なセックスしか経験したことのないシャルルにとって完全に未知の領域である。その指先が、その唇が、肌に触れる度に名状しがたい甘い痺れとなって体を走るのだ。

 

 

 

 

 

「んんッ!……ちょ、やめ、ヤダって……ん! だから、だめぇ……おかしいってこんなの、今までと違う ふあん!?」

 

 

 

 

 

 今まで上から刺激を与えていた指先がショーツの中へと侵入し、熱を持ったシャルルの中へと入れられる。

 

 

 

 

 

 彼女の膣は熱く煮えたぎり、侵入者を逃しまいときつく指先を締め付けるのだ、分泌された粘液を絡めとりながらの愛撫は甘い痺れとは違う。体中を作り替えるかのような衝撃が広がってしまう。

 

 

 

 

 

 今までの相手はなんだったのか、自分は何を経験していたのか、積み上げていた交わりは今回の行為で完全に崩壊してしまうだろう、それくらいの衝撃だった。

 

 

 

 

 

「待てって! お願いだから! ふあああぁん!! ちょ、やばいって、なんか来るからぁ、それやめろよぉ!」

 

 

 

 

 

 愛液は男の手を汚して毛布にシミを作り今も広がっていた、激しくも丁寧な愛撫を繰り返されてかき回されたそれは白濁してきている。

 

 

 

 

 

 そして息も絶え絶えな彼女に最後の止めを刺すかのように、全身へと同時に甘美な刺激が贈られた。

 

 

 

 

 

 音を立ててうなじに吸い付き、胸の頂は指で弄ばれ、膣の中では二本目の指が入れられる。

 

 

 

 

 

「来る! 来ちゃう! あ、も、だめ…んんんんんんんんん!!」

 

 

 

 

 

 襲い来る快感から逃げ出そうと体をバタつかせるが背後から抱きしめられていれば逃げ場などない。体の奥底から爆発した快楽はシャルルの頭からつま先まで駆け巡り、彼女のこれまでを完全に破壊した。

 

 

 

 

 

 何度も何度も男の腕の中で痙攣しながら、この暴力的な甘い感覚が消えるまで耐えるしかない。   

 

 

 

 

 

 やがて拘束から逃れたシャルルは熱にうなされた体を寝床へと沈みこませた。うつ伏せのまま肩を大きく震わせ、荒い呼吸を繰り返す肢体には玉の汗が広がり、もはや言葉も覚束ないらしい。

 

 

 

 

 

「はぁ、ごめんね、こっちも限界だ」

 

 

 

 

 

 そう言って、まだ甘い痺れに支配されているシャルルの腰を掴み青年は固く聳え立った男の象徴を彼女の膣に宛がう。

 

 

 

 

 

「ふえ? はぁ、はぁ……ちょ、タンマ……ワタシ、まだ……」

 

 

 

 

 

 その言葉が聞き入れられることはなく、彼女は再び甘い沼へと沈むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イク! イクから! 奥突くなぁ! ヤダヤダこんなの怖い! またクル、来ちゃう! アッアッア! 激しす、ぎ……やああああああんんんんん!」

 

 

 

 

 

 カーテンで仕切られた隣の空間から姉の声が聞こえてくると、キャロルは思わずそちらへ視線をやった。ランタンの明かりがカーテンに映し出す二人の影は激しく互いを求め合っている。姉の影は寝床の上で尻を突き出し、背後から男の影に犯されているようだ。

 

 

 

 

 

 あちらは随分と激しい交わりを続けている、対してこっちは静かなものだった。

 

 

 

 

 

「……早漏」

 

 

 

 

 

 その言葉に、自分の下で挿入と同時に果てた少年は涙目になった。

 

 

 

 

 

「す、すいません! ぼく、初めてで! こういう店に入るのも、女の人とするのも経験なくて」

 

 

 

 

 

 それは店に入ってきた時から気が付いていた。顔を赤くしてこちらを見つめてくる表情は慣れがなく、年齢的にも不思議ではない。

 

 

 

 

 

 おそらく彼は自分と同じく成人したばかりなのだろう、そう考えたキャロルの予想は間違っていない。親元を離れて兵士の任務に就き、この砦に新兵としてやって来てまだ半年もたっていないようだ。

 

 

 

 

 

 ただでさえ薄給の、それも新兵だ。どこかで発散する余裕も時間も無い。まして職場は男所帯であり、恋人と呼べるような存在もいなかった。

 

