ヒュプシュブリューメン ~可憐なる花たち~ 作:ろっくLWK
リィズがこの家で共に暮らすようになってから、早いもので三か月が経った。初めのうちはぎこちなかったリィズも今では大分皆と打ち解け、カティアたちから料理を教わったり甥のユルゲンと遊んであげたりしている。明るい表情を見せることも増えたし、近頃は病院から処方される薬を飲まずとも穏やかに毎日を過ごせるようにもなりつつあった。
「それもファム姉のお陰かもな」
「あらやだ。どうしたのテオドール君、急に私のこと褒めたりしちゃって」
ベッドに座って足を組んだファムがくすくすと唇を震わせる。ここはファムの私室。テオドールの『妻』たちは各々に自室を持っており、各自のプライベートが保たれる中でテオドールは自由な行き来を許可されている……というのがこの家におけるルールの一つだ。当初は『全員が一つところの大部屋で過ごせばいいのでは』という案も出た事があったのだが、それは社会主義的合議制という名の反対多数により否決された。
いかに全員が一夫多妻的なこの関係を了承の上で同居しているとは言え、全員が寝床まで毎日一緒というのも何かと不都合がある。それにハーレム的な生活をするだなんてふしだらだ! という強い意見があったが為に、結果として現状のこの形で寝室問題は決着と相成ったのであった。その意見を主張していたのが誰であったかはともかくとして。
「退院前も頻繁にお見舞い行ってくれてたし、退院してきてからもリィズに寄り添ってあれこれ気配りしてくれてるだろ。こないだ本人も言ってたよ、ファム姉さんって本当に優しい人だね、って」
「まあ。お世辞だって分かってても嬉しいわね」
「今のアイツはそんな意味の無い世辞は言わないよ。むしろ控えめってぐらいだ。直接は照れくさがって言ってないかも知れないけど、感謝の気持ちは本当だと思う」
「ううん、最近はリィズちゃんも事あるごとに『ありがとう』って言ってくれるの。最初のうちは『ごめんなさい』ばかりだったのに。あの子が変わってきてるのはちゃんと感じてるわ、勿論他のみんなもね」
「ああ……本当に俺たち、恵まれてるよな」
「何言ってるのよ。その中心にいるのがテオドール君、あなたなんじゃない。もっと自信持って」
そう言ってにっこりと笑うファムにテオドールも首肯を返した。実感の有無はともかくとしても、今の自分がこの家においてあらゆる意味での大黒柱となっている事実は正しく認識しておかなければならない。とは言え、そのことを辛いなどとはこれっぽっちも思っていないのもまた確かではあるのだが。
「それに私だけじゃないわ。アイリスディーナやグレーテルも細やかに気を配っているし、カティアちゃんやアネットちゃんもあちこち誘ったりして、出来るだけ一緒に過ごす時間を作るようにしてるもの。誰かのお陰って言うなら、それはみんなのお陰よ。勿論テオドール君も含めて」
「……そう言ってくれると、少しは気が楽になるよ」
「ふふっ、あなたたち兄妹は周りに気を遣い過ぎなの。たまには何にも考えずに、このファムお姉さんにどっかり寄りかかってくれたっていいのよ?」
そう言ってベッドから立ち上がったファムが、やおらテオドールの背に腕を回してきた。ほんのりと漂う桃のようにフルーティな香の匂い。少し褐色の入った肌が夜明かりに艶やかな輝きを照らし、それが彼女の持つエキゾチックな魅力をより引き立てる。
「テオドール君が甘えたくなったら、私はいつでも甘えさせてあげるんだから……ふふっ」
