※この作品はR-18です。

ティアナちゃん大ピンチ!   作:凍結する人

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まーた書いちゃいました。
後日談的で、あんましエロくないのでご注意ください。


しあわせなティアナちゃん

 車の中で、私はお兄さんのおちんちんを沢山欲しがって、スバルやギンガさんと奪いあうみたいにおまんこを濡らしておねだりしていた。

 だから、もう言うことを聞かないことはない、って安心したみたいだ。

 お兄さんの家まで送られて、しっかりシャワーを浴びるように言われた後、私たちはあっけなく放された。

 二人にとってはいつものことだったみたいで、慣れた手つきで他人の家のお風呂を使って、のんきにおしゃべりなんかしていたけれど。

 汗とかベトベトを流しながら、私は情けなさと悔しさで、お湯より熱いかもしれない涙を流していた。

 

 今朝、出かける前に。私は、すごくすごく、固く決めてきたはずなんだ。二人を止めるって。

 それが、背の高くて上から見下げるお兄さんに怖気づいちゃって、何も出来ずに『おかし』を食べさせられて、そしたら、あっという間に、二人と同じおもちゃになっちゃった。

 しかも、騙されていると分かってて、それでも気持ち良さに負けちゃうんだから、何も知らない二人よりずうっと悪い子だ。

 全部、私が悪いんだ。

 嫌だと叫んで、周りの人たちに助けを求めれば、それで何もかも上手く行ったのに。

 ううん、その前に、私一人で止めに行くよりも、周りの大人とか、警察とかに言えば、こんな事にはならなかったんだ。

 シャワーの時だけじゃない。湯気でぽかぽかしながら家へ歩く時だって、私の頭はそのことでいっぱいだった。

 

「ティアナも仲間に入ってくれて、本当に嬉しいな。ノーヴェとウェンディとも一緒なんだよ」

「二人はお尻の穴が大好きなのよね。今頃言いつけられたお浣腸でもしてるんじゃないかしら」

 

 ああ、ノーヴェにウェンディも落ちちゃってるなんて。

 聞きたくもないことを言ってくる二人の話を聞き流しながら、私はさらにどんよりと落ち込んだ。

 きっと、私が気づくずっと前から、お兄さんは中島家の女の子に目をつけていたんだ。

 だからこそ近づいたんだし、そういう人なら、秘密を守るためにシャワーを浴びて跡を消したり、『おかし』を用意するのは当たり前じゃないか。

 そんな、恐ろしい人間だって分かっていたはずのに。どうして私は、たった一人で飛び出していったんだ。

 私の中でうずまく色んな後悔が、何も考えずに飛びこんだたった半日前の私を、バカな女の子だって罵っていた。

 

「次は一週間後よ。ティアナの組は私たちと同じなの」

「皆一緒に来ると大変だから、ちゃんと予定を立てておじゃましてるんだよ?」

「スバルは私に付いてきてるだけでしょ」

 

 偉そうに言うんじゃないの、って軽く言い聞かせるギンガさんと、てへへ、って笑いながらごまかすスバル。

 何も知らなかった頃の私から見れば、いやらしいことの予定を立ててお話してるなんて思わなかった。

 でも、今は私も、すっかり二人と同じになって、お兄さんの作った、時計じかけの歯車の一つになっている――のかな。

 

「待ち合わせの場所は前日に知らせるから。おめかししていったら喜ばれるわよ? じゃ、また明日」

「ばいばーい!」

 

 夕焼けに照らされて、手を振る二人と別れてから、私は段々考えを直し始めた。

 まだだ、まだ、歯車になっているなんて、決まったわけじゃない。お兄さんに支配されてる訳じゃないんだ。

 騙されて、お兄さんの本当の顔を知らない二人と私は、やっぱり違う。

 私は、お兄さんが恐ろしい人だって分かっている。だから、お兄さんに逆らえる。

 確かにあの時は、気持ち良さに耐えられなくて、お兄さんの道具であることを選んだ私だけれど。

 

 それは『おかし』のせいなんだ。

 

 あの白いお薬みたいな食べ物が、私の頭の中をグチャグチャにかき回して、自分でも思ってなかったことを言っちゃった。

 あれが無かったら、多分私は踏ん張れていた。お兄さんに頭突きとか、蹴りの一つくらいは入れられたはずだ。

 そしたらお兄さんも怒って、私は今よりもっと酷い、傷だらけになっていたかもしれない。解放されずに、お兄さんの家で殴られたり蹴られたり、沢山乱暴されたかもしれない。

 でも、こうして大人しく言いつけられた通りになってしまうよりはずっと良いことだ。私が帰ってこなかったら、いくらお兄さんを信用している親たちも気づくはず。

 