 

 

 

 

 そんな時にやってきた春風のキャラバンの団員たち、しかも見目麗しい彼女たちが娼館を開いてくれるらしい。そんな情報を聞いた彼はすぐさま少ない貯金を確認してここに来る。

 

 

 

 

 

 混乱を避ける為のくじ引きで見事に当たりを引いた時は思わず小躍りしてしまった。行きたくても行けなかった場所が、しかも自分のような小僧には本来敷居が高い店が、今回だけは入場を許されるのだ。

 

 

 

 

 

 彼は興奮した、天にも羽ばたけるくらいに。兵舎の中で興奮のあまり机に脚の小指をぶつけてもだえ苦しんだ、しかし痛みなど些細な問題だった。今から自分は大人の階段を上り、兵士の先輩や経験積みの同期が自慢げに語っていた出来事を自分も堪能できるのだから。

 

 

 

 

 

 そして緊張で体を固めながら、少ない給料から捻出した入場料を払い、案内された天幕の中にいたのは自分と同じ年くらいの艶やかな装いをした少女たちだった。

 

 

 

 

 

 平静を装いながらも股間はその段階で固くなっており、自分の相手をしてくれるという小柄な少女に手を引かれて寝床に入った時は心臓が爆発するんじゃないかと思うほどに高鳴ってしまう。

 

 

 

 

 

 焦るな、落ち着け、なめられたら終わりだ、いつかその時に備えてさんざん頭の中でシュミレートした行為を思い出しながら服を脱ぎ、同い年くらいの少女を抱き寄せたまでは良かった。

 

 

 

 

 

 そこからしばらくの間ぎこちない愛撫を繰り返し、いざ交わると少年はあっさりと果ててしまった。

 

 

 

 

 

 少女の言葉が心に深く突き刺さる、涙が自然にこぼれてしまう。

 

 

 

 

 

「……どうする? もう終わりにする?」

 

 

 

 

 

「い、いえまだできます! もう一度だけチャンスを!」 

 

 

 

 

 

 せっかく幸運にもクジで当たりを引いたのだ。混乱を避け、平等をきすために一度当たりを引いた者は次のクジから参加できない。今日この夜、この瞬間だけが彼の正念場だった。

 

 

 

 

 

「ん……固くできそう?」

 

 

 

 

 

「ちょっとだけ時間をください、必ず立ち直ります!」

 

 

 

 

 

「……これ使ってみる?」

 

 

 

 

 

 キャロルが寝床の隅に置かれたカバンに手を伸ばし、そこから取り出したのは掌サイズの小瓶だ。中には薄い赤色の水が入っており、ランタンの光に照らされて怪しい光を宿している。

 

 

 

 

 

「そ、それは?」

 

 

 

 

 

「……媚薬、すごく元気になる」

 

 

 

 

 

 そう言ってからキャロルは少年の答えを待たずに小瓶の中身を自らの口に含む。

 

 

 

 

 

「んん、ちゅ……ちゅる」

 

 

 

 

 

 そして少年の唇を奪い口移しで流し込む。そのまま舌を激しく絡めながら少年を再び押し倒して今度は自分主導で愛撫を開始した。唇を離すと二人の間には唾液の橋が架かりプツリと途絶える、艶めかしい感触にぼおっとしていた少年はキャロルのなすがままだ。

 

 

 

 

 

 毛布に沈みながら自分と大して年も変わらないだろう少女の体を見上げると、体の奥からマグマのような熱が生まれることがわかった。 ぺろりと唇の端を舐める舌が艶めかしい、こちらを見下ろす視線が艶めかし、そして肉付きの薄い小柄な体がただただいやらしかった。

 

 

 

 

 

「ふふ……すぐ大きくなる」

 

 

 

 

 

 小さな唇から伸びる舌が少年の胸を撫でると、そのまま少しづつ上昇していく。

 

 

 

 

 

 胸から鎖骨へ、鎖骨から首へ、そして再び唇が閉ざされる。

 

 

 

 

 

「ふぁん……ちゅ、ん……ちゅ……ぷはぁ……ね?」

 

 

 

 

 

 既に股間は熱くなっていた、しかし彼にできるのは熱にうなされながら見上げることだけだった。

 

 

 

 

 

 復活した一物をキャロルは自らの秘所に宛がう、彼女もこれまでのやり取りで興奮していたのだろう、そこはよく濡れている。

 

