ベッドヤクザな遍歴騎士と誘い受けマゾメス騎士姫のハーレム構築ちんチン珍道中 作:HK416
フォルスの街を出立して早三日。
幸いにも道中に魔物や賊に襲われることもなく、天候が崩れることもなかった。
そうして辿り着いたのは、商人や傭兵の落としていく金と町人の細やかな工芸品で維持されている小さな街だった。
町人の愛想こそよかったが、それ以外には特に見るべきものもなく、いかにも旅の中継地点といった趣の町。
だからこそというべきか、馬を休ませる厩舎はフォルスのそれと変わらない立派なものだった。
一足先に宿を取りにいったセレスティナの姿は既になく、今日の仕事終えた馬達をタキトゥスとカルラが労っている最中。
その中で、カルラは人参片手に自らの持ち馬であるファウストの馬房を覗き込んでいた。
「ファウストー。人参、人参だぞー。お前好きだろー? おーい?」
「どうかしましたか?」
「いや、ファウストが奥に引っ込んで出てこねえんだよ。走ってる時は調子悪い感じじゃなかったんだけどさ……」
今日の汚れを落とすのみならず、筋肉の疲労を癒すためのマッサージを終えたタキトゥスが馬房から出たところで立ち止まった。
因みに手入れが終わったのはルドウィークの方だ。黒鹿毛の牡馬は、いの一番に身嗜みを整えてやらねば気分を損ねてしまう。
本当の愛馬であるアッシュはもしゃもしゃと桶に入れられた飼葉を気にせずに咀嚼している。彼の場合は身嗜みなど気にせず、食事さえ与えておけば常に上機嫌。良くも悪くも手がかからない。
カルラは馬房の柵に寄りかかり、爪先立ちで好物の人参を振っている姿が奇異に映ったタキトゥスも覗き込んでみると、ファウストは馬房の隅で尻を向けていた。
主の声と人参に振り返ったものの、すぐさまぷいっと顔を背けてしまう。
まだ出会ってから数日しか経っていない間柄であるが、こんな反応は初めてで、カルラは不安げな表情でタキトゥスは見上げた。
「大丈夫かな。どっか悪いのか……?」
「あー、成程、へー……くくっ、これはそういう感じじゃないですね」
「なーに笑ってんだよぉ! 病気とかだったらどうすんだよ!」
目にした光景に、タキトゥスは思わず感心して笑う。
すっかりと仲良くなった主従は微笑ましく、そしてファウストの心身に何が起こったのかを察したのだ。
しかし、ファウストを心配していたカルラにしてみれば、笑いごとで済ませられはしない。
タキトゥスは鋭い犬歯を剥き出しにして食ってかかる少女に、両手を胸の前で揃える。落ち着いて、という意味だった。
「違います違います。あれは負けて拗ねちゃってるんですよ」
「はぁ? 負ける、って勝負なんかしてないだろ? それに拗ねるって……」
「確かに勝負はしてませんね。でも、ファウストはルドウィークとアッシュの後をついていくのがやっとだったでしょ。悔しかったんでしょう」
「そういうの、分かるもんなのか……?」
「馬にもよりますけど、ファウストはおとなしくて賢いが負けん気も強いようですね」
タキトゥスの見た所、不調を訴えている様子はない。
前掻きはなく、脚や腹を気にしていない。ただ視線は地面に向けられ、耳が様々な方向にせわしなく動いて、瞳は心なしか潤んでいるように見えなくもない。
ただカルラには馬が自分なりに勝ち負けの概念を持ち、負けて悔しがることが信じられないのか、ポカンと口を開けていた。
ここ数日の旅路でファウストは二頭の後をどうにかこうにかついてきた。
元は荷馬で荷車を引くのには慣れていたいようとも、長距離を走り続けるのは慣れていないことを考えれば、大健闘と言っても差し支えない。
途中で体力が尽きて脚を止めることはなく、息が乱れようとも最後まで首を上げて走らなかったのは、類稀な精神力と負けん気の強さを持っていればこそ。
思い当たる節と目の前の光景に、ようやく納得を得たのか、カルラは手にしていた人参をタキトゥスに押し付けて、馬房の中へと入っていく。
自らの主が顔の前にやってくると、ファウストは合わせる顔がないと言わんばかりに、ふいと首を振って視線を逸らそうとする。
その仕草にカルラはようやく笑みを浮かべ、彷徨う愛馬の顔を両手で挟むようにして掴み、真っすぐと見据えた。
「そっかぁ、お前は悔しかったのか。ごめんな、気付いてやれなくて。でも、そんな顔すんなよ、こっちまでへこんじまう」
「…………ふもっ」
「情けない声も出すなって、見損なってなんかいねぇよ。寧ろ、見直したくらいだ」
「ふもっ、ふももっ……!」
「よーし、じゃあ次は負けねえように、オレと一緒に特訓だ!」
