ボイスロイド(の皮をかぶったサキュバス)との繁殖記録 作:放出系能力者
「ひゃあっ、ぬるぬるが入ってくる……!」
「葵が見た映像はウチのスマホに送信できるで。でも、画面がちっちゃいなぁ。せや、テレビ画面に出力しよか」
茜ちゃんがスマホを操作する。マキさんの体内へと侵入していく葵ちゃんの内視鏡映像が大画面に映し出された。穴を掻き分けて奥へと進んでいく。
「うわ、めっちゃ精液こびりついてるやん……」
『クサソウ!』
「事後感丸出しの子宮口が見えてきましたね。念入りに精子でマーキングされちゃってます」
「言いたい放題!?」
子宮口が画面に映る。残留した白濁液にまみれ、時折ひくつく環が見える。その中心のくぼみからは、マキさんが出した粘液が微量に漏れ出ている。カメラはその中心部へとクローズアップされていく。
「えっ、いや待って! まさか……その先に入ろうとしてない!?」
「当然やろ。調べるからには徹底的にせな」
「無理だって! そんな小さな穴に入るわけないって!」
「大丈夫や。ウチもやったことあるけど別に何ともなかったわ。ちょっこっとガバるだけや」
「やーめーてー!!」
針の孔のような細い通路を潜り抜けると少し開けた空間に出た。ここが子宮の内部だろうか。想像していたよりも狭い。ここで新たな命が育まれるのかと思うと神秘的なものを感じる。特に異常は見られなかったため、茜ちゃんはカメラの倍率を上げていく。
「顕微鏡並みの映像を魔法で再現するとは。さすがですね」
「せやろ~?」
倍率とかいう次元じゃない。細胞の世界が明らかとなる。流れに逆らうようにして液中を泳ぐ小さな影が見えてきた。これが精子なのだろうか。子宮内部にまで入っていたのか。群れを成して泳いでいる。
「元気そうにピチピチ動いてるなぁ。邪魔したらあかんで、葵ー」
『リョーカイデス!』
さらにカメラがズームされ、細部まで見て取れるようになった。教科書で見たような、オタマジャクシに似た形をしている。長い鞭毛を忙しなく動かすその姿は、正直に言って虫みたいで気持ち悪かった。
それがうじゃうじゃと集まっているのだ。もし俺が女だったら絶対にこんなものを体の中に入れたくない。だがその気持ち悪いものは紛れもなく俺が作り出したものであり、マキさんの中へと注ぎ込んだものだった。
別に子供を作るという行為自体には善も悪もない。目の前に見える光景は大人になれば多くの人間が経験することだ。それに対して背徳的な感情を抱いてしまう自分が嫌だった。マキさんは一体どんな気持ちでこの映像を見ているのだろうか。その表情を確認する勇気はなかった。
「全然、前に進みませんね」
「まあ、ミクロの世界は大変なんやろ」
精子たちはばらけずにまとまって進行している。てっきり我先にと競争するのかと思っていた。
「競馬みたいにこれを賭けにしたらおもろないか? 一番ザーメンドビュッツアー! みたいな感じで名前つけて」
「テレビ局に企画持ち込んだらどうです?」
団体行動している理由はすぐにわかった。子宮内部の粘膜は異物を排除しようとしているのか、外側に向かう流れがあり、奥には進みづらくなっている。精子たちは一丸となってその流れに逆らい、道を切り開いているようだ。
後方には脱落した精子が何匹も残されていた。まだ動いてはいるが、運動能力が落ちて群れについていけなくなっている。粘膜の表面に絡めとられて置き去りにされていた。
多くの犠牲を出しながらそれでも前に進んでいく。この前はマキさんとのセックスを鮭に例えたが、まさにそれを彷彿とさせる光景だった。
「でも、こんだけ頑張っても肝心のゴールにたどり着けななぁ」
「あるんじゃないですか、ゴールが」
「……やっぱゆかりんもそう思うか?」
「探してみる価値はあるでしょう」
何やら二人は意味深な会話をしている。そこから映像が高速で流れた。葵ちゃんが移動したようだ。カメラが高倍率のため実際には数センチほどの移動でも飛ぶように映像が流れ去っていく。やがて、巨大な影が現れる。
「マジであったで」
先ほどの精子と比べれば惑星のような大きさ、というのは大げさだが、そのくらいの迫力がある。ゼリー状のもやもやした膜に覆われていて外観は球体に見えなかった。これが卵子か。だが、聞いていた話と違う。ゆかりさんに視線を向けると少し焦っているように見えた。
「夢魔に生理はないと聞いていたんですが……」
「なんやマスター、知っとったんか? その通りや。と言いたいところやけど、ここに例外ができたみたいやな」
