ベッドヤクザな遍歴騎士と誘い受けマゾメス騎士姫のハーレム構築ちんチン珍道中 作:HK416
ヴァンハイムでは何処にいても若草の匂いが鼻腔を擽り、春から夏へと切り替わる“獅子の節”。*1
今日も今日とて、カルラとトモエは宿場町近くの草原に居た。
何時ものように馬体を鍛え、トモエの馬術を向上させる訓練をしている――わけではなく、本日は大剣と刀を構えて向かい合っている。
「いくぜ――!」
「…………っ!」
先手を取ったのは、やはりカルラであった。
足首まで埋まる若草の海を何の苦もなく低い姿勢で疾走する姿は狼そのもの。
肩に担いだ大剣の重さすら感じさせぬ速度に、正面か側面か或いは背面から襲い掛かってくるか定めさせぬ軌道は明らかに人のそれではない。
並の使い手ならば、それだけで狼狽えてまともに対応できぬ動きであったが、トモエは冷静であった。
目で追うだけでは捉えきれぬ。ならば、五感を総動員して意を読むまで。
正眼に構えた刀の鋒を微塵も揺らさない不動の姿勢のまま、神経を研ぎ澄まして攻撃の起こりを読み、隙に刃を差し込む腹積もり。
「おっるぁ――!」
動きで翻弄しても隙は生まれないと判断したカルラは、即座に地を蹴って飛び上がる。
真正面からの強襲は、獣が獲物に襲い掛かる姿に似ていた。
跳躍のまま身体を縦に一回転させ、全身の発条と大剣の重さを乗せた、正に渾身の一撃。
小技も挟まず、相手の体勢も崩さずに放たれた無謀すぎる剣戟に、トモエは僅かに目を見開く。
しかし、奇を衒うこともない真向唐竹の一閃など、彼女にとって脅威に足り得ない。
幾許かの驚きがあったのは事実だが、あくまでもトモエの知る剣の
柄を握っていた右手を離し、僅か半歩ほど右脚を引きて半身になる。
カルラの動きに比べれば緩慢にさえ見える動作であったが、無駄が削ぎ落されている故に悠々と追い付いてしまう。
天から地へと振り下ろされる刃はトモエの胸先を掠めてしまいそうなほど距離を通り過ぎ、剣圧だけで豊満な胸を大きく揺らす。
続き、大剣は地面へと叩きつけられ、衝撃で地面は揺れ、千切れた若草が宙へと舞い上がる。
「――――はぁっ!」
直撃すればカルラの倍は大きい魔物であろうとも問題なく一刀両断できたであろう一撃であったが、当たらねば意味がない。
威力のある一撃は、外れれば大きな隙を生むもの。事実、刀身の先端は地面に埋まり、どのような行動であれ一拍子遅れてしまう。
それを見逃すトモエではない。
短い呼気と共にカルラの喉元目掛けて鋭い突きが放たれる。
片手による突きであるが、刀の鋭さは語るまでもなく折り紙付き。骨にも守られてない部位を貫くなぞ造作もない。
煌めく鋒は寸分の狂いもなくあらゆる生物の弱点へと吸い込まれ――――
「んなろぉ――!」
「う、ぐぅ……!」
――――着地と同時にたわんでいたカルラの筋肉が急速に力を解放する。
白いニーソックに包まれ、境に健康的な肉の段差を作り出している両脚は勿論のこと、全身の肉という肉が発条に変化していた。
タキトゥスと剣を交えた時に似たような状況に陥った経験。人よりも優れた亜人種の身体能力。生まれ持った天賦の才と
カルラはそれら全てを使い、隙という名の道理を何の比喩もない力業で捻じ伏せる。
生まれた結果は、後方への跳躍と同時の剣戟。
大剣が地面から引き抜かれると同じくして、両の脚が地を離れ、捻られた身体が旋回する。
喉元へ放たれた突きと旋回によって生み出された横薙ぎの一閃が交差し、激しい火花を散らした。
突きを反らされたトモエは再び正眼に、距離を取ったカルラは片手を地面について低い姿勢を保つ。
剣を打ち合わせたのは一合。両者が振るった剣戟は僅か三度。
けれど、殆ど瞬きの間に行われた攻防は、武に触れた経験のある者ならば固唾を飲んで魅入ってしまうか、開いた口が塞がらなくなるほどに凄まじいものだった。
そして、これにて仕切り直し。
次に動くのはトモエか、それともカルラなのか。
「………………っ……」
「……あのよぉ、トモエ」
しかし、次の攻防は永遠に訪れない。
先程まで犬歯を剥き出しにしていたカルラは、頭頂部の耳周りを掻きながら立ち上がると大剣の刀身で肩を叩く。
毒気を抜かれたというよりも、闘志そのものが萎えているのは明らかだった。
それもそのはず、先程まで全神経を尖らせていたトモエであったが、今は露骨に集中に欠いている。