ファムの腕に誘われるがまま、テオドールはベッドへと至る。ぼすん、と尻もちをつくように腰を下ろしたファムは、引き込んだテオドールの頬を愛おしい手つきで撫でた。
「……じゃあ今夜は、思い切り甘えることにするよ」
「ええ、いらっしゃいテオドール君……ちゅ、」
唇を重ね、その口中に舌を滑らせる。んぁ、あむ、と湿った音を立てながら絡まる互いの唾液。ファムの顔立ちは細く整っていて、長い睫毛や奥二重の瞼などは間違いなく美人と言って良い形をしている。そのふっくらと女性らしい頬を紅色に染め、ファムは尚も積極的にキスを求めてきた。
「ん、んふ、ちゅう……くちゅ、あぷ、んっ、んむ……あっ、」
唇の感触を存分に堪能しつつ、テオドールはファムの胸へと手を這わせる。アイリスにも比肩するそのボリュームを、片手では到底覆い尽くすことが出来ない。合成コットンのシャツ越しに柔らかな肉の塊をじっくりとまさぐるうち、テオドールはふとあることに気が付いた。
「あれ、ファム姉……これ……」
「ぁん……どうしたの?」
「……もしかして……つけてない……?」
手のひらに感じるこのむにゅむにゅとした感触には、ブラをつけているときのような凹凸が一切無かった。生地の直下に肌がある。そう思って丘の頂点を撫でつけると、そこにはピンと指先を弾く硬いしこりが歴然と屹立していた。
「うふふ。今夜は私の部屋に来てくれるっていうから、ずっと期待してたの。まあ下着自体、窮屈だから家にいるときはつけないことが多いんだけど」
「そ、そうなのか」
「もしかして、初めて知った?」
「まあ、いつもは湯上がりでタオル巻いてるところからのスタートだったりするから……」
冷静に考えてみれば、部屋着姿のファムを抱くこと自体今回が初めてだ。どぎまぎするテオドールを可笑しがるように、こちらへ頭を寄せたファムが「こつん」と額に額をぶつけてきた。
「知らないのも無理ないわね。テオドール君とこういうコトするの、他の子たちと比べてあんまり多くなかったし」
「う、いやそれは――! ファム姉が任務の合間にアイリスの出産とか子育ての手伝いとかリィズの見舞いだとかをしてくれてたから、忙しくて疲れてるんだろうと思ってて!」
「分かってるわよ、テオドール君の気遣いは。でもお姉さん、ちょっと寂しかったんだぞ~?」
「……それは、済まない」
「ふふ、冗談よ。でもまあ、ユルゲン君も物心ついてきたしリィズちゃんもすっかり馴染んできたしで、私がサポートに回るのもそろそろおしまいかな」
ファムの細く柔らかい指が、鍛えられたテオドールの胸板を緩やかになぞる。
「そしたら私のこと、みんなと同じくらい沢山愛してくれる……わよね?」
「勿論だ」
くす、と微笑したファムのシャツの裾へとテオドールは指を掛ける。それを上へと引き剥がした時、「んん、」とファムが艶めかしい声を洩らした。――ばるんっ。そんな擬音が頭の中に浮かぶと共に、豊かな質量を湛えた二つの膨らみがテオドールへ供物を捧げるかのようにまろび出た。
「相変わらず、すごい胸だよな」
威容を誇る目の前の物体に、テオドールはごくりと生唾を呑む。大きさ、という観点だけなら先述の通り、ファムのそれはアイリスに決して劣らない。だが彼女の場合はアイリスのような強い弾力の代わりに圧倒的なふわふわ感を誇っていた。揉めば揉んだだけ沈み込む。揺らせば揺らしただけ震える。それでいて垂れたり歪んだりすることは決して無く、きれいな半球を保ったままで上向きの乳首をその頂点に乗せている。その双丘が有する圧倒的な包容力たるや、まさしくファム自身の優しさを余すところなく体現したものと言って良い。