「ヒヒ~~ン!」
カルラが顔を撫でながらニカッと笑うと、ファウストは目に光が宿り、天に向かって力強く嘶いた。
馬の自意識や自我、知能をどの程度持ち合わせているかを知りようなどないが、少なくともこの場面だけを見れば、人と大きな差がないようにも思うだろう。
カルラは満足げに頷き、手綱を引いてそのまま馬房から出て行く。
後に続くファウストも、ふしゅーと荒い鼻息を隠そうともしない。
余りにも主従の気合が入り過ぎていて、このまま何処までも走っていってしまいそうだが、自分の立場が分かっていないわけではない。町の周辺で走り回って済ませるだろう。
「んじゃ、行ってくる!」
「ばふっ……!」
「町から余り離れないようにしてくださいね。それから、万が一の時は……」
「コイツに怪我させるわけにはいかねーからな。逃げの一手にするよ」
「小さい町ですから、騒ぎが起きれば僕もセレスティナ様も気付くでしょうけど、気を付けて」
「おう! 晩飯までには戻るからなー!」
壁に掛けてあった新品の鞍を降ろすと肩にかけ、カルラはファウストを引いて厩舎の外へと出て行った。
意気揚々として周囲の言葉など耳に入っているのか定かではない態度ではあったが、押さえるべき部分は押さえている故にタキトゥスは頭を掻きながら見送る。
現時点で奴隷売買組織から追手や刺客は放たれいないようで、今日に至るまで襲撃の類は一切なかった。
小規模故に追手を放つだけの余裕がないと考えているのか、カルラ一人逃げた程度では揺るがないほどの基盤があるのか。何れにせよ、その思惑は判然とせず、予断を許さない状態である。
だが、だからと言ってカルラがようやくの思いで得た自由を奪い、必要以上に束縛する真似をすべきではない、というのは、タキトゥスの個人的な考えは勿論のこと、セレスティナも同様であった。
よって、あくまでも同じ旅の仲間として干渉すべき場面は選ぶ、ということで落ち着いる。
何にせよ、タキトゥスにとっては微笑ましい光景であった。
己に依存するばかりではなく、一人の人間として大地に立ち、自らの考えに沿って動きながらも他者と支え合うことを良しとする。
流浪や戦場の中で見てきた様々な人の側面。目を背けたくなるような汚濁も見たが、その度に目を奪われるほどの輝きも見た。
例え、世界が終わる時まで人の悪意や憎悪が消えなかったとしても、同時に人の善意や愛情も消えることもない。時代が流れ、あらゆる価値が流転していくとしても、それだけは変わるまい。
だから、それでいいのだと納得し、今日も今日とてのんびりと、とぼけた表情のまま生きていくのであった。
「さて、次はアッシュの番だぞ、っとぉ」
「もしゃもしゃもしゃもしゃ…………ぶも……ぶもも……!」
「お前はもうちょっと食べることと寝ること以外を考えた方がいいと思うなぁ………………ん?」
厩舎の出入り口から馬房の側へと視線を戻すと、ちょうどアッシュが飼葉桶の中身を食べ終え、顔を上げたところだった。
もっとも、まだ食べたりないらしく、飼葉桶を咥えて中を見せつけて催促してくる。
環境や気候が変化しても相棒の食いっぷりが全く変わらないのは強味であるのは知っていたが、人の思惑などお構いなしの態度には苦笑せざるを得ない。
隣の馬房ではルドウィークが冷たい視線を向けており、コイツのようにはなるまい、と呆れているようだった。
その時、二人組の男が出て行ったカルラについて話し合っているのが聞こえてきた。
恐らく、身形からして商人の護衛として雇われた傭兵の類だろう。腰の剣や革鎧が何よりの証だ。
思わず、タキトゥスは聞き耳を立てる。ヴァンハイムに身寄りのないカルラを気にかける相手は奴隷商の関係者である可能性を否定できない。一様に警戒対象だった。
「おい! 見たか今のガキ、小っこいのに胸もケツもでけぇたまんねえ身体つきしてやがる! 声でもかけてみるか!」
「娼婦じゃあるまいに。装備もオレ達のよりもいいのは見たろ、相手にされるわけないだろうが。それに首の入れ墨、ありゃ奴隷紋だ」
「ああ、ギルドタリアの……なら、オレがご主人様に、ひひひっ」
「この国じゃ人の売り買いも奴隷扱いも御法度だろうが。厄介事に首を突っ込むな、こっちまで迷惑なんだよ。おら、馬の世話も終わってんだ、さっさと行くぞ」
「いてぇ! 蹴んなよ! ……ったくよ、ちょっとした冗談じゃねえか」
何処まで冗談だったのか。
下卑た笑みを浮かべた傭兵は仲間に蹴り飛ばされた尻を撫でながら、しぶしぶと厩舎を後にしていく。
残された髭面壮年の傭兵は大きく溜め息をついて、チラリと視線を向けてくる。
