※この作品はR-18です。

ベッドヤクザな遍歴騎士と誘い受けマゾメス騎士姫のハーレム構築ちんチン珍道中   作:HK416

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おっとりサムライガールのこれから

 

 

 

 

「おいひぃ……おいひぃ……!」

「うわぁ……鍋のままいってるよ……」

「カルラさん、黙ってあげて???」

「これは明日にでも次の町に辿り着かねば、我々の食べる分も残らんな……ふむ、大した健啖ぶりだ。これならば腕を振るった甲斐もあったというものだな」

「そういうもんかねぇ……」

 

 

 トモエの腹の虫に事情の説明と把握を一時中断し、夕食と相成った。

 本日のメニューは、トマトと赤ワインをベースに熟成して食べ頃となった牛肉と様々な根菜をふんだんに使ったビーフシチュー。

 そして、次の街までは近いから、と日持ちはしないが柔らかで食べやすい白パンが主食。

 

 トモエの空腹振りから十分な時間煮込めていなかったものの、シチューの野菜も肉も柔らかく、処理と切り方がよかったのか味が沁み込んでいた。

 噛めば噛むほど素材の味が溢れ出してブイヨンとハーモニーを奏で、鼻から赤ワインとトマトの香りが抜けていく。

 白パンは僅かに炙って香ばしいさと小麦の香りが一層増し、シチューとの相性は抜群であった。

 

 三人はもう食べ終わっていたが、トモエの食事はまだ続いている。

 今など、厚手のタオルを何重にも巻いた鍋を正座した膝の上に乗せ、スプーンで掬い上げて口に運んでいる最中。

 初めの内は、行儀よく食器から食べていたのだが、いつまでもお代わりを続けるトモエに明日の朝の分まで作ったシチュー全てを与えることにしたのだった。

 

 セレスティナは感心感心とその食べっぷりを称賛していたが、隣のカルラはドン引き状態。

 食べる量は勿論のこと、育ちの悪い自分ですらしない食べ方を遥かに育ちの良いトモエがしているのだから、さもありなん。

 そして薄っすらと、アズマの連中って皆こんななのか、とアズマ人に対する間違った印象を抱き始めている様子。

 

 どんどんおかしくなっていく空気に、異国の料理に舌鼓を打ちながらポロポロと涙を流していたトモエはようやく顔を上げるが、手は止まっていなかった。

 

 

「もぐもぐ…………はっ!? こ、此方(こなた)ときたら、なんとはしたない真似を……!」

「無意識な上に今更すぎんだろ。好きなだけ食えよ、こっちはもう満腹だしな。そんなに腹減ってたのか……?」

「うっ……そのぉ……はい……ヴァンハイムを訪れて半年。路銀も底をつき、ここ数日は木の根を齧る始末で……」

「そんだけ喰うのに、よく半年も持ったな」

「は、はうぅ……!」

 

 

 品位も何もあったものではない食べ方に全員の視線を集めていることに気付くと、顔を真っ赤にしたトモエの手がようやく止まる。

 恥じらいに耐えるように膝の上の鍋を抱き締めていたが、今までの食べっぷりからどうしても鍋の中身を他者の手から守っているように見えてしまう。

 

 カルラは呆れの余りに端的な物言いとなってしまっており、嫌味にも聞こえかねない。

 少なくともトモエはそのように受け取ったらしく、タキトゥスに怪我を負わせた負い目もあって反論なく縮こまる。

 どうやら彼女にとって食べ方は元より、大喰らいであることも恥じらうべき事柄のようだ。

 

 そして、抱き締めた鍋によって大胆に露出した胸元が潰され、今にも零れ落ちそうになっていた。

 どんな男でも釘付けになって生唾を飲み込んでしまいそうな光景であったが、タキトゥスはここ最近でセレスティナとカルラの身体を堪能したお陰か、不用意な視線を飛ばさずに済んだ。

 

 

