※この作品はR-18です。

ヒュプシュブリューメン ~可憐なる花たち~   作:ろっくLWK

4 / 14
episode 3 染まりゆく白雪 ― アイリスディーナ・ベルンハルト2

 

 

「……グレーテル? お、おい、同志中尉……?」

 

 何かをぼそぼそと呟いたきり、グレーテルの身体からくたりと力が抜けてしまった。声をかけながら揺すってみても、目を瞑ったままの彼女は何ら反応を示さない。何がどうしたんだ、と焦燥に駆られるテオドールの後方から、ひたひたと足音が近づいてきた。

 

「心配無い。気を失っているだけのようだ」

 

「あ、アイリス……ディーナ」

 

 振り返ると、そこにはアイリスが立っていた。ぐったりしているグレーテルの髪を撫で、アイリスは彼女に優しい笑みを向ける。

 

「同志中尉の口から直接は聞けなかったが、この様子ならまあ合格といったところだろうな。――それにしてもあんなに熱っぽく抱きながら中尉への愛を囁くとは、ずいぶんと妬かせてくれる」

 

「あ、いや、それはそういう話だったから……」

 

「分かっている。貴様は我々の要求に十分応えてくれた。尤も、これはまだほんの一歩に過ぎないが……ひとまず今は同志中尉を休ませてやれ。このところ彼女の机は報告書やら会議資料やらを山積みにしていたからな、きっと睡眠不足も続いていただろう」

 

「分かった」

 

 糸の切れた操り人形みたいになったグレーテルの体勢を直して頭を枕に乗せ、ティッシュを取って花弁の周りを拭ってからシーツを被せる。すうすう、と穏やかな寝息を立てるグレーテルは、こうして見ればあたかも眠り姫のようだ。それを横目に眺めつつ、未だ興奮冷めやらぬテオドールは一息をついてベッドの縁に腰掛ける。

 

「それにしてもアンタら……いいのか?」

 

「いい、とは? 何の話だ」

 

「いやだってその、冷静に考えたら……」

 

 テオドールは手元に丸めたティッシュを見つめる。さっきまでは興奮していて全然考えていなかったが、よくよく考えてみれば二人とも、そして自分も避妊など一切していなかった。アイリスの時は勝手にその結末を夢想したりはしたが、それは『現実にそうなること』を想定したものでは無い。それに今はアイリスのみならず、グレーテルとも関係してしまっている。男の責任という意味では、これはとても拙(まず)い状況だ。

 

「ふ、私たちが身籠ったら――そう考えているのか?」

 

「……まあ、その」

 

「案ずるな、同志中尉は政治将校だからな。このご時世、いかに人口増加に貢献する行為が歓迎されるとは言え、立場ある者の結婚や妊娠出産には然るべきタイミングというものがある。となれば当然そのための処置は自分で用意してあるさ、例えば経口避妊薬(アフターピル)とかな」

 

「成る程」

 

「尤も私は、そんなものを飲むつもりなど無いが」

 

「……え?」

 

 我が耳を疑う、とはまさにこのことだ。避妊薬を飲まない、それ即ち避妊をするつもりが無い、だと? 動揺するテオドールの足元に、アイリスは鷹揚たる態度でひざまずく。

 

「どうした、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして」

 

「い、いや。だってさっきアンタ言ってただろ? 案ずるな、って。だったらアンタだってその『然るべき対処』とやらを取るんじゃないのか」

 

「確かに言ったが、それは同志中尉の話だ。まあ、いざとなったらその時はその時。貴様に迷惑を掛けるようなことはしない」

 

「迷惑になんか――いやそれより、その時はその時って、そんなの」

 

 そんなのアイリスらしくない。そう言おうとしたテオドールの肉竿が、再びアイリスの手に握られた。

 

「……く、」

 

「細かいことを気にする男は嫌われるぞ。簡単に堕ちるのも困りものだが、今この場はこ(・)こ(・)ぐらい素直な方がいい。――ふふ、」

 

 アイリスが両手で肉竿を包み込み、亀頭に息を吹きかける。その生温かさに、萎れつつあった昂奮が再びむくむくと勢いを盛り返す。

 

