※この作品はR-18です。

幸せカナコの殺し屋生活 -殺し屋の世界に足を踏み入れた男の話-   作:桂ヒナギク

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2.リークする女性警察官

 俺は先ほど、初めて人殺しというものを体験した。

 罪悪感でいっぱいだった。

 俺が殺した暴力団の頭は、警察の捜査で別の暴力団員が殺したということになり、容疑者が逮捕された。

 自首、しようか。

「矢澤、お前警察に行くとか言うなよ」

 と、社長。

「ふぇ!?」

「お前が行けば俺ら全員捕まるんだよ。まあ、行くっていうなら、先に逝かせてやるがな」

 怖い!

「そ、そんなことしませんよ」

 行く前に殺される気がする。

「まあ、いい。お前に仕事をやる」

「仕事?」

「今度のターゲットはこの女だ」

 社長が写真を渡してくる。

「こいつはな、金持ちの彼氏を貢がせた挙句、底がついたらぽいっと捨てる女だ。殺し方はお前に任せる」

 俺はターゲットに近づくため、歩道橋の階段を上がる。

 隣には別の女子がいる。

 このタイミングでは、ターゲットを殺せないだろう。

 俺はターゲットが一人になるまで、後をつけて粘る。

「お嬢さん」

 俺はターゲットに声をかける。

「これ、あなたのですか?」

 お札の入った封筒を渡す。

 ターゲットはあたかも自分が落としたものと偽り、封筒をしまおうとした。

 ゲスな野郎だ。これは俺の日給だ。

 俺はターゲットの側頭部に回し蹴りを叩き込んだ。

「う!」

 ターゲットは真横に吹っ飛び、壁に激突して絶命する。

「おい! 何やってる!?」

 人の声に焦った俺は慌てて逃げ出した。

 何者かはターゲットに駆け寄り、様子を確認している。

 風貌は警察官のようだ。

 自首、しようか。

 警察官は無線で連絡を始めた。

 もう二人も殺しちゃってるし、今更のこのこ出ていったら死刑囚だよなあ。

 俺は現場から逃走する。

 幸い、俺に捜査の手は及ばなかった。

 ダメだ。俺に殺し屋だなんて荷が重すぎる。

 けど、せっかく新しく見つかった仕事だし、社長も必要としてくれてる。

 期待に応えなきゃいけないのかな。

「矢澤くん?」

 事務所に入ろうとすると、見覚えのある女性が声をかけてきた。

「えっと……?」

「私よ。三沢(みさわ) 恵子(けいこ)」

「ああ!」

 高校時代のクラスメイトだった。

「矢澤くん、今何してるの?」

「俺は……」

 殺し屋、なんて口が裂けても言えない。

「……電気工だよ」

「へえ。私はね、駅前の交番で働いてるんだ」

「け、警察官なの?」

「うん」

「へ、へえ」

 嫌な予感しかしない。

「けど、電気工のあなたがこんなところに来るなんて。なんか悩みがあるなら一線を超える前に私が相談に乗るわよ」

「き、君はここのこと知ってるみたいだけど?」

「ここ殺し屋よ」

「俺は電気工としてここに来ただけだから」

「そうなんだ」

 三沢が事務所に入っていく。

 ウソウソウソウソコツメカワウソ!

 この会社もついに終わりか。

 俺は事務所に入る。

 三沢が社長と親しげに話している。

 話の内容は、警察の捜査情報のようだが。

「いつもリークしてくれて助かるよ」

「いえいえ。社長さんには恩がありますから。けど、あまり目立たないで下さいね。ただでさえKの噂で持