ベッドヤクザな遍歴騎士と誘い受けマゾメス騎士姫のハーレム構築ちんチン珍道中 作:HK416
「ほんと、よく食うなコイツ。太る……どころで済むかこれ? 腹壊しちまわねえの?」
「アッシュは特殊と言うか、食べたら食べた分だけ身体が回復して強くなる体質でして……」
「なんだそりゃ。お前、ほんとに馬かぁ?」
「しゃくしゃく……ぶもも」
市場の通りから場所は変わり、街入口近くにある馬小屋。
街の規模が大きくなればなるほど人の数は増え、移動手段となる馬の数も同じく増える。
フォルスの馬小屋は規模に相応しい大きさで、一つだけでも十頭は休ませておけると言うのに、それがずらりと並んでいた。
お陰で入口周辺は殆どが馬小屋といった風情で、それぞれに馬小屋番がいるほど。
その中でタキトゥスが選んだのは馬小屋番はあからさまにやる気もない、まともな神経であれば避けたがる小屋だった。
タキトゥスの選択も仕方がなかった。
アッシュは兎も角、ルドウィークは神経質な部類。
共に走り、共に戦うならばまだしも、休んでいるところに見慣れぬ馬がいると、どんどんストレスを溜めて不機嫌になっていく。
耐えることを学んでおり、暴れ出すような真似こそしないが、その後の走りに精彩さを欠いてしまう。
それ故、預かっている馬の頭数が少ない小屋を敢えて選んだ。
馬小屋番への不安は、世話は自分がすればいいと割り切っていた。
「大人しいし、食う以外には殆ど動かねえし、なんか牛みてえ」
「ははは、よく言われますよ」
「それに比べて、コイツは憎たらしいな」
「ぎりぎり」
カルラは適度なサイズに切ったリンゴを手の平に乗せ、馬房から顔を出しているアッシュの口元へと運ぶ。
二人が来るまで飼葉を食べていた上で、もうまるまる三個分は食べていると言うのに満足した様子を未だに見せておらず、アッシュは小気味良い音を立てながらリンゴを咀嚼する。
目を見張るような食い意地と相反するゆったりとした動きに、カルラは呆れ気味だった。
対して、ルドウィークの方はカルラを警戒していた。
耳を絞って歯を剥き出しに。目付きも異様に鋭く、露骨に威嚇している。
そんなルドウィークにカルラも売られた喧嘩は言い値で買うぞ、とばかりにガンを飛ばし、一人と一頭の間で火花が散っていた。
ルドウィークの反応も、仕方のないものだった。
如何に神経質で誇りの高いと言えど、威嚇するまで警戒を露わにすることはない。
本来は、気に入らない人間や馬を見掛けると自ら距離をおいて近寄らず、一切相手にしないタイプ。
これほどまで警戒しているのは、カルラの身体から発せられる匂いのせいだった。
獣人は体臭も獣のそれに近い。
狼の匂いを知る馬ならば、カルラの匂いを察知しただけで途端に落ち着きを無くす。
事実、カルラが馬小屋の立ち並ぶエリアに脚を踏み入れただけで、怯えて震える馬や、長い嘶きで同族に危険を伝えようとする馬さえもいたほど。
ルドウィークの威嚇は強靭な精神力を示しており、狼人族を前にして普段の態度から変化しないアッシュのほうがどうかしていた。
「…………何だよ、またジロジロ見やがって」
「いえ、別に。ほらルドウィーク、睨んでばかりいないでお食べな。お前はニンジンよりもリンゴの方が好みだっただろ?」
リンゴを差し出すカルラの手付きは、意外なほど優しかった。
時折、額から鼻梁を労うように撫でており、アッシュは食べながらも心地良さげに目を細めている。
生まれ育った村では獣人に慣れた家畜も居て、その世話をしていたのかもしれない。
慣れぬ環境から解き放たれたお陰か、カルラの表情からは幾らか険が取れていた。
その横顔を眺めていたタキトゥスであったが、再び険しくなった表情に苦笑いを浮かべながらセレスティナの愛馬に向き直る。
カルラから視線を外そうとしないルドウィークの頬を撫でて落ち着かせた。
彼の手付きは慣れたもので、気難しい馬との付き合いを感じさせるほどだ。
空いた手には皮の剥かれ、均一に切られたリンゴがある。アッシュに与えているキズ物とは異なり、店に並ぶ真っ当な売り物だ。
ルドウィークは神経質さ故か、キズ物を見抜き、皮を剝いてやらねばならず、空気に晒されて変色していると決して口にしない。
ジッと差し出されたリンゴを眺めていたルドウィークであったが、よく観察し、匂いを嗅いでようやく納得したのか、パクリと一口。
見栄えのいい馬体と顔らしい、上品な食べ方だった。口で砕いたリンゴを欠片も溢すこともなく、涎を垂らすこともない。
「んー……? 何だ、痒いのか? ここら辺か?」
「ぶも~~~~」
「…………そっか、此処が痒かったのかお前、ほれほれ。あっ、おい、嬉しいのは分かったから暴れんなよ、にししっ」
リンゴを食べていたアッシュが、突然顔を馬房の柵に擦り付け、そわそわとし始める。
それを見て何を求めているのかを察し、カルラは僅かに爪を立てて柵に擦り当てていた部分を掻いてやった。
すると、アッシュは喜びを示すように鼻を伸ばして首を振る。
ルドウィークとは異なる分かり易い反応に、カルラはようやく本来の笑みを浮かべた。
人と共に暮らす動物の力は偉大、とタキトゥスは敬意と共に認識している。
様々な意味で生活を支えてくれるだけでなく、一つの感情で凝り固まった人の心さえも解きほぐす。