 そんな『もしも』に意味は無いけど。現に私は今、お兄さんの言うがまま、思うがままになっているけれど。

 もう『おかし』は切れている。頭がぼやけることも、目の前がチカチカ光ることもない。

 悪い魔法使いに掛けられた呪いは、とっくのとうに解けているんだ。

 そしたら、今の私はあの時逆らえなかった私じゃなくて、その前の、お兄さんと戦う事のできる時の私に戻っているんじゃないか。

 そう思ったら、ほんのちょっとだけ勇気が湧いてきた。

 お兄さんの手で心のどん底へ引きずられて、真っ暗闇な辺りに落ち込んでばかりいた私だったけど。その遥か遠くに、微かに明るい光が見えてきたような気がした。、

 

 そうだ、一回やられちゃったからって、諦めちゃいけない。

 今度は逆らえばいい。あの『おかし』さえなければ、私はまだお兄さんに怒りを持っていられる。

 友達を、自分を道具にしたお兄さんに、仕返しをしてやろう、倒してやろうと思っていられる。それでいいじゃないか。

 今度がダメだったら、また次に逆らえばいい。している時は気持ち良さに飲み込まれても、その後はこうして落ち着いて考えられるんだから。

 いつか、お兄さんにだって弱点が出来る。お父さんもお母さんも、ふとしたことから怪しみ始めるかもしれない。

 だから、諦めるのはダメだ。ここで私が諦めちゃって、お兄さんの言いなりになったら、やっぱりそれは負けなんだ。

 いくら乱暴されても、おちんちんの道具にされても。『おかし』でカラダを言いなりにされても。

 

 こうして決めた心の中だけは、お兄さんに渡さない。絶対、絶対渡すもんか!

 

 

 

 

 

――なんて思っていた時の私こそ、とってもおバカな女の子で、何も知らない幸せものだったんだ。

 

 

 

 

 

 『それ』が始まったのは、その日から三日経った、学校でのお昼ご飯の時だ。

 朝はいっぱい食べたし、午前中の授業は体育があったので、絶対にお腹が空いているはずだった。

 でも、配膳された給食を机の上で見て、美味しそうな匂いをかいでも、食欲が出ない。

 何とか頑張って、お箸を持って手をつけようとはしたけれど、それでも一口食べるだけが精一杯で、それ以上食べようとするとお腹の中から吐き気がこみ上げてきちゃう。

 もしかしたら、三日前の乱暴が原因で病気になったのかな、と思ったんだけど。

 

「ティアナ、どうしたの? 食べないなら、私貰っちゃうよ?」

 

 同じくらい酷いことをされていたスバルは、私のトレーからパンを取って食べちゃうくらいに元気だった。

 じゃあ、どうして私だけ、こんなに気分が悪いんだろう。

 それを考えたら益々食べる気が無くなっちゃって、結局、その日の給食はスバルに全部食べられちゃった。

 

 家に帰って、晩御飯を食べる時には、吐き気はすっかり収まっていた。

 お昼ご飯を食べなかった分の食欲もあったからいっぱいおかわりをして、ティーダお兄ちゃんもリニスお姉ちゃんも珍しがっていた。

 だけど、お風呂に入って、皆にお休みの挨拶をしてから自分の部屋に戻った時。『それ』は突然やってきた。

 ついさっきまで何でも無かったのに、全身に殴られたような痛みが走って、それから胃の中をひっくり返されるような吐き気が襲う。

 私は必死に堪えながら、思わず床にうずくまって、ペタンと座り込んだ。

 すると、座り込んだ足の先に、ぞわぞわっ、とした感触があった。まるで、沢山足のある虫が私の足に乗っかったみたいで、とても気持ち悪い感じだった。

 私は思わず足を上げて、その裏を見たんだけど、そこには虫なんていなかった。間違いなく、いないはずだった。

 けれども、感覚は確かに足の裏から表へ、そしてすね、ひざへと登っていく。

 私は足をぎゅっと抑えた。それで、自分のカラダへ這いよるムカデのような虫を潰そうとした。けれども、そんな虫はいない。いない、って分かっているのに、それでも手を動かさずにいられない。

 だって、いくら抑えても、叩いても、虫の這いずりは止まらなくって、そのうち足だけじゃなくて、手にも、お腹にも、胸にも、顔にだって虫が張り付いてきたんだもの。

 

「あぁぁ、あ、あ、やめてよぉ」

 