「と、当初は知り合いの商人の伝手を頼りやってきて、傭兵の真似事をして路銀を稼いでいたのですが、思いの外ヴァンハイムは広大で、咎人も一向に見つからず……」

「で、金も無くなって喰うに困ってたところで魔物の襲撃かぁ。ついてねーなー」

「カルラ、その辺りにしておけ」

「あっ、わりぃ。オレは責めてるわけじゃなくてだな……」

「いえ、カルラ殿の言い分も尤も。此方(こなた)の無謀さに、我ながら呆れております……」

 

 

 久方振りの食事を味わう至福の表情から、見る間に意気消沈していくトモエは今にも消え入りそうであった。

 

 カルラとて身内を失う辛さは身に染みて分かっている。ただ、彼女の場合は境遇上、一心に憎むべき相手が居なかっただけ。

 生まれ育った村と家族は生活を守るべく保身に走るか、誇りを取って捨て身となるかの決断を下せずに、自滅にも等しい結末に至った。

 全ての元凶である帝国を憎むこともできたのだろうが、事態を止められなかった自身の情けなさと受け取った愛情への疑いの方が遥かに強く、それ以外はどうでもよかった。

 

 それを思えば、憎むべき相手が明確なトモエが無茶をしてまで追う気持ちも分かる。

 もし仮に自身が帝国を憎んでいたのならば。カルラはそうなった自分は、手当たり次第に帝国の人間を殺していただろうな、と確信していた。

 カルラにとってトモエは違う選択をした自分とも言える。悪感情があったのではなく、自身の似姿だからこそ遠慮がなくなっているだけだった。

 

 但し、カルラの事情など知らぬトモエは悪い方向に悪い方向に受け取らざるを得ない。

 

 

「おほん、話の続きをしても構わないな?」

「あっ……は、はい……!」

 

 

 何処か気まずい雰囲気が漂い始めた両者の間に、セレスティナの咳払いが割って入る。

 対人関係を把握、調整する手腕も求められる騎士団の長として、良からぬ空気を察して他者の心理を読み、解きほぐすなど慣れたもの。

 セレスティナの話題転換に、トモエはこれ幸いと鍋を横において居住まいを正し、カルラも真剣さを取り戻す。その中で、タキトゥスだけは相変わらずの茫洋とした間抜け面であった。

 

 

「トモエが此方に渡ってきたのは半年程前と言ったが、咎人も同時期に?」

「いえ、それよりも更に前と思われます。私は一族の弔いを済ませた後に、伝手を頼りながら後を追いましたので」

「ヴァンハイムに入ったのは間違いないのだな?」

「はい、私の頼った伝手のところに訪れており、“海を渡ってヴァンハイムに向かう”と漏らしていた、と。私自身も方々聞いて回りましたが、咎人の特徴と一致している男を商船の船乗りが乗せた、とも」

「ほぼ間違いない、か……」

 

(てことは“凶竜事変”が終わった頃まで遡るかもなぁ。あの頃はヴァンハイムどころか四大国家全部が大騒ぎだったし。咎人にとっては、えーっと、アズマじゃなんて言うんだっけ? 渡りに船、っだったかな? そういう感じだったかもしれないな)

 

 

 セレスティナとトモエのやり取りを聞きながら、何も聞いていないような表情でタキトゥスは考えを巡らせる。

 

 咎人が頼った相手のみならず、船乗りまで証言しているのならば、ヴァンハイムに紛れ込んだのは確実、と見ていい。

 現状、アズマが交易を行っているヴァンハイムのみ。残る四大国家や周辺の小国に逃れた可能性もあるが、極めて薄い。

 

 ギルドタリア帝国はアズマ人の心証として逃げるにしても極力避けたいはず。そもそも見知らぬアズマ人を見つければ即座に奴隷へと堕とされる。

 宗教国家バルトメロイは宗教上の理由からアズマ人の印象は極めて悪い。国に入れるかすら疑問である。

 残る四大国家の一つ商業連合トリスメギスの可能性もあることもあるが、海路は大陸を大きく迂回した挙句、ギルドタリアとバルトメロイの領海を越えねばならず、陸路で行こうにも結局はヴァンハイムに入ってから行くのが無難なところ。

 

