商人と冒険者と娼婦 作:にやまな
娼婦神が司る力は大神である為に大小様々だが、性愛と愛情、そして生命の始まりを司る点だろう。
年老いて元気が無くなった男性が神に祈れば一夜の熱を思い出すことが出来る、女性もまた同様であり美容や若返りなどの効果も期待できるのだ。
そして代表的なのは避妊だろうか、娼婦と言う職業であれば切っても切れないものであり、神に祈ることによってその可能性をとても低くできる……決して完璧とは断言できないのだが、まず妊娠はありえなくなるだろう。
逆に妊娠させてほしいと真摯に祈れば新しい命を授かる可能性が高まる、これを人々は娼婦神が生命神に頼んでくれるという表現をすることがある、この二柱の神が双子であるという伝承からそんな話が広まったのだろう。
命と愛情と性愛と慈しみを尊ぶ娼婦神は多くの人々から崇拝されており、病を遠ざける在り方はまさに大神と呼べる存在であった。
下界の子らが大差なく愛し合い、互いを深く理解することを神は願っておられる、娼婦神の神殿の神官たちはそんなことを教えられるらしい、だからなのかその愛の形に……すなわち理解の在り方に差別はないのだろう。
歳の差や、身分の違い、人種や種族が違ったとしても、まずは相互理解を良しとするのだ、当然ながら同性間の交わりや愛情であっても尊ぶものである、それが娼婦神を崇拝する信者や神官たちなのだから。
故に神殿娼婦と呼ばれる者たちはどんな客であっても真摯に接するのだ、容姿の良し悪しや怨恨などは関係ない、セックスという儀式を決して軽く扱うことなく遂行するのである。
同性の客であってもそれは変わらない、愛の形に差をつけるなど娼婦神への背信であり、絶対にやってはならないことだろう。
だから、ルールーからそれなりのチップを貰ったシャルルは、彼女と愛し合う義務があった。
「ほうほう、ここがこの国にある娼婦神の神殿か……帝国にあるモノと大差はないようだな」
「そうなのか? ワタシは他所との違いがよくわかんないんだけど」
「古い新しいの違いはあるだろうがな、まぁ神の膝元である聖都の大神殿以外は大差がなかろうよ、ここの神官は平等の愛を良しとするのだからな」
二人は王宮を離れて神殿にやって来ていた、ここにあるシャルルの私室を目指している。
「男同士も女同士も、異端と指差されようがここならば堂々としておられる訳だからな、剛毅なことよ」
「……そう言えば偶に女の客も来るな、男娼目当ての男も来るらしいし」
「ほほう、相手をしたことがあるのか?」
「いや、指名されたことはないけど」
だが同性同士の交じり合いそのものはシャルルにも経験がある、頭の隅でエミリーの顔がチラついていた。
「……いや、でもエミリーは生やせるからな、アレは純粋な女で良いのか?」
微妙な所かもしれない、男でないことは間違いないが男性器を生やせる時点で判断に迷うことだろう。
「何をボソボソ呟いておるのだ? ここに其方の閨もあるのであろう、さっさと手前を案内せんか」
「あッ、ちょっと待ってくれ、部屋に行くんなら受付でサインを頼む」
神殿の入口にある受付で帳簿に名前を記し、入場料を払うことで契約が結ばれることになる、客と娼婦という立場が完成するのだ。
シャルルとしてもエミリーで慣らされた結果、同性の客であったとしてもそこまで違和感がないらしい、相場よりも多めのチップを貰えたので不満もないようだ。
彼女は娼婦神を信奉する神官という訳ではないが、世話になっていることは間違いないので、神殿娼婦として恥じない生き方を無意識ではあるが心掛けているのだろう、相手が同性であることなど些細な問題である。
「ほれ、これで良いのか?」
「おう、後は入場料だな」
帳簿にサインして指名は当然ながらシャルルである、一般的な兵士にはそれなりに高い入場料を簡単に支払った段階で、両者の間に娼婦神の名のもとに契約関係が成立することになった。
「ほれほれ金の話はもうよかろう、手前も帝国からここまでそれなりに長い旅路であったのでな、滾る性欲を持て余しておったのだ」
「それを娼婦で発散するのはわかるけどさ、男娼じゃダメなのかよ?」
うん? とシャルルの言葉にルールーは首を傾けて考え込んだ。
「男との交わりも嫌いではないのじゃがな、手前どもの部族は力あることを良しとする、だから強い男でなければ気分も盛り上がらんくてのう……そんな相手は滅多におらんもんで群れにいた頃はそりゃ退屈じゃった、男を攫って子孫繁栄の種馬にするのだが、そもそも簡単に捕まえられるような相手は酷く脆い」
「男を攫うって、問題になるだろそれは……」
「おうとも、兵に追い掛け回されることも珍しくはなかった、手前どもを追える程の男ならば食いごたえのある奴らも多いのでな、寧ろ積極的に賞金首になったものよ」
「獣人はそういう連中が多いとは聞くけど……本当だったのか」
「まぁ手前どもの種族は別に相手が男でなくとも問題はないのだがな、その辺は好みの問題よ……男を犯すのが好ましい者もおれば愛い女を犯すことを好む者もおる、なにせ手前どもは雌雄同体であるからな、孕むも孕ませるも自由であるのだ」
「えッ? アンタも房中術で生やせるのか?」
「それは魔術師どもの手段であろうが、手前どもはそういう種族であるのだよ、生まれた時から男と女が混じった状態だ」
「へぇ~、獣人にはそんな種族がいるのか」
「手前どもは姿形が様々であるのでな」
その言葉の通りルールーの耳は獣に近い、尻尾など明らかな差異だろう、虎のような模様のそれは獣人特有のものなのだが、全ての者が同じ形はしていない。
ルールーは部族という表現をしていたが、獣人の間であっても細かく分けられているのだろう、兎のような耳をした者や角を生やした種族もいるらしい、それらを一纏めにして獣人と称されているのだ。
彼ら彼女らの認識では異なる部族であれば完全に別種族の認識を持っていても不思議ではない、実際に雌雄同体という特徴を持つルールーは自分と同じ部族以外に同族意識は持っていないらしい。
そもそも獣人という大きな括り自体が、人間側の視点でしかないのだろう。
「ほれほれ、手前の物はなかなかに立派であるからな、こいつでヒイヒイ言わせてやる!! やはり交わりは愛い女子に限るでな、楽しみじゃい!!」
笑顔でそう言って馴れ馴れしくシャルルの肩に手を回し、頬にキスしてくるルールーにシャルルは押され気味になりながらも、大人しく部屋へと案内していく。
神殿から仕事場兼私室として宛がわれた部屋に入ると、ルールーは前置きなく自らの衣服を脱ぎ捨てていく、恥じらいもなく全裸になって鍛え抜かれた肉体を見せつけるのだ。
まず無駄と言うものがどこにも存在しない鍛え抜かれた戦士の肉体だとシャルルは思った、女性にしては筋肉質な体は獣人特有の高い身体能力に加えて、訓練と実戦で磨かれたものだろう。
腹部は腹筋が僅かに割れて凹凸があり、腕や足もよく鍛えられている、それに反して固さを感じない肢体は女らしさも揃えている。
研ぎ澄まされた筋肉ばかりではなく、女性特有の柔らかさが混在した肉体は、まさに雌雄同体であった。
「おお、ここにも風呂があるではないか、これがあるから娼婦神の神殿は好ましいな。他の娼館だと水桶を渡されるだけであるし、公衆浴場で身を清めねばならんのでの」
全裸のルールーは瞳を輝かせながら浴槽へと向かった、しかし風呂に湯が満たされていなかったので意気消沈して帰って来る。
「……湯が無いぞ」
「そりゃ営業は夜が基本だからな、今は昼間だから沸かしてないっての……水なら溜めてあるからそっちを使おう」
「まぁちと寒いがいきなり来たからの、文句はあるまいて」
中庭にある井戸から組み上げられた水は神殿の各部屋に貯水されている、当然ながらシャルルの部屋にある浴槽にもその水は流れていた。
その水を沸かさずに湯船に流して水風呂にすると香草や果物を投入して香り付けするのだ、泡立つ香油などを垂らせば完成である。
「ほれほれそっちも脱がんか、つまらぬ布切れなどこの場では無粋でしかなかろう」
「わかってるってば、急かさなくてもちゃんと相手するから」
急かされたことでシャルルも衣服を脱いでいく、そんな姿を嬉しそうに眺めるのがルールーであった。
男であり、女でもあるルールーは、娼婦神の半神であったミカエラと性質が似ているのかもしれない、いつかの夜にミカエラが男性器を生やしていたことがあるが、その時の雰囲気とルールーはよく似ているようにも思える。
容姿と言う意味ではない、存在の在り方や性質がだ。
もしかしたらルールーの種族は、男神であり女神でもある娼婦神に特別愛されているのかもしれない、そんなことをシャルルは思った。
「おおッ!! やはり其方は美しいな、引き締まっていなが柔らかそうな体をしておる」
期待に瞳を輝かせるルールーは、そのまま観察することに留めず手を伸ばして彼女の体を湯船に引きずり込んでいく。
感じ取れるのは井戸水の冷たさと、触れ合う互いの熱である、湯船の中で鍛え抜かれた両腕に背後から抱き抱えられたシャルルは、さっそくとばかりに伸ばされた指先に素直な反応を返す。
水風呂の冷たさに反する熱い指先が、股間の割れ目と乳房の先端へと届く。
「んんッ……んぁ、あッ」
「喘ぐ声も愛いではないか、顔も声も体も美しくてそそられるな」
割れ目に押し入った指先が二本に増える、そして奥へ奥へと進入すると、激しく揺さぶられていった。
「カカッ! 良いぞ、其方の中はきつくて温いな」
「うッ、くッ……いきなり、ううッ……激しすぎだっての」
「そうは言うがしっかりと熱を持っておるぞ、嫌ではあるまい?」
背後からシャルルを抱きしめて弄んでいたルールーの舌が伸びる、チロチロと目の前にあった耳たぶを愛撫していく。
艶めかしい音と熱を感じ取ったのかゾクゾクと体を震わせる反応を受けて、満足したかのように彼女は微笑んだ。
「本当に愛い奴じゃな、昂るではないか」
下での愛撫から唇での甘噛みへ変化するとシャルルはまた体を震わせた、その状態で右手は胸の先端を、左手は股間の割れ目を激しく弄ぶのだ、乱暴な手つきではあるが逆にそれが心地いい。
水風呂は二人の興奮が伝わったかのように体温によって温くなっているようだ、風呂という狭い空間で肌を重ね合っているので熱気も伝わりやすい。
「あッ……んッ……ふッ……んぁああ」
「其方はどんな交わりを好むのだ? 手前に聞かせてくれんか?」
「うぁんッ!?」
右手の指先がシャルルの胸の先端を強く摘まむ、痛みを感じるような愛撫であった。
「激しくいたぶられるようなものか? それとも……」
「ふぁ……んぁぁ」
左手の指先が優しく割れ目を撫でる。
「優しく慈しまれるようにかの?」
女の体を愛撫する行為に慣れているのかルールーの指使いは巧みであった、娼婦をしていると相手の技術や慣れというものを直接感じ取れるので、その感覚からすれば彼女の愛撫は間違いなく熟練のそれである。
娼館通いに、そして娼婦を愛でる経験が豊富なのだろう、女を愛することの方が男に抱かれるよりも好みらしいので不思議なことではない。
「い、い……んッ!」
「んん~? ほれほれ素直にならんか」
「い、痛いくらいの方が……うッ、くッ……好き、だからぁーーーーッッんんん!?」
言い終える前にルールの指先や舌は激しく蠢いた、要求通り痛みを感じるような激しい動きに変わったのだ。
膣口に差し込まれた二本の指は勿論のこと、胸を揉み上げる手も激しい、特にゴムまりのような柔らかさと弾力がある乳房の感覚を好ましいと思ったのか、掌全体で味わっているようだ。
そしてシャルルの耳たぶを弄んでいた唇はそっと離れて、獣人特有の長い犬歯をむき出しにすると、鋭いそれでうなじを引っ掻いた。
血が出るような勢いでは無かったが、爪で引っ掻かれるよりは痛みが大きい、だが肌を撫でる犬歯の感覚が堪らなく心地よくあるのだろう、軽い絶頂を味わっているらしい。
「んんんんッ!? いッ、いたッ……んッ、くあぁぁんッ!!」
犬歯が肌から離れるとそこには蚯蚓腫れのような跡が残る、キスマークを付けたかのような征服感が満たされたからなのかルールーはご満悦な様子だ。
「はぁぁ……美しい肌を汚すのは何度やっても昂るな」
「うぁ……あぁ……はぁ、はぁ」
激しい愛撫に絶頂を迎えたのかシャルルの体が脱力してルールー側に倒れ込む、体格は相手の方が大きいので背もたれにするかのような形だった。
身体がぴったりと引っ付くと、臀部に巨大な熱を感じ取る。
「其方は房中術の心得もあるようだな。こりゃ良い、堪らんわ」
ザバッと、音を立てて水風呂から立ち上がったルールーは、興奮によって固くそそり立った肉棒を露わにした。
巨大である、異様に反り上がっておりへそにまで届きそうな程に長い、種族特有の物なのか彼女特有の物なのか判断できないが、とにかく大きい。
組み伏せられて、これで犯される、熟練の娼婦でも躊躇するような肉棒にシャルルはゴクリと喉を鳴らした。
「期待しよって、カカカッ!! なぁに、すぐにこいつで鳴かせてやるとも、何度も何度もな……手前も溜まっておるでの、空になるまで吐き出させてもらおう……もしかしたら孕んでしまうやもしれぬな」
「い、いや、娼婦神の加護があるから、無理だろ」
「確かにな、だが神の加護も完璧ではあるまい、その腹を手前の精液で満たせば多少は可能性があろうよ……或いはこいつで其方を屈服させて自ら願わせれば簡単に孕もう、まぁなんであれ楽しもうではないか」
長い交わりになる、その確信にシャルルは恐れとも歓喜とも判断できぬ思いを感じるのだった。
そこから先は完全に獣の交わりでしかなく、配慮も無ければ躊躇もないただ体力任せに腰を振るだけの理性の無いセックスが続くことになる。
甘く囁いて愛撫するような交わり等はどこにも存在しない、力と力をぶつけ合うような交わりであり、互いに体液に塗れながら数えきれないほどの絶頂を繰り返す。
一度や二度では当然ながら終わらない、十や二十でも足りないだろう、それを証明するかのようにシャルルの腹部は吐き出された精液によってポッコリと膨らんであり、常にルールーの巨大な男根を突き込まれているのでどこにも逃げ場がない。
本当に孕んでしまったかのようだ、これだけ射精してもまだ衰えないのかルールーは激しく腰を振っている。
シャルルをベッドの上に組み伏せると、臀部を向けさせた状態で彼女の両手をひっぱり交わって少なくない時間が過ぎているようだ。
「あッ! あッ! イク、イクイク、またイクからぁぁあんんん!!?」
「良いぞ、イケイケ、手前もまた出すからなぁ……あぁッ、おッ、おッ、おおおおおッ!!」
数えきれないほど射精したがまだ吐き出せるようだ、腹部の重みがまた少しだけ大きくなっていく。
「あぁ~~~……あぁ~~~~……うッ、あぁあ……ふぅッ!!」
「おッ……ほッ……んおお……最高の具合じゃな、何度出しても萎えぬぞ」
確かに膣内で感じる剛直の感触は少しも衰えていない、数えきれないほどに射精したにも関わらずだ。
男と女の体を持つルールーの種族の特徴なのか、娼婦神に愛されているという推測が正しいのか、もしくはその両方か、なんであれ性欲が極めて強いのだろう。
マグマのように煮えたぎる生命力を何度も注入されたからなのか、シャルルは許容量を超えた活力で酒に酔ったかのように呆けているようだ。
何も考えずにこの交わりを続けていたい、互いにそんなことを思うくらいには、相性の良い交わりである。
「はぁ、はぁ……あう、何度出せば気が済むんだよ」
「其方がそれだけ魅力的ということだ、美しく強い、そんな相手を組み伏せておるのだぞ、昂らぬ訳がなかろう」
ずんッと腰を押し付けて来るルールーはその状態でシャルルの体をひっくり返すと、正常位になって彼女の手首を掴んでベッドに押し付ける。
そのまま体重を押し付けて激しく腰を振っていく、二人の間ではお互いの胸が合わさっていやらしく形を変えていた。
「おッ、おッ……んぉ……激、しいッ……んぁぁ、ああああッ!!」
「じゃから決めたぞ……おッ……これから其方を抱きまくってやるからな、何度も何度も子種を注ぎ込んで孕ませてやる!」
「やぁ、だから、うッ……加護があるから、無理……やぁぁぁぁあ!?」
「大丈夫だて、今日で無理なら明日も交わればよい、明後日もその次も、暇があればそれだけ……んぉ……んんッ……加護など貫通するほど注げばよいのだからなぁ!! あッ、あッ……其方は強く美しい、孕ませがいがあるというものよ!!」
「うあ、また大きくなってーーーーーッッんんんんん!?」
「イク狂う姿も美しいなぁ……本当に愛い奴じゃ、やはり交わるのは女よな」
彼女の舌がシャルルの頬を舐める、流れ落ちていた汗を味わうかのようだ。
「愛いぞ愛いぞ、これから其方の予約は手前が埋めてやるからな、毎晩楽しもうではないか」
「はぁ~……はぁ~……アンタは、そこまで暇でもないだろ」
「むッ、確かにそうだが……まぁ手前がそうしたいくらいに其方を気に入ったということだ」
「娼婦は、他にもいるだり……んッ!」
「手前どもの種族は皆そうだぞ、気に入った相手なら男だろうが女だろうが攫って囲って孕んだり孕ませたりな……カカッ! 本能に忠実ってことだわな!」
だとしたらルールーは本当に暇さえあればシャルルを抱きに来るかもしれない。
とんでもない相手に目を付けられたという思いもあるが、不思議と悪い気分にならないのはルールーに邪気がないからだろう。
良くも悪くも生物の本能に忠実な存在なのだ、犯し犯され戦って、そうやって生きていく彼女はある意味で純粋なのだろう。
これから娼婦として長い付き合いになるのかもしれないが、体の相性も悪くないので別に嫌という訳でもない。
もしかしたら孕ませられるかもしれないが、娼婦である以上はいつだってそういう危険は付き物である。
上手く付き合っていくしかないのだろう、シャルルはそうやって彼女を受け入れた。