どうやらゆかりさんが言っていたことは嘘ではないようだ。つまり、マキさんが特殊な事例ということになる。夢魔が妊娠するなんて話は茜ちゃんも聞いたことがないそうだ。
「原因はマスターの影響、としか考えられへん。こんな『夢患い』を見るのはウチも初めてや」
夢魔は夢の世界からの干渉を跳ね除ける抵抗力を持っているが、極度に衰弱した状態などでは肉体に影響を受けてしまうことがあるそうだ。それら夢から受ける影響は総じて『夢患い』と呼ばれる。
「まあ、それでも情緒不安定になったり吐き気とかめまいとか、その程度の症状でしかない。排卵させるとかもう別次元の症例やで」
ゆかりさんや茜ちゃんとも行為には及んだが、このような結果は起きなかった。マキさんの場合は軽度ながら精気欠乏を起こして抵抗力が落ちていたため特に影響を受けてしまったものと考えられる。
「滅多にない機会や。マキマキ、もうここまできたら最後までいこか」
「……え? なにが?」
「合体や!」
心ここに非ずという表情で茫然としていたマキさんとは対照的なテンションで茜ちゃんが叫ぶ。スマホを使って葵ちゃんを操作する。漂っていたマキさんの卵子が捕捉された。おそらく精子が侵入している子宮の方へと運ばれている。
「人の体内でなにしてんの!?」
「人工授精ですね」
卵子に精子が群がっていく。まるで細胞を捕食しようとするバクテリアの群れだ。その精子の一つ一つに、何と葵ちゃんが乗っている。ミクロサイズの葵ちゃんが精子を運んでいた。
『ソイヤッ!』『ソイヤッ!』
葵ちゃんたちが卵子の表面に精子を叩きつけていく。精子の弾頭をめり込ませるようにぐりぐりと押し付ける。しかし、力が強すぎたのか、葵ちゃんに握りつぶされて受精を果たす前に精子たちは中身の染色体をぶちまけてしまった。
「なにしてんねん! もっと優しくしたれや!」
『メンゴメンゴ』
「問題はそこじゃないって! ストップ葵ちゃん!」
だが、代わりの精子はいくらでもある。最初の特攻により抉れた箇所に、次の精子が撃ちこまれていく。卵子表面の分厚い層を掘り進んでいくと、また別の層が現れる。精子の先端部分が接触すると反応を起こしてわずかに溶けているようだった。次々に犠牲を出しながらも確実に進攻されている。
「ストーップ! スト…」
『ソイヤーッ!』
そしてついに一匹が大願を果たした。先端が膜の内側へと潜り込む。鞭毛をびちびちと激しく動かし、膨張した頭部から内容物を卵の中へと振りまいていく。遺伝子情報が受け渡される。
「あ……」
『ミッションコプリート!』
受精したことで不要な遺伝子を入れないように卵子の表層が変質していく。次々にたどり着く精子はもはや先へ進むことはできず、進攻途中だった精子は膜の中に閉じ込められていた。その残骸が散らかる中、無数の葵ちゃんたちが受精卵を囲み、ハイタッチを交わして喜んでいる。俺は何を見せられているのだろう。
そして受精したことを知らせるようにマキさんの下腹部に現れていた淫紋が変化した。子宮型のデザインの中央にハートの模様が新たに追加されていた。
* * *
騒動はひとまず落ち着き、夜になる。その後のマキさんは笑顔だった。しかしそのいつにもまして明るい笑顔が、決してポジティブな感情の表れではないことは明らかだった。目が笑っていない。
「ごはんできたよ~」
本日の夕飯は、うな重とカキのバター醤油焼き。とてもおいしそうだ。そしてとても精がつきそうなメニューだった。これから精が尽きそうな展開になる気がする。
「いっぱいおかわりしていいからね、マスターくん」
「は、はい」
余談だが、夢魔もこうして人間のように食事をする。食材は外から買ってくるのではなく、夢の中で作られる。宿主の記憶から呼び起こされたものだ。だからうちの場合も、冷蔵庫の中に勝手に食材が補充されている。
食欲もまた人間が生きる上で切っては切れない欲求である。その欲望を夢の中で解放する手段が料理というわけだ。おいしいものを作り、ふるまい、食事を共にすることで夢魔は精気を得ることができる。
だが、この料理には高度なスキルが要るらしい。性欲の解放とはまた別種の技術である。マキさんは何気なく料理をしているようだが、茜ちゃんやゆかりさんには真似できないことのようだ。
ただ、手間がかかる割にこの料理と食事によって得られる精気は少ない。精気は性欲の解放に付随しやすい性質があり、セックスの方が遥かに多くの精気を簡単に得られるため、料理を覚える夢魔は少数らしい。
「マキマキの手料理は最高やな!」
「いいお嫁さんになれますね」