 そもそも四大国家のある大陸は巨大であり、国家間の移動は膨大な時間と費用がかかる。

 自らの犯した罪から逃れ、平穏な暮らしを求めているのならば、乏しい路銀を浪費して他の国に行くよりも、ヴァンハイム内部で身分を偽るのが尤も無難な選択肢。

 

 十中八九、咎人はヴァンハイムで息を潜めているだろう。

 

 となれば、見過ごせないのがセレスティナである。

 咎人が凶行に及んだ動機は定かではないが、ヴァンハイム内部で同じような凶行に及ぶ可能性があるのならば、事前に止めるのが我が使命と考える。

 

 凛々しい表情が更に引き締まったことで心情を読み取ったカルラとタキトゥスは、盛大に溜息をついた。

 遍歴の旅の最中に、奴隷売買の後を追っていると言うのに、そこから更にアズマ国から逃げた犯罪者まで追うつもりなど、呆れもしよう。

 だが、それでもセレスティナの決意に口を挟まなかったのは、そんな彼女だからこそ共に在りたいと願っていたからに他ならなかった。

 

 

「トモエ、咎人がヴァンハイムに逃げ込んだ以上、もはやこれは貴方と一族だけの問題ではなく、我々の問題にもなった」

「はい、当然です。ですが……」

「其処で、だ。我々と協力して事に当たるべき、と考えるが、どうだ?」

「……きょ、協力、ですか? 我々に任せろ、ではなく?」

「無論だ。現状、咎人の顔を知っているのはトモエだけ。そも咎人がヴァンハイムにおいて何らかの罪を重ねているかすら定かではない。トモエの協力がなくては先手を取れん」

 

 

 てっきり、ヴァンハイム内部で勝手な真似をするな、とでも言われると思っていたのだろう。

 セレスティナの迷いも淀みもない提案に、トモエは目を丸くする。

 

 実際、咎人の素性や顔を知る者でヴァンハイムに居るのはトモエのみ。

 アズマに問い合わせるのも一つの手であるが、それで繋がるのは将軍家であり、将軍家から更に天子仕えの家に調査を入る流れとなる。

 

 となれば、情報が開示されるのは何時になるか。

 様々な思惑によって関知できていなかったとしても、犯罪者の他国への逃亡など醜聞以外の何物でもなく、これ以上の醜態は晒せない。

 将軍家としても、間違った情報など明かそうものならばヴァンハイムからの心証が、と間違いなく慎重になるだろう。

 

 その間に、咎人が新たな動きでも見せようものならば……。

 

 そうした諸々の柵(しがらみ)を全て横に置いて咎人へと辿り着ける最短距離への道、その門となるのがトモエだ。

 咎人の思惑と目的が何であれ、その行動に対して現状のままでは全てが後手になる。現時点で唯一先手を取れる可能性があるとするならば、トモエとの協力だった。

 

 

「し、しかし……」

「少なくとも話を聞く限り、トモエの復讐は正当であり、咎人の持つ神器が如何なる能力を持つか分からない以上、危険な人物には違いない」

「…………」

「殺人を肯定するつもりはないが、私には完全に否定もできない。国を守るために、幾人もこの手で殺めているからな。よって、これは倫理ではなく互いの利益を求めた提案と思って貰いたい」

 

 

 その過程で、どうしてもトモエが自らの手で仇を取りたいと言うのなら、協力の見返りとして看過するつもりである。

 他国の人間同士が国内で殺人を犯すなどヴァンハイムも見過ごせないが、言い訳はどうとでもなろう。

 アズマも交えた調査の結果、その殺人は正当なものであったとするのも、咎人の凶行を先んじて止めるためとするのも、ヴァンハイムの法に則っても無理なく収められる。

 

 トモエが仇を取らない選択をしたとしても、その時は咎人をアズマに引き渡せばいいだけ。

 セレスティナとトモエの手を組むメリットはあれども、デメリットはほぼないと言えた。

 

 

「それに、我々と行動を共にすれば路銀にも食うにも困らんぞ」

「うっ……!」

 

 

 加えて、これまで聞いた話はあくまでもトモエの主観に沿ったもので、それ以外の視点を欠いている。

 嘘か真かも定かではなく、嘘でなくとも事態認識の齟齬によって誤解が生じている可能性も否定できない。

 監視下と言わないまでも、最後まで推移を見守った方が良いのは明らかだ。

 

