幸せカナコの殺し屋生活 -殺し屋の世界に足を踏み入れた男の話- 作:桂ヒナギク
俺は
だった、というのは、勤めていた電気工が倒産したからだ。
「はあ……」
走る電車の中で椅子に腰掛けてる俺は深いため息をつく。
「ん?」
俺は端正な顔立ちをしたセミロングの女性に目を向ける。
その女性は、一瞬で姿を消してしまった。
消えた?
その刹那、いかにも悪そうな雰囲気の男が、気を失って倒れた。
「きゃああああ!」
悲鳴を上げる乗客。
倒れた男の背後に、俺は例の女性を見つける。その手には注射器が握られていた。
こんな僅かな時間で女性は一人の男を殺害したのであろうか。
「……?」
女性は俺の視線に気づく。
やばい。殺される?
そう思った俺は、慌てて視線を逸らし、駅に停車した電車から急いで降り、その場から離れた。
「こ、ここまで来れば……」
振り返ると、さっきの女性が立っている。
ひええええ! これ完全に死亡フラグじゃん!
さらば、俺。
「あの、さっきの一部始終、見てましたよね?」
「あ、いや、やめて!」
「誰にも言わないって約束してくれるなら、殺しませんよ」
「言わない言わない! だから殺さないで!」
「あー、いい人でよかった」
「あ、あの……なんであの人を?」
「仕事なんですよ。私、殺し屋なんです」
「こ、殺し屋!? 殺し屋って、人から依頼を受けてターゲットを殺す、あの?」
「はい」
「ひええええ!」
「騒がないで下さいよ」
「すみません」
「あなた、一瞬で私の行動を見抜くなんて、鋭いんですね。そうだ。あなた、うちで働きませんか?」
「うん」
と、答えておかないと絶対殺される。
「それじゃあ、会社に案内しますね」
あ、答えちゃったじゃん。
俺は女性に殺し屋の会社へと連れていかれる。
「あ……私、
「に、西野さんね」
こんなに可愛い女の子が殺しねえ……。
カナコの職場に辿り着く。
「社長、この方が入社したいそうです」
「入社? 本気で言ってんのか? うちは殺し屋だぞ」
やっぱりそうなんだ。
「まあいい、テストだ。こいつを殺せ」
社長が写真を渡してきた。
「これで
社長から狙撃用ライフルを受け取る。
「西野、こいつについてやれ」
「わかりました」
俺は罪悪感を覚えながらも、西野と現場に向かう。
ビルの屋上から、スコープを覗きながらライフルでターゲットを狙撃する。
ターゲットは有名な暴力団の
その頭が、俺の撃ったライフルの弾で絶命した。
やばやばやばやばヤンバルクイナ。人殺しちゃったよ。自首しないと。
「合格だ」
社長が言う。
「西野に続き、お前は逸材だ。是非うちに欲しい」
「はい!」
て、なに言ってんの俺!?