ボイスロイド(の皮をかぶったサキュバス)との繁殖記録 作:放出系能力者
目が覚めるとまたいつもと同じ部屋……ではなかった。ここは兄が使っていた部屋だろうか。家具や小物が女の子らしい雰囲気のものに置き換わっている。
倦怠感がまだ体に残っていた。完全回復はできなかったようだ。水を飲もうと部屋を出てリビングの方に向かうと、話し声が聞こえてきた。
「ゆかりんも茜ちゃんも軽率すぎるよ!」
「堪忍や、ウチも今回は悪ノリしすぎたわ」
「すみません、抜け駆けしてしまって……」
「抜け駆けとかそういうことじゃなくて! マスターくんの体をちゃんと気遣わなきゃダメってこと!」
俺のことが話題になっているようだった。入りにくい。だが、立ち聞きするわけにもいかず意を決してドアを開く。
「あっ、マスターくん。もう起きて大丈夫なの?」
「はい、なんとか……」
リビングにはマキさんと茜ちゃんとゆかりさんがいる。途轍もなく気まずい。先ほどの会話からしても、おそらく昨日の情報は共有されているだろう。一夜の過ちを犯した相手と再会する、こんなときどんな態度で接すればいいのかまるでわからない。
「あ~ん、マスター♡ 待っとったでー!」
ぐいぐい来た。猫モードとなった茜ちゃんがごろにゃんしてくる。それを隣にいたゆかりさんが笑顔で引き取った。笑顔だが、どことなくコワイ。
「事情は聴いています。災難でしたね、マスター。この色情魔がご迷惑をおかけして……」
「真っ先に童貞狩りしたビッチに言われとうないわー。ま、でも詰めが甘かったなぁ。本命ほっぽって男漁りになんて行ってるから出し抜かれるんやで」
「なっ!? そんなことしてません!」
ゆかりさんと茜さんが言い争いを始めるが、マキさんがテーブルを軽く叩くと静まった。夢魔たちの力関係が垣間見えた気がする。
「昨日のことは茜ちゃんに押し切られてはっきりと自分の意思を示せなかった俺にも悪いところがあったと思います」
「マスターが気に病むことは何もありませんよ」
「むっちゃ気持ちよかったで♡」
そう言われても、何やってんだ俺という自責の念は拭えなかった。特に、最後の方は完全に暴走してしまい、茜ちゃんが大変なことになっていた。あの暴走が今後も起こるとすれば対策も考えておかなければならない。
「あれなー。ウチの所見やけど、現実世界のマスターの状態が関係しとると思うんや」
現実世界の俺、つまり交通事故によって重傷を負っているかもしれない俺のことだ。茜ちゃんは暴走状態の俺との性交中、注ぎ込まれる精気と共にそこに宿る思念を読み取った。夢魔に備わる欲望を読み取る能力だ。
それは『子孫を残したい』という一念だった。生死の境をさまよう中で、生物としての原初の本能が呼び覚まされた。種の保存のため、雌を求める。一個の命が終わる前に次の世代へと種を残さなければならない。性欲の起源と言うべきその強い願望が顕在化した姿だと言われた。
「えっとつまり……マスターくんは私たちと、こ、子供を作りたいってこと……?」
マキさんの言葉が尻すぼみになっていく。俺にしても「はいそうです」と答えられるわけがない。
「わかりました。夢魔は宿主の欲望を叶える存在。マスターがお望みであれば御子を孕みます」
「いやいやいや!? そこまでさせるわけには!?」
ゆかりさんの躊躇ない宣言に動揺する。言葉では即座に否定したが、心の中には抗いがたい欲求が渦巻いていた。茜ちゃんの仮説がどこまで正しいかはわからないが、どうしようもなく性欲が高まっていることは確かだった。
「ウチもええで? 好きなだけ種付けして孕まして。てか、マスターにはその責任があると思うわ」
「せ、責任?」
「昨日のセックスでウチの体、もうマスター専用になっとるんよ♡ あない激しくずぽずぽ突かれてトロトロになったおまんこに精子でトドメさされてしもたんやで? 思い出しただけで濡れてきたわ。ハメパコろ?」
