商人と冒険者と娼婦 作:にやまな
「……ッ」
微睡みの中からエミリーは目覚める、一瞬、いつものように目覚めが来たのかと考えたのだが、自分は細い腕に拘束されて無限城の中に引きずり込まれたことを思い出して大きく狼狽してしまう
意識の覚醒に大きな障害は無かった、意識を失っていたので心配だったのだが、薬を盛られたわけでもなく痛みもないので怪我もしていないらしい。
それを確認したエミリーは恐る恐るとだが瞼を開き、体を起こすことなく瞳だけで周囲を調べていく。
狸寝入りを決め込んだのはもし自分を拉致した相手が近くにいるのなら覚醒を悟らせない為であり、少しでも現状把握をしたかった為である。
相手が誰なのか、戦力はどれほどなのか、どのような意図で拉致したのか、戦うにせよ逃げるにせよまずは情報が必要であった。
「あぁ、目覚めましたか」
しかしそんな演技は簡単に見破られてしまう、不思議と耳に残る声色でエミリーに語り掛けたのは虹色の瞳を持つ魔女である。
狸寝入りを看破されて逃げ場はないと判断したのか、エミリーは体を起こして立ち上がった、すると彼女の視界に広がったのは結晶で満たされた空間であった。
天井も床も壁も半透明の結晶で構築された美しい空間である、自然に存在する結晶を無秩序に並べたような場所ではなく、一つ一つが高度な意匠を施されており無駄の一つも存在しない。
例えば、見上げる程に巨大な結晶の山を持ってきて、それを削岩加工して一つの部屋を作ったかのような趣であった、一つの汚れもなく徹底的に美しさを強調しているかのようだ。
そんな大部屋を見てエミリーは咄嗟に両手で顔を覆いつくす、これは魔術師としての判断だろう。
この部屋は美しい、美しすぎる、無限城の外観もそうであったが美しさも突き詰めれば立派な魔術となるのだ、触れ難く壊し難いと認識してしまえば最後、もうここでは戦えなくなってしまう。
それはつまり、この地の主である魔女に何もできなくなると同義である、だからこそエミリーは視界を両手で隠したのだ。
「ふむ……よい観察力です、ここがどういう場所なのか理解している様子」
だが閉ざされた視界ではそもそも戦えない、それでも両手を隠したのは美しさに洗脳されるよりはマシだという判断だろう。
「……ここから観察していましたが無限城に起こった変化も正確に観測できていた、宜しい」
「……」
「警戒心も強いようですね、魔術師の放つ言葉の呪いや契約も理解できていると……大変宜しい」
「……」
「ですがそう警戒せずとも大丈夫かと……別に取って食おうという訳ではありませんから」
「……」
「うん、まぁ良いでしょう……」
エミリーは答えない、下手に言質を取られてそこから呪いや魔術を差し込まれることを警戒しているからだ。
巨大な魔術をぶつけ合うだけが魔術師の戦いではない、それで解決できるのなら問題は無いのだが、エミリーが両手で視界を覆う寸前に相手の魔女を認識してしまったことで、こうせざるをえない。
視界に入ったのは一瞬、ただそれだけでエミリーはこう思った。
アレは怪物だ。
自分と大差のない華奢な体に内包された魔力は言葉では言い表せれないほどに巨大で濃密であり、本来ならば人の身に余るそのエネルギーを顔色一つ変えずに従えていることに恐れしか感じない。
自壊して当然でありそれが自然である、コップに湖単位の水量を入れることなど出来るはずがないのに、それを為しているという矛盾……奇跡と塊とさえ表現できる相手なのだ。
戦わずともわかってしまう、魔術師として格が違うと。
ならば彼女に出来るのは亀のように甲羅に閉じこもって猛威に耐えるほかない、それですら時間稼ぎにしかならないほどに、両者の力の差には圧倒的な開きがある。
「魔術は継承されるごとに洗練されて発展していく、多少の差はあれど弟子は師匠を超えるもの……私の時代からどれだけの魔術師が生まれて死んでいったのかわかりませんが、この時代に生きているのならば貴女が最先端の世代なのでしょう」
「……」
「かつて私が撒いた種が成長して継承されていき、その果てが貴女だということです」
エミリーが完全に精神防護に徹していても構わないとばかりに魔女は話す、いつの間にか彼女の近くまで接近しており虹色の瞳で見つめていた。
手が伸ばされる、ローブから露出した指先がエミリーの頭頂部に触れると、そこから魔術的な道が形成されていく。
エミリーがどれだけ決意を固めて精神への侵入を守っても、そんなものは存在しないとばかりに魔女の力は貫通してしまうのだ。
房中術による魂への干渉、エミリーも完全完璧とは口が裂けても言えないが、房中術はそれなりに自信のある魔術であった……しかしそんな考えは意味をなさなかった。
頭頂部から何かが侵入して脳を掴まれるかのような感触があり、繋がり合った道を経由して両者は同調していく。
百の言葉よりも雄弁に互いの意思や魂が繋がり合って落ち着いていく、それは洗脳にも等しい行為なのだが、お互いの考えや思考を伝えるうえでは有用な手段でもあった。
エミリーがこれまで歩んできた旅路、積み重ねて来た知識と修練、彼女を構築する全てが魔術的な道を伝って流れていく、代わりとばかりに相手の記憶や知識が流れ込んでくる。
その情報の奔流に頭痛を感じながらも、エミリーは目の前の魔女が何をしたいのか理解するのだった。
「ふむ、なるほど、灯の魔術は火の魔術になり、そして炎になりましたか……少々、戦争運用に特化した成長をしているようですね」
「……わ、私は……いえ、我々は」
そこでエミリーは初めて言葉を発した、お互いの意思や記憶の循環が行われたので差し迫った危険がないと判断したのだが、絞り出した声はどこか言い訳をするかのような焦りがるある。
「あぁ、構いませんよ……争いは人の本質であり、そこに熱が運用されることなど当たり前のこと。炎がどれほどの敵を焼き払おうとも、それが発展に必要であるのならば大変に宜しい……おおいに焼けばいい」
炎の魔術は、そして炎の派閥は、歴史を紐解けば争いと殲滅の繰り返しであった、殺し合いの中で発展して成長してきた魔術であると断言できてしまう。
最初は、それこそ灯ほどの熱を操って人々の生活を支える程度の物でしかなく、それ以下でも以上でもなかった。
いつからか灯は火に代わり、そして炎となってより効率よく敵を殲滅する魔術となってしまったのだが、それを良しと魔女は言うのだった。
「その魔力、その研鑽、私の時代の平均的な魔術師と比べれば素晴らしいと評価できましょう……しっかりと体系化できており、撒いた種が花開いたようでなによりです」
「こ、光栄です……し、始祖様」
「ふむ、この時代の魔術師は戦力的にはアテにできそうですね」
虹色の瞳が虚空を眺める、エミリーは意識することなく彼女の前に跪いており、肩を震わせることしかできなかった。
道を通じて流れて来た相手の記憶から、エミリーは目の前の相手が始まりの魔女であると理解しており、ならば跪くことになんの躊躇も無い。
彼女にとって、そして魔術師にとって超えることのできない壁であり完全なら上位者なのだから、これは神への拝謁にも近いのだろう。
「あ、あの……」
「なんでしょうか?」
「その、何故私をここに招いたのでしょうか?」
「魔術路を通じて貴女に意思を伝えた筈ですが……」
「は、はい……この時代の調査と知識の収集を行う為ですよね? ですが、その、私よりも知識や経験を積んだ方は下の街に沢山いらっしゃるかと」
「それは貴女が若い……最新の魔術師だから、この時代において最も成長する素質があるからですね、知識と経験の頂にいる世代だからかと」
これまで幾万もの魔術師たちが積み上げて来た歴史の先端にいるのがエミリーたち世代の魔術師である、多少の個人差はあれど一つ前の世代よりも強い力を手に入れられるということだ。
「貴女の実力は、すなわちこの時代の魔術師の平均であると言えるでしょう……そこから組み立てる運用も考えなければなりません」
虹色の瞳が虚空からエミリーに向けられる、その視線に見下ろされると魂を握られたかのような恐怖を感じてしまうのだが、始まりの魔女は自分が恐れられているとは気が付いていないらしい。
「エミリー……こうして貴女が無限城にあり、私の目に留まったのも偶然ではないでしょう。この世に無意味なことはなく、必然で溢れている……運命神の差配かそれとも貴女が信奉する至高神の意思なのか……どちらにせよ他の誰でもなく貴女がここにいる」
「はい」
「そう遠くない未来、大乱の時代となるでしょう……ならば私が目覚めたことも、貴女がここにいることも、勇者が生まれたことも、全ては大いなる流れの一つであり、最初から決まっていたはずです」
「……ゆ、勇者様が、再び降臨なされるのですか!?」
あぁ、気が付いていないのか……と始まりの魔女は思う、教えるべきかと悩むが神の意思に反することになるかもしれないので野暮かとも考える。
熟考した後に、全ては神の意思と投げやりな判断をするのだった。
「全ては大いなる流れということです……まあ、今はどうでもいいでしょう、それよりも貴女に手伝ってもらいたいことがあります、付いてきなさい」
「は、はい!」
「よい返事です、大変宜しい」
始まりの魔女はどこか教師的な反応を見せることが多いんだとエミリーは認識した、かつて多くの魔術師を育てた歴史があるので癖になっているのかもしれない、その教えの最も洗練された位置にいるのがエミリーなので、強引な言い方をすれば彼女もまた弟子の一人なのかもしれない。
孫の孫のそのまた孫の更に孫、数えきれないほどの世代を超えた位置にいる孫弟子がエミリーである。
二人は並んで……いや、エミリーが一歩引いた位置で従者のように付き添いながら結晶の大部屋を進んで行く、調度品のような小物は見当たらないがこの空間を満たす結晶には細やかな意匠が凝らされており、よく観察すれば幾何学模様となっていた。
思い起こすのは聖都で見ることができた最奥の間の光景である、天剣が封印されていたあの空間も幾何学模様で満ちていた、そう考えるとこの結晶の部屋は神殿のような雰囲気も感じられるのだった。
「ここに座りなさい」
始まりの魔女に誘導されてエミリーは結晶の椅子に座った、目の前には同じく結晶の丸机が置かれておりその上には奇妙な幻影のようなものが浮かんでいる。
対面に始まりの魔女が座ると机の上で揺らめいていた幻影はハッキリと形を整えていき、そこに映し出されたのは無限城の模型であった。
「始祖様……これは、なんでしょうか?」
「無限城の設計図です……見ていなさい」
始まりの魔女が机の上の幻影へと手を伸ばす、すると掌サイズだった幻影が引き延ばされて見上げる程に大きくなっていく。
十メートルほどの大きさにさった幻影は正しく無限城の姿をしており、更に始まりの魔女が両手を動かすと今度はバラバラに分かれて、それぞれの空間をわかりやすく映し出す。
数えきれないほどの空間……無限城を構築する部屋に分かれると内部を細やかに観察することができるようになった、エミリーが知る湖区画や図書室などもその一部であるようだ。
それぞれの部屋に分離した無限城をエミリーは観察していく、こうして見下ろす分にはミニチュア感覚なのだが実際にこの部屋に踏み入ると途方もなく広く感じてしまうのだろう。
まるで天上から地上を見下ろす神々の視点だ、エミリーはそんなことを思った。
「今現在、この無限城の環境は大きく乱れています。探索者という外部要因が主な原因なのですが……」
「わ、悪気はないかと……その、えっと、日々の糧や研究の為に」
「責めている訳ではありません、探索者の行動によって好転した空間もありますので……」
「好転、ですか?」
「ドラゴンを処分したのでしょう? おかげで無限城の容量に空きが生まれました……私の計算ではアレが完全に死ぬまでもう百年は必要だったのですが、それが前倒しになったのです、大変に宜しい」
「確かに腐竜を撃破しましたが……あの腐竜は無限城の環境とは別枠なのでしょうか?」
「えぇ、何百年か前に生命神に依頼をされて私が捕獲してこの無限城に隔離しました……アレは神獣となっていたのですが、そのせいか傲慢になってしまったとかで……暴れまわっていたそうです」
「な、なるほど、それで始祖様に啓示が下ったのですね」
「そうなりますね、思考の海で眠っていたというのに叩き起こされました……しかも相手は竜な上に神獣、えぇ、苦労しましたとも」
神獣となったドラゴンを相手にして「苦労」という言葉で片づけられるのは流石と言うしかない、エミリーたちが腐ったドラゴン相手に大勢の犠牲を出しながらなんとか勝利できたのに対して、始まりの魔女はおそらく単独で挑んだのだろう、全盛期のドラゴンを相手にだ。
「生命神に認められて神格を得た竜はある種の不死性を持っていました、どれだけ負傷しようとも復活を繰り返すおかげで……はぁ、最後には拘束して封印するしかなかったんですよね」
「……あの竜はアンデットと化していましたが?」
「そうするように呪いを打ち込みましたので……少しづつ呪いで浸食していくことで、相手の神格をすり減らしたのです。長い時間をかけて腐らせるしかなかったのでしょう……昔の話なのでハッキリと記憶していませんね……いや、不要と判断したのか……うむ」
エミリーは途方もない話に驚いた、あのドラゴンを殺しきる為に数百年単位の計画を立てたのだから驚愕するしかないだろう。
「あぁ、思い出してきました……ドラゴンに呪いを打ち込んで、閉じ込める為の空間を作り、腐食を素早く進行させる為に菌を培養させて……うん、苦労した記憶が残っていたようだ。専用の空間まで作ったので無限城の容量を減らすことになり……はぁ、神はいつも無茶を押し付ける」
虹色の瞳がまた虚空を彷徨った、どこか疲れたかのような色合いが見て取れる。
「まぁ神の思惑など今は横においておきましょう。貴女に頼みたいのは無限城の組み換えです、竜を拘束していたあの空間分の空きができましたので、他に容量を回したい」
「私が手伝っても構わないのでしょうか?」
「問題はありません、そもそも一人では長い時間がかかってしまう……この後に色々とやらねばならないこともある……それに孤独も良いが他者との語らいも悪くはない」
感情の読みにくい虹色の瞳が虚空から分解された無限城の幻影へと移動する、その状態になってようやくエミリーは相手の姿をハッキリと認識できるようになったようだ。
これまでは遠慮と畏怖で視線を伏してばかりだったが、改めて観察した始まりの魔女は自分とそう変わらない年齢をしていることがわかり、エミリーは少しだけ緊張を解く。
熟達の……そんな言葉すら侮辱にあたる程に高みにいる魔術師なので見た目などあまり関係がないのだが、それでも視覚から入って来る彼女の姿は少女らしいので安心できてしまう。
少女のようだから危険はない、そう思ってしまう時点で相手の術中なのだが、そんな小細工を弄するような実力差でもないので気にしないことにしたらしい。
相手の意思や思惑は魂の接続によって流れてきている、漠然としたものだが始まりの魔女が一秒でも多くの時間を欲していることはわかっているので、畏怖も手伝ってかエミリーは無限城の再構築を手伝うことにしたらしい。
二人は幻影の設計図に手を伸ばしながら空間への干渉を開始した、エミリーに任されたのは主に部屋の拡張であり細かな設定に関しては触ることなく始まりの魔女が行っていく。
最初は魔術遺産に触れることにおっかなびっくりだったが、始まりの魔女に教えられながらなんとか空間へと触れるのだった
空中に浮かんだ無限城の部屋の一つを手元に手繰り寄せ端を掴むと引き延ばす、エミリーの感覚では粘土細工でもこねているようなものなのだが、実際に行われているのは空間の拡張である。
空間を伸ばし、始まりの魔女にそれを見せて確認を取ると、次の空間に手を伸ばして広げていく。
そしてエミリーが拡張した空間に始まりの魔女が細やかな設定や情報を打ち込んでいくのだった、広くなった分の自然環境が崩れて崩壊しないようにしっかりと計算されているらしい。
生態系のバランスを合わせ、ピラミッドを作り、自浄作用も忘れない、場所によっては河を作り魚を放流したり、またある場所では全体の温度を低く設定したりと、なかなかに忙しいようだ。
かつて地上を創造した神々は同じことをしたのだろうか? そんなことを考えながら空間をこねくり回すエミリーは、意外にもこういった作業を楽しんでいるのか笑顔を浮かべる余裕すら生まれたらしい。
「食物連鎖のバランスが……うん、広くなったぶん……いえ、こちらの上位生物を引っ張ってきて……いや、それだと別の空間のバランスが……うぅん……おや、こちらは一部の昆虫が随分と増えている……いくらか処理して、別の生物をーー」
対面にいる始まりの魔女は様々なことを深く考え込んでいる、虹色の瞳がエミリーから回されてくる設計図を忙しそうに観察しており、端を引っ張るだけでなく指先で中身の環境を整えているようだ。
「あの……始祖様」
「こちらの環境も湿度の調整が……ん? はい、何ですか?」
「あッ、すいません、作業の中断をさせてしまって」
「問題はありません、疑問を感じたのならば尋ねることは当然のこと……それで?」
「その、この無限城は様々な環境と生命を守っているのでしょうか……終末を乗り越える箱舟のおとぎ話のように」
「あぁ、それは……確かにここは箱舟と称すべき場所でしょう。数多の生物と環境を継続させるという意味では……なるほど、箱舟ですか……ふむ、詩的な表現で大変宜しい」
始まりの魔女は設計図をいじりながら感心したようにそんなことを言った、彼女の視線の先にある幻影の設計図には無数の生物が映し出されている。
この生物たちにとってこの無限城こそが世界であり、例え外の世界が滅んでいたとしても気が付くことはなく、きっと無意味なものなのだろう。
「箱舟、うむ、この表現の方が私としても好みです……作られた意味もそう遠くない、悪魔との戦いで地上が混沌と化した時に、神々から依頼された結果ここが作られたのですから」
「か、神々からの依頼ですか!?」
「えぇ、勇者が奮闘していましたが悪魔たちの勢力は進行激しく……あの奇跡の塊をもってしても未来が読み切れない程に不安定な時代でしたからね……せっかく生み出した世界や生命が神々も心配だったのでしょう……だからといって私に押し付けるのはやめてもらいたいのですが」
「そんな、とても名誉なことではありませんか……」
「では貴女が作れと言われれば……はい喜んでと笑顔で受け入れますか?」
「……む、無理です、すいません」
「そうでしょうとも……私も当初は頭を悩ましたものです……ですがまぁ、神命ですからね、色々と試していると……」
始まりの魔女はその当時の苦労を思い出したのか、小さな溜息を吐きながら、しかしどこか自慢するかのようにこんなことを言ってのける。
「気が付いたら出来上がっていました」
勇者を始めとした仲間からもよく作れたねと呆れられた視線を向けられたものです、そう言って彼女は昔を懐かしむ。
エミリーからも似たような視線を向けられていることには、どうやら気が付いていないようだ。