ベッドヤクザな遍歴騎士と誘い受けマゾメス騎士姫のハーレム構築ちんチン珍道中 作:HK416
ぐあああああ、遅くなって申し訳ない。
こういう場面はどうにも苦手だー。だが、イチャラブには避けて通れぬ道……!
これでようやく次回はエロだぜ!
上手いこと書けるかなぁ……(不安
どうしてこうなった。いや、どうしてこんなことをしてしまったんだ……!
セレスティナに圧と共に尻を叩かれ、部屋を追い出されたタキトゥスの心中にあったのは、それだけ。
事この場に至ってもなお誤魔化しも逃亡も考えていない辺り、何処までも根が真面目な男であった。
しかし、その足取りは牛歩の如く。
罪から逃げず、罰を受け入れる気構えは常にできてはいるが、それはそれ。
如何に酒で前後不覚になっていたとは言え、年頃の女性を手籠めにするなど言語道断。
王国騎士としては勿論の事、タキトゥス自身の培ってきた倫理観としてもあってはならぬ事柄。脚も重くなろうというものだ。
「………………っ」
しかし、どれだけ脚が重かろうと、来るべき時は必ずやってくる。
況してや、それが小さな宿場町の中にある、更に小さい宿屋となれば尚の事。
トモエがいる部屋の閉ざされた扉へと手を掛けたタキトゥスは一度大きく深呼吸をした。
そして意を決して扉を開け放ち、部屋の中へと脚を踏み入れる。
開口一番の悪罵は当然、自らを犯した男への恐怖と怒りも逃げることなく受け入れる覚悟はできている。
その上で、可能な限りトモエの納得できる結末を用意するのみであった。
大した覚悟であったが、滑稽極まりない。何せ、実際のところタキトゥスは手など出していないのだから。
もう完全に手籠めにしたと思い込んでいるタキトゥスに、その可能性に行きつけるはずなどなく。
しかし、彼に待ち受けていたのは肩透かしであった。
「………………ああ、まだ寝てるか」
戻ってきた部屋の中で、トモエはまだ夢の中に居た。
ベッドの脇に立って覗き込んでみれば、静かな寝息が耳朶を届き、何の苦しみも知らないような穏やかな寝顔が見える。
そんなトモエの姿にタキトゥスは心底からほっと息を吐く。
これから待つ断罪の時が遠退いたからではない。気に掛けていた女性がせめて夢の中でくらいは一人で背負うには余りにも大きい重荷を下ろせているようで安心した。
出会った時から気掛かりではあったのだ。
何か言葉をかけてやるべきとは思ってこそいたが、正直なところタキトゥスにトモエの気持ちは全く共感できなかった。
大切な誰かを喪った経験はあった。
誇るべき家族。愛すべき隣人達。懐かしき故郷。同じ戦場を駆けた友。挙げていけばキリがない。
喪った理由は様々で、時に憎むべき相手さえいない現実もあったが、明確に仇となる人物が居たことの方が大半。
そうした事態に直面しても、タキトゥスは仇に対する怒りや憎しみよりも、常に悲しみが上回った。
死人の無念を晴らすのが無意味とは言わない。ただ、それ以上に死者を正しく弔い、その死を悼みたくなる。彼はそういう性質の人間であった。
だからこそ、どんな言葉をトモエにかけてやればいいのか分からない。
他者への寛容と憐察はおよそ500年前に最初の騎士アルトリウスが定め、今もなおヴァンハイムの騎士の中で息づいている掟の根幹。