「――はぁ、すごい匂いだな。貴様と同志中尉の愛液ですっかりベトベトになっている。綺麗にしてやらないと……んちゅ、」

 

「うぁっ!?」

 

 それは俄かには信じ難い状況だった。あのアイリスが、アイリスディーナ・ベルンハルトが、自分のペニスを舐めている。ちろちろと動く桃色の舌先が亀頭から竿の裏筋を伝って尿道口をほじくり、奥に残っていた精液を掻き出すようにのたうち回った。その未知の感触に、テオドールの背はぶるぶると震え上がってしまう。

 

「あ……アイリス、そんな、そこまでっ……!」

 

「何だ、口腔愛淫(フェラチオ)は好みじゃなかったか?」

 

「そういうわけじゃ……けどアンタが汚れちまう……!」

 

「汚くなんかない。――テオのペニスを、自分を愛でてくれた男のモノを不潔などと思うものか」

 

 アイリスの舌が円を描くような動きで雁首をくるくると辿る。竿の中ほどをパクリと啄まれ、根元から陰嚢を唇で撫でられる。その全てが気持ち良くて、背徳的で、堪らなかった。

 

「ん……はぷ、んむっ」

 

 亀頭を頬張ったアイリスが顔を沈め、肉竿を文字通り呑み込んでいく。温かい。舌がうねっている。たまに掠る歯の鋭利さにゾクリとさせられる。小さく整った顔立ちのどこにそんな深くまで頬張れる余地があるのか、アイリスの口は肉竿の根元までをすっぽりと収納し切った。

 

「む、ぬちゅ、ぬちゅ、くぷちゅ、ずりゅっ、あふ、んぶ、んぁむっ――」

 

 口腔内を巧みに動かし、アイリスは肉竿にまとわりついたものを入念に舐り取る。こんなことをアイリスにさせてしまっているという罪悪感は同時に、彼女を傅かせているという征服欲にも似た高揚感をテオドールにもたらした。――音を立てて肉竿を啜ったアイリスが「ちゅぽんっ、」と亀頭から唇を離す。

 

「――んぁ、こくんっ。……ふぅ。それにしても大き過ぎだ、顎が外れるかと思ったぞ。ふふふ」

 

「はぁ、はぁ、アイリス……」

 

「さて、貴様の気分(テンション)は大分回復したようだが、私は一度身体を冷やしてしまったからな。また温めてくれ、テオドール」

 

 アイリスが立ち上がり、ベッドの縁……ちょうどテオドールの股に片膝をつく。一体何を? 虚を突かれたテオドールの目前に、二つ連なった圧巻の膨らみが迫り来る。

 

「むわっ……!!」

 

 いつかの時のように、テオドールの顔がアイリスの胸の谷間に挟まれた。あの時との違いはごわついたBDUに包まれていないこと。そして今は既に、彼女と一度関係している間柄であるということだ。

 

「んふ、温かい。……こういうことをするのは何ぶん初めてだからな、お気に召してくれるかは分からないが……」

 

 顔の左右からむにゅりと襲い来る強烈な圧迫感。それを押し込んで存分にひしゃげさせるアイリスの責めが、テオドールの頭部を文字通り埋め尽くす。

 

「んはっ。き、急に何を……ばふっ」

 

「房中術……というわけでは無いが、何かの役に立つかと思って先日読んだ書籍にこういう方法が書いてあったのでな。せっかくの機会なので試してみているんだが……されている側はこれで気持ち良くなるものなのか?」

 

「気持ちいいというか、ふわふわでぷるぷるしてて、ワケ分からないぐらい興奮するというか……」

 

 テオドールは顔の両側を塞ぐ胸を揉みしだく。たぷたぷ、と揺れる肉のたわみと石鹸の香りがあまりに官能的過ぎて、今にも鼻血が噴き出そうな気さえする。

 

「んふふふ……それなら効果は覿面、ということだな。無駄に大きくて邪魔だとしか思っていなかったが、こうして貴様が悦んでくれるのであれば、私の胸にも価値があるというものだ」

 