話を止めたのは不快であったという以上に、少女と関係があると推測できるタキトゥスの存在を認知していたからに他ならない。
傭兵として長いのか、はたまた処世術であったのか。彼は謝罪の意味を込め、目を伏せながら軽く会釈をした。
タキトゥスは面白い訳もなかったが、壮年の傭兵を責めたところで仕方がない。
何時も通り困ったように笑いながら片手を振って、お気になさらずと伝えておいた。
実のところ、先に消えた傭兵の反応は珍しくはない。
ギルドハイムの悪名高い奴隷紋に加えて、カルラの見目麗しくも欲情を誘う身体つき。
治安の良いフォルスの街でも倫理観のない輩に声をかけられることもあり、その度に相手を軽くのして追い返していた。
カルラは然程気にしておらず、実力差も分からず身の程も知らない輩に呆れていたが、ストレスはストレスだろう。
(様子を見るに、余りに気にしていないようだから大丈夫だと思うけど、このままじゃ可哀想だな…………あっ、そうだ)
―――――
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夜行性の野鳥が静かに鳴く時間帯。
夕食を終えたタキトゥスとカルラは、宿屋の同じ部屋にいた。
フォルスの宿屋に比べれば部屋も狭く、調度品もベッドとテーブル、ソファが二つだけと質素であったが、野宿に慣れた二人に不満があろう筈もない。
タキトゥスはテーブルの上に地図を広げ、明日以降の道程を調べていた。
対するカルラはインナー姿でソファへと俯せに寝そべり、脚をパタパタと遊ばせている。
ファウストの特訓は納得できるものだったのか、左右に揺れる尻尾は上機嫌を示しているかのようで、今は小さな手帳を広げて目を通していた。
「“秘蹟”に“魔法”ねぇ。どう違うんだ、これ? なあ、主様は分かるか……?」
「そういうのはセレスティナ様の領分なので……僕はどちらも使えないですね。聞きかじりでもよければ答えますが」
「んー、セレスティナに聞くといきなり小難しい説明されそうだし、折角だから教えてくれよ」
カルラが目を通していた手帳は様々な一般常識が記されている。
生まれが生まれだけに文字の読み書きができない彼女のために、それでは不便だろうとセレスティナが手書きしたものだ。
カルラはそれを使って、文字の読み書きと共に一般常識を勉強中であった。
進捗状況は芳しくはないものの、意欲はあるために急激に成長している最中。
タキトゥスも騎士になる以前は全く読みも書きもできず、騎士になってから覚えるのに苦慮した経験があったため、カルラに協力を惜しまなかった。
そして現在は“秘蹟”と“魔法”の項目にまで辿り着いたらしい。
「えーっと、秘蹟と魔法、どちらも
「あー、それは読んだ。確か、神様が作ったんだっけ?」
「何処まで本当なのかは知りませんけど、作ったと言うか、神の身体そのものらしいですよ?」
カルラの問い掛けに答える前に、タキトゥスがなけなしの知識から引っ張り出したのは、この世の成り立ちであった。
まだ世界があらゆる法則が存在せず、混沌としていた原初の時代。
既に多くの生命が生まれていたが、法則なき世ではまともに生きていくこともままならない。
その失われていく命の嘆きと怒り、懸命の足掻きの中から、
彼等は生命を守るべく、自らの司る理によって万象を作り上げ、世界に安定した法則を齎した。
その後、神々は生命の営みが安定するのを見届けると、もはや我らの力は不要と断じ、自らの身体を飛散させ、より上位の世界へと旅立ったと言われている。
「その飛び散った身体が、
「うぇ、なんじゃそら。確か魔素子は万物に宿るんだよな? てぇことは、オレの身体には神様の死体が入ってるようなもんなのか? 気持ちわりぃー」
「まあ、考えようによってはそうなりますか。兎も角、そうやって魔素子が世界に満ちることになったとか何とか。実際はどうなのかは知りませんが」
「ふーん。で、その魔素子は精神と呼応する性質があるんだったか?」
「そのようですね。どちらも
精神と呼応した体内の魔素子は、外界の魔素子へと伝播し、その過程で魔力と呼ばれるエネルギーが生まれる。
その魔力を用いて小規模の現実改変、或いは新たな世界法則を追加する行為を秘蹟、或いは魔法と呼ぶ。
秘蹟は魔力を魔素子そのものに刻まれた神々の術式を用いて行使する。
但し、行使には神々への信仰心によって生み出された魔力以外では起動せず、また規模も小さい場合が多い。
この世を去った神々が最後に残した恩寵とも言われ、基本的に人々の助けとなるような効果が殆どである。