「んっ……久しぶりに触られるから、すごく感じちゃう……」
紅梅色の乳首を軽くつついただけで、ファムはびくびくと身体をよじらせる。彼女の胸は大きさだけでなく感度にも優れていた。おかげでファムとの情事の際はいつも、テオドールはその乳房を好き勝手に弄ぶことに耽溺してしまう。それがまたファムに対して先述の遠慮を覚えてしまう原因でもあった、というのも否定しがたい側面ではあるのだが。
「あぁんっ。や、ん、そんな強く揉まないでっ。んもう、テオドール君たらどうしていつも私のおっぱいで遊ぶのっ……ぅあ、あ、くぅぅんっ」
「いや、ファム姉の胸があまりにエロくてふかふかだから、つい」
「つい、じゃないわよ。そんなにしたらお姉さん、体が熱くなっちゃう……あ、あっあっあん」
乳首をぷりぷりと指でくすぐり、乳輪を丹念に舌で舐める。頬を包むこの肉感も心地良すぎて堪らない。かり、と歯を立てた乳首を授乳の要領でもぐもぐと甘噛みしながら吸ってやると、ファムは迸る快感に全身を硬直させた。
「ふぁあ……だめ、そんな赤ちゃんみたいにちゅうちゅうしたら、また私っ――!」
そろそろかな、と思いつつ、テオドールは尚も乳首を責める。そのうちに「じゅわ、」と舌の上へ温かいぬかるみが広がり始めた。
「あ、ああぁぁ……また出ちゃってる、
ファムの乳首から垂れ始めた乳白色の汁。これがファムの胸を苛めたくなる最大の理由であり、子を持たない彼女がアイリスの育児を手伝えた要因の一つでもあった。
特殊な体質なのか、はたまた母性の強さゆえか、ファムは出産どころか妊娠すらしたことが無いにも関わらず母乳を分泌してしまう。それも常時ではなく強い性感を覚えた時にだけ、こんな風に母乳が噴き出てくるのだ。初めてそれを知ったときは驚嘆と感動がない交ぜになったような複雑な思いを抱きもしたが、すっかり見慣れた今となってはむしろ、テオドールを大いに興奮させる材料と化してしまっている。
「……今日も濃くて甘いよ、ファム姉のミルク」
確信を持ってそう断言すると、かああ、とファムが顔を赤らめた。何らの調整も施されていない人間の乳汁。その旨味とコクたるや、色だけを似せたかのように薄味な合成牛乳など比較対象にすらなり得ない。加えてファムの場合はさらに一段と濃度が高く、以前ちょっとだけ口にした本物の牛乳とも遜色無いほどの味わい深さだ。そうした理由もあって、テオドールは殊更にファムの母乳を愛飲していたのである。
「も、もうっ。
「細かいことなんていいだろ。ファム姉だってユルゲンに飲ませてるわけだし、実質母親みたいなもんってことで」
もう片方の乳首をつねると、こちらからも乳汁が「ぴゅうっ」と絹糸のように飛び出る。先端に垂れ残った分を舌で舐め上げると刺激に打ち負けた乳首がさらに方々へと乳白液を撒き散らし、その一部はテオドールの顔にも降りかかった。
「あ、ああぁっ。……これでも直接は飲ませてないのよ。ユルゲン君にはちゃんと、哺乳瓶に移し替えてからあげてたし」
「そうなのか?」
「私のおっぱいをしゃぶっていいのは、自分の子供とテオドール君だけ……って決めてるんだから」
恥じらいながらそう告げるファムの表情もすごく良い。乳首から口を離してファムにも口中の液体を与え、腋を舐めるようにしながら彼女の背後へと回り込む。窪んだ背筋に突き出た肩甲骨と無駄な肉を一切抱えぬ彼女の後姿もまた、何とも言えず艶めかしい。
「どうだファム姉、今日のミルクも味が濃くて美味しいだろ?」
「んっ……テオドール君、どうして毎回私に
「ホントは口移しじゃなくて直接飲ませたいんだけどな。ほら、こうやって」