「はぶ――冗談言うなよ。胸の大きさはともかく、こんな美人を抱けるなんて、ある意味男の夢ってモンだろ」

 

「外見だけならばそうと見られるのかも知れないが……年頃を迎えてからというもの、私に言い寄る男など居なかったよ。貴様も良く知っている通りな」

 

「ああ――まあ」

 

 テオドールは彼女の胸へかぶりつくような恰好のままで頷く。美貌に関しては超一級と言える彼女も、陰で噂されるその経歴、すなわち『兄殺し』の汚名が男を寄せ付けなかったであろうことは想像に難くない。

 

「私自身も色恋などには気持ちが向かなかったし、何よりその資格も無いと思っていた。私人としての私は既に存在しない。故に、女としての私にも価値など無かったんだ。……テオが現れるまでは」

 

 アイリスの乳首がこりこりと頬をくすぐる。その感触のこそばゆさに、テオドールはつい反射的に口を伸ばしてしまった。

 

「んッ。さっきから執拗に乳首に吸い付いて……本当に赤子みたいだ」

 

 乳首をしゃぶりながら、テオドールは内心思う。自分の口の径より大きな乳輪。その先に勃つ、葡萄のように瑞々しく膨らんだ桃色の乳首。その全てはあまりにも淫靡で、芸術的で、芳醇で。こんなものを鼻先に向けられて舐ろうとしない男など、いるわけがない。

 

「――なあテオ、正直に聞かせてくれ。私のように金髪碧眼で胸の大きい女は、貴様のタイプなのか?」

 

「ちゅるっ、ちゅく、ぷはっ。……ああそうだよ、ハッキリ言って直球ドストライクって奴だっ」

 

「くす、嬉しいな。なら今宵は存分に味わわせてやるとしよう。この私の、アイリスディーナ・ベルンハルトの『女』を」

 

 ずりずり、とアイリスの巨峰がテオドールの身体をこすりながら下へと下がってゆく。乳首が乳首をこすり、腹筋をくすぐって臍の下へ。その先で屹立する肉竿を胸の谷間に収め、アイリスは己の乳房を側面からギュウと押し込んだ。

 

「うお……っ」

 

 膣内とはまた異なる圧迫感。すべすべなアイリスの素肌に摩擦された肉竿が歓喜に震える。その動きを感知したらしいアイリスが、妖しい笑みをこちらへと向けた。

 

「どうだ、気持ちいいか?」

 

「あ、ああ……胸の感触がふわふわで、頭の中がとろけそうになる……ッ」

 

「ふむ……あの手の書籍から得られる知識も、案外馬鹿にしたものではないな。やはり何事も見聞に納めておくものだ」

 

「ちなみにその書籍ってどんなのだよ? 学術書とか、諜報関係の教書とかか?」

 

「ん? いや、そんな専門的なものじゃない。私が読んだのは『これぞ82年決定版・金髪巨乳美女達(ブロンド・グラマーズ)の誘惑』とかいう市井の雑誌だ」

 

「――ハアッ!?」

 

 そんなのただのエロ本じゃねえか。そう突っ込みたい気持ちを、テオドールは必死に押さえ込む。

 

「そこにこのような行為の写真や体験記が沢山あったので、こういうものなのだろうと思っていたのだが……もしかして違ったのか?」

 

「いいいや別に、違ってるとかそういうワケじゃないっ!」

 

「……? そうか」

 

 キョトンとするアイリスを前にして、テオドールは思い知らされていた。無知とは実に恐ろしい。初めてだったにしてはさっきから妙にアイリスが大胆だとは思っていたのだが、それがまさか知識の仕入れ先を誤ったが故のものだったとは。――だがこのことを指摘すれば、アイリスはただちに乳淫(パイズリ)をやめてしまうだろう。それは些か勿体無い。この時の自分にそうした打算が無かったと言えば、それは嘘になる。

 

「それにしても少し揺すっただけでピクピクと、まるで小動物みたいだな。ふふ」

 

 白雪の如き双丘の隙間から顔を覗かせる、自分の赤黒い亀頭。その頂端からはまるで涙を浮かべるかのように、透明な先走りがぷくりと滲み出ていた。

 

