ボイスロイド(の皮をかぶったサキュバス)との繁殖記録 作:放出系能力者
それから一晩かけて俺たちは互いを貪るように交わった。マキさん専用のホールド体勢でがっちりとしがみつかれ、昨日と同じく体位を変えることなく何時間もつながり続けた。
リクエスト通り、産道を解きほぐす。男性器の太さでさえきつく締め付けてくるマキさんの名器が、これから妊娠を経て新生児の通り道となるとは想像もつかない。だからこそ入念に拡げて慣らすため、激しくペニスを出し入れした。
そして栄養となる精気を膣奥へ注ぎ込む。精力剤の効果で射精しても勃起が持続するが、それは元気の前借のようなものだった。確実に体の内部からはエネルギーが消えていく感覚がある。
夢魔としての本領を発揮するマキさんに、俺は角責めで対抗した。そうでもしなければ絞り尽くされてしまう。角を口で愛撫する効果は絶大で、マキさんを簡単に連続絶頂させることができた。
互いに加減を知らない壮絶な攻防の末、つながった状態のまま失神する。そこから数十分間隔でどちらかが目を覚まし、再びセックス再開、中出し、絶頂、気絶の繰り返しとなる。
「あっ……おっ……」
時刻は翌朝の8時になろうとしていた。マキさんはもはや朦朧とした様子で短い鳴き声をあげることしかできなくなっている。しかし、両脚だけはいまだに俺を開放するつもりがないのか絡みつかれたままだった。
俺も似たようなものだ。条件反射のように腰をかくつかせているが、肉体的疲労は限界を超えていた。もはや苦痛でしかないにも関わらず、性交を終わらせたくないという気持ちが勝っている。マキさんの弱点であるポルチオに亀頭をぐりぐりと押し付けながら何度目かわからない射精をキメる。
「いつまでヤッとんねーん!」
膣内射精をしていると、ノックもなしに茜ちゃんとゆかりさんが部屋に入ってくる。射精と言っても、精液の量は雀の涙ほどだった。空撃ちするペニスが出ないものを無理やり振り絞ろうとびくびく震える。
「あかん。これじゃマスターが干からびる」
「まったく、あれだけ貞淑を訴えていたマキさんが一番精気を吸い取ってるじゃないですか」
救助の手が入った。茜ちゃんたちが俺とマキさんを引きはがしにかかる。だが、結合が外れかけたところでマキさんが暴れ出した。
「やらああぁ! ましゅたーくんのおちんぽぬいちゃやなのおおおお~!! エ゛ッ!!」
だが、ゆかりさんの当身一閃を首筋に受けたマキさんは即座に昏倒した。強い。ずるずると膣内からペニスが引き抜かれていく。肉棒の大きさ自体は勃起時とそれほど変わらない状態だったが、すっかり芯を抜かれてふにゃついている。
「くっさ! 肉壺にちんぽ漬け込まれて発酵してるやん」
どちらの汁かもわからない粘液とその臭気にまみれたちんこを、ゆかりさんが躊躇なく頬張って掃除していく。昏倒しているマキさんのまんこには茜ちゃんがぞんざいに栓を突っ込んでいた。
* * *
それから安定の気絶タイムだ。しかし、今回は長かった。実に丸1日近く寝込むことになる。もう薬はこりごりだ。
目が覚めるといつもの自室のベットの上だったのだが、掛布団の中にもう一人分のぬくもりがあった。恐る恐る布団をめくってみると、きりたんのつむじが見えた。
「えっと……どうしたのかな?」
体格的に予想はついたが、目覚めていきなり誰か自分のベッドに入って来ていれば普通に驚く。パジャマ姿のきりたんがもぞもぞと外に這い出てきた。
「この部屋はもともと私が使っていたんです」
今は俺が意識を持って夢の中で活動しているためこの部屋を明け渡しているが、それ以前はきりたんがここを自室として使っていたようだ。なので使用権は自分にあるときりたんは主張する。
「つまり、私が兄さまのベッドにもぐりこんだのではなく、私のベッドを兄さまが勝手に使っているだけなのです。勘違いしないでくださいね」
よくわからない持論を展開したきりたんは、威嚇するように頭の両サイドからじゃきんと包丁を生やして部屋を出て行った。照れ隠しと受け取っていいのだろうか。
当たり前だが特に性的なことをされた形跡はなく、ただ一緒に寝ていただけのようだ。添い寝するだけでも通常時より多くの精気を取得できるというし、コバンザメ的な理由で近づいてきたのだろう。