それらはタキトゥスの心身に刻まれており、トモエの嚇怒も憎悪も喪った相手に対する深い愛情故にと理解しているからこそ、安易に否定もできなかった。
「……ぅん」
懊悩の中、一先ず答えを出すのを後回しにして、起こすのも悪いとベッドの縁に腰を下ろす。
すると、トモエは眠ったまま眉根を寄せて、手をベッドに這わせ始める。
夢の中で何かを探しているような仕草に、タキトゥスは何となしに手を差し出していた。
まるで、大切な何かが見当たらず、泣きながら探し回っている子供を目にした気分になったからだ。
タキトゥスの手を探し当てると、トモエは指を絡めて握る。
其処でようやく安心したかのように顔の強張りがほぐれ、穏やかな寝顔に戻っていく。
タキトゥスは僅かに目を見開いた。
こんなことをしてもいいのか、という疑問。
こんなことでもよかったのか、という驚き。
本当の意味で彼の覚悟が決まったのは、この瞬間であったかもしれない。
「……んみゅ……ん、んぅ……?」
「おはよう、ございます。よく、眠れましたか?」
タキトゥスは握られた手を振り解かず、身動ぎ一つしない。
それから、どれだけ時間が経ったか
カーテンから漏れる陽光にトモエの瞼が震え、ゆったりと開く。
起き抜けの眩い光に目を
ボンヤリとした
ぎゅっと手を握り返しながらの笑みは年不相応に幼く、同時にどうしようもないほどに女の色に満ちていた。
「……あっ…………? ……………………っ?!!!?」
「…………その、服」
「へぁ?! ~~~~~~~~~~~~~~~っっっっ!!??!?」
しかし、それも一瞬のこと。
今し方まで見ていた夢の続きから現実へと返ってきたと悟るや否や、トモエは跳ね起きた。
慌てて絡めていた手を離し、そのままベッドの端まで後退する。
其処で自分がどのような格好をしていたのかを思い出したトモエは、余りのはしたなさに顔を耳まで赤くして昨夜タキトゥスから渡されていたシャツで覆い隠す。
声にならない悲鳴を上げた後、言い訳を並べ立てようとしたトモエであったが涙目になって次の言葉が出てこない。
言葉を紡がないままパクパクと口を動かすだけ。その姿は、いっそ気の毒でさえあった。
「さ、昨夜は、
「……い、いえ、僕の方こそ」
(
(こ、こ、このような淫らな格好で自ら誘った挙句に、泣き出してしまうなんて……!)
二人揃ってがっくりと肩を落とすが、その内心を知る者がいれば吹き出したことだろう。
面白いほどに擦れ違い、絶妙な加減で噛み合っていない。先入観と思い込みは容易に真実を覆い隠すものなのだ。
トモエは余りの不甲斐なさと自己嫌悪に閉口した。
あらゆる覚悟を決め、全てを投げ売ってでも恩を返す挑んだにも拘わらず、出来たのはタキトゥスの胸で泣き腫らすことだけ。
あまつさえ直前になって恋心に気付き、その覚悟にさえ罅を走らせた不様を晒す始末。
それらは自らの見通しの甘さと覚悟が偽りであったと証明するようなもので、言葉よりも行動で自らを示すことに重きを置くトモエには耐え難い恥であった。
「此方は、此方は自ら誘っておきながら、ただ泣くことしかできませんでした。御迷惑ばかりをお掛けして……」
(僕は泣いちゃうくらい酷いことを……!)
