空の橙色の色合いが、とろりと溶けていく。森林の中に存在する拓けた場所に建つ宿屋の風貌をした、その建物の前にある長椅子に座り少女は足を、ぷらぷらとさせた。もう直ぐ夕暮れだ。眩しいほど朱い夕日は明るく朱い彼の髪に似ていて、なんだか不思議な気分になった。ふうっと息を吹くと目の前に風で飛んできた何かの植物の葉が、ぴろりと空中で回転する。
カサリッ。
沈んでいく夕日に目を細めれば草を踏み潰す音が聴こえた。横を見上げると、ヘラリと顔を緩ました男がいて隣に座る。
「……ロコさん」
「はい、レソ」
名を呼ばれ、ロコは嬉しそうに顔の表情を緩め返事を返した。しかし、レソと呼ばれた少女は浮かない表情で彼の紅い瞳を見上げ呟く。
「……今からでも、シスターだけでも呼びませんか」
彼らと人を合わすべきではない。そう分っていても心配な存在の為には自分の知識にある頼れる人に助けを求めたかった。
「女将さんに任せれば大丈夫だって」
女将さんとは彼らの仲間、この宿屋の経営者だ。レソの知らない性別だけが合わさる存在。ロコが不安そうなレソの頭をポンポンと撫でる。
「……」
そうロコに頭を優しく撫でられると、レソは困ったように目尻を下げ俯く。
「……ワタシ、よくわかりません……。あのエレヒアって人がチーリを大切だっていうなら、ちゃんと医者かシスターに頼むべきです」
「僕達は人間に嫌われてるから」
「……」
レソの草色の髪を優しくすきながら、ロコは呟いた。
その重い意味を持った言葉。
わかっている。レソだって、わかっている。彼らが人と相容れない仲だと分っている。それでも言わずにはいられない。
「不安なんです……」
レソの力の無い発言に対し、ロコの口調は軽い。
「安全としたら、やっぱり女将さんを選ぶだろうさーああ、でも……」
ロコの動いていた指先が、レソの耳元や頬をかすめる。ゾクリとして、レソが首をすぼめると、ロコの身が近づく気配がした。
「レソが望むなら、レソの時は、そっちにしようか」
クイッと顎を上げられる。レソは小さく息を飲んだ。
眼前にいるは紅い瞳をした男。明るく朱い髪は沈みゆく夕日に照らされて綺麗で、とても目が奪われる。
硬直したレソの唇に口付けを落とすと、ロコはニヤリと笑った。
「相変わらず可愛いね」
真っ赤な顔のレソ。何も言えずにいると宿屋の方から泣き声が聴こえた。
レソは、ハッとして立ち上がり。ロコは残念そうに宿屋に駆けていくレソの後を歩いて追いかける。宿屋の一室、レソは声のする部屋に走り込む。
「チーリ! おめでとう、チーリ!」
汗だくのチーリの隣には布に包まれた声の発信源がいる。チーリが『大切』だと言った男、エレヒアの腕の中での泣き声。嬉しそうな、チーリの笑顔。
「ああ、ああ……感謝します……女神よ、感謝します……」
レソは、フラフラとそこに近づき泣き崩れた。
「二つの命をありがとう……ありがとうございます……」
泣きじゃくるレソ。
「よしよし」
遅れてやってきたロコがしゃがみ込み、うずくまり泣くレソの背中を撫でる。部屋内を埋め尽くす高い泣き声。
赤ん坊が産声を上げたのだ。
*
外の秋風がピタリッと止んだような気がした。
ばさりっ。