魔法は秘蹟のメカニズムを解析して作り出された人間独自の技術。
入れ墨や詠唱、魔法陣などを神々の術式の代替とし、更に便利かつ規模も大きくなっている。
とは言え、効果を発揮する術式を組み上げるのは並々ならぬ知識と研鑽が必要となり、また汎用化させるのは更に難易度が上がる。
「ん? てことは、オレも使おうと思えば使えるってことか?」
「それは分かりませんが、殆ど才能の世界みたいですよ。体内の魔素子の量によって生み出せる魔力の総量も変わってくるらしくて」
「へぇ~…………はぁーーーーー!!」
「なにやってんですか???」
詳しい内容ではなく概要でしかなかったものの、聞き終わったカルラは突如として両手をタキトゥスに向けて、気合の入った声を出す。
一体何のつもりなのか検討もつかないタキトゥスは目を白黒とさせて困惑していた。
「いや、主様がオレに欲情するようにちょっと魔法を、むむむむむむむむむぅ」
「そういう秘蹟も魔法も聞いたことないですね。それに夫婦だからって、そういうのばっかりでは……」
「ちぇー。なんだぁ、つまんね!」
どうやら本気で念を送っていたようだが、全く効果がないのを見ると、カルラは不貞腐れたようにソファへと寝転んだ。
肉体的な繋がりを求められたタキトゥスであったが、仕草そのものは淫らなものではなく愛らしいものであった故に、優しげに微笑んだ。
其処で彼はソファから立ち上がり、ポケットから何かを取り出してカルラの前へと移動する。
そして、微笑んだまま、それを差し出した。
「安物ですけど、カルラさんにプレゼントです」
「プレゼントぉ? …………こーれーはー、首輪?」
「首輪じゃない、チョーカーですよ! お洒落、首飾り! 人聞き悪いなぁもう!」
タキトゥスが差し出したのは、革製の黒いチョーカーであった。
カルラと厩舎で別れたあと、町にあった小さな装飾品店で購入したものだ。
「プレゼントは嬉しいけど、何だってまた突然……」
「ほら、奴隷紋のせいで色々と絡まれたこともあったでしょう? オルグレンにつけばそれもなくなるでしょうけど、それまでの間は、と思って」
「ふーん、へぇー」
「な、何ですか、その顔は」
「べっつにー、なんにもー? それより、プレゼントならつけてくれよ。ほら、早く!」
タキトゥスとしては、あくまでもカルラの身を慮ってつもりではあった。
しかし、彼女は他の男がちょっかいをかけてくるのが不愉快であったから、と受け取っていた。妻に対する独占欲と嫉妬心が発露した結果だと。
そういった心が全くのゼロであったかと問われれば、タキトゥスも否定はしきれない。
だが、本心を見抜いてやったと言わんばかりの笑みを浮かべられては閉口せざるを得なかった。
カルラは笑みを消さないまま顎を少し上げ、白い首を差し出す。
タキトゥスは戸惑いを隠せなかったが、慣れなさ故に手こずりながらもチョーカーを取り付けた。
生憎と部屋に鏡がなかったためチョーカーを身に着けた自らの姿を確認できず、プレゼントを受け取った現実を何度も手で触れて確かめる。
やがてカルラはタキトゥスの顔を見上げると――――
「うりゃー! 主様ー!」
「うわ! 何ですか、突然!」
「にししっ、ありがとな、オレのために♪」
――――その場で飛び上がり、首に抱き着いた。
身長差の余り、カルラの両脚は床には届かず、タキトゥスは首で全体重を支える羽目になったがビクともしない。
その逞しさと優しさに、より一層抱き着いた男の何処に惚れたのかを自覚したカルラは、頬擦りだけでは収まらず、頬へと向けて何度となくキスを落とした。
そして、口を耳元まで持っていくと、ねっとりした声で囁く。
「なあ、主様が欲しくなっちまった♥ こーび、しようぜ♥」
地の文に擬音はアリ? ナシ?
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全然アリ
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エロだけでならアリ
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擬音はアリだけど、今の擬音はちょっとぉ
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何が何でもナシ、陳腐すぎ
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エロだけでもナシ! 萎える!