後ろから鷲掴みにした乳房を持ち上げ、ファムの口元まで運ぶ。やだ、やだ、と身体を揺するファムだったが、テオドールがしつこく迫り続けたことで、とうとう彼女も観念したみたいだった。
「んもう……ちょっとだけだからね。――ん、はむ」
ちゅうぅ、とファムが自らの乳首をすする音。噴乳を後押しすべく、テオドールはぐにぐにと乳房を揉み込んでやる。
「……ぷは、んくっ。こ、これでいい?」
「味の感想は?」
「~~~っ。あ、甘くて、しっとりしてて……ちょっと生温かくて、鼻に残るような味……」
「良くできました」
ご褒美に耳たぶを舌先でくすぐると、ファムは「ふわぁぁ」と腰砕けになったような嬌声を上げた。そのまま乳房を揉みしだきつつ、片手を下半身へと送り込む。今日の彼女の装いであるダークブラウンの七分丈パンツはこれまた彼女の容姿に良く合うタイトなシルエットを保持していた。テオドールはそのさらに一枚下へと指を巡らせる。当然ながらそこにも、女の大事なところを守るための薄布は穿かれていなかった。
「ん、あ、やっ」
「濡れ始めてるな、ファム姉のここ」
「やんっ。恥ずかしいから言わないで」
「もう直接触りたい。自分で脱いでくれるか?」
「……うん」
ファムがパンツの裾に手を掛ける。ずるりと指が下がると共に露わになった彼女の恥丘。その上端に生い茂ったものを、テオドールはくいくいと引っ張ったり掻き乱したりして愛でる。
「あんっ、そんなことしたらダメだってば」
「ごめんごめん。見るとつい弄りたくなって」
「すぐイタズラするんだから。もぉ、悪い子ね」
めっ、と頬を軽くつねられ、そのくすぐったさにテオドールは身をよじった。ファムのアンダーヘア。それは慣習的に全て処理してしまう文化圏のテオドールにとってはかなり珍しい代物だ。現在は後方任務に従事する彼女も非常呼集に備えてある程度手入れはしているようだが、それでも割れ目の上に三角形の芝生を残しているのは独特というか何というか、これはこれで劣情をそそられるものがある。そのしゃりしゃりした感触を手のひらに感じながら指をさらに下へと潜りこませると、熱く揺れ動く花弁がじわりと水気を滲ませた。
「や、ぅんっ、そんな、ちゅこちゅこってこすられると、すごく感じちゃう……っ」
「久しぶりだからな、じっくり入念に濡らしていかないと」
「ん、あ、うあぁぁあんっ」
中指をずぶりと花弁に沈ませると、ファムはいよいよ大きな喘ぎをこぼし始めた。それと共に乳房から噴き出た乳汁がシーツを濡らしていく。室内に広がる甘ったるい香り。その根源たる白液を指でまぶすようにして乳首へ塗りたくってやると、さらに溢れた乳汁のせいで彼女の乳輪はすっかり真っ白になってしまった。
「それにしても今日はすごい出るな。ひょっとして溜まってたか?」
「ふぅぅっ、んうぅぅんっ……だってホラ、ユルゲン君もすっかり大きくなって乳離れしたでしょ。それにこのところご無沙汰だったし、それで……ね?」
なるほど。テオドールは大いに得心する。要は乳の搾り甲斐というか、そうする理由がしばらく無かった、ということだ。であれば溜めに溜め込んだ彼女の母性という名の白き泉を、今宵はたっぷり搾り尽くしてやらねばならない。
「あ、だからって別に、積極的に
ぐにぐにと乳房を揉みつつ、花芯に挿入した中指で膣の内部を執拗にこする。奥から湧き出る愛液はとろみが強く、彼女の身体に本気の火が点いてきたことを雄弁に物語っていた。そろそろ挿れたい、と言葉で告げる代わりに、テオドールはすっかり硬くなった肉竿をファムの艶やかなお尻にこすりつける。