「初めは少し怖くも感じていたが、こうしているとむしろ可愛らしく見える。何とも不思議だな、男性のペニスというものは――んちゅっ、」

 

「ぉあっ……!」

 

 アイリスの舌が亀頭をざらりと撫でた。掬い取られた先走りが細い糸となって、彼女の唇と亀頭との間を繋ぐ。胸で扱かれ、唇と舌で舐られ、その直接的な快感と煽情的な光景がテオドールを挟み撃ちにする。

 

「……はぷ。くぷぷ……」

 

 再び亀頭を頬張られ、テオドールは声にならない呻きを洩らす。いやらしくのたうつ舌腹。ぶりぶりと雁首を懲らしめる唇。恐らく彼女はこのまま口でこっちを果てさせるつもりだ。そうと感じたテオドールはせめてもの反撃として、アイリスの両の乳首を指でつまむ。淡い桃色をしたアイリスの乳首。それをクリクリと捻ったとき、アイリスが「ぁふ、」と亀頭に喘ぎを浴びせたのが分かる。

 

「んっ……あむ、ぴちゅ、んぐんぐっ、ちゅぷ、ちゅぽぉっ――」

 

 こちらの反応を窺うように上目遣いをするアイリスが、何とも言えず艶めかしい。正直な話、胸と口でされるのがここまで気持ちいいとは思っていなかった。並ならず高められゆく射精感。それを一秒でも長く味わっていたくて、テオドールは必死に絶頂を堪える。

 

「その切なそうな表情、すごくいいぞテオドール。……ちゅ、ぷちゅ、んあむっ」

 

「ぐ、アイリスっ、もうだめだ、そろそろっ……!」

 

「――このまま出せ」

 

「っ!?」

 

「男の精液(ザーメン)がどういう風に出るものなのか、興味がある。私に見せてくれ」

 

「ああっ、アイリスっ……そんなこと言われたら俺はっ――くうぅぅっ」

 

 果てたい。けれど果てたくない。そんな二律背反(アンビバレンス)な意志がテオドールをきつく縛る。ギリギリのところで膠着する本能の天秤。それは最後の一瞬、呆気なく傾いた。

 

「――かぷ、」

 

「くあっ!?」

 

 アイリスが亀頭に軽く歯を立てた。その刺激を引き鉄にして、肉竿の先端から「どびゅうっ」と白濁の塊が噴き上がる。最初の一射はほぼ真っすぐ、アイリスの咽頭に直撃した。

 

「っ!! ふあ……あっ、あつっ……」

 

「う、あっ……アイリス……」

 

 二人の間に漂う生ぐさい精臭。放たれた精液はアイリスの鼻づらに、ブロンドの髪に、顎や胸元に……と至る所へ撒き散らされてしまった。

 

「す、すまんアイリス……俺――」

 

「……気に病むな。見せろと要求したのは私だ」

 

「そりゃそうだが……」

 

「それにしても、すさまじい勢いだったな。目に入るかと思って少し驚いてしまった。それにこの甘ったるい匂い……そうか、これが精液(ザーメン)か……」

 

 頬に掛かった白濁を指で救い、アイリスはそれを舐め取る。

 

「ずちゅ。――ん、ヌルヌルしてる。少しぬるくて、口いっぱいに匂いが広がって……どうしてか、体が火照ってしまう」

 

 しばし口の中で弄び、それから喉を鳴らして、アイリスは精液を飲み下した。一連の様子を、テオドールはずきずきと暴れ回る鼓動を感じながら、どこか茫然と眺めるばかりだった。

 

「……んく。ん、喉を灼かれるようなこの辛み……他のものにはちょっと、形容しがたい不思議な味だな。でも、おいしいと感じるのはテオのだから、かな」

 

 アイリスが自分の精液を味わっている。美味しいと言っている。その事を認識したと同時に、いよいよテオドールの自制心はガラガラと音を立てて崩れてしまう。「アイリスっ!」と叫びながら彼女の肩を強く掴み、テオドールは彼女の身柄を己が胸元へと引き込んだ。

