ベッドヤクザな遍歴騎士と誘い受けマゾメス騎士姫のハーレム構築ちんチン珍道中 作:HK416
タキトゥスは魔法の込められた照明で照らされる宿屋の廊下を歩いていた。
カルラを連れ戻った報告は済ませたばかり。
セレスティナはただただ胸を撫で下ろしていた。哀れな少女の身を一身に案じねば見られない仕草だった。
そして、今日一晩だけはタキトゥスの部屋で過ごすとも伝えてある。
セレスティナは慌てることもなく、安堵だけではない意味深な笑みを浮かべると、カルラの着替えを渡してきた。
全てを任せる、という意味合いだろうが、タキトゥスが一抹の不安を覚えたのは言うまでもない。
「お待たせしました……っと、立ったまま待っていなくても」
「それより、セレスティナは……?」
「無事ではなかったら、こんなに落ち着いていませんよ。もう傷痕も残っていませんでした」
「そ、そっか……よかったぁ」
「……服の替えを渡されましたので、もし良かったらお風呂も入っちゃってください」
部屋に戻れば、カルラは中央で何をするでもなく俯いて立ち尽くしていた。
彼女の口からいの一番に飛び出してきたのはセレスティナの安否。
タキトゥスが見たものを見たままに伝えると、カルラは借り物の外套を握り締めて心の底から安堵の吐息を吐く。
反抗的な態度でこそあったが、セレスティナの真心は彼女に届いていた。その事実にタキトゥスは笑みを浮かべ、着替えの入った袋を渡す。
こくり、と言葉なく頷くとカルラは静かに脱衣所へと消えていく。ただでさえ小さい背中が更に小さく見え、痛々しささえ覚える。
「……僕も着替えるか」
暫く、脱衣所に消えた背中の残影を眺めていたタキトゥスであったが、いつまでもそうしているわけにもいかない。
自らもまた雨に濡れていた。風邪をひきはしないだろうが、そのままでは相手に気を遣わせてしまう。
念のため粗末な部屋着ではなく、いつでも部屋を出て行ける部屋着に着替える。
カルラにとっては重要な話である上に、話が終われば同じ部屋にいるような関係でもない。様子を見て、今夜は宿屋のロビーで過ごす腹積もりであった。
「……ごめん、時間かかっちまって」
「大丈夫、気にしないで」
それから、どれほどの時間が経ったか。
ベッドの隅に腰かけて気長に待ち続けるタキトゥスの前に、おずおずとカルラがやってくる。
どうやら風呂には入らなかったらしい。
セレスティナが渡してきたものはインナーとニーソックス、長手袋だけで、濡れていたものと変わりはなかった。
胸元の谷間を見せつけるが如く大きく開き、陰毛が露わになってしまいそうなハイレグ、小柄な割には肉付きのよい手足を強調する手足の袋。
どれも男の欲情を煽って仕方がないものであったが、タキトゥスに変化はない。
女性としての魅力を感じていない訳ではなく、カルラがようやくの思いで語ろうとする話を受け止めるべく、邪な視線も男として全うな反応を抑え込んでいるだけであった。
カルラはどうするべきか迷ったのか、もじもじと落ち着かない様子であったが意を決したかのようにタキトゥスの隣に腰を降ろす。
その距離に、タキトゥスは僅かに目を開いた。肩と肩が触れ合いそうな距離感は、これまでからは考えられない。
彼女の
自らの身を守るだけではなく、人に心を開かないために保っていた距離であったはず。
それをかなぐり捨てて距離を詰めたということは、例えようもない心細さと不安を感じている証。
僅かでも人の温もりを伝えるべく、身体には触れることなくタキトゥスは微笑みで受け止める。
座ったまま俯くカルラの顔を覗き込み、何も語ることなく辛抱強く口を開く瞬間を待った。
「…………あのさ、前にオレの話したよな?」
やがて、カルラがぽつりぽつりと語り出す。
「帝国の村に生まれて、お父さんやお母さんは死んじまって顔も分からないけど、じっちゃんやばっちゃん、村の皆に育てて貰ってさ……」
てっきり奴隷時代のトラウマやヴァンハイムで秘密裏に広がりつつある奴隷売買の新しい情報についてと考えていたタキトゥスは僅かばかりに動揺する。
真新しい話ではなく、拙いながらも既に語られた話。カルラが何について吐き出したいのか見当がつかなかった。
とは言え、あくまでも己に求められたのは聞き役のみ。
何を語ろうが、話を聞けばいいだけと割り切っており、奴隷売買の情報に関してもカルラの協力は強制ではなく対等な取引。
やって欲しいのは人相合わせやカルラにしか分からない答え合わせであって、奴隷に堕とされた際に何をされたのか、思い出したくもない過去を語る必要はないとセレスティナも認めている。
「……楽しかったよ。それに嬉しかった。そりゃ食うに困ることも喧嘩することもあったけど、何があっても最後は誰かが笑って、皆も同じに笑って、オレもそうしたっけ……」
「…………」
「でも、あの時は……アイツ……あの子が逃げてきた時は違ってた」
アイツ、或いはあの子とは、村へと逃げてきた奴隷のことか。
カルラは過去に語った時は廃人同然の男としか語らなかった。
しかし、口振りからある程度の背景を察したタキトゥスは目を伏せる。
カルラと村人達に与えられた現実は、試練としても余りにも過酷だった。
「まだオレよりも小さい獣人の男の子だった。初めに見つけたのは村の麦畑で働いてた同い年のカイルだったかな……畑の隅っこでボロボロになって死にかけてた。それで、オレ達で皆に伝えてさ、話を聞いた全員、顔蒼褪めさせてたよ」
当時の情景を思い出してか、カルラは力なく笑う。
その瞳には、余りにも光がなく生気もない。無理もない、それがカルラにとって地獄の始まりだったのだ。
「それでおばさん達があの子を治療して、他の皆は集会場でどうするか話し合ってた……あの子を帝国に差し出すか、それとも村で匿うか、って。凄かったよ、皆さ、聞いたこともない声で怒鳴り合ってんの。小さかったサニーは怯えてた。オレも何だか知らない奴等を見てるみたいでさ、怖かったよ」
そうして、カルラの村は真っ二つに割れた。
同じ獣人の少年を帝国に引き渡し、村の安寧を取るか。
同じ獣人の少年を帝国から匿って、村を危険に晒すか。
これが或いは獣人の少年でなければ、村人も全てを諦めて素直に帝国へと渡すことを選んだかもしれない。
しかし、村人に突き付けられたのは、同族を差し出して細やかな幸せを得るか、同族を守る矜持を取るかを乗せられた天秤。
「怒鳴り合って、空気も悪くなって、さ……延々同じことを言い合って、しまいにゃ相手の気持ちを踏み躙ること言い出して、ハマーおじさんがサッドおじさんをぶん殴っちまった。元々、短気な人だったから」
あぁ、とその光景を想像し、タキトゥスは首を振るしかなかった。
キッカケは一度で十分。
一度でも手を上げれば、振り下ろすことを止められなくなるのは、人であれ獣人であれ同じこと。
水を留めておく水門が決壊してしまえば止める術がないのと同じく、心から生まれる感情も箍が外れれば止め処なく溢れ出す。
「止める人もいたけど、殆どは自分と同じ意見に賛同して、じっちゃんもばっちゃんも悪魔みたいな顔をして罵り合ってて……結局、最後は殴り合いだけじゃ収まらなくなって、それで……っ」
「カルラさん、もういい。それ以上は言わなくていいですから」
カルラは震える声で村の顛末を語ろうとし、タキトゥスに止められる。
彼女の顔は無表情のままであったが、大きい両目からは静かに涙が流れていた。
最終的に、村人は殺し合いにまで至った。
どれほど仲が良くとも、生活は常に逼迫していた。
帝国からの搾取、脅迫のような圧政。逆らった余所の村が潰された挙句に奴隷にされたという噂など珍しくもなく、次は我々の村かと怯える不安と危機感を募らせる日々。
村人は誰も悪くはない。誰もが他者を考えて行動していた。
ただ、村という小さな共同体を守るか、獣人という種そのものへの矜持と愛情を守るかの意見を違えただけ。
短絡的であったことは否めない。
けれども、貧困は心さえも奪いさる。たった一枚の銅貨を巡って親子同士が殺し合うことさえあるのだ。
余裕もなく、将来への不安を抱えた生活で突き付けられた残酷な二者択一の中で、暴力に訴えてでも何かを守ろうとした彼等を一体誰が責められよう。
「オレさ、奴隷にされても辛くはなかった。それ以上に悔しくて、ムカついて、偉そうに主人面してやがるクズを殺してやりたいだけだったからさ…………でも、でも」
カルラが、精一杯の勇気で告白しようとしていたのは、心に刻まれた傷そのもの。
タキトゥスはその勇気を認め、何も言葉にしないまま彼女の肩を抱き、手を握った。
それを吐き出さぬままではカルラは、昨日まで微笑み励まし合っていたはずの村人達が血で血を洗う殺し合いを演じた一瞬から一歩も前に進めない。
「あんな風になってオレ、考えちまってさ……オレに優しくしてくれたのも、オレを褒めてくれたのも、オレのこと考えて怒ってくれたのも、全部上っ面でさ……じっちゃんもばっちゃんも、皆……皆、皆、ほんとはオレのこと嫌ってたのかなぁ。ほんとはオレのこと邪魔だったのかなぁ……」
それが、カルラの傷だった。
それまで見てきた村人の顔とは違う、状況が生んだ全く別の顔。
彼等の恐ろしい表情は、これまで受けてきた愛情が偽りのものであったのでは、と疑わせるのには十分。
村で生まれたとは言え、逃亡してきた少年とは、親のいない子供という点においてカルラと同様であった。
自身と似た境遇の子供がキッカケで引き起こされた悲劇。
村での生活が全てだったカルラにとって、生まれた疑惑は自らの存在意義やこの世に生まれてきた理由にまで及んでしまうほど。
取り乱すこともなく、はらはらと涙を流す姿は直視に耐えない。
既に何度となく考え、何度となく悩み続け、精神と信頼を擦り減らし続けた姿だったから。
村が潰れてしまい、僅かな生き残りからも引き離され、確認する術もなく疑惑だけが際限なく大きくなり続け、その結果が今だ。
他者の裏側、本心を知ること自体を恐れ、信頼も信用もしないために遠ざける。反抗的で攻撃的な態度は、必死の自己防衛。
けれど、それでは何時まで経っても傷は癒えない。
他者に傷を晒し打ち明けることで、自らの感情と向き合う必要がある。
今が、その時だった。
◆ ◆ ◆
「……落ち着きましたか?」
「うん…………へへ、情けない所見せちまった」
朝まで続くと思われた雨が、深夜の時間帯に止んだ頃。
大声を上げこそなかったが、溜め続けた感情を吐き出したカルラは、はにかむように微笑んだ。
拭いもせず流れるに任せた涙の痕に痛々しさはなく、寧ろ晴れやかにさえ見える。
タキトゥスは泣き止むまでの間、何も言葉を口にすることなく、ただ肩を抱いて手を握るだけ。
それだけしか出来なかったかもしれないが、カルラの反応を見る限り、それだけでも良かったのかもしれない。
だが、伝えておかなければならないことはあった。
「…………僕に、村の皆さんがどのように考えていたのかは分かりません」
「そりゃ、そうだよな……」
「ですので、都合のいいことは言えないので。一時的に棚上げするのも手かと」
「棚上げ……?」
タキトゥスが口にしたのは根本的な解決策ではなく、心を軽くするだけの方法だった。
もう会えるかどうかも分からない人達、会えたとしても村で共に生活していた頃と何一つ変わっていないとは限らない人達。
そういった人々の心の裡を思って悩むのは無意味。当時の思いを正確に覚えているかさえも分からない。そもそも、生きているかさえも――――
カルラがいくら悩んだところで現実が変わるわけではなく、答えの出ない問いにいつまでも悩むのでは時間の無駄。
今は棚上げしておいて、いつか知れる機会が訪れた時に、強く健康になった精神で改めて受け止めればいい。
「その間までに、僕もセレスティナ様もカルラさんが悩みを忘れられるよう、信頼を得られるように言葉を尽くし、行動で示します」
「……どうして、其処までしてくれんの? オレ、協力はするって言ったけど、ただの口約束だぜ?」
「かもしれません。ですが信頼を得るのなら、まずは僕達が信じねば」
「………………っ」
タキトゥスの主観でしかなかったが、カルラが苦しむ謂れは何処にもない。
彼女に罪はあれども、全ては境遇によって引き起こされたもの。同情の余地も、更正の余地も十二分にある。
ならば、協力関係が解消された後に同じ道を堕ちぬよう、誰かを信頼できるようになるまで手を尽くすことが、国と民を守る王国騎士の務め。
回りくどく、些細であろうともカルラが全うに生きられるよう支援するのは、騎士として何一つ矛盾はなかった。
「……うん、あんがと。でもさ、やっぱオレ不安で怖いんだ」
「…………」
「だから、そのさ…………一つ頼みがある」
もう本心ではタキトゥスもセレスティナも信頼に値すると思ってはいたが、理性と心の傷が邪魔をする。
僅かに躊躇する素振りを見せながらも、意を決してカルラは願いを口にする。
けれど、彼女の願いは驚くべきものだった。
「……タキトゥス、オレの主様になってよ」
「あ、主様ぁ……!?」
タキトゥスは我知らずに頓狂な声を上げていた。
予想の斜め上の願いは、間抜けな声を上げさせても仕方のないものであったが、カルラなりに考え抜いた決断である。
冗談では済まされない真剣味を帯びた瞳に、タキトゥスは否定も拒否もできず、それ以上は言葉を詰まらせる他ない。
「…………あ、主様とは、一体どのような、それなあれなのでしょう、か」
「
「……えー、確かに僕は勝ちましたが、主様になったとしてカルラさんの不安が解消されるわけではないと思うのですが」
「主様は群れの行動を全て決める。役割も、命の使い処も、誰が死んで誰を生かすかも全部。使い捨てにされたって、誰も文句なんか言わない。優れた者の決断が最善だと分かってるからな」
其処まで聞いて、タキトゥスは困惑しながらも納得はした。
狼人族の習性や風習を引き合いに出しているが、彼女が考えたのは逆転の発想。
人の本心や裏切りを恐れて信じられない。
ならば本心がどのようなものであれ、手酷く裏切られたとしても、許せる相手を作ってしまえばいいと言うもの。
「主様になってくれれば、全部許せる。納得できる。例え、都合よく性処理に使われても文句なんかない」
「……カルラさん」
「ああ、処女かどうかとか気にしてんのか? なら安心しろよ。奴隷商の連中に犯されそうになったけどさ、きっちり守ったぜ? まあ、相手の目だの玉だの潰してやって、顔の形が変わるくらいにぶん殴られて、勝手に萎えちまっただけなんだけどさ」
「カルラさん!」
「…………っ、そんなに嫌か?」
カルラはベッドに座ったままだったタキトゥスの正面に立ち、手を掴んで胸を触れさせようとする。
これまでとは一転した娼婦のように媚びる態度は、気に入られようという必死さが伝わってきて、淫猥さとは無縁だった。
余りにも痛々しい姿は、壊れてしまう寸前であると示しているようなもの。
安易に拒絶するのは容易いが、その後、カルラがどうなってしまうのか想像し難い。
逆に受け入れたとして、それが本当の意味でカルラのためになるのか。
不安で揺れるカルラの視線を受けながら、タキトゥスは懊悩の果て、決断を下した。
「分かりました。カルラさんの主様とやらになります。ですが、条件が一つ」
「……なに?」
「僕がカルラさんの主になるのなら、カルラさんは僕の第二夫人になってください」
「…………それって、セレスティナと同じ」
「僕の妻です。その、まだカルラさんを好きなのかは分かりませんが、その方が最低限の責任は取れるので」
タキトゥスに出来たのは、カルラを妻として迎え入れることだけ。
セレスティナとの婚姻や遍歴の旅の後に何処ぞの領地を拝領する手筈になっているのは、協力を結ぶ上でカルラには伝えてある。
だが、彼女の反応は鈍く、キョトンとして何も言わない。
タキトゥスとしては、カルラの語る主様も、カルラを奴隷として扱った者の違いなど分からない。
狼人族の習性や風習に根差していようが、余りにも一方的な関係は同じにしか映らなかった。
それでも中途半端な形で投げ出さないようにするためには、これしかない。
壊れかけの少女の心を救いあげつつ、自らも無責任にならぬようなケジメは彼の精神衛生上、どうしても必要であった。
「うん、分かった。なる、なるよ……主様の第二夫人にして。だから、抱いてくれよ。主様が女にして。男にしかできない、女の慰め方、して、欲しい」
「…………できるだけ、優しくしますね」
「にししっ、やった♥」
タキトゥスの胸に飛び込んできた少女の表情は喜悦に染まり、生娘と呼ぶには余りにも生臭い女の顔をしているのであった。
地の文に擬音はアリ? ナシ?
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全然アリ
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エロだけでならアリ
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擬音はアリだけど、今の擬音はちょっとぉ
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何が何でもナシ、陳腐すぎ
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エロだけでもナシ! 萎える!