「あん、カタい……もう我慢できないのね。このまま後ろからする?」
「ああ」
「じゃあ、お姉さんが四つん這いになるわね……」
前傾姿勢を取ったファムがその大きなお尻をこちらに向けて突き出した。花弁から溢れた愛液が糸を引き、まっすぐシーツへと滴り落ちてゆく。そこに亀頭を当てて先走りでさらにぬめりを付け、テオドールはファムの腰をガッチリと掴む。
「んふ……ねぇテオドール君、一つお願いがあるんだけど」
「何だ?」
「今だけテオドール君のこと、『
あなた。その呼称はもしかしなくても夫婦のそれに用いるものだった。勿論、とテオドールは首肯する。自分たちの関係性は事実婚でしかなくとも夫婦であることに相違は無い。互いの呼び方は各々の自由に任せてあるとは言え、殊更に夫婦であることを強調するようなその呼ばれ方を自分が忌避していないのも確かだ。
「でも、急にどうして?」
「そのね、アジア圏では一部にそういう文化があるの。私のお母さんも亡くなったお父さんのことをいつも『あなた、あなた』って呼んでて。だからそう呼ぶのに憧れがあったっていうか、テオドール君のことを旦那様にするって決めた時から、いつかは『あなた』って呼んでみたいなあって思ってて」
「そうだったんなら、普段からそう呼んでくれて良かったのに」
「みんなの前だとちょっと恥ずかしいのよ。それに何だかテオドール君を一人占めしてるような気がして、申し訳無い気もしちゃって」
「そういうとこ、ファム姉はホント奥ゆかしいよな。――じゃあ代わりに俺も、二人きりの時は『ファム』って呼び捨てにしていいか?」
「ええ、勿論……『あなた』がそう望むなら」
来て。その甘美な一言に従ってテオドールは挿入を開始する。ずぶりとのめり込んだ肉竿が柔らかい肉襞の波涛に浚われ、雁首のところをコリコリ撫で回される。締まりの強いのも当然良いものだが、こうしてくすぐられるような感触を味わうのも、これはこれで良い。
「っく……このやんわり包んでくる感じ、ファムはどこもかしこも包容力満点だよなっ」
「あぁぁぁ……っ。あなたが気持ち良くなってくれるなら嬉しいわ。正直言うと、あんまり自信無かったから……んんっ」
「自信無い? どうして」
「だって、リィズちゃんやアイリスディーナとそういう会話になった時にいつも出てくる話題なんだもの。締まりの良さが大事とか、形がぴったりだからあなたが悦んでくれる、って」
「……そんな話、してたのか。俺のいないところで」
これにはさすがに少々引かざるを得なかった。女の猥談はえげつないとは良く聞くが、まさかここまであけすけな話をしているとは。縮み上がりそうになるテオドールだったがしかし、ファムの膣にキュウと絡め取られたことで、再びその勢いを取り戻す。
「
「うっ……それでか、アネットやグレーテルが最近やたらと俺に白い目を向けてくるのは」
「さあ。それは本人たちに直接聞いてみたらいいんじゃないかしら? ふふふっ」
あでやかな笑みを浮かべるファムを見て、テオドールは劣情と共にある種の嗜虐心を抱いてしまう。ああそうだ。自分は大小に関わりなく女の乳房が好きだ。だからその欲深さをたっぷりと、今夜はファムに思い知らせてやる。――そんな開き直りにも似た心境を、こそりと内側に織り交ぜて。
「んっ、ああっ、あうっ、太いっ。……本当に逞しいわ、あなたったらっ。あん、あんっ」
腰を前後に動かして肉竿を抽挿すると、ファムはたおやかな喘ぎを上げた。ふるふると揺れるお尻から手を離し、次にテオドールは彼女の乳房をぐにゅりと掴む。
「やぁんっ。またおっぱい、いじめるの? ――あ、あ、あんっ、ああぁっ」