 

「んッ――」

 

 熱烈なキス。舌を絡めて涎を啜り、唇を離して見つめ合ってはまた唇を重ねる。何度そうしただろう、やがてアイリスがうっとりと目を細めながら顔を離し、硬く勃起したテオドールの肉竿を指で揉みだした。

 

「ふふ……出したばかりだというのに、もう我慢できなくなったか?」

 

「はぁ、はぁ、はぁっ。アイリスっ。お、俺……俺っ……」

 

「……そっちへ行こう。ここだと中尉を起こしてしまう」

 

 アイリスを腕に抱えたままのテオドールは立ち上がった彼女に引き寄せられ、スチールデスクへと誘われた。デスクの天板に腕をつき、アイリスはぷりんと肉感的な尻をこちらに向ける。

 

「テオの果てる直前の顔を見ていたら、私もすっかり準備が整ってしまった。――ほら、分かるだろう?」

 

 アイリスの花弁からは再びとろりと愛液が溢れ出ていた。そこを己の指でくちゅくちゅと弄りながら、アイリスが蠱惑的(コケティッシュ)な笑みを向ける。

 

「私の胸は気に入ってくれたようだが、さて、尻についてはどうかな」

 

 そう言われて改めて、テオドールはアイリスの後ろ姿をまじまじと凝視する。大迫力の桃尻と形容して良いアイリスの臀部は胸に劣らず迫力がすごい。さらりとたなびく金髪の奥から覗いた細身のくびれ。そこから急速に裾野を広げる形良い骨盤。この表層にぷるりと盛られた軟度の高い肉は、さながら高級陶器の如き光沢を放つほど整った形状をしているのに、手でさすれば簡単に揺れ動く。そしてくっきりと境目を付けて再び引き締まる太ももの美たるや、他に例えようが無い。生得のものとして天より原型を授かり日頃の訓練と戦闘によって磨き上げられた彼女の身体は、どこを取っても超一級の工芸品を思わせる出来栄えだ。

 

「貴様の好みには、少し大き過ぎたか?」

 

「あ……いや、そうじゃない。ものすごく綺麗で、思わず見とれちまって……」

 

「ふふふ。ここまで褒めそやされると、却って恐縮してしまうな。それほどまでに私の身体を気に入ってくれているのは嬉しい限りだが」

 

「よく言うぜ……嬉しいのはこっちの方だよ」

 

「好みの女を抱く、というのはそんなに興奮するものなのか――あっ……ぁん、」

 

 尻を撫で回していたその手を恥丘へと潜らせ、花弁の奥に指を差し入れる。燃えるように熱いアイリスの膣が、巣穴へ迷い込んだ獲物へ飛びつくみたいにぐねぐねと絡んできた。

 

「まだ、痛むか?」

 

「……ん、少し…………だが大したことは無い。貴様によって『女』にされたことの実感と思えば、ずきずきと疼くこの痛みも喜ばしくさえある」

 

「アイリス……」

 

「同志中尉ではないが、女の悦びというのはこんなにも大きく凄まじいものなんだな……一度知ってしまった今では抜け出し難く思ってしまう。これは私にとっても『蜜の罠(ハニートラップ)』対策の好機、と言えるかな? ふふっ」

 

「……必要無いだろ。俺がいる限り、アンタを他の男になんて抱かせやしない。それがどんな状況だとしたってな」

 

「いい気勢だ。ならばそれを言葉だけでなく態度で証明してみせろ。――私を貴様一色に、染め上げてくれ」

 

 くぱぁ。アイリスが自らの指でぬめった花弁を開く。熱気を帯びた柔肉の洞窟。その味わい深さはとっくにこの身体が覚えてしまっている。亀頭の先で膣口を撫でたテオドールはもう辛抱たまらぬとばかり、アイリスのたわやかな尻を掴んで肉竿の挿入を開始した。

 

「んぁ……ああぁあぁっ」

 

 さっきよりも格段のスムーズさで、亀頭が膣の奥へと到達する。ぐちょりと音を立てて馴染む粘膜。この一体感は、味わえば味わうほど病みつきになってしまいそうだ。

 

