※この作品はR-18です。

幸せカナコの殺し屋生活 -殺し屋の世界に足を踏み入れた男の話-   作:桂ヒナギク

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1.殺し屋の世界に足を踏み入れたら?

 俺は矢澤(やざわ) 健太(けんた)。仕事は小さな電気工だ。いや、だった。

 だった、というのは、勤めていた電気工が倒産したからだ。

 今日(こんにち)より俺は無職になった。

「はあ……」

 走る電車の中で椅子に腰掛けてる俺は深いため息をつく。

「ん?」

 俺は端正な顔立ちをしたセミロングの女性に目を向ける。

 その女性は、一瞬で姿を消してしまった。

 消えた?

 その刹那、いかにも悪そうな雰囲気の男が、気を失って倒れた。

「きゃああああ!」

 悲鳴を上げる乗客。

 倒れた男の背後に、俺は例の女性を見つける。その手には注射器が握られていた。

 こんな僅かな時間で女性は一人の男を殺害したのであろうか。

「……?」

 女性は俺の視線に気づく。

 やばい。殺される?

 そう思った俺は、慌てて視線を逸らし、駅に停車した電車から急いで降り、その場から離れた。

「こ、ここまで来れば……」

 振り返ると、さっきの女性が立っている。

 ひええええ! これ完全に死亡フラグじゃん!

 さらば、俺。

「あの、さっきの一部始終、見てましたよね?」

「あ、いや、やめて!」

「誰にも言わないって約束してくれるなら、殺しませんよ」

「言わない言わない! だから殺さないで!」

「あー、いい人でよかった」

「あ、あの……なんであの人を?」

「仕事なんですよ。私、殺し屋なんです」

「こ、殺し屋!? 殺し屋って、人から依頼を受けてターゲットを殺す、あの?」

「はい」

「ひええええ!」

「騒がないで下さいよ」

「すみません」

「あなた、一瞬で私の行動を見抜くなんて、鋭いんですね。そうだ。あなた、うちで働きませんか?」

「うん」

 と、答えておかないと絶対殺される。

「それじゃあ、会社に案内しますね」

 あ、答えちゃったじゃん。

 俺は女性に殺し屋の会社へと連れていかれる。

「あ……私、西野(にしの) カナコです」

「に、西野さんね」

 こんなに可愛い女の子が殺しねえ……。

 カナコの職場に辿り着く。

「社長、この方が入社したいそうです」

「入社? 本気で言ってんのか? うちは殺し屋だぞ」

 やっぱりそうなんだ。

「まあいい、テストだ。こいつを殺せ」

 社長が写真を渡してきた。

「これで殺(や)れ」

 社長から狙撃用ライフルを受け取る。

「西野、こいつについてやれ」

「わかりました」

 俺は罪悪感を覚えながらも、西野と現場に向かう。

 ビルの屋上から、スコープを覗きながらライフルでターゲットを狙撃する。

 ターゲットは有名な暴力団の頭(かしら)で、別の暴力団からの依頼で殺害することが決定されたのだ。

 その頭が、俺の撃ったライフルの弾で絶命した。

 やばやばやばやばヤンバルクイナ。人殺しちゃったよ。自首しないと。

「合格だ」

 社長が言う。

「西野に続き、お前は逸材だ。是非うちに欲しい」

「はい!」

 て、なに言ってんの俺!?

 斯(か)くて、俺は殺し屋の世界に足を踏み入れた。

 

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