相対しているカルラから何度となく目を外し、あらぬ方向へと視線を送っていた。
「…………はっ?! な、何をしているのですか、カルラ! さあ、来なさい!」
「いや、そんな状態じゃお互い怪我すんだろ。いやまあ気持ちは分からねぇでもねえけどよぉ……」
「う、うぅ……だってぇ……」
気を取られたトモエは我に返ったが、仕切り直しの続き、とはならなかった。
二人が剣を交えていたのは互いの腕を磨き、確認し合う訓練であったから。闘志こそあったが、其処に殺意も敵意もありはしない。
腑抜けた状態のトモエと訓練などしても上達も向上も望めず、ただ怪我をするだけの結果になって何の意味もないだろう。
カルラの呆れと中断、そこはかとない共感に、トモエは思わず不満を漏らしそうになっていた。
「よしよし。いいぞ、ライデン」
「ばもも……ばふー……」
二人の視線の先には、ライデンと跨っているタキトゥスの姿があった。
ライデンとの出会いの後、商人との交渉は殊の外スムーズに終わった。
値段はシルセンド銀貨30枚。一般セリでは農民や傭兵でも手が出せる値段で取引されるため、平均はおよそ20枚ほど。
ファウストなど小柄な馬体もあって15枚で買ったことを考えれば、少々値が張った。
とは言え、まだ良心的な方である。
商人は金の匂いに敏感でなければ成り立たない。
金に余裕のある王国騎士が、セリに出す予定の馬を自ら買いたいと申し出てきた。セリに出す以上にぼろ儲けのチャンスと考えても不思議ではない。
ただ、商人は馬に然程詳しくもなく殆ど押し付けられるような形で手に入れたらしく、またライデンの脱走癖に辟易としていた。
このまま脱走を繰り返されて銅貨一枚にもならず何処かに逃げられるくらいなら、多少安値でも売ってしまった方がよい、と考えたようだ。
こうして、晴れてトモエの馬になったのだが、すぐさま背には乗れなかった。
「しょーがねーだろぉ? オレ達じゃ、ライデンに人の乗せ方は教えてやれねぇんだからよぉ」
「そ、それは、そうなのですけどぉ……けどぉ……」
当然である。ライデンはこれまで人を乗せた経験がない。いきなり鞍をつけられ、人に跨られて指示を出されても混乱してしまう。
乗り手の指示がどのような意図で、どのような動きをすればいいのか、全く分からない状態だ。文盲の人間に指示を書いた紙だけを渡し、全く経験のない仕事をしろ、というのと同じだろう。
馬に人の乗せ方を教え、どのような指示に対してどのような動きをすればよいのかを教え込む。それを経ることで、ようやく馬は人を乗せて走れる。
一行の中で馬に乗るだけでなく、馬に教えることができるのはタキトゥスだけ。役割が回ってくるのも、初めにライデンに乗るのも必然であった。
ここ最近、時間もあったためファウストも訓練漬け。
彼等を休ませるため、今日は乗馬ではなく剣の手合わせを行っていたのだ。
そうした事情もあり、トモエも納得したものだとカルラは思った故に誘ったのだが、そうではなかったようだ。
買うための金まで出してもらい、乗用馬として必要な調教も
互いの目的のために協力関係を結び、信頼関係も築いているが、これだけ便宜をはかってもらった上で不満を漏らそうなど罰が当たる、とトモエ自身も当然考えている。
ただ、礼節や理屈を超えたところにある思いが、ライデンの背に一番最初に乗りたかった、その乗り味を確かめてみたい、と囁いていた。
手合わせの最中、短い時間であれ保たれていた集中力は完全に霧散してしまっている。
タキトゥスがライデンに話しかけながら乗り回す姿を羨ましそうに眺めていた。放っておいたら、指まで咥えだしそうだ。
その姿にカルラは口を開こうとしたものの、結局口を噤む。
トモエの気持ちはよく分かる。ファウストの時も、自分も似たような心持ちになった。引き渡され、初めて背に乗った不安と喜びを今も忘れられない。
諫めることさえも無粋と割り切り、大剣を背負ってトモエと共にタキトゥスの調教の様子を見守る。
やがて、雲が緩々と流れていき、何度となく草原の青草を風が撫でた頃、タキトゥスとライデンが近づいてきた。
「いやぁ、ライデンも賢いなぁ。うん、いい馬だ。ファウストにも負けませんね」
「そうかぁ? ファウストはアレでやんちゃっつーか、最初の頃は振り落とそうとしてただろ?」
「アレは遊びのつもりだったんじゃないかなぁ。本気で振り落とすつもりなら、もっと立ち上がったり、背中から引っ繰り返りますから」