「今度は後ろからの吶喊だな。いいぞテオ、私のケツについて来い」

 

「……お前さっきからそれ、わざと言ってんだろ」

 

「はて、何のことかな? 言ったと同時にペニスが中でプクリと膨れたのは分かったが――んぁ、はうんっ」

 

 腰をひとたび前後に揺すっただけでアイリスは甘い吐息を洩らし、目の前に曝け出された彼女の可愛い尻穴(アナル)がキュンとすぼまった。テオドールは少しずつ抽挿のストロークを深め、膣の入り口から奥までを抉るようにして、ぱんぱんと彼女の尻に己の腰を叩き付ける。

 

「あぁ、中で、ごりごりいってるっ……さっきよりも硬くて、かたちがハッキリ分かってしまうっ。うぁっ、あっあっあっ……あぁぁんっ、テオっ」

 

 さらさら流れる金髪をかき分け、テオドールは背後からアイリスの胸を鷲掴みにする。どう頑張っても手のひら一杯に収まりきらないその容積をたぷたぷと揺らし、乳首を冷たいデスクの天板に擦り付けてやると、アイリスはいやいやをする時のように上体をくねらせた。

 

「ああぁっ! それ、今の、突かれながら胸を弄られるの、ぞくぞくするぅっ。冷たいのが先に当たって、こりこりして、あぁあんっ!」

 

「くうっ。この姿勢だと胸がぱつんぱつんになって、揉み応えがたまんねえ……っ。あんたも気持ちよくなってるのが、中の反応で分かるぞっ」

 

「はぁ、あぁぁんっ! いいっ、気持ちいいっ……離したくない、このままずっと、テオに犯されていたいっ! もっとずんずんしてっ……テオっ、テオ……テオおぉおぉおおっ!!」

 

 こんなにメロメロになっているアイリスを見るのは初めてだ。それだけ彼女の肉体が性に溺れ始めているのだと察したテオドールは、ずるずると引きずるようなグラインドで膣内をなぶり尽くす。

 

「んあぁぁああぁっ! 奥に……一番奥に、テオのペニスが、ゴツゴツぶつかってるぅぅっ……! っあ! そこだめっ……背骨にっ、電気を流されるみたいでっ、何も考えられなくっ――ふあぁあん!!」

 

 ぷにゅぷにゅと亀頭を受け止める子宮口(ポルチオ)。そこはまだ貪欲に、自分の放つ精を求めている。幾らでも注いでやりたい。テオドールはそう思った。それがアイリスに、女として生まれた幸福を与えられるというのなら。

 

「うあぁっ、やぁんっ、ああぁ……ッ!! さっきまでと全然違うっ。どうして……!? 体が、熱くてっ……思考が、飛んでしまううぅっ!!」

 

「感じやすくなってきたんだろっ。俺だってもうそろそろイきそうだっ。イくぞアイリスっ。俺と、一緒にっ……!」

 

「あうぅうっ、イくっ……テオと一緒に、私、イくううっ!! あっあっあ、もっと強くしてっ。胸も、膣穴(ヴァギナ)もぉぉぉぉぉっ!!」

 

 ぷるぷる揺れる尻肉を眺めながら、ただ無心でアイリスを貫く。竿の内側に群がる熱の塊。もはや互いの境目を感じなくなっても尚、テオドールは亀頭の先端でぐりぐりと子宮口(ポルチオ)を刺激し続ける。

 

「あっ、あっ! もう……ダメっ! いくっ!! あ、あ、あんんっ……イクうぅぅううぅぅっっ……!!」

 

「――っうあ、っ」

 

 アイリスが上体を突っ張らせてびくびくと痙攣した。それと同時にきつく締まった膣壁に絞られ、テオドールもまた絶頂を迎える。びゅるるっ、と最奥に密着させた亀頭の先から精液が噴出し、アイリスの胎内をたっぷりと満たしてゆく。

 

「……あ、あっ、あああ……出てる……テオのあっついの……中、に……」

 

「あ、アイリス……うっ、う……――はぁぁっ」

 