 私は爪を立てて、カラダのあちこちを引っかき回した。そうすれば虫は死んで、這い回られるイライラも無くなるんだと思っていたから。

 それでも、気持ち悪さは止まらなくて、イライラはもっと大きくなってくる。息も苦しくなって、いっぱい呼吸をしてたのにその分辛く苦しくなるみたいだ。

 私は布団に潜り込んだ。寝ちゃえば、こんなイライラも忘れられるんじゃないかって思った。

 でも、何時もは暖かくて心地いいはずの布団だって、今は這いずり虫の巣の真ん中みたいに嫌な感じだ。私は何回もそれを蹴飛ばしては、やっぱり止まらない気持ち悪さと寒さに震えて被り直した。

 

 それでも、その日はまだ良い方だった。

 耐え切れなくなったのは次の日。朝、通学用のバッグを持って学校へ行く時だった。

 這いずる虫も息苦しさも目が覚めるのと一緒に無くなっていた。だから私はとても嬉しくて、るんるんとスキップしながら学校に向かっていたんだけど。

 小さな交差点の真ん中に立った時、立ち止まって、きょろきょろと辺りを見渡した。

 どこかから見られている。誰に、どんな所からかは全然分からないけど、でも、確かに見られている気がした。

 それだけなら立ち止まる理由にはならない。朝は人が少ないけれど、それでも誰かがいないわけじゃないし、この通学路に不審者が出た、なんて話も聞いてない。

 それでも私は、知らない目線から自分を隠すように走りだした。だって、知らなかったけれど、何かに似ているような気がしたから。

 そう、私を引っ掴んで、真っ暗な車の中に押し込んだお兄さんの、いやらしくて気持ち悪くて、怖い怖いあの目。

 

 私は、まるですぐ後ろから追いかけられてるみたいな必死さで走った。

 後ろを振り返っても、本当は誰も居ないんだけど、やっぱり視線は消えてくれないし、それどころか段々増えてきていた。

 通り過ぎるクラスメートの皆に、おはよう、なんて言う暇もなかったし、そもそも気づく事も出来なかった。

 学校に着くまで、私は只走って、走って走って走って、校門を通り抜けた所で疲れてぺたりと座り込んでしまった。そこでようやく、目線が何処かへ行ってしまったと感じて、一息着くことが出来た。

 でも、それは一旦収まっただけだった。あんまり精一杯走って、疲れたから、目線が気にならなくなっていただけかもしれない。

 机に着席すると、またすぐに、背中から、側から、遠くから目線が飛んでくる。

 回りにいる友達の明るい目じゃなくて、もっと深くて暗い目が、私の周りを取り囲んでいる。

 こんな状態じゃ、授業なんてろくに聞けない。今すぐに教室から抜けだして、逃げたかったけど、それをやってもどうせこの目線は消えないんだ。

 どうすればいいんだろう。昨日の這いずり虫といい、今日の目線といい、私の頭はおかしくなっている。いったい、どうしてなんだろう。

 

 クラスメートは優しくて、顔色が悪いけどどうしたの、って聞いてくれてるけれど。

 えっちな、いやらしいことなんて何も知らないんだから、私が何をされたかなんて話しても、全然理解してくれないだろう。

 誰にも相談できない。これは、自分だけで解決しなきゃいけないことなんだ。

 そう思うと、ますます気持ちが落ち込んでしまって、何もかも嫌になってしまいそうだった。

 

 それから夕方になって、逃げるように自分の部屋へ飛び込んでも、やっぱり誰かから見られている感じは消えなかった。

 窓は全部閉じて、カーテンも閉めて、ドアには鍵もかけたのに。自分の視界の外に誰かがいて、振り返ると私を襲うんじゃないのかって感じがして、そう疑うともうカラダが縮こまって、冷たくなってしまうみたいだ。

 それだけでも辛いのに、今度は昨日の這いずり虫の感覚まで復活して、また全身が気持ち悪さに包まれた。

 私は部屋中を転げ回った。この気持ち悪さから、何とか逃げようと頑張った。

 でも、無理だった。私が回る度に虫の数も視線の数も増えていって、そのうち耳鳴りみたいな、うるさくて嫌な音まで聞こえてくる。

 ふと右手を見ると、そこには真っ黒な虫が、本当に集まって動いていた。一匹一匹がムカデみたいに長くて、ダンゴムシのようにてかてかして、ゴキブリ以上に気色の悪い虫だ。

 自分の目がとても信じられなくて、左腕でごしごしと擦った後に見たら、虫はすっかり消えてしまっていた。

 でも、そのまま見つめ続けていたら、手のひらに段々黒いシミが浮き出てきて、それが虫になってまた動き出す。

 握りつぶそうとしても、指を握った隙間から這い出てきて、そのまま腕を駆け上がって、体に広がっていく。

 