夢魔二人は、今日は特にマキさんの手料理を絶賛している。昼間にマキさんをオモチャにして遊んだことを気にしているようだ。さすがにやりすぎたという自覚はあるらしい。
「はい、マスターくんにはこれ」
マキさんは終始にこやかな表情だった。食後に栄養ドリンクのような瓶を差し出される。ラベルには夢魔が使う読めない文字が書かれていたが、いきり立つ男根のイラストを見れば効能は何となく理解できた。
これは夢の中の産物ではない。この家の外からマキさんが持ち込んだブツのようだ。
「『夢魔ーケット』で買える媚薬やな。安物やけど魔法薬やから効果は保証するで。今夜はバッキバキや」
「夢魔の世界にも街とかお店があるんですね」
「店はあるで。定住できるような場所はないから街はないな。お金は精気を貯めておける魔法合金でできてんねん。その変換効率のせいで貨幣経済ガバガバやけどな」
「へぇ~……」
茜ちゃんとのおしゃべりで話をそらそうと試みたが、マキさんの無言の圧力からは逃れられない。
「ま、何にしてもマキマキのご懐妊はめでたいことや。うちらとしても興味は尽きへんし、応援しとるで。マスターも男なら精力剤ぐいっと飲み干して、今夜はしっぽりぐちゅぐちゅマキマキと愛を育むべきとちゃうんか?」
「そうですね。母子ともに健康であるために、マスターから精気をもらって今後に備えることも必要でしょう」
茜ちゃんはともかく、ゆかりさんまで飲むように促してきた。このままの流れだとマキさんと行為をすることになりそうだが、ゆかりさんは構わないのだろうか。それほど気にしている様子はなかった。
結局、飲まないという選択肢は始めからなかった。味はクソまずかった。もろに薬品っぽいケミカルな味がした。口直しにマキさんの料理を食べさせてもらう。
先に入浴させてもらうことになった。夜の9時前だが、今から事を始めることになりそうだ。マキさんの準備が整うまで部屋で待つことになる。その間、色々と考えた。
マキさん自身、昨日の今日で本当に自分が身籠ることになるとは思っていなかったはずだ。あまりそのことについて踏み込んだことを聞けずにいた。男である俺には理解できないことかもしれないが、勢いで妊娠させられてしまったことをマキさんはどう思っているのだろうか。
「お、おまたせしました……」
マキさんがおずおずと入室する。お互いに緊張していることは明白で、特にそれ以上の会話というものもなく、二人して服を脱いで裸になった。頭の中では色々考えていたが、もう下半身は臨戦状態になっている。
じわじわと媚薬の効果が現れ始めていた。今日はゆかりさんと2回もしたのにまだできそうだった。ほぼ一日のスケジュールがセックスで埋まりそうな勢いだ。
「じゃあ、しよっか」
マキさんはベッドの上で仰向けに寝転がると、持参してきた何かの容器を秘所にあてがった。ドレッシングみたいな容器の先端を膣口に差し込む。何をしているのかと戸惑ったが、ローションを膣内に入れているらしい。
「私、セックスが下手だからこういうの使わないとうまくできなくて……」
昨日の性交では自然に挿入できたが、いつもはこうして潤滑剤を使わないと挿入すらままならないのだと言う。膣痙攣の一件でも思い知ったことだが、マキさんの穴の締まりは尋常じゃない。緊張すると特に挿入が困難になってしまうそうだ。
なかなか入らないモノを無理やり突っ込まなければならないのだから気持ちよくはないだろう。夢魔として膣内射精されることは望んでいるのだろうが、そこに至るまでの過程はマキさんにとって好ましいものとは言えないのかもしれない。
「でも、昨日のマスターくんとのエッチはすごく気持ちよかったからね! だから昨日みたく、私のことは気にせずに好きにしてくれていいから」
と言われても遠慮なくできそうにない。そこで一つ提案してみた。今日のゆかりさんとのエッチで学んだことだが、俺がオナニーで射精直前までもっていき、そのタイミングで挿入して膣内射精だけすれば最小限のセックスで済むのではないか。
「ええっ? そ、そう……マスターくんがそうしたいなら構わないけど……」
ただ、こちらの意図がうまく伝わらなかったのか、俺が特殊な性癖をこじらせてしまっているかのような受け取られ方をされてしまった。ともかくマキさんは了承する。
マキさんに見られながらオナニーする。股を開いて待っているマキさんをオカズにシコる。自分から言い出したこととはいえ、いくらでも触れられる性の対象が目の前にありながら、一人で事を済ませようとしている状況がもどかしい。
「やっぱりこんなの変だよ。マスターくんもなんだか辛そうだし……せめて私にも手伝わせて」