 射精を終えたテオドールの全身から力が抜けた。デスクへと身を投げ出した先には、同じく弛緩しきったアイリスの肢体。そのままずるずるとくずおれた二人は互いを抱きかかえながら、ひやりと冷たい床に横たわる。

 

「…………はぁ、はぁ、はぁ――テオ……」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。アイリス……はぁ、はぁ…………」

 

「んっ――」

 

 視線を合わせた二人はどちらからともなく顔を近づけ、互いに互いの唇を貪った。上から下まで、全てをアイリスと溶け合わせる快感。それが二人の全身を満たしていく。……やがて唇を離したテオドールの眼前に、「ほら」とアイリスの乳房が差し出された。

 

「素敵だったぞ、テオ……疲れただろう。少しの間ゆっくりするといい」

 

「……ん、あむ」

 

 豊かさに満ち満ちた乳房に顔を埋め、先端の突起を甘噛みするようにもぐもぐとしゃぶる。その行為はさっきまでとは異なり、テオドールをひどく落ち着かせた。この柔らかさに癒される感覚は、彼女の胸で涙したあの時の感覚と、少し似ていた。

 

「ふふ、夢中になってちゅぱちゅぱと。可愛いな……こうしてると無性に愛しさがこみ上げてくる」

 

 テオドールの髪をさわさわと撫でながら、アイリスが慈しむような目を向ける。

 

「さっきの話だがな。何故『その時はその時』と言ったと思う? ――私はこの戦い、もうすぐケリが着くと睨んでいるんだ」

 

「――え?」

 

 それはBETAの侵攻を指しているのか、それとも国家保安省(シュタージ)が遠からず潰れるという意味なのか。どっちなのか判然としないまま、アイリスの語りが尚も続く。

 

「今は戦いの渦中だから、そんなことを夢想してはいられないが……全てが終わればその時は、自分の人生というものを改めて考えてみたいと思っている。その時にテオと……いや、テオだけじゃない。共に在りたいと思う者たちと共にいられる未来。私はそれを、勝ち取りたい」

 

 テオドールは言葉を発しなかった。闘争と謀略に縛られ続けた彼女の人生。それを未来へ向けて開くためにも、自分たちはこの手で全てを終わらせなければならない。現状テオドールに分かるのはただそれだけだった。そしてそれさえ分かっていれば、今はそれで十分だった。

 

「今はまだ意味が分からなくてもいい。でも、これだけは憶えておいてくれ。そういう未来を強く望むこと。この手で掴み取ること。それだけがきっと唯一、一人とて欠けることなく私たちが幸せになりうる、そういう選択肢なのだと」

 

 幸せになる。一人とて欠けることなく。その真意までは解き切れずとも、彼女の言葉は何故か、胃の腑にコトリと落ちていった。

 

「だから今宵の行為がどんな結果をもたらしたとしても、私に後悔は無い。――むしろ守るべきものがこの身に宿っていると思えば、意地でも死ぬわけにはいかなくなる。だから……まだまだ注いでもらうぞ」

 

「えっ、――え?」

 

「次にいつこういう機会を設けられるか分からない。だから今のうち、たっぷりと私を満たせ。文字通り、テオが枯れるまで」

 

「それは……いや、だが……」

 

 むくりと身を起こしたアイリス。その瞳には妖しい光が宿っていた。どうやら今のまぐわいで完全に、彼女の内側に眠っていた『女』は目覚めてしまったらしい。これは明日、睡眠不足コースか? テオドールはひっそりと覚悟を固める。

 

「ところで……同志中尉にしたような口説き文句は、私には無しか?」

 

「……だって、さっきは言うなって」

 

「ふふ、忘れたか? 『蜜の罠(ハニートラップ)』対策としてなら、何を囁いても問題は無い。それに今は中将も寝落ちている……となれば、後は分かるだろう?」

 

「――そういうことかよ」

 

 クスリと笑い、そしてテオドールはその求めに従った。

 

「俺はアンタのことが好きだ。ずっと俺の傍にいてくれ、アイリスディーナ」

 

「テオ、私も愛してる。だから授けてくれ……私が戦い生き続ける、その意味を」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。