悲惨な戦を経験し、戦場から帰ってこれなくなった者でも、彼等の前では本来の自分を取り戻すことさえあるのを目の当たりにしてきた。
恐らくは、人間が勝手に思い込み、勝手に心を開いているに過ぎないのだろう。
物言わぬ彼等の行為だからこそ、其処に確かな心の繋がりを感じるものだ。
例え、人の手前勝手な思い込みだったとしても、優しさと思い込んだもので癒され、救われるものがあるのだとしたら、タキトゥスはそれで構わなかった。
「よし、決めた。カルラさん、明日も手伝ってください」
「はあ!? ふざけんな、なんでオレがッ!」
次第に明るくなっていくカルラの横顔を気付かれぬように眺めていたタキトゥスは、一つの提案をした。
相手は単なる協力者。情報の提供と人相を見てもらい、報酬を支払うだけの関係性。わざわざ精神面まで考えてやる必要はない。少なくとも協力中は。
だが、協力関係が終わった後はどうか。
後に残るのは心に傷を残し、身に余る報酬を手にした少女。
報酬を使い切ってしまえば、また野盗に身を窶しかねない。それではカルラに対しても、カルラの餌食になる人間にも心苦しい。
セレスティナとて最終的にどのような立ち位置をカルラに望んでいるのかは定かではないものの、協力が終わったからと即座に投げ出しはしまい。
最低限、一人で生きていけるように立ち直らさせるところまでは面倒を見るはずだ。
ならば、可能な限り前向きに、安易に法を犯さずとも済むところまで持っていってやるのが筋、とタキトゥスは結論していた。
そんな心の内を知ってか知らずか、案の定カルラは激する。
アレだけアッシュを可愛がっていたと言うのに、歯を剥き出しにして反抗を示していた。殆ど反射に近い。
「いくら協力者と言っても働かざる者食うべからず、です。僕達に協力する時以外でも食事や宿の面倒を見ているので、これくらい手伝ってくれてもいいでしょう?」
「べ、別にオレはそんなこと頼んでなんかねーだろうが! 大体、オレは自分のことくらい……」
「野盗やスリはダメですよ。生きるためとは言え、流石に騎士として見過ごせません。となると日雇いの仕事を探して金を得るしかないですが、できますか?」
「うっ……」
反抗を予想していたタキトゥスは、足りない知恵を絞って考えた言葉を紡ぐ。
全うと言えば全うであったが、多分にタキトゥスの価値観と都合を押し付ける言い分であったが、カルラは押し黙った。
あっさり騙された、納得させられたと言うよりも、自覚があった。
人が傍にいると相手に悪意がなく、自身を気に留めていなくとも、疑心暗鬼で不快な気分になる。
野盗として過ごしている時でさえ、気が張り詰めて心から安らげた瞬間など一度たりとてないほどで。
そんな状態で日雇いの仕事をするなど、不可能に近い。増大していく精神的負担に、いずれは自身よりも弱い者からは奪わない、という矜持すら忘れ去ってしまうだろう。
その点、タキトゥスの提案はまだマシであった。
不快な点は変わらないが、馬の世話ならば人と接する機会が少なく済む。
何よりも自身に勝ったタキトゥスには、敬意を払うべきだ、と思考も本能も囁いていた。
「……お、おい、何だよ」
「どうやら、アッシュも貴女のことを気に入ったようですね」
悩みから押し黙って俯いていたカルラの頭にアッシュが鼻先を寄せた。
生暖かい鼻息が頭頂部の耳に当たり、むず痒さから顔を逸らしたカルラの目に映ったのはつぶらな瞳。
闘争心や野生と懸け離れた理知の光は、明らかにカルラを心配していた。
食べることと走ること以外に、さして興味を持たないアッシュであるが人の変化に気付かないわけではない。
察したカルラはぐっと唇を噛み、全てを諦めたかのように盛大な溜息をつく。
「……わーったよ! やりゃあいいんだろ、やりゃあよぉ!」
「ええ、期待していますよ」
ヤケクソそのものの了承でこそあったが、タキトゥスは笑みを浮かべて応えた。
ふん、とそっぽを向くカルラに、アッシュはふんふんと鼻を鳴らして喜んでいるらしい。
ルドウィークは不機嫌そうであったが、賢さ故に次第に慣れていくだろう。
前途は多難であるが、滑り出しとしては良好と言えた。
カルラとの関係がどのような方向に向かっていくのか。カルラが今後どんな人生を歩むのか。
それらはタキトゥスには分からない事柄でこそあったが、楽観視できる程度に目の前の光景は希望に満ちているように思えるのだった。
地の文に擬音はアリ? ナシ?
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全然アリ
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エロだけでならアリ
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擬音はアリだけど、今の擬音はちょっとぉ
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何が何でもナシ、陳腐すぎ
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エロだけでもナシ! 萎える!