軋む寝台は空気に一度膨れ、シーツの上に舞った草色の髪が面積を埋めた。キョトンとした緑の瞳は、ぼんやりと眼上の者を映している。焦げちゃの髪、薄い茶色の瞳。街にありきたりな色、優しい色合い。だからだろうか、この状態が理解できない様子の女は反抗する事無く目の前の人を見つめた。
沈黙が生まれる。
眼前の男は腕に女の腰を抱えていて女は自分の尻が乗った男の太股に視線を向ける。ベットに倒れた上半身、男に乗った下半身。迫ってくる男の顔。視線を顔に向け元の位置に視線を戻すと眼前先、瞳が重なった。このまま睫毛が触れ合いそうだ。
何かを喋ろうとして唇が揺れる。が、熱気がそれを塞いだ。思わず息を吸い込み温かな空気が肺に入り込み。
「ん……んっ」
漏れた言葉は発音として外には聴こえず。生理的な唾液だけが口の中に、とどまった。
唾液が口の中に広がる。じわりじわりと熱を持って。
秋風の音も寝台の軋みも液体が舌に絡まる音に潰され、女は喉を鳴らした。
絡まる、絡まる、絡まる。舌が、男の舌が熱をもって絡まり。
――……熱い……
急激に起こなわれた行動に感情が理解できないまま女は瞳から一滴の液体を零す。優しげな変わらない男の瞳は安心感を与えるものなのに懺悔に近い感情が身体中に広がった。
カラーン……
コローン……
教会の鐘の音。
女はハッとしたように男を見つめた。男がソッと身を起こす。
「ああ、ペサが鳴らしたんだね。よく気の回る子だ」
――……ペサ……
混乱しながらも思い出す。ペサにミルク粥を神父に持って行く間、用意を任せてしまっていた。自分もしなければと身を起こそうとする女。
「レソ」
「叔父さん……」
ぎゅっと身を抱きしめられた。叔父の膝上で温かい熱を感じる。
「好きだよ、レソ」
「え……」
思考が停止する。
今、叔父は何て言った。
「好きだ」
叔父が腕の力を強くする。叔父がレソの首元に顔を埋めるので背後に自然と視界が開け机の上に置かれたミルク粥が見えた。窓から差し込む朝の光に、キラキラと温かそうな湯気が光っている。
「……変よ、叔父さん」
「変?」
「……うん、今日の叔父さんは叔父さんじゃないみたい」
レソは湯気の様をジッと見つめながら、ポツリ、ポツリ。
「きっと風邪のせい……」
「違うよ、僕は風邪を引いてない」
レソは耳に囁かれる言葉に眉をひそめた。
「……ワタシ好きな人がいるの」
「……初恋のほう?」
「ええ、ワタシ彼の事が……ロコが、ロコさんが今でも……」
「問題ない」
「……そんな」
レソは抱きしめ続ける叔父を退かそうと腕に力を入れ。僅かばかりの隙間から顔を横に向けて叔父を睨む。
「……叔父さんは叔母さんを愛しているの。ワタシもロコを愛しているの、それは、けして変わってはいけないことだわ」
「そう? なら君は、ロコを想い続けるといい」
「やめて」
――……叔父さんは知ってるの? ロコが死んだって、なんで……
首筋に埋まる叔父の吐息があたり皮膚に滑り気を感じた。
息が上がる。
「やめてっ叔父さん……っ」
身体を離そうと暴れ叔父の衣服が乱れた。むき出しになった首筋、白い肌に見える鎖骨。男のゴツゴツとした身体。そこにぶら下がる、シンプルな指輪がついたネックレス。叔父が毎日、首に掲げるのは女神への信仰を表す十字架ではない。無くなった妻への想いのはずだ。
「叔父さん……ワタシを叔母さんの慰めにするの?」
「……」
怯んだのだろうか叔父の動きが止まる。いや、叔父の肩が震えている。
――……泣いてる?