勘違いと擦れ違いは加速していくが、タキトゥスがもう迷うことはなかった。
一度大きく息を吐くと意を決してベッドに上がり、トモエと向かい合う形で居住まいを正す。
背筋がピンと伸びた正座はアズマ出身なのでは、と勘違いしてしまいそうなほど堂に入ったものだった。
「トモエさん、大事なお話があります」
「………………」
「僕に、トモエさんを泣かせてしまった責任を取らせてくれませんか?」
「そ、れは……」
「はい、僕と添い遂げてください。勿論、嫌ではなければ、ですが」
トモエにとっては余りにも唐突な、タキトゥスからは当然の責任の取り方。
驚きから目を見開くトモエであったが、相対している男の真剣な表情に生まれたのは静かな喜びだ。
一人の女として、恋心を抱いていた相手からの結婚の申し入れに喜ばないはずもない。
だが、胸の内に広がり始めた喜びが露わになるよりも早く、その表情は曇り始めた。
「…………いや、です」
――此方はなんて卑しい女なのでしょう。
トモエの胸中に浮かんだのは、そんな嫌悪だ。
相手を愛しく思うのならば、申し入れを受け入れてしまえばいいだけの話。
でも、責任を取るなどという理由での申し入れなど、受け入れたくはない。
トモエも公家の出。
そのような家に女として生まれた以上、他の家との関係を保つ道具として愛してもいない相手と結婚する必要性も理解しており、覚悟もあった。
しかし、相手についてよく知らず、愛のない結婚であろうとも、その後に愛が育まれないとも限らない。
互いの度量と相手への尊敬と信頼があれば、愛は生まれ、育まれていることは知っている。
彼女の父と母などその典型。
トモエの知る限り、二人の間で育まれた愛に嘘偽りなどなかった。
故に、責任を取るための結婚であったとしても、其処に嫌悪を差し挟む余地などトモエには存在しない。寧ろ、潔く男らしいとさえ感じるほどだ。
だから、あったのは切ない乙女心に他ならない。
心の何処かで、タキトゥスがそう言ってくれるのを期待していた。
今まで出会った男の中で、誰よりも優しく、何よりも誠実で、子供のように無邪気でありながら、いざとなれば頼り甲斐のある。
そんな彼ならば申し入れてくれるのだはないか、と待っている自分がいた。
それがどうしようもなく卑しく思え、どうしようもなく汚らわしく思う。況してや――――
「私には果たさねばならない使命があります。そのためには夫婦の関係など邪魔なだけです」
まだ話していない事柄さえある。討たねばならぬ仇が実の父親である、と。
初めの内は協力関係を築く上で語る必要はないと黙っていたが、今は別の理由で打ち明けられない。
恩あるセレスティナに仇討ちを否定されるのが怖い。
亡き両親を今なお想うカルラに軽蔑されるのが怖い。
愛するタキトゥスに親を殺すなんて、と拒絶されるのが怖い。
新たに得た光を失うなど、きっと此方は耐えられない。
その一心で口を閉ざしたまま、いずれ訪れる別れに怯えていた。
仇討ちを果たせば、全てが白日の下に晒される。悍ましい父殺しの事実もまた仲間の知るところとなる。
でも、それでもよい。父が行った凶行の理由を知り、一族の無念を晴らせれば、それでよし。
そうでもしなければ彼女の人生は立ちいかず、最後は罵声も侮蔑も受け入れて、何一つ手元に残らない方が憎しみに囚われた者の末路に相応しく、幕引きに躊躇せずに済む。
そう、考えていた。
だから、タキトゥスの申し入れを受け入れてしまえば、心残りが生まれてしまう。どうあっても受け入れるわけにはいかない。
「…………トモエさん、一つだけ聞かせて貰ってもいいですか?」
「何でしょう?」
トモエの胸中など知る由もないタキトゥスは、なおも穏やかであった。
未だにトモエに手を出したと勘違いしている男に全てを察するなど不可能な所業。
だが、覚悟だけは本物であった。
自らの責任の取り方を否定され、微塵も同様しなかったのはそのお陰。
そもそも、強姦紛いの真似をしているであろう己の提案など否定されて当然だと考えていた。
故に、問い掛けは一つだけ。
「トモエさんが寝ている時に、僕の手を握りました」
「それが、何か? ただ、寝惚けていただけでしょう」
「かもしれません。でも、どうしてですかね。その時に、僕がトモエさんを支えないと、なんて考えてしまって」
「…………っ」
「僕は、セレスティナ様のように何でも熟せるわけでもないですし、カルラさんのように踏み込んでもいけません。それでも、夫婦としてが嫌なら、せめて仲間として共に在ってもいいですか?」
傷付き、倒れ伏しそうになっている者を見過ごせない。
彼の人としての在り方か、ヴァンハイムの騎士としての在り方なのか。
どちらであるのか、どちらでもあるのか。実のところはタキトゥス自身でも分からず、またどうでもいい。
ただ、自身の感じたまま、良心であると信じたものに従うだけ。
彼がその瞬間に覚悟したのはそれだけで――――トモエが誰にも言えぬまま抱え、澱のように溜まり続けた感情を吐き出すきっかけとなったものと同じものだった。
堪えようとしたトモエの両目から大粒の涙が零れ落ちる。
タキトゥスが昨夜見せたものと同じものならば、今日もトモエが感情の堰を切らせ、本音を語らせるのは十分で。
「…………こ、此方には、もう何もありません。家族も、家柄も、財も。残っているのはこの身一つだけです」
「はい」
「まだ黙っていることも、あります。全てが終わるまで怯えて何も伝えられません……」
「はい」
「……此方は、卑しい女です。きっと、タキトゥス殿がそう言ってくれるのを待って、いました」
「はい」
「……でも……それでも……こんな此方でも、お傍にいてもよろしいですか? みっともなく泣いて、甘えても、支えて、くれますか? 貴方を、愛してもいいですか?」
「勿論」
トモエの震える声による問い掛けに、タキトゥスは静かに、だが力強く頷く。
其処でようやく、トモエはタキトゥスの申し出も、人柄も、自らの恋心も受け入れた。
今や零れる涙の意味合いも変わっている。
悲しみから喜びに。卑しい自分への不甲斐なさから相手への信頼に。
痛々しさはなく幸福の涙であるのは疑う余地はなかったが、タキトゥスはそれを指で拭う。
相手が幸福だと確信するのは、どうせなら涙よりも笑顔の方がいい。
ただそれだけの些細な行為であったが、トモエにとっては何よりの喜びであったのか、頬に添えられたタキトゥスの手に自らの手を添えて、静かに笑みを浮かべた。
涙が完全に微笑みに変わるまで、言葉もないままにお互いの思いを交換し合う。
そして――――
「では、改めて。不束者ですが、末永くよろしくお願い致します…………あ、あなた様」
「はい、よろしくお願いします。誰かを好きになるだとか、愛しているのかも分からない粗忽で気の多い男ですけど」
「そのようなことはありません。領主たる者、望んだ結婚が出来るとも限りません。此方はあなた様を愛し、あなた様に愛して頂けるように努力するまでのことですので」
涙が止まった頃、トモエは三つ指をついて深々と頭を下げた。
自らの呼び方が変わった事にタキトゥスは僅かに面を喰らったが、新たな妻に非礼のないようにせめて気持ちを込めて形を真似た。
己を卑下するような物言いを、トモエはやんわりとした言葉遣いでありながらきっぱりと否定する。
続いたのは、嫁いだ者の気概を形にした言葉で、セレスティナやカルラ同様に出来過ぎた、というよりも都合の良過ぎる嫁に、タキトゥスが思わず気後れしてしまうほど。
其処でタキトゥスは気を取り直す。
気後れするのは覚悟が足りぬ何よりの証。
相応しい夫になるなどと口が裂けても言えないが、せめて相手を捨てる真似だけはしないために、更に覚悟を深めようと行動に出た。
「きゃぁっ…………あの、あなた様、何を」
「いえ、身体も汚れているでしょうし、寝汗も搔きましたよね。だから、その、お風呂に入りましょう。昨日の記憶がないので、改めてトモエさんの全部を貰います」
「あ、わわぁ…………そ、その、初めてですので、優しく、お願いしますぅ」
(あ、れ? 初、めて? これ、僕は昨日手を出して……………………………………いや、もう関係ないな。僕は、トモエさんが幸せになれるように努力するだけだ)
トモエの膝裏と背中に手を回して抱え上げ、ベッドの上から降りる。
いわゆるお姫様抱っこの形で、セレスティナとカルラを通じてタキトゥスが女性が悦ぶと学んだ所作の一つ。
手を出した記憶がないのなら、手を出した記憶を作ればいい。
その方が、夫としての覚悟が深まるという考えであったが、顔を赤らめたトモエの発言にようやく勘違いに気付いた。
けれど、もう些細な問題である。
今更自らの申し出を翻すつもりなど毛頭ない。トモエもキッカケはどうあれ愛してくれている。互いに了承した結果が今である以上、止まる理由になりはしない。
新たに生まれた夫婦はバスルームへと消えていく。
蕩けるように睦み合い、剥き出しの欲望をぶつけ合う営みが、まだ日の高い内から始まろうとしていた。
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