「そうなのですか……そ、それで調教の進み具合はどうなのでしょうか?」
普段は茫洋とした態度のタキトゥスにしては珍しく、ライデンの背から降りた彼の頬は僅かばかりに紅潮している。
額の小刀型の流星以外に目立った特徴のない馬だが、乗る前から資質は分かっていた。
地味な印象すら受ける馬体だが、それは極まったバランスの良さの証。乗ってみて資質を見誤っていないと確信し、高揚しているようだ。
タキトゥスが労うように首筋を撫でると、ライデンはトモエに向かって鼻先を向ける。
まるで、褒めてとねだるような姿にトモエは顔を撫でた。その手付きは愛馬への優しさと同時に隠し切れない期待に満ちている。
「もう十分でしょう。ファウストもそうでしたが、教えれば一度か二度で覚えてしまう。あとはトモエさんと一緒に覚えていけばいい。お待たせして申し訳ありません」
「だってよ。折角だし、乗ってみたらどうだ、トモエ?」
「は、はい! では、早速…………よい、しょ……!」
タキトゥスの宣言とカルラの勧め、そして待ちに待った瞬間にトモエは目を輝かせた。
普段の彼女からは考えられない興奮した素振りに二人は何も言わず、すっかりと様になった跨り方を眺めるばかり。
まるで欲しかったものを手に入れた子供のような姿は、彼女の年齢よりも、ずっと幼い。
鞍を通して伝わってくるライデンの体温と馬独特の息遣い、高くなった視点は新鮮ですらあった。
アッシュの背で見慣れてきたはずの光景も、ライデンの背から眺めれば全く別の光景にさえ見える。
待ち望んだ歓喜を期待と共に笑顔に変えて、トモエはライデンに指示を出す。
「はっ……! …………あ、あら? ……はぁっ!」
「おい、主様。ライデンの奴、微動だにしねーんだけど?」
「こーれーはー……」
トモエは腹を挟み込むように力を込め、二度目はやや強めに腹を蹴る。しかし、ライデンは動かない。
手綱をしごいてみても、鞍の上で跳ねてみても、やはりライデンは直立不動のまま。
これにはタキトゥスの全てに信頼を寄せるカルラも主へと視線を向ける。
ファウストの時は同じ程度の期間できっちりと教え込み、カルラも問題なく乗れるように仕込んでみせた。
故に咎めるというよりも、何故と言わんばかりの困惑した視線だ。
タキトゥスは両手を組んだまま肩を竦め、訝しむようにライデンの様子を探る。
確かに、人を乗せることを極端に嫌う馬はいる。それこそ、彼の愛馬だったインサニアなどその典型にして究極であった。
だが、初めて背に乗ったその時から、先程降りるまでの間、ライデンはただの一度も反抗の意思など見せていない。
まるで人を乗せるために生まれてきたと自ら定義付けしているが如く、教えれば教えた分だけ素直に吸収していった。
性格が穏やか過ぎて反応が悪い馬もいるが、少なからずライデンは寧ろ反応の良さを感じるほど、タキトゥスが訝しむのも無理はない。
はて、と具に観察していっても、耳を絞ってもいなければ、目を吊り上げてもおらず、少なからず怒ってはいない。
身体の何処かを気にしている様子もなく、前掻きもしていない。ただ、タキトゥスをじっと見つめてくる。
入念に観察するような目付きではなく、痛みや不満とは異なるものを訴えるような目付きに、タキトゥスはようやく合点がいき、苦笑を漏らさずにいられなかった。
「あー、成程。本当に賢いですね、ライデンは」
「ど、どういうことでしょうか……?」
「覚えることは覚えたし、やることはやった。だからもう訓練は十分でしょ、と思っている、んじゃないかなぁ、これは」
「なんだそりゃあ。のほほんとした顔してると思っちゃあいたけど、面倒臭がりっつーかなんつーか……」
「いやぁ、自分の興味のある事柄以外は無駄なことをしませんからね。賢い証拠です。ライデン、今日はもうおしまい。おしまいだぞ」
「……ばもー」
「そ、そんなぁ……」
覚える必要のあるところは覚えたからもう付き合わない、とライデン自身が判断しているらしい。
タキトゥスがこれまで見てきた性格と所感を踏まえた上で、馬に向けるには余りにも夢を見過ぎている結論を出していた。
しかし、あながち馬鹿にできたものでもないようだ。
タキトゥスの訓練終了宣言に、ライデンは心なしか満足げな表情で鼻を鳴らしていた。明らかに人の言葉を理解している反応である。
トモエは鞍上でがっくりと肩を落としていた。
ライデンの賢さはここ数日の世話でよく分かっている。同時に、賢さ故の頑なさも見てきた。
