※この作品はR-18です。

白玉楼での出来事   作:回忌

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白玉楼

カタンカタンとリズム良く揺れる。

私はバスの中で音楽を聞いている

今何処に向かっているかというととある屋敷だ。

近くの通っている高校で言われた話だ。

 

曰く、亡霊が出る。

 

曰く、辻斬りが出る。

 

…曰く、亡霊に魅入られると魂であっても逃げれない

 

私はいじめられっ子だ。

アイツらがこの話をし始めた時、私は終わったと

本能的に感じてしまったのだ。

私は絶対にそれを話題に出すなと思ったが

アイツらは話題に出した。

私は忘れない。

バスの運転手と2人きりの空間で思い出す。

 

バスの揺れが、想起を補助してくれる

 

 

 

 

 

 

──────────

私は最後の授業が終わった後、終活の準備をしていた

その時にアイツらの声が聞こえたのだ。

小声で話していたが、筒抜けだった。

 

「…なあの館知っているだろう?」

 

「あの館ってなんだよ」

 

「知らないのか?西行寺邸だよ。」

 

「そんな某野獣邸みたいな…どんな所だっけ」

 

「えーとなインターネットで検索すれば出るぜ」

 

「おー!本当に出るやん」

 

この高校は寮があるからスマホの持ち込みはOKだ

だからといって目立つようにやるのはあまりよろしく無い。

教育委員会から目をつけられる

だが、こいつらはお構い無しだ。

そんな事を考えているうちに話は続く

 

「このスレでも有名なんだ。」

 

「成程…『透明な亡霊、現る!』って嘘くせぇ」

 

「だがな、こいつはこんな写真を出したんだ」

 

「んん?うわ!本物やん!」

 

「モブキャップに水色っぽい着物。それに桜の様な桃色の髪の毛…!」

 

「これで生きていたら良かったんだけどなー」

 

「え?死んでんのこれ?」

 

「ほら…足をよく見ろよ…」

 

「半透明!?マジかよww」

 

亡霊…ってやつかな。私は直感的にそう思った

私は妖怪やらのオカルトが大好きだ。

人間にはなし得ない所業を意図も簡単に…

そこにシビれる憧れるのだ。

…ちなみに私が最初からオカルトが好きだった訳ではないのだ。

原因は私が霊力を持っていること。

その所為で曰く付きの場所に行けば怨念がいるかいないかの二択だ

この他にも不可解な現象には大体何かが関わっている…

しかも映像であろうと出てくるのだ。もうホラー系統はあまり見たくない。

 

ふと、アイツらの1人が話しかけてきた

 

「おいお前、終学活終わったら来い」

 

「終活を始めるぞー」

 

私は席に着いた。アイツらの一人がこちらを見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてお前には西行寺邸に行ってもらう」

 

「えぇ…」

 

私は声に出すレベルに困惑した。睨まれた。

こいつら頭おかしいよ、何をどうしたら私が行くんだよ

仕方がない。取り敢えず要件は聞いておこう

 

「扇子を取ってきてもらうぞ!」

 

扇子?私は思わず聞き返してしまった。

そんなものが欲しいってコレクターか?

それとも平安の貴族になりたいのか?

まぁイキりたいというだけだろうな…

俺は西行寺邸で扇子を見つけてきたぜ〜ってか

んなもんインターネットで買えばええやろがい

私は心の中で悪態をついた…まぁインターネットで買ってしまえばいいだろう。

 

「おっと、ちゃんと証拠として写真を撮ってもらうからな?」

 

面倒くさいな…夕方辺りに行って扇子探して

手に入れたら屋敷から出て夜の西行寺邸を撮る…と

これならバッチしだ。

 

「あと扇子の模様は桜だそうだ!頼んだぞ?」

 

私は頷いて鞄に教材をねじ込み肩にかける

運が良いのか悪いのか今日は金曜日だ。

学校は無いので普通に西行寺邸に行けるだろう

 

願はくば 花の下にて 死なむその 如月の…

 

何故か私の脳裏にそんな詩が聞こえた気がした

花の下で死ぬ…か。確かに願いたいものだ。

もしかしたら土の上かもしれないが

ただ、この続きを思い出せない

私は逃げる様に教室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

帰路にて私は思いふけっていた。

私の横には幼い頃神隠しにあった時から一緒のそこらの人魂より少し大きい人魂だ。

コイツが言うには半人半霊の霊だとか…知らんがな

ちなみに枕にしたりめっちゃ触ったりしてる。

 