 トモエもセレスティナの考えを読み取り、押し黙った。

 如何に対応すべきか。慎重に思考を張り巡らせ、自身にとっての最良を選択しようとしたものの、トドメとなったのは即物的な助け。

 例え、どれほど才気に満ち溢れていようとも、日々を暮らしていかねなければ、目的すら果たせない以上は当然であった。

 

 

「……その提案、受けさせて下さい。この御恩は、必ずや」

「単なる利害の一致だ、気にするな。それから、トモエの加護についてだが、誰か知っている者はいるか」

「いえ、居りません。両親は過ぎた力は身を滅ぼしかねない、と悪戯に使うことを禁じましたので。もしかしたら、両親が天子様にお伝えしているかもしれませんが……」

「当然か。加護持ちと知っていれば、実権のない天子殿は兎も角、将軍家も天子仕えの家も勝手はさせまい」

 

 

 セレスティナは質問への返答に、表面上は冷静さを保ちつつも、内心では安堵の吐息をついた。

 

 加護持ちの力は凄まじい。

 その力は何も戦いばかりではなく、あらゆる分野で稀代の何かを生む。

 実際、ヴァンハイムの加護持ち――――五人の偉人は戦闘以外の分野で威を示す加護を生まれ持っており、現在でもヴァンハイムを支える礎を築いた。

 

 トモエのように戦闘に特化している加護持ちであったとしても、アズマ側にしてみれば咽喉から手が出るほど、欲しい人材に違いない。

 将軍家にせよ、天子仕えの家にせよ、利用価値のあるトモエがヴァンハイムにいると知れば、理由をつけてアズマに戻すべく躍起になる。それこそ咎人の存在さえも放置して、だ。

 

 その点、トモエの両親には感謝すべきだ。

 アズマに情報を提供する旨を伝える際に、トモエの名を出しても余計な諍いは起きない。

 トモエ自身にしても同じこと。彼女が政争や権力闘争から離れたところで自由を謳歌できているのは、他ならぬ両親の決断によるものなのだから。

 

 

「さて、今日はこの辺りにしておこう」

「そりゃ構わねぇが、これからどうするんだ?」

「当初の予定に変更はなしだ。咎人を我々だけで闇雲に探しても見つからんだろうからな。各地の騎士団と衛兵騎士達に咎人について探って貰い、我々は待つ形になる」

(セレナ殿が、そのような権限をお持ちとは……)

「それが一番ですね。となると、ラインハルト様に?」

(…………え? ライン、ハルト? 確か、ヴァンハイムの第一王子では……)

「ああ、全体を把握しつつ、アズマとの外交を預かっているのは上兄様だからな。知らせておかねばなるまい」

(上、兄様……? それは、つまり……)

 

 

「おい、トモエの顔がすげーことになってんぞ」

「ん? ああ、すまない。改めて名乗らせて貰おう。私はセレスティナ=フォン=ヴァンハイム。白薔薇騎士団の長を務めている者だ」

「………………えっ。はっ? えぇ?」

「そっちもそうなんですが、第三王女と言った方が……」

「えぇぇ~~~~~~~~~~~~~~!??!!?!?」

 

 

 思いも寄らなかったカミングアウトに、トモエの絶叫が夜空に飲み込まれていく。

 トモエとて相応の地位にいる相手として捉えていたが、まさかこの国の王家に連なる者だとは夢にも思わなかったらしい。

 無理もない。王家の人間が、たった二人の護衛だけで国を見て回っていた挙句、黒目になった己を止めるなど誰が考えるだろう。

 

 この後、顔を真っ青にしたトモエが、再びの土下座を敢行する羽目になったのは言うまでもないことだ。

 

 

 

 

 

地の文に擬音はアリ? ナシ?

  • 全然アリ
  • エロだけでならアリ
  • 擬音はアリだけど、今の擬音はちょっとぉ
  • 何が何でもナシ、陳腐すぎ
  • エロだけでもナシ! 萎える!
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