見かねたマキさんが手でしてくれることになった。ローションを塗った手で優しく一物が包み込まれる。
「確か、このカリのところが一番気持ちいいんだよね……?」
おっかなびっくり、ぎこちない手つきだったが他人にしてもらう愛撫はオナニーとは別物の快感があった。マキさんはもう片方の手で自分の穴をほぐし、挿入の準備を整えている。
「もう出そう? 先っぽだけ入れとこっか」
だいぶ絶頂が近いてきた。中に入れる前に暴発してはまずいと、マキさんが亀頭を膣口へといざなう。ローションのおかげか昨日よりスムーズに入れた。先端だけ咥えこまれた状態で、竿をしごかれる。
「う、う……」
「あ、出た? もうちょっとかな? 出すときはなるべく奥に――」
急に射精感がこみ上げてきた。マキさんの言葉を遮り、腰を突き出す。少量の精液を先走らせながらペニスが膣内を押し広げて奥へと進む。何とか最奥までたどり着いたときには、その締まりに堪えかねて射精していた。
「ふーっ、ふーっ!」
「あっ、入ってきた……」
膣内射精は何度経験しても飽きることのない最高の出し心地だった。マキさんの上にのしかかり、射精中もなお奥へと亀頭を押し付ける。注ぎ込まれる精気に反応したのか、マキさんのお腹の淫紋が光っていた。
最後の一滴まで振り絞って、陰茎を引き抜いていく。射精すれば興奮も少しは落ち着くかと思ったが、媚薬の効果は強まる一方だった。このままつながっていれば確実に暴走するだろうという確信がある。
「だめっ」
だが、そこでマキさんが抱き着いてきた。昨日と全く同じ体勢でホールドされる。抜けかけていた剣が、ずぶずぶと鞘に収められていく。
「あのっ、これだとまた昨日みたいなことに……!」
「いいよ。昨日みたいなセックスしたいの」
もちろん、俺だってこのまま続けたい。だが、膣内射精だけされてそれで終わる方がマキさんとしては楽ではないのか。精気を得るだけならそれで十分なはずだ。
「マスターくん、そんなこと思ってたの? でも、まあ、はっきりと自分の気持ちを言えなかった私も悪いか……」
俺がマキさんの上に乗っている体勢なので、あまり重くならないようにと手を突っ張っていたのだが、マキさんは両手で俺をさらに抱き寄せてきた。すっかりマキさんに体を預ける形になる。
「マスターくんはあんまり覚えてないかもしれないけど、昨日の……は私の中で一番だったの! 一番気持ちよかったし、マスターくんもいっぱい出してくれて、夢魔としてはダメな私でもちゃんとセックスできるって思えて嬉しかった」
実はマキさんの方が俺より背が高いので、頭まで完全に抱擁された状態でマキさんの話に聞き入っていた。
「人間みたいに妊娠するとは思ってなかったからそこはビックリして、すぐには気持ちの整理がつかなかったところもあるけど……マスターくんのために私ができることは何でもするって決めてたから嫌じゃないよ」
そんな義務感で許容できる問題だろうか。そんなに簡単に決められることだろうか。
「それはだからっ、マスターくんのことが好きだから! 好きな人との赤ちゃんほしいって思うのは別におかしくないでしょ! 最後まで言わせないでよ、バカ……」
夢魔に人間と同じ生殖能力は本来ないが、人間の性欲を発散させるために体の構造はかなり似ている。そして体以上に精神も似通っている。男女の情も、子供が欲しいという感情も理解している。
どこか俺は夢魔という存在に対してこれまで一線引いていた。その生態をある程度は理解できても、種族からして違う相手に対し、どこまで疎通できるのか疑問に思っていた。それは最も好意を抱いていたゆかりさんにも言えることだ。
だが、マキさんの告白によってわだかまりは薄らいでいた。夢で終わっては欲しくない。もっと身近な存在になりつつある。
「俺も、マキさんのことが好きです」
「ふふっ、女の子に先に告白させるなんてずるいんじゃない?」
昨日の今日、しかもゆかりさんに好きだと伝えたばかりだと言うのに、マキさんは俺の中でゆかりさんと同じくらい大好きな存在になっていた。しかし、いくら罪悪感を抱こうとマキさんの中に収まった一物はどんどん硬くなっていく。
「罰として、マスターくんには私たちの赤ちゃんのために頑張ってもらいます」
マキさんの両脚にがっちりとホールドされたまま、両手をつなぐ。五指を絡めて強く握り合う。
「私のおまんこの中が窮屈なのは知ってるよね? このままだと赤ちゃんが産まれてくるときに大変だから……」
ペニスで膣内をほぐして産道を拡げてほしいと頼まれる。その一言で理性のタガが外れた。