腰を突き入れるリズムを崩さずに、乳房を思うがまま揉みしだく。一度は止まっていた母乳の噴出が再び始まり、ぴゅうぴゅうと八方に向けて白い雫を飛ばしてゆく。
「あ、だめっ、おっぱい出過ぎて、胸の奥がじんじんしてるの……っ。あなた、お願いっ。出し入れしながらおっぱい揉まないでぇっ!」
とうとう堪え切れないとばかりファムが大きな声を張った。それは彼女が深い快楽に溺れたことを示すシグナル。一旦こうなったファムは淑やかさという名の表皮を脱ぎ捨て、貪欲な女の本能を剥き出しにする。それは彼女が満足して果てるその瞬間まで続くのだ。
「あぅ! あん! もっと。あなた、もっとちょうだいっ。その逞しいので、いっぱいかき回してぇっ! ……ああっ、そこ、そこがいいのっ! ふああぁっ。すごいっ、あなたのぐちゅぐちゅが気持ち良くて、私、おかしくなっちゃいそうぅっ」
「俺も、すごくいいっ、ファムの中とろとろで、溶けそうなぐらい熱くて柔らかいっ。このでかい胸もミルク出しまくりだし、その割に腰も足もほっそりしてるし、こんなエロい体、文句の付けどころなんて無いって……!」
「あぁん、嬉しいっ! ねえあなた、もっと乳首きゅーってしてっ。もっと
「分かった、こうだなっ?」
「あふあぁぁあんっ、それ……っ!」
乳輪ごと乳首をきつく摘まんで押し込むように啄むと、底を知らぬかのように凄まじい勢いで乳汁が弾け飛ぶ。母乳の香りは一層濃くなり、雨垂れのように注がれた白色の甘露がぴちょぴちょとシーツを濡らしてゆく。
「あっ、あっ! 目の前が……チカチカするっ。そろそろ、かも。体に力、入らないっ……ああっ」
気持ち良さのせいで腕の支えを保てなくなったファムが、ばふりと上体をベッドに寝そべらせた。それでもこちらの責めは決して緩ませない。テオドールは彼女の細い腰を掬い上げるように持ち、斜め上から突き下ろすようにファムの膣を穿っていく。
「やぁ、あ、あぁああ~~っ! そこ弱いっ、ダメなのぉっ! おへその下ぐりってされたら、あっ、あうぅぅうぅんっ、ふやぁあぁぁああぁっ……!」
ファムの喘ぎ声はもはや悲鳴みたいで、今にも崩れ落ちてしまいそうなほどだ。自分も限界が近い。残り僅かな余力の中でテオドールは必死に膣の内側を探るように腰を動かし、少しでもファムが強い反応を示す箇所を徹底的に突き掘り続ける。
「あん、らめぇっ! あなたっ、お願いもう許してぇっ……! 私いっちゃう、もういっちゃうぅっ! いく、いくぅん、いっ、あ、ああぁぁうあぁあぁ、やああぁぁあぁぁあんっっ……!!!」
「――うっ、ファム……!!」
びゅどぷっ。竿の管を一瞬で通り抜けた精液がとろける膣内に吐き出された。ファムは上体を大きく逸らし、天を仰いでぴくぴくと痙攣している。数度に分けて繰り返された射精。その全てを受け止め力尽きたファムはそのまま前のめりに寝そべり、テオドールもまたその場に座り込んで放心しつつ、彼女の花弁にこんもりと溜まった白濁の粘りを眺めていた。
「……これ、どうしようかしら」
ファムが心底困った顔でベッドのシーツをつつく。ぐちゅ、と深く湿ったその感触はどう考えても下のマットレスにまで浸透し切っていた。
彼女を悩ませているのはその視線の先、楕円形に二つ大きく広がったシミ。周辺には無数に散らばった小さなシミもある。それらは言うまでも無くファムの乳房から放たれたものだ。二人が垂らした愛液によるものよりも、甘い香りを放つ乳汁が生んだシミはとても大きく、そして深刻なものだった。