茜ちゃんが上気した表情で迫ってくる。その顔面にゆかりさんがアイアンクローを決めて阻止した。
「順番は守りましょうね」
「グエー! それを言うなら次はマキマキの番とちゃうんか! なあ?」
「ひゃいっ!? だからそういうことは控えなきゃダメだってば!」
「そ、そうですね。俺もマキさんの意見に賛成です」
実際、これまでのセックスで精気を吸い取られて何度か気絶しているが、かなり命を削っている感覚があった。行為の最中は死んでも本望と思うくらい気持ちが昂ってしまうが、冷静になって考えればもちろん死にたくはない。
ヤリたくないわけではない。だが、その欲求のままに節操なく性交を繰り返せば取り返しがつかないことにもなりかねない。ゆかりさんたちの気持ちに関わらず、自制心は必要だろう。
「確かにマスターの安全が最優先ですね。この件についてはまた後で話し合いましょう。私はこれから少し用があるので外出します。今日は戻らないかもしれません」
「なんや、男か?」
「違います。この近辺で『獏』の目撃情報がありました。念のため、詳しく調べてきます」
獏(バク)とは、夢を食べる空想上の生物のことだ。長い時間を生きた夢魔は強大な精気と魔法を身につける。力を持った夢魔の中には、入り込んだ夢を自分勝手に食い荒らし、宿主の精神に影響を及ぼす者もいるという。それらを指して『獏』と呼ぶ。
「マスターの夢の入口はウチとゆかりんが隠しとるから見つかることはないで。安心しいや」
「マキさん、マスターのお世話をお願いしますね」
「うん、任せて」
ゆかりさんが昨日、家にいなかった理由は情報収集のためであり、他の男の夢で遊んでいたわけではなかった。それは良かったが、危ないことをしているのではないかという別の不安が生まれる。
「ゆかりさん、その、気をつけて」
玄関でゆかりさんを見送る。もっと他に言いたいことが頭の中でぐるぐると回っていたが結局、当たり障りないことしか言えなかった。
「大丈夫ですよ。私もこう見えて獏級の実力はありますから。マスターの方こそ気をつけてくださいね。不用意に茜さんに近づいてはいけませんよ」
ゆかりさんは笑顔で答える。俺が愛想笑いでお茶を濁していると、ちょいちょいと手招きしてきた。顔を近づけ、ひそめた声でささやく。
「私が帰ってくるまでエッチなことを我慢できたら、明日ごほうびをあげます」
急にそれまでの真面目な態度を一変させた、とろけるような甘い声が響く。
「体調に障らないように私がきちんと気をつけます。その上でマスターのしたいことは何でもさせてあげます。ただのセックスじゃない、その先のことだって」
「それって……!」
「私と赤ちゃん作りたいですか……? なら今日はいっぱい我慢してくださいね。その方が気持ちよくなれますから。私、マスターのこと信じてます」
そう言うとゆかりさんは俺の頬に一つキスをした。
「では、行ってきますね、マスター」
小さく手を振り、はにかんで玄関から出て行くゆかりさんを放心状態で見送った。ほっぺにチューされただけで天にも昇る気持ちになっている。もてあそばれているとわかっているのに逆らえない。
ゆかりさんとまたエッチできる。それも快楽のためだけの性交ではない。男女の営みとして新たな命を育む行為を。考えただけで勃起が止まらなくなっていた。トイレにこもって静まるのを待ったが、かなりの時間を要した。
数日前まで女っ気の欠片もなかった男子高校生のキャパシティを遥かに超えている。取り乱すのも仕方ないと、誰に対して行っているのかわからない言い訳を延々と考えていた。
* * *
時間の流れを今日ほど遅く感じたことはない。遅々として進まない時計を見て神経が尖る。まるで早く明日にならないかと遠足を心待ちにして眠れない子供みたいだ。俺の理由は比べ物にならないくらい不健全だが。