全身のブラッシングをしていても汚れの落とし方が甘いと、その場から一歩も動かずに鼻を鳴らして抗議をしてくる。
気付かずにいても、ここ、ここ! と袖を咥えて引っ張り、自ら示してきた。それが終わるまでは飼葉や水を用意しても、一切口につけないほど。そうなってしまえば納得するまで梃子でも動かない。
愛馬の性質に触れてきたトモエが、待ちに待った一時が更にお預けとなったと理解して落ち込むのも無理はなかった。
見かねたタキトゥスは、ライデンの鬣を撫でながら語り掛ける。
「これからは訓練じゃない。お前が好きに走っていい。トモエさんと一緒に、だ」
「おぉっ……なんか、ライデンの顔付きが……」
タキトゥスの言葉に反応したのか。
カルラが目を見開いて呟いたように、ラクダのようなと評した顔付きが引き締まっていった。
猛禽を思わせる力ある眼差し、緩かった口元は引き結ばれて一文字を描き、耳をピンと立てて前を向く。
馬に触れたことのある者ならば、一目で集中していると断言するであろう状態。
鞍を背負うことさえ慣れていない若馬が、人を乗せた上で見せる表情ではなかった。
ライデンの身体中の筋肉が隆起する。
まるで晴天の空に鈍色の雲が立ち込めていくような変化に、タキトゥスは微笑み、トモエとカルラは目を丸くした。
「ひゃっ!? ひゃわわぁ~~~~~~~~~~~!!」
瞬間、天空から堕ちる稲妻が如くライデンは地を蹴る。
与えられた名に相応しい出足のまま、一完歩毎に加速して
突然の、そして余りの加速に、トモエは両腕を手綱に引かれ過ぎて、身体が反り返ってしまっていた。
彼女の悲鳴すら置き去りにする加速は、ライデンの身体にしがみつくので精一杯。
だが、愛馬の乗り味を確かめていく度に、笑みが刻まれていく。
「っ……ふふ、うふふ……! 行きましょうライデン、もっと!」
悲鳴に続く、歓喜の笑い声。
草原の離れた場所で好きに過ごしていたルドウィークとファウストは何事か、と首を上げて駆ける一人と一頭へと目を向ける。
唯一、アッシュだけは草原に寝そべって青草を食むだらけきった姿で見せていたが、視線だけは騎影を追っていた。
「ライデンも、トモエさんも、楽しそうに走るなぁ……」
「でも分かるぜ、オレ。ファウストに初めて乗った時もそうだったしな。大声出して、はしゃぎたくなんだよなぁ」
「そうですね。それは僕もよく分かります」
まだ最近の話だというのにカルラは何処か遠い目となり、タキトゥスも感慨深げに目を細める。
出会った馬への初騎乗によって生じる高揚。
跨る馬の体温を感じ、未知の乗り味を確かめ、共に風を切る。
一度でも乗ってしまえば、もう二度とは確かめられない全身から伝わってくるあの感覚。
噛み締めれば噛み締めるほどに、童心にも返ろう。
ましてや、それが互いの意思によって出会った人馬ならば尚の事。
(……嗚呼、なんて素敵な)
まるで地の果てまで伸びていくような、或いは天の彼方まで昇っていくような力強くも軽やかな走り。
見初めた相手と、共に稲妻と化して地を駆ける。
何という幸福だろう。伝わる熱も、荒々しい振動も、草を踏みしめ大地を蹴る蹄の音も、全てが愛おしい。
ライデンもそう感じてくれているだろうか。
ふとした疑念から、視線を後方に流れていく青空と草原から、愛馬の顔へと目を向ける。
普段は知性を感じさせる瞳――――しかし、今は縁遠い、幼駒そのものの光が瞬いていた。
どうやら疑念は杞憂だったらしい。
何よりも雄弁な愛馬からの回答にトモエは手綱を緩め、思うがままに走らせる。
(タキトゥス殿には感謝してもしきれません。必ずや、御恩を返えさせて頂きます……でも、今は!)
一つの決意を胸にしたトモエは、胸の奥底に仕舞い込んだ。
必要な思いであるが、地を駆ける愛馬には関係なく、また非礼に当たるから。
今はただ、この喜びに浸りたい。
童心のまま、トモエは手綱を握り直す。
一人と一頭は互いに疲れ果てるまで、互いの躍動を感じ続けるのであった。
地の分のエロ表現はどっちがいい?
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官能小説的に頼むぞ!(肉棒、淫裂等)
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全てはバランス。そう、肉と野菜のように