 

 

 

 

「んん! はぁ……さっきより大きい」

 

 

 

 

 

「うう、あぁ、気持ちよすぎてまた出ちゃいます!」

 

 

 

 

 

「大丈、夫……ふぁ……何度でも、ね……ハァハァ、固くなるから」

 

 

 

 

 

 互いの肉をぶつけ合う音と、ぐちゃり、ぬぷりと粘液がかき回されるいやらしい音を立てながらの交わりは一分ほどで終わりを告げる。再び熱い精液をその子宮で受け止めるが、しかしキャロルの腰は止まることなく、少年のペニスも硬さを維持したままだ。

 

 

 

 

 

「あ、ああ、また出る!」

 

 

 

 

 

「あ、くうぅん! ほら、君からも……腰振って……ほらぁ」

 

 

 

 

 

「は、はい! こうですか!?」

 

 

 

 

 

「アッ…アッ……そう…そのまま……いいよ……あは」

 

 

 

 

 

 溶け合うように交わる二人は長い夜を過ごすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天幕の中に響き渡るシャルルとキャロルの喘ぎ声を聞きながらエミリーはかつてないほどに顔を赤く染めていた。普段から親しくしている友人の快楽に溺れるような声は奇妙な興奮となって彼女の中に染み入ってくる。

 

 

 

 

 

 体の熱は抜けることなく、耳から流れ込んでくる情報は絶え間ない。

 

 

 

 

 

 こんな声を聞かされて明日からどんな風に接すれば良いのか彼女にはわからなかった、そして彼女自身も他の二人に似たような声を届けているのだ、それもまた奇妙な興奮となっていることにエミリーは気が付いていない。

 

 

 

 

 

「あ、あぁぁ……そこは駄目です! さすがに恥ずかしいんです!」

 

 

 

 

 

 寝床で仰向けになり両足を開かされた状態で、彼女はとっさに両手を伸ばして自らの秘所を隠す。

 

 

 

 

 

 経験豊富だという中年男性は確かに女の体の扱いに慣れているらしく、カチカチに凝り固まったエミリーの体をぬるま湯で溶かすかのようにほぐしてくれた。

 

 

 

 

 

 まだまだ成熟しているとは言い難い彼女を優しく導き、不安と恐怖を拭い去る為に穏やかで紳士的な愛撫を繰り返す。

 

 

 

 

 

 決して傷を付けぬよう、怖がらせぬよう、脆い壊れ物を扱うかのように指を這わせる。

 

 

 

 

 

 今まで幾人も女を抱いて来たであろう男性の振る舞いは少なくともエミリーにとって悪い印象はなく、むしろ様々な配慮をしてくれるのでありがたかった。優しい口づけも、紳士的な指先も、全ては自分を喜ばせる為にある。それが分かればエミリーの緊張も少しづつ解けていったのだ。

 

 

 

 

 

 体を適度な熱が満たす頃になると、彼女はベッドに仰向けに倒れてその時を迎え入れる覚悟ができていた。

 

 

 

 

 

 だがそこで男性はエミリーの股間に顔を近づけると、そのまま彼女の秘所を唇で愛撫しようとしたのだ。さすがに驚いた彼女は身を捩らせるが、甘い痺れがそれを邪魔してしまう。

 

 

 

 

 

 とっさに手で隠そうとするが、思っていた程の力は入らない。

 

 

 

 

 

「しかし、しっかりとほぐさなければ苦痛が大きいぞ? 私の妻の時もそうだった、とても痛がられて泣かれてな……このヘタクソと詰られてしまったんだ。今、思い出しても嫌な失敗だった……できれば同じ失敗は繰り返したくない、これは君の為なんだ」

 

 

 

 

 

「そ、それは……とてもありがたい配慮なのですが……私にはハードルが高いかと」

 

 

 

 

 

「なに、決して痛がらせはしないさ」

 

 

 

 

 

 結局、強引に押し切られてしまった。男性の舌がエミリーの入り口を軽く舐め上げると、ざらりとした感覚が熱く敏感な部分を刺激する。

 

 

 

 

 

 その瞬間、体の中を一際鋭い快楽が走り抜けた。股からへそ、そして背筋を超えて頭頂部まで駆けるとそのまま声へと変換されてしまう。

 

 

 

 

 

「んんんん!!」

 

 

 

 

 