気を紛らわせるために掃除でもすることにした。幸い、俺の部屋は掃除する必要がある悲惨な状態になっている。葵ちゃんの後片づけが残っていた。
俺が自分の部屋ではなくマキさんの部屋に寝かせられていた理由もこのためだ。葵ちゃんの成れの果てであるゲル状物質は室内全域に飛散し、噛んだ後のガムよりしつこくこびりついている。
茜ちゃんに言えばすぐに片づけてくれるだろうと思っていたが、掃除の魔法は覚えていないので使えないらしい。
結局、掃除の魔法を使えるマキさんに手伝ってもらったのだが、それでも一日では片づけきれなかった。精気の消費の問題もあるのでマキさんにばかり負担をかけられず、部屋の清掃は数日をかけて進められる予定になった。
「ごめんね、マスターくん。しばらくは私の部屋を代わりに使っていいから」
元はと言えば茜ちゃんが原因なので、そこまでマキさんが気を遣うことはないと思ったのだが、では茜ちゃんの部屋を代わりに使えばいいのかと言うと、それはそれで色々と問題があるので妥当な措置だったのかもしれない。
掃除に限らず、マキさんは家事をよくこなしてくれるので、俺はお礼に今度はマキさんを手伝うことにした。恐縮して断られたが、どうせ他にやることもないと押し切った。
「じゃあ、野菜を適当に切ってもらっていい?」
食事の用意という毎日の見慣れた光景ながら、マキさんがいるだけでキッチンは華やいでいるように見える。これまで家事の手伝いなんて渋々言われた通りに従うばかりだったが、これなら毎日でも自分から率先して手伝いたいと思ったくらいだ。
「えへへ、良かった。マスターくんが優しい人で。私ね、ずっとマスターくんに伝えたいと思ってたことがあるんだ」
マキさんは鍋をかき混ぜながら何でもないことのように話す。彼女は夢魔として生まれてまだ日が浅い。夢魔は人間よりも遥かに長い寿命を持つ。ゆかりさんたちとあまり変わらないような年齢に見えるが、実際はかなり年が離れているらしい。
「夢の入口を見つけるのも、そこで精気を得るのも経験を積まないと難しいんだ。未熟な夢魔は旅の途中で力尽きてしまうこともある。私もたぶん、ここにたどり着けていなかったらそうなってたと思う」
俺の夢を最初に見つけて住み始めたのはマキさんらしい。ここは夢魔にとって居心地のいい環境のようだ。精気が充溢しており、滞在しているだけで生きていくのに必要なだけのエネルギーは賄えるという。
「ありがと、マスター。私から恩返しできることはあんまりないかもしれないけど……私にできることは何でもするから遠慮なく言ってね」
少し照れ臭かった。特に自覚もしていなかったことだ。マキさんたちが精気を吸ってくれていたから有り余る性欲を爆発させずに済んでいたのかもしれないし、互いに持ちつ持たれつの関係だったとも言える。
「そう言ってくれるだけで十分ですよ。ただ性欲が人より強かったってだけですし、あんまり誇れるようなことでもありませんし……」
「そんなことないよ! 私たちみんなマスターに感謝してるんだからね!」
何がしかでも人の役に立てて、心のこもったお礼を言ってもらえることは気持ちがいい。しかもそれが可愛い女の子からもらった言葉なら喜びも一層だ。
誰しも誰かに認めてもらいたくて、人のためになることをしたいと思うのかもしれない。マキさんが進んで家事を引き受けていることも、それを俺が手伝いたいと思ったことも。
不慣れな手つきで包丁を振るっているが苦に思うことはなかった。ほんわかした雰囲気で、マキさんと料理することを楽しんでいる。こういうのでいいんだよ。ゆかりさんも茜ちゃんも普通の高校生相手に160キロのストレートを投げないでほしい。
「マスターくんが手伝ってくれたから一段落ついたよ。じゃあ……おっぱい揉む?」
唐突に、何の脈絡もなくメジャーリーガー級の剛速球が飛んで来た。