叔父から断続的に漏れる息づかい。
「ご……ごめんなさい……ワタシ……でも、でも、ワタシはロコが……」
「そう、そう、そうだね」
叔父の呟き。
「君は想って、ロコを想って僕をロコと思えばいい」
「いやっ」
叔父の背中や腕を叩く。
「そんなの、そんなの違うわっ! ロコじゃないっ! 叔父さんはロコじゃないっ!」
「見た目が違うだけだよ」
叔父が顔を上げた。
叔父の顔には笑顔が張り付いていた。
***
開けたままの窓から秋風が、ゆらりと入り込んだ。祝いの曲も鐘の音もなった。その内に二人の大人が現れない事を気にしだした子供達が覗きにやって来ることだろう。
「ほら、目を閉じて」
開けっぱなしの窓から秋風が入り込み目元を男の骨ばった手で隠された彼女は何かを求めるように口を小さく開け水中から投げ出された魚のように開閉させた。
汗を滲ませ桃色に色ずいた白い肌の中で、ぷっくりとした赤い唇が動くさまを見つめる男、神父は教会に似合う優し気な表情だ。顔に似合う素朴な瞳が、ゆらり、ゆらり。近づいた彼の顔は、レソに吐息を触れさせる。彼の吐息を放つ唇は彼女の肌を撫で頬が、ぴくぴくと反応を見せ。
「……ゃだ」
か細く呟いた。
「大丈夫、大丈夫だレソ」
小さく身体を震わすレソは喉から、ひゅーひゅーと息を漏らし彼の手が彼女の足を服の上から撫でるのを感じ身が、びくっと跳ねる。そんな魚の跳ね付きに表情を緩ませながら彼の手は長いロングスカートを下から、ゆったりと捲り上げていく。
「ぃやぁ……っ」
普段、肌を隅まで隠し黒く清廉なシスターの服装は、ほんの少しの動作で白い肌を見せるだけで正反対の卑猥なモノへと移り変わる。身を捩り逃げようと汗を垂らし寝台を乱しながら僅かな抵抗を見せるが彼女を固定させている神父の身は微動だにしない。
下地となる白いキャミソールごと上げられた黒い布は白い足首を晒し、ふくらはぎを見せ膝を押され寝台に付くと膝裏が見え。股元にはレース付きの白いフレアパンツが現れた。普段は単純な作りの白か茶色のフレアパンツを履いている、レソだったが誕生日という事もあって少しだけ良いのを履いていたらしい。太股から腰、腰から胸部へと撫でらかな凹凸があり汗ばんだ腹部に指先を押し込む。
「ぅう……」
戯れにヘソの穴を触り黒い布と白いキャミソールで玉になった胸部の下側に手の平を滑らせればレース付きの白い乳当ての間から汗が、だらりだらりと垂れている。
「止まって……お願い……」
「……そんなに嫌?」
ぬぷりと神父の小指は、ふくよかなレソの谷間に入り込み割れ目を作ろうと動く。
「だ、だめだもの……」
「本当に……?」
レソの谷間の汗で濡れた神父の指が丸みを伝い乳当てから出てくる。香ばしく温かな汗の香りが二人の鼻腔を擽った。
「だったら……僕を蹴らないと、ほら、この足で蹴って殴って大声を出して周りに知らせなきゃね」
「……っ、そ、そんなの……」
「どうしたの? ほら、そうしなきゃ……」
「っう……」
ごりっと神父の固いモノがレソのフレアパンツ上から押しつけられ。レソは、ごくりと喉を鳴らした。
「ふふ……良い方法を教えようか」
「っぁ……よ、良い……方法……?」
乳当ての上から手の平がレソの片胸部を包み、すりすりと動く。動くと内側から膨らみ始める敏感な中心部。
「さっきも教えた事だよ」
「さっき……」
「好きな相手の名を呼んで」
「それは……」
「レソは今から逃げて僕に罪を与えないと犯される」
「……っ」
レソが固まり先程よりも身を朱くし顔を横に振る。
「そんなの……無理よ……」
「それは、どっちの意味だろうか」
乳当てが強制的に引っ張られ大きな乳房が飛び出た。
「……成長したね」
「……もう、やだ、よ」
神父は固い下半身を押しつけながら顔を身を下げ、レソの乳房を口に入れて、やわやわと吸った。
「ひっ」
レソは温かく柔らかに包まれた自分の敏感な部分の感覚に身を固まらせ。乳首に触れる柔らかく弾力のある湿り気に、はっ、はっと息を溢した。舌は動き回り唾液を塗りつけて押して引っ張って、その刺激に、レソの息づかいは、どんどん上がっていく。
じゅう。
「ひんっ♡」