少し驚いたが問題はない。着替えて1階に降りるとマキさんと会った。ドキッとした反応をしたのは俺だけで、マキさんの方はこちらを心配するそぶりは見せるが動揺はしていなかった。
「マスターくんおはよー。もう体は大丈夫? 昨日は色々とごめんね……」
マキさんは体調に気を使っておかゆを作ってくれていたようだ。そう言えば丸一日経っているので、おなかがすいている。さっぱりとした梅粥はシンプルながら絶妙な味加減で匙が進んだ。物足りないぐらいだった。
こうしていると二日前の出来事が嘘のように思えてくる。今のマキさんとは別人のような乱れ方だった。行為の最中に交わした告白についても、快感に流されるままその場限りの言葉を口にしただけだったのではないか。自分自身の気持ちを明確にするためにも、今一度確認する。
「俺、マキさんのことが好きです」
「えっ!? あっ、はい!」
マキさんの顔が赤くなる。たぶん、俺の顔も同じようなことになっていると思う。自分でもわかるくらい熱くなっている。
「じゃ……ベッドに行く?」
「……なんでですか?」
「あっ、ここでしたいってことかな」
「いえ、そういう話ではなく」
服を脱ぎ始めたマキさんを止める。テンパっているのだろうか。その反応から見て、自惚れでなければ好意を持たれているものと思われる。だからこそ、妊娠させてしまった相手でもあるマキさんに対してこれまでのようにうやむやな態度を取るべきではないだろう。
「マキさんのことは本当に好きです。でも……ゆかりさんのことも、好き、なんです」
自分で言って最低だと思う。マキさんへの気持ちにしても肉体関係に端を発するものだ。世間一般の感覚からすれば責められてもおかしくはない。
「そっか。それを悩んでたの? 真剣に私たちのことを考えてくれるのは嬉しいけど、もっと気楽に考えていいよ」
「せやで。マスターは何も考えずにちんぽおったててくれるだけでえんやで」
いつの間にかぬるっと茜ちゃんが会話に入ってきた。おかゆを勝手に取り分けて食べ始めるが、熱かったのかずっとふーふーしている。
「いや、俺はそれでいいかもしれませんが……」
「私はマスターくんがゆかりんのこと好きでも気にしないよ?」
「ウチも別にそれでええねん。平等に愛してくれさえすれば。なんか遠慮してしょーもない理性を働かせてるみたいやけど、むしろそっちの方がもどかしいわ」
あまりにも都合よく事が運びすぎている気がするが、そもそも夢魔とは人間にとって都合の良い夢を見せるべく生まれた者たちだと茜ちゃんは言う。
「まぁな、マスターの反応は至極真っ当や。実は“都合の良い夢”なんて滅多にあるもんやない。思い出してみ? これまで見てきた夢って、大抵が意味不明か、不快な悪夢やなかったか?」
「そう言えば確かに……」
「悪夢の方が記憶に残りやすいからしゃーないけど、本当はもっと色んな夢を見てるんや。でも、すぐに忘れてまう。夢は満たされない欲望の発露。それが表層の意識にまで及ぶんはええことやないねん。普通は直接的に欲望を発散するような展開はなるべく避けて、曲折した映像の継ぎはぎみたいになる」
過ぎたるは及ばざるがごとし。剥き出しの欲望を夢の中でぶちまけようとすると、表層意識との乖離が大きくなり、かえって精神に負担がかかってしまうそうだ。夢の中であっても自分の好きなようにはできない。
この辺りの理論は現実の精神分析と共通する部分もあるようだ。俺とマキさんは茜ちゃんの話を聞いて感心していた。
「ウチら夢魔は、人間の夢に住まわせてもらう代わりに、人の夢を良い方向へと導く使命があるんや。一方的にちゅーちゅーする関係とちゃうんやで」
夢魔は悪い記憶が掘り起こされないようにして、欲求不満を取り除き、人の夢見を良くする。その対価として少しばかりの精気を得ているという。
「マスターの場合は特殊やけど、この話と無関係ではないで。暴走状態になって気絶するまでハッスルしてまうのは欲望の発散の仕方に支障がある証拠や」
強すぎる性欲を制御できなくなり我を忘れてしまう状態。一時的な快楽は得られても、結果的に負担が生じていることは確かだった。