「い、や、もういやぁ」

 

 私は首を振って、しゃがみながらぷるぷる震えていた。目を閉じて、耳を塞いで、何も感じないようにしようとした。

 でも、イライラも気持ち悪さも、心の一番奥底にまで入り込んできて、私を引きずり回す。

 苦しくて怖くて辛くって、どうしてこうなったのか、こんな最悪な思いをしなきゃいけなくなったのか、必死に考えた。

 突然、私の頭の中で何かがひらめいた。ひらめきって言うより、何かの方から私に近寄ってきたのかもしれない。

 

 『おかし』だ。

 

 

 

 

 

 あれを食べたら、私はとても気持ちがふわふわして、お兄さんに抵抗しようという気持ちも飛んじゃって、ただ気持ち良さに飲み込まれるだけだったけど。

 凄く、幸せだった。これ以上ないほどに気持ちよくて、お兄さんの道具にされることが、私の一番の幸せなんじゃないかって思っていたくらい幸福になれた。

 あれを、今、もう一回食べれば。この、死んじゃうくらいの気持ち悪さだって、何処か遠くに飛んで行くんじゃないのかな。

 ううん、そうだ。絶対そうなんだ。だって、あれは凄く幸せで、何もかもがどうでも良くなっちゃうような、そんな感じだったもん。

 この地獄から抜け出すにはそれしかない。欲しい、欲しい、『おかし』が欲しい。

 

 私は、いてもたっても居られなくなって家から飛び出した。途中、お兄ちゃんにもお姉ちゃんにも、様子が変だと言われて止められたけれど、そんなことはどうでも良かった。

 止まったって嫌な目線は見つめてくる。這いずり虫は体の中まで入り込んでくる。

 私はお兄さんの家に走った。あの時の帰りで道は覚えている。

 玄関の前まで来て、必死に背伸びしてインターフォンを押したけれど、お兄さんは留守だった。見ると、あの白くて大きい車が車庫から出てしまっている。

 でも、間違いない。お兄さんはこの街のどこかにいるはずだ。そうであって欲しいと思ったから、私は何の証拠も無いけれどそう考えて、私はまた走り出した。

 だって、私がこんなに『おかし』を欲しがっているんだから、お兄さんがそれに気づかないわけがない。絶対、私を捕まえようと――ううん、『迎えに来て』くれるはずだ。

 ああ、そうだ。そうなんだ。お兄さんは『おかし』を持ってきてくれる。苦しんでいる私を助けに来てくれるんだ。

 

 お兄さんはそういう人なんだ。

 

 そう考えれば、ちょっと前の私も、数日前の私も全力で反対するかもしれない。そんなことはない、あいつは私に乱暴をする、私を人とも思っていない、おちんちんを扱く道具としてしか見ていない。

 だから、それがどうしたっていうのか。

 少なくとも、この気持ち悪さを消してくれるなら、道具になっても、ボロ雑巾みたいに使われてもいい。こんなに苦しくて、嫌な気持ちが続くくらいなら、お兄さんに『おかし』を貰って、辛いのも嫌なのも悔しいのも悲しいのも、全部気持ち良さに飲み込ませてしまったほうが、絶対いい。

 

 後になって、『おかし』の効果が切れたその時、また後悔するかもしれない。自分で今の自分を嫌いになるかもしれない。

 でもやっぱり、こうして気持ち良くなりたい心と、お兄さんの元へ動く体は、全部本当のことなんだ。

 いくら自分に嘘をついても、自分はまともだ、って思い込もうとしても。

 あの時お兄さんのおちんちんで気持ちよくなっていた私だったり、今、お兄さんの好きにされたい私をごまかすことは出来ないんだ。

 私は、もうまともな女の子じゃない。

 おちんちんで気持ちよくなって、『おかし』を欲しがる、いやらしくて傷ついた女なんだ。

 いつの間にか、私はあの時、お兄さんにさらわれた路地へ来ていた。

 そこには、まるであの時みたいに止まっている白い車と、開け開いたドアの前に立っているお兄さんが居た。

 

「待ってたよ。そろそろ禁断症状が来る頃だと思ってた。なにせ、六個もあげちゃったし、それなら副作用も出るかなあって思ってさ」

 

 禁断症状。それが何かはよく分からなかったけど、多分この気持ち悪さのことだって、私は決めつけた。

 そして、そこから助けてくれるために、お兄さんはこうして待っていたんだと思って、とても嬉しい気持ちになった。

 スバルやギンガさんより、私はお兄さんに近づいている。なんて考えたら、急に胸がドキドキしてきたりもする。まるで、お兄さんと、お兄さんの持ってくる魔法の『おかし』に恋しているみたいに。