見えないが分かる。乳首が彼の口で吸われた。無意識に胸部が上がり、じゅうじゅうと吸われる度に甘い痺れにレソは口を緩く開けて自ら胸を突き出してしまう。
「んぅ……♡」
片側の乳房も温かな骨ばった手の平が触れた。もう目元は隠されていない。しかし、レソは瞼を開かずに無言で甘い息を溢すだけだ。抵抗らしい抵抗もしない。
くりくりと片側の乳房の乳首が神父の二本の指で擦り合わされ、ぴんと立たされる。レソの腰は無意識に揺れ神父の固い部分を刺激して自分の敏感な部分を気持ち良くさせた。
「……ぁ♡ ん……ぅ♡」
ちゅぽんっ。
「ぁんっ♡」
吸われていた乳房の先っぽが神父の口から抜かれ唾液で、てらてらと光っている。神父は両手で片側ずつレソの乳首を弄りながら腰を揺らした。押し付けるではなく上下に動かして擦る形で揺れ。レソは寝台の毛布を、ぎゅうっと握りしめて呟いた。
「……ロコさん」
一言呟いて気まずそうに唇を閉じるレソ。その唇に上から舌を伸ばし口紅を塗るように舌が撫で唾液で濡らした。レソの閉じた目元からポタリ、ポタリと水滴が流れ落ちていく。
「ぁ……」
「ほら……もっと呼んで……」
ぶるぶると彼女の唇が震えレソは声を上げた。
「……は、はは……っ、ぁは、ぁははっ、そうよ……ロコ……ロコさんだわ……今、私を抱くのは彼よ……!」
「ふ……ぁあ、そうだね。そうだねレソ」
神父の手が彼女の両膝をレソの顔横にしフレアパンツを尻下まで、ずらすと、その合間に顔を入れ込み割れ目に舌を伸ばし舐める。
「ぁあ……♡ ふぅ……♡」
ぷっくり膨らんでいる陰核を、ちゅっ、ちゅっと吸っては離し舌で唾液を広げ膣の中へと入り込む。
「ぁ、ぁううっ♡」
レソの腰が震え汗と愛液が下へと流れ落ちて寝台の上で染みを作った。
「ロコさぁん……♡」
瞼を瞑ったまま甘い声で名を呼ぶレソ。それを嬉しそうに眺めながら神父は腰を上げ取り出した固い肉棒を一気に入れ込んだ。
ぐちゅんっ!
「んぁぁっ♡」
レソの身が仰け反り、びくびくとしながら口端から涎を垂らす。ぎゅうぎゅうと神父の肉棒を締め付け彼の眉が、ぴくりと上がり歯を見せて低く笑い声を漏らす。
「く……くははっ」
神父の腰は動き上から下へと、でんぐり返し上のレソの股の間へ肉棒を繰り返し打ち付ける。
「ぁっ♡ ぁんっ♡ ぁあっ♡」
ぷちゅんっ、ぶちゅんっ、ぱちゅんっ、ばちゅんっ。
「ぁうっ♡ ろ、こ……しゃ……♡ ぁんう♡」
レソの足は自ら神父の腰に絡みつき快感を貪欲に求めた。神父は、レソにかぶさり両手で彼女の頬を挟み急性に唇を奪い。舌を口内へと入れ込んだ。
「んぅ♡ ……んっ♡ んんっ♡」
舌が熱く絡み合い、お互いの隙間から唾液が零れ落ちる。神父が、ぐりっと腰をレソに押し付けて身を震わせ、じゅうじゅうと舌を吸う。その動きにレソも応えたのだった。
***
あまりに遅いので、ペサは二人の寝泊まりする宿舎に足を向けた。
秋風が強い。
集まって騒ぐ子供達をなだめ出てきたが自分がいなければまた騒ぎだしていることだろう。
「神父様の風邪、酷いのかな……」
ペサは自分達の宿舎から少し離れた食堂の隣にある小さい二階建ての扉を開ける。一階は、ミシンやハンダコテや小物が置いてある物置のような工房のような所。二階は真っ直ぐ真上。短い階段を上がった先。
階段を上ろうとした時、キィと二階の扉が開いた。
「あ……」
神父が身を出し優しい瞳で、こちらを見下ろす。
「神父様、風邪は……」
「大丈夫ですよペサ、今行きます」
優しげな笑顔。ペサは瞬きをする。
「……あの」
「はい」
神父が扉を閉め下りてくる。
「シスターは……」
隣にきた神父を見上げて訊ねるペサ。
「シスターは昨日夜遅くまで縫い物をしていましたから」
そう言って、ミシンを見る神父。
視線の先には作りかけのポンチョが見えた。秋の今から冬の為に用意している衣服だろうか。ペサは、コクリと頷いて静かに部屋を出ることにした。
なんだか少しの違和感を感じたが、ペサはシスターに無理はしてほしくなかったので従う。
扉を閉める前にもう一度二階の扉を振り向いた。
その部屋にシスターが居ると考えるだけで、なんだかとても神聖な場所のような気がした。