「シーツはまだ洗えるからいいとして、マットレスはさすがに干すしかないわよねえ……」
ハア、とファムが溜め息をつく。こんなものを白昼堂々ベランダに干していたら、それこそアイリスたちに『そういうプレイをした』と喧伝するようなものだ。それ自体は別に構わなくとも、噴乳でここまで派手に濡らしてしまったとなると恥ずかし過ぎていたたまれない。これじゃあ私、まるで牛さんみたい……ファムの心中を推し量るなら恐らくはこんなところだろう。
「――ねえ聞いてる、テオドール君? もお~、少しは一緒に考えてよぉ」
その時テオドールが何をしていたかと言えば、ファムに膝枕をされながら彼女の乳からこぼれ来る乳汁を躍起になって吸い尽くしている最中だった。行為を終えた直後のファムはその褐色の乳房を白い母乳でべとべとにしていて、その色差があまりに倒錯的だったのと勿体無かったがために、ほんの一滴まで残さず舐めていたのである。
「んっ……そんな一生懸命ちゅうちゅうして。二人っきりになると本当に甘えん坊さんなんだから。――しょうがないか。甘えさせてあげる、って最初に言い出したのはお姉さんだもんね」
諦めのついたらしい口調と共に、ファムがテオドールの赤髪を優しく撫で梳かす。肉親の記憶が全く無い自分だが、ファムの乳房を舐りながらこんな風にされていると、まるでこの身が赤子に返ってしまったみたいな錯覚すら抱いてしまう。
「きっとテオドール君との間に子供が出来たら、その子もとっても甘えん坊さんになるわね。可愛くて可愛くて仕方が無いからって、私も思いっ切り甘やかしちゃうんだろうなぁ……ふふっ」
それはいつかそう遠くない未来を夢想しているのだろう。テオドールを見つめるファムの眼差しは少し遠く、けれど確かな期待にきらきらと輝いていた。
「……あなた」
「え? どうしたのテオドール君」
「二人きりの時はそう呼んでくれる約束だろ。『あなた』って」
そう述べると、あ、とファムは目を瞠った。恐らく彼女はその約束をあくまで交わりの一時、その間だけの戯れと思っていたのだろう。けれどテオドールはそうではなかった。ファムに『あなた』と呼ばれることを、自分は全く厭うていない。それどころか歓迎すらしている。自分のことをいつどこで誰がどう呼ぼうと何らの問題も無い。それで自分とファムの、或いは他の『妻』たちとの関係が壊れてしまうわけでは、決して無いのだから。
「――そうね。私だってあなたの妻なんだものね。何だか私も、遠慮するクセがついちゃってるのかも」
「俺が言うのも何だけど、その、もっと自信持ってくれよ。ファムだって十分魅力的だ。他のヤツと比べてどうこうじゃなく純粋にそう思ったからこそ、俺はファムと一緒に暮らそうって決めたんだから」
「うん……ありがとう、あなた」
「それに、何だかんだ言いながらもこうやって
「ふふっ。も~ぉ、旦那様ってば本当に甘え上手なんだから。……ん、よしよし」
ファムの昂揚が鎮まると共に母乳の分泌もひと段落したようだ。乳房の
「いつもみんなの為に尽くしてくれてること、それが打算や何かじゃないファム本来の優しさから来るものだってことも、俺はちゃんと分かってる。――だけど俺と二人っきりの時ぐらい、もっと俺にも甘えてくれ。そしたら俺も、もっと沢山ファムに甘えられるからさ」
「そうね、そうする。……あなたのことを好きになって、あなたと一緒にいることを選んで、本当に良かった」
一つキスをして、ファムはふんわりと咲き誇る蓮花のような笑顔を満面に湛えた。それはテオドールの大好きな、ファムだけが持つとびきりの笑顔だった。
「愛してるわ、私のステキな旦那様」