「普通はそうならんように夢魔がフィルターを挟ませて処理するんやけど、マスターは自意識が強すぎてそれもできへん。そこでや、マスター自身にフィルターを作ってもらう必要があるとウチは考えた」
「ふぃ、フィルター?」
「欲望をモロ出しすんのがあかんねん。それを包み込むオブラートが要るんや。普通の夢はこういう処理が何重にもかかって曲折してんねんな」
この無意識の防壁(フィルター)によって夢、ひいては精神そのものが守られている。これは夢魔にとっても厄介なもので、邪魔なフィルターは除去しなければ夢に干渉することができないが、外してしまうと精神に悪影響が生じるものもある。防壁の解析や偽造スキルが必要となる。
「ま、ウチはこう見えてもベテランや。そして魔法薬のエキスパートでもある。ウチの最高傑作である葵も魔法薬の応用みたいなもんや」
茜ちゃんは俺のフィルターを解析し、精神を保護するための魔法薬を調合したという。ピンク色に輝く怪しげな小瓶を取り出した。これを使えば俺自身が自発的にフィルターを発動させ、暴走状態になることを防げるらしい。
「物は試しや。ほな、使ってみるで」
「え、ちょっと心の準備とか」
「はい、シュッと一吹き」
飲み薬かと思ったら、まさかの香水タイプだった。悪くはないが独特の匂いだ。嗅いだだけだというのに変化は劇的だった。
「なんか見た目が変わってるんですけど!?」
黒髪がドぎつい金髪に染まり、耳にはピアス、腕にはタトゥーが現れた。肌の色も日焼けサロンに通ったみたいになっている。鏡で確認したが、顔立ちとか体形は変わっていなかった。
「フィルターって心のオブラートみたいなこと言ってなかった?」
「せやで。元の真面目なマスターと、性欲の獣と化した暴走マスターとでは乖離が大きすぎるやろ? その中間を埋めるように、ええ感じに曲折させたんや」
「曲折ってそういう意味かよ!? しかも、見た目がいくら変わっても中身が同じじゃ意味がないっつーか……あれ?」
なんか今、口調がおかしくなかったか。いや、気のせいか。
「まあ、フィルターと言っても元々マスターの中にある人格を材料にして一時的に再構成してるだけや。違和感はないはずやで?」
「こんなチャラい格好するような人格なんて普段の俺とは似ても似つかないだろ」
「チャラいというか、イキった小学生みたいでかわええやん。人の精神には使われずに眠る無数の仮面があんねや。自分では気づかずとも、その場に応じて仮面を付け替えながら生きとるんや」
「ふーん……って誰が小学生だ!」
お仕置きも兼ねて茜ちゃんを抱き寄せ、尻を揉む。細身ながらむっちりと指に伝わる感触がたまらない。女の体を確かめるように指を這わせる。
「いや、やっぱりおかしくね? 俺がナチュラルにこんなことするはずが……」
「ええやんか~。なんもおかしなことなんてあらへんで」
茜ちゃんが俺の手を取ってスカートの中へと誘導する。パンツの感触があった。柔らかな布地を撫で、股の間に触れる。わずかにだが湿っていた。穴の入口を探り当てると、ぬちゃりと粘つく液が染み出しているのがわかる。
「うん、なんかもうどうでもよくなってきたかも」
深く考えるのは止めよう。薬のおかげか気持ちが軽くなっている。今まで悩んでいたことが馬鹿みたいだった。今の俺なら、有り余る性欲を自分の意思のもとに使いこなせる確信がある。
「おや、皆さんおそろいで」
だが、そこにゆかりさんが現れた。ダイニングで致していたところだったので突然の遭遇もおかしくはない。しかし、どこかバツが悪くなってとっさに茜ちゃんから離れてしまった。
「マスター、イメチェンですか?」
「お、おう」
「むうう~! ええところで邪魔しよってからに!」
「どうぞ。私に構わず続けていただいて結構ですよ。それでは」
何か用があったのかもしれないが、ゆかりさんは踵を返して部屋を出て行った。姿が見えなくなったところでため息を吐く。ねちょねちょする指をティッシュで拭きながら椅子に座った。
「ゆかりさんのことで、ちょっと相談に乗ってくれない?」
「ええけど、相談料はきっちりたっぷり出してもらうで!」
少し涙目になっている茜ちゃんに気圧されたが、話はちゃんと聞いてくれるようだった。