触り心地は最高だ。夏とか冷たいし夏でなくても

 

そのぷよぷよとしているのか分からない感覚は良いぞ

それにしても西行寺邸か…ネット民も大層な名前を

考えたものだよ、建設者と在宅の人泣いているよ。

衛生写真を見た感じ某野獣邸とは全く異なる。

というか一致してたまるかよ。

後ネットでは西行寺邸で通っているが地元民からは

昔から白玉楼と呼ばれている。

大きな文字で白玉楼と書いてあるわけでは無く、ちゃんとそう言われている。

おっとそんなことを言っていると見えてきた…

私の帰り道には必ず白玉楼を通らなければならない

ここは桜が綺麗な事で有名だ。

白玉楼に続く階段の両端に桜が花を咲かすと

富士や紅葉に負けない位には美しい。

ただし、霊が見えなければだが。

ここは年中魂と人魂の溜まり場だ…名前の通りだな

そりゃこれだけ居れば白玉楼って私も付ける

一般ピーポーはそんなもん見えないのでお構い無しに

シートを敷いて花見をしているが私から見れば…

 

――これから死ぬから迎えに来たのかな?

 

そう思うくらいには人魂等がそいつらの周りに居る。

その後死ぬことは滅多に無いらしいがどうだろうか。

余談だが私の両親はもう死んでいる

しかし悲しくは無い、というか見えるし。

親が死んでもこんなに悲しくないのは私のみか?

いや、それでも違和感はある。自分に見えていて

他人には認識されない、それだ。

そして私は白玉楼の階段の前に立った。

見た感じ普通の階段だ。桜はもう青々とした葉っぱだ

 

ふと、視線を感じた

 

私は階段を見上げる

人魂の川が割れて、2つに分かれていた

 

その1番上、階段の頂上

 

 

そこに、黒い影が立っていた

 

姿は黒く、かなり離れている筈なのに、目がくっきりと見える

 

その桜色の目線から逃げたくて、走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ戻って来るんだけどな…

 

そんなことを思い出しながらバスに居る私

制服から完璧な私服に変えた私。

後荷物を整えて来た、スマホやら護身用に万能ナイフとか…

霊にそれが通じるとは思わないけど

私は気を紛らわす為に持ってきたミュージックプレイヤーを聞きながらそんなことを思った。

 

『oh YEAH!〜〜♪HA―HA―HA!YEAH!』

 

なんだっけこの曲…Deimos song?

もはやいつ入れたか覚えていない。

それと家で遺言を書いておいた、俳句で。

 

仏には 桜の花を たてまつれ 

 

   我が後の世を 人とぶらはば…

 

意味は自分でもよく分から無い、何故かPONと頭に浮かんできたのだ。

自分が詠んだ句では無いだろう。

多分この句は弔ってくれとかそういうことだろう

我が後の世をとあるかんじ死後どうにかしてくれ…か

まぁ、マスコミがどのように受け取るかは知らない。

私は扇子を取って写真も撮ってアイツらに見せるだけ

 

でも多分死ぬんじゃないかな?

 

あそこだけ霊の量がおかしい…大災害が起きた時

決まって人魂の量が増えているのだ。怖い

そして、待っていたバス停の名前が聞こえた

 

『 次は白玉楼前〜白玉楼前でございます〜 』

 

にしても珍しい、女性だなんて。

私は不思議に思いながらボタンをポチッと押した。

 

次止まります

 

さて、降りる準備をするか。

ミュージックプレイヤーの電源を切り、ポケットに入れた後、服装を正す。

あそこに入るのはちょっと気が引けるがやむを得ない。

そんなことを考えていると見えて来たよ、階段が

窓の外には夕焼けがオレンジ色の光を出している

運良く扇子が早く見つかって写真撮って帰る。

 

『 白玉楼前〜白玉楼前でございます〜 』

 

なんか胡散臭いな今日の運転手。

こんなに間延びした声が担当に居たか?居た覚えが無いぞ

 

後車内の広告も所々おかしい。

「ニトリ機械屋」とか「なんでも香霖堂事務所」やら「信仰セヨ!守矢神社」なんてのもあった

 

色々おかしいぞこの広告達…

 

宗教の勧誘やら機械屋とか何でもとか…

事務所は法律関係の事でもやってんのか。

私はバスカードを取り出して運賃を払う

階段の前に降り立った私はバスを見た

 

――そしてゾッとした。

 

運転手が制服から別の服に変わっていて…

道化師のような、大陸風の服

コスプレイヤーが着るような、人前で着るには恥ずかしい服

 

しかも顔がこちらを見ていた、三日月の様な笑みで

今までそのような顔を見た事がなくて、寒気がした

 

だが、ここで逃げるわけではいかない

 

階段を一段一段登っていく。

石造りの階段は学校の2倍位の高さだ…疲れる

まぁアイツらにグチグチ言われるよりかはマシか

何故か乾いた笑いが出てしまう。

さて早くしないと日が暮れてえんえん泣くことになる

私の歩く速度は段々と早くなって行った。

 

――ん?あれ?最上段に誰か居る!?

 

見た目は逆光であまり見えないが影が見える

1人は女性らしさを極めたらなりそうな体。

もう1人は…斜め後ろで控えている。

2振りの刀が見える。もしかしてあれが妖怪辻斬り?

今すぐ回れ右して帰れと聞こえるのは気のせいか?

 

『 …別に、来ていいのよ? 』

 

でも今帰る訳にはいかないのだ。

私は俯いて階段を登っていくことにした

10段程上がって最上段を見るとあの影はもう

見えなくなってしまった。

 

さて門の前に着いたな

 

白玉楼は塀に囲まれていた大きな門があるのだ

極端に言えば平等院鳳凰堂の周りに塀と門を置いた

という表現をが1番あっているように感じる

まぁ中身は全く違う。橋があるしそもそも仏像は無い

そこら辺の爺さんに聞いてみたところ誰かが昔の昔にかなり偉い人が住んでいたとかなんとか

凄い庭師を持てる程の位だったとか。

 

…そういえばニュースで見たことあるような

 

ふらりと和服の爺さんが現れるらしい。

この前は皇居の庭を整備したとかなんとか

特徴が死ぬ程似ているのは気のせいだろう

和服が青緑とか刀を持っているとか

絶対に気のせいだ。気にするな

門は少し開いている。誰か先客でも居たのか?

 

――まぁいいや、私は門の間に体を滑らせた。

いつも憑いてくる半霊は門を通り抜けた

中の風景に私は息を飲んだ。

夕焼けが反射する池に白玉楼。

私は土を踏みしめて進んだ

橋を渡って白玉楼に入ろうとした時にそれは出た

 

…縁側に誰か居る

 

その容姿はビックリする程アイツらの言っていた人と酷似していたのだ。

モブキャップに三角巾が付いていて赤い何かの模様が

刺繍されている。着物はフリルが所々ついた水色の

 

着物…成程かなりデカいな、この方…ナニがとは言わんが

 

生きていれば、今頃世界的な美人になるだろう

東京に放り込めば10人中10人は絶対に振り返る

 

ゲイでもいなければ絶対に。

 

ん?今気付いたけど何か持ってない?あの人。

よく見ると口元を隠す様に扇子を持って…

いやまさかそんな事ないよな

あれを盗めと?どうみてもヤベーよ

交渉してみるか?友人がその扇子が欲しいから私に下さいって。

俺だったら誰であろうかと断るわ

 

『 貴方なら いいわよ? 』

 

私は物陰に隠れてその人…いや亡霊を観察していた

その人物は常にニコニコとしている

いやまぁそれだけ見れば可憐な女の子なんだが

あれの周りにいるのは人魂だ。時折撫でてるし

絶対にあれは人間じゃない。

…人魂といつも関わっている私?知らん。

 

さて、それから何時間かした後やっと亡霊は縁側で立ち上がった

もう周り暗いんですけど、暗闇の中白玉楼に行くとか私は本当に死んだかもしれない。

兎も角私は彼女の後を追いかける事にした。

足音がしない事から察するに彼女は本当に人間では無い

私は靴を脱いで縁側の下に隠すと音を出来る限り

立てないように努力しながら追跡した

彼女がこちらを見たら柱に隠れなければならない

事実彼女はこちらを数回振り返った

だるまさんがころんだの移動バージョンだ…

ただし違うのは見つかったら即冥界行きだ

時々庭に見える人魂達の仲間にされるか永遠に なぶり殺しされてしまう。

 

無論の事心臓はバックバクである

 

亡霊はまるで水の様な動きだ、少し拍子があるというか

本当に言い難い雰囲気だ。例えればふわふわしている

彼女の一つ一つの動作を見ていると惚けてしまう…

 

――って何してるんだよ私は。

 

ブンブンと頭を振って煩悩を払う

そうしているうちに亡霊は一つの部屋に入った

もしかして寝るのかな?まぁ好都合だ。

私は少し時間を置いて襖を少し開ける

 

…真ん中で布団を敷いて寝てるぞこの亡霊

 

どうやら死後の世界にも睡眠というのはあるらしい

 

いや、あの数秒で熟睡ってどんだけ眠たかったんだ

すーすーと息を立てて寝ている

その顔付きが…何故か美して…怖くて。

私当辺りを探してみた。するとモブキャップの上に

扇子が置かれているではないか。

 

「ごめんない」

 

私は小さな声で謝ると襖を自分が通れるだけ開けて

中に這入る。

やっていることは空き巣と同じである…

音を立てないようにそーっとあるいてそーっと

モブキャップから扇子を取る

 

 

「ん…」

「ッ!」

 

私の動きが全て止まった

筋肉の動きから心臓の動き、その全てが止まった

氷漬けにされたかのように私は動かない

もの凄く不味いぞこれは…今起きたら呪い殺されそうだ。

そして今気付いたけど妖力も高い。

私の霊力なんて目じゃない程に高いのだ

 

…プチッと潰せるくらいには。

 

彼女は私の方に寝転がるとまた寝息を立てて寝た

私はホッと安心するとモブキャップから扇子を取る

 

「ごめんなさい」

 

『 別に良いわ 貴方になら あげる 』

 

そのまま最初入った時よりも慎重に出ていく

畳の軋む音も立てないように極力努力して。

私は何とか部屋の外に出る事に成功した。

 

…さて、後は写真を撮って帰るだけだ

 

私は先程女性から取った扇子を見てみた

 

…恐らく特注品だろう。紫と水色が使われていて

持ち手付近は薄い水色でその上は濃い紫だ。

白い線で桜や雲の模様が描かれている

確かにこれは欲しい…ていうか桜の模様がある扇子を京都とかで買ってアイツらに渡そう

でも私なんかがこんなの持っていていいのか?

 

『 貴方にそれはお似合いよ? 』

 

私は広げた扇子をパチンと畳むとポケットに入れる

そして縁側の下に隠しておいた靴を取り出して履く。

それにしても何か浮かれている気がする

こういうところにくると気分が高揚する

 

ガダルカナル島やソロモン諸島では兵隊さんと一緒に戦う(周りから見たらただの変質者)とか

 

神社に行ったら神様と楽しく雑談とか。

 

そういう霊等が出る場所になると決まって気持ちが高揚するのだよ。

 

私は白玉楼の池にかけてある橋から屋敷を見る

そしてスマホを手に取るとカメラを起動する

ピントを調整してボタンを押す。

写真は取れたようだ、どれどれ…

 

ちゃんと写っているな。月もあるから夜に行った

という証拠はこれで十分だろう。

 

私はそれだけ見たが…よく見たらなんかおかしいぞこれ

庭で青緑色の服を着たボブカットの少女が木刀を持って素振りをしている

振った時の残像がくっきりと写っているのだ。

それから先ほど私が降りた縁側…そこに先ほどの亡霊が居た

こちらに笑顔で首を傾けている、絵になるなぁ

 

 

 

――じゃなくて。

 

 

 

私は危機感を抱いた、そしてさっさと回れ右して帰ろうとした

でもできなかった。両肩に冷たい手が置かれ、耳に生暖かい吐息がかかる。

そして聞こえたのだ 声が 艶のある声が 聞いていると狂いそうな声が

 

 

 

 

 

「 何 処 へ 行 く の ? 」

 

 

 

 

 

私は叫び声をあげて、門へ走り出した。




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