 

「あ、お兄さん、『おかし』っ、『おかし』っ」

 

 私は一目散にお兄さんへ抱きついて、お兄さんのズボンの、チャックのある辺りに頬ずった。それが、『おかし』をくれるならお兄さんの好きになるっていう、精一杯のアピールだった。

 頬で感じたそこは、とても硬くなっていた。お兄さんが興奮してくれていることは、とても嬉しい事だった。だって、気持よく出来て、そしたらもっと『おかし』を貰えるんだもの。

 

「ようし、もうすっかり『おかし』が大好きになったみたいだな。最初は生意気な顔で通せんぼしてたのにな」

 

 ふるふる、と一生懸命首を振った。

 もうそんな生意気な子供じゃありません、お兄さんの道具です、おもちゃですって、犬が尻尾を振って媚びるみたいに抱きついた。

 

「へぇ、そんなに『おかし』が欲しいのかい?」

「うん、うんっ、おかしほしい、ほしい、早くして」

「分かった分かった。素直になるとあっけないやつだなぁ。じゃあ、特別に、これだ」

 

 お兄さんは胸ポケットからビニール袋を取り出した。そこに入っていたのは、お医者さんが持っているような、小さな注射だった。

 

「これはね、『おかし』のもとなんだ。これをティアナの手首にお注射したら、どうなると思う?」

「……気持ちいい? 『おかし』よりずっと?」

「そうさ。でも、もう二度とこれ無しじゃ居られなくなる。お兄さんの言うことを良く聞かないと、今感じてる嫌な感じが100倍になって襲ってくるからね。それでもいいのかな?」

 

 考える余裕なんてなかった。もしじっくり考えていても、結局私は同じ答えを選んだと思う。

 

「いいっ! それより、『おかし』が欲しいの……言うこと聞くから、何でもやるから!」

「本当か?」

「うん、うんっ……だから、早くして、もう、もう駄目なの……見られてて、虫がいっぱいくっついてて、嫌な音が聞こえるの……もう、もういやっ!」

 

 そう言って、私は服をまくり上げて手首を出した。お兄さんはニタニタ――ううん、にっこりと優しく笑って、注射の針を突き刺した。

 

 そしたら、私の全部がひっくり返った。

 さっきまでのイライラが全部吹き飛んで、代わりに体全部が気持ち良さに包まれる。

 目の前が全部全部、キラキラ光って眩しくて、何の変哲のない路地から、天国に連れて行かれたみたいな気分だ。

 やっぱりそうなんだ。お兄さんは悪い人なんかじゃない。私をこんなに気持ちよくしてくれる、幸せにしてくれるお兄さんなんだから。例え悪い人であっても、『おかし』をくれるのなら構わないんだし。

 

「どうかな?」

「あ……ぅあ……あはは、あはははははっ、あはははははは!」

「おー、すっかり回ったみたいだな」

 

 私はおもいっきり笑った。はしゃぎ回った。気持よくて楽しくて、たまらなかった。

 『おかし』がこんなに気持ちのいいものだったって、あの時どうして気が付かなかったんだろう。

 そうだ。バカなのは、お兄さんの言うがままになっていたスバルじゃない。

 こんなに気持ちのいいことだって気づかなくて、お兄さんから離れようと意地を張っていた私なんだ。

 あの気持ち悪さは、そんな私への罰だったんだ。

 

 お兄さんが、私の背中に手を回す。

 あの時みたいに無理矢理押さえつけるんじゃなくて、優しく、エスコートするように抱き上げられたんだ、と感じた。

 多分私は、これから車の中で、沢山いやらしいことをされちゃうんだろう。

 もしかすると、お兄さんの家でも好き勝手に使われて、他の男の人にも使いまわされちゃうのかもしれない。

 でも、その分だけもっと『おかし』が貰えるんだから、それはとっても嬉しいこと。

 

「お兄さぁん」

「なんだよ」

「私の事、たくさん使っていいからね」

「ん、当たり前じゃないか。『おかし』のもとは高いんだから、その分楽しませてもらうから、頑張れよ」

 

 頭を撫でられる。嬉しい。

 もう何もかもがどうでも良くて、気持ち良かった。




お薬の効力はファンタジーです。リアリティなんて考えてません。
多分、これで終わりです。この後ティアナちゃんがどうなったかは自分で妄想してくだされ。きっとろくでもないけど幸せなオチになるんじゃないでしょうか。
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