「だって、ずっと胸見てるから触りたいのかなーと思って……」
確かに見てました。マキさんの発育したその部分に視線が吸い寄せられていた。同年代でここまで胸が大きい女子は見たことがない。育っているからこその弦巻マキという配役なのだろう。
しかもマキさんの衣装の胸元はかなりきわどい。バニーガールのレオタードっぽい造りだ。どうやってその構造で大きな球体を支えているのか謎である。少しでも激しい動きをすればこぼれ落ちそうだった。
その衣装の上からエプロンを着ているので肌の露出は抑えられているが、それでも凄まじい破壊力のあるサイズだった。脇のあたりから横乳が少し見えているのも目が離せない要因の一つだ。
見るだけなら別にわからないだろうと自分では思っていたが、しっかり気づかれていた。女性は自分の体を見てくる男の視線に敏感だと聞いたことがあるが、それは本当だった。素直に謝罪です。
「謝らなくていいよ! 男の子だからそういうことも、あるよね。私は全然平気だよ。触りたいときは遠慮なく触っていいからね」
てっきりマキさんはエッチなことは苦手なのだろうと思っていたので、この態度の急変にはこちらも戸惑いを隠せなかった。
「マスターくんの体に負担をかけないことも大事だけど、我慢のし過ぎも毒だと思うの。だから落ち着かないときは疲れない範囲で、適度に発散させることも必要でしょ?」
俺の性欲の発散のために胸を触っても構わないと言ってくれている。だが、おっぱいを揉んだら性欲が消えてなくなるなんてことがあるだろうか。むしろ逆効果だ。余計に収まりがつかなくなるに決まっている。
しかし、マキさんはそのあたりの男の心理がわかっていないようだった。本人はいつもの笑顔で平然を装っているつもりらしいが、顔が真っ赤になっている。もちろん、お言葉に甘えて揉ませてもらうわけにはいかない。
「そうなんだ。でも、気分が変わって触りたくなったらいつでも言ってね」
マキさんはかなり恥ずかしがっている様子だった。だが、嫌ならそもそもこんなことを言ってくるだろうか。マキさんの胸に手を伸ばす。その光景を何度も頭の中で想像した。
犯罪的だ。許してくれるからと言って、許される行為だろうか。しかし、普通なら決して手が届かないものだからこそ心を突き動かされるのかもしれない。
結局、それから料理が終わるまで二人でキッチンにいたのだが何事もなかった。ただ、俺の心中の葛藤だけは大きくなっていた。
* * *
ごはんができたので夕食の運びとなる。配膳していると、ダイニングに茜ちゃんときりたんがやって来た。
「マスターの席の隣はウチがもろたで!」
「……」
「きりたん、ごはんの時はゲームしまいなさい」
テレビをつけると報道番組が映った。ちゃんとテレビも使えるのかと思ったのだが、よく観ると変だ。コメンテーターが何か喋っているが、指示語ばかりで全く話の中身がわからない。
「夢やからなぁ。マスターの無意識の断片から適当な映像が使われてるだけや。でも、衛星放送で夢魔TVは視聴できるで。ごはん時にお茶の間で流せるような内容やあらへんけどな」
興味はあるが観るのは止めておこう。食事が始まると、茜ちゃんが椅子をくっつけてきた。
「食べにくいんですが……」
「ウチがあーんして食べさせたるで。童貞くんはこういうの憧れるんやろ?」
もう童貞ではないと言いたかったが、からかわれるだけなので黙っておいた。卒業したと言っても夢の中の話にすぎない。茜ちゃんがエビフライをぐいぐい口元に押し付けてくる。必然的に体は密着した状態だ。
「はい、あ~ん♡」
口元が油でぎとぎとにされるので仕方なく食べさせてもらった。嬉しいけど、恥ずかしい方の気持ちが強い。それにきりたんがじっとりとした視線を向けてくるので落ち着かない。
「次はマスターの番やで? ウチの下の口に極太エビフライあ~ん♡してぇ、タルタルソースみたいな濃いの出してほしいわぁ」
飯時だろうとお構いなしのド直球の下ネタだった。マキさんは赤面し、きりたんは絶対零度のまなざしになっている。これ以上、茜ちゃんの好きにさせるのはまずい。
「茜ちゃんっ! マスターくんが困ってるでしょ!」
「固いこと言わんといてな。せや、マキマキも一緒にしよか?」
「ええっ!? わ、私も!?」
「おもろい遊び思いついたで。名付けて『穴比べゲーム』! ウチとマキマキで交互に1ハメずつマスターに犯してもらうんや。一回突っ込んだら引き抜いて、隣のまんこにインサート! それを繰り返して先に中出しさせた方の勝利やで。こんなん思いつくなんてウチ天才かもな」
ものすごく頭の悪そうなゲームだが、ものすごく股間に響いた。少なくとも今は椅子から立ち上がることができない状態にされてしまった。
「なんやマスター、もっと喜んでもええんとちゃうか? 女二人、いっぺんに種付けできるチャンスやで?」
「うっ、い、いや俺は……」
「『穴比べゲーム』のネーミングセンスが気に入らんかったら『大乱交アナシュッシュシスターズ』でもええで」
「ちょっと笑わせにくるのやめて」
実際は軽口を叩いている余裕もないほど冗談では済まない状態だ。茜ちゃんからの誘いだけでなく、マキさんの反応が拍車をかけている。
「……」
うつむいて何も言わないのだ。こんな提案、いつものマキさんなら即座に却下しているはずだ。つまり、消極的な肯定ではないのかと勘ぐってしまう。
何と切り返せばいいのか頭を悩ませている俺に対して、事の発端である茜ちゃんはのんきにテレビを眺めている。まるで猫のようなマイペースさだった。テレビ番組は面白い内容でもないだろうに、やけに食い入るように見ている。
つられてテレビの方を見ると、先ほどまで政治家っぽいおじさんばかりだった討論会が少し変わっている。なぜか複数の俺がテレビ番組の中で激論を交わしていた。
俺A『どうして他の女の子に目移りする必要がある!? 俺にはゆかりさんがいるじゃないか! 今日だってゆかりさんと約束しただろ! ここは断固として拒否するべきだ!』
俺B『綺麗事ばかりぬかしやがって、テメェそれでもチンコついてんのか!? 男だったらハーレム一択! 自分に正直になれよ!』
俺C『マッキさんのおっぱい! マッキさんのおっぱい!』
俺D『ここにきりたんを愛でる会を作ろう』
これは放送しちゃいけないやつじゃないか。急いでリモコンを探す。
俺B『だがまぁ、ここで断るという選択にも一理あるか』
俺A『そうだよ! もっと誠実に生きよう!』
俺B『とりあえず今日は我慢しておけば明日ゆかりさんと無事に合体できる。どうせ茜ちゃんはいつ誘っても股を開くだろうから、その後でたっぷり楽しめばいいんだ』
俺C『マキさんのおっぱいチャンスは!?』
ウワアアアアアア!! 俺は全速力でテレビの電源を落とした。茜ちゃんはその様子を見てにまにま笑っている。
「へー、マスターにとってウチは都合のいいカキタレ扱いなんやなぁ」
「ま、待ってくださいよ。俺こんなこと思ってませんって」
「無意識の心の声とちゃうの~? まあ、ウチは別にセックスできるならかまへんけどな? ゆかりんはあれで独占欲強いとこがあるからなぁ。これ知ったらなんて思うんやろなぁ」
もう夕飯どころではなかった。必死に弁明していると、早々に食事を終えたきりたんが席を立った。俺へ向けるその視線は、ついに汚物を見るようなレベルになっている。辛いが、これが正常な女子の反応だろう。
マキさんは相変わらずうつむいたままだった。食事にもほとんど手を付けていない。しかし、そこでどうにも様子がおかしいことに気づく。
「どしたん、マキマキ? 具合悪いんか?」
「ん、大丈夫……」
明らかに大丈夫そうではなかった。茜ちゃんが確かめたが、少し熱があるようだ。夢魔も風邪をひくのだろうか。