「はは、いい反応だ、でももう少しほぐさないとな」

 

 

 

 

 

「や、やめ……これは……さすがに、おじ様、駄目……ダメええええ!」

 

 

 

 

 

 その舌遣いにただ翻弄されるばかりだった、男性の舌が彼女の秘所に触れる度に体がのたうち回る。先端にある最も敏感な豆を舐められれば体はのけ反り、熱い舌先が膣の中へと入ればゾクゾクと甘い痺れが走る。

 

 

 

 

 

「ダメ、です! もう来ちゃう! 来ちゃいますからぁ! んんんんんんんん!」

 

 

 

 

 

 最後に舌先がクリトリスを押しつぶすかのように舐め上げた瞬間、エミリーは初めての絶頂を受け入れた。

 

 

 

 

 

 今までの人生で一度も経験したことのない衝撃は、彼女の常識など簡単に塗りつぶす。

 

 

 

 

 

 昨日までの自分がどこか遠くへ行ってしまったかのようだ、チカチカと明転する視界は世界が塗り替わった合図なのかもしれない。

 

 

 

 

 

「ふう、これだけ濡れていれば苦痛もすくないだろう」

 

 

 

 

 

 まだ気怠さが残るエミリーの体を男性が引き寄せる。よく鍛えられた太くたくましい腕が彼女のふとももを掴み、そして同じようにたくましい男の象徴がエミリーの膣に触れた。

 

 

 

 

 

 そして一呼吸置いて体重を傾ける。

 

 

 

 

 

「アァ!? おじ様! ゆっくり、ゆっくりお願いします!」

 

 

 

 

 

「わかっとるよ、言ったはずだ、同じ過ちは繰り返さん」

 

 

 

 

 

 太く固いそれはエミリーの入り口をゆっくりこじ開けていく。前座の時と同じように、いや、それ以上に穏やかな動きだった。

 

 

 

 

 

「うっ、くうう……はぁ、ああぁ……あう……こ、これで全部ですか?」

 

 

 

 

 

「まだ半分ほどだ」

 

 

 

 

 

「ええぇ!? そんな、嘘でしょ……」

 

 

 

 

 

「ほれここからだ本番だ!」

 

 

 

 

 

 ゆっくり、ゆっくり、体の中へ入ってくるペニスは圧迫感がすさまじい。自分の中が侵略されるかのような感覚なのだが、思っていたよりも苦痛が少ないことに彼女は気が付く。

 

 

 

 

 

「どうだ、痛みはあるか?」

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……少しだけ、でも……想像してたより軽いかと」

 

 

 

 

 

「良いことだ、しっかりほぐしたかいがある。ここまで来れば大丈夫だろう、後は一気に行くぞ」   

 

 

 

 

 

 ズンッと体重をかけられて全てが彼女の中に包まれる。腹部に広がる大きな異物感に困惑するが、それ以上に熱が広がっていき、それは苦痛を感じる以上に大きいようだ。

 

 

 

 

 

「ああぁ……こんな、私、初めてなのに……こんなに乱れて、あぁ神よ」

 

 

 

 

 

「わはは! 性愛と娼婦の神もわしらを見守ってくれとるよ!」

 

 

 

 

 

 そしてお互いの性器が穏やかに触れ合う、最後の最後までその動きは優しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イクイクイク! またいっひゃう! もうだ、め、許して、んくぅんんんんんんんん!!」  

 

 

 

 

 

「あはぁ……ふうう……ほら……ね、もっと……私も、もう……ふああああぁ」

 

 

 

 

 

「ああ、神、よ……アッ、アッ、アッ、もうダメええええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 天幕の中では絶え間なく少女たちの声が響く、肉と肉がぶつかり合い、粘液が混ぜ合わされる音もまた幾度も木霊する。いつの間にか互いを仕切るカーテンは取り除かれ一つの空間となったその場所は熱と欲望が渦巻き冷めることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 互いが互いを犯しあい、終わることのない情欲が理性を溶かし、そして混ざり会う。

 

 

 

 

 

 ただ抱き合うだけではない、口や手での奉仕も行い、普段からは想像も出来ないような淫らな言葉や振る舞いも繰り返す。

 

 

 

 

 

 もう体力の限界だと思っても、相手を入れ替えれば再び情欲は燃え盛った。

 

 

 

 

 

 少女たちの艶やかな喘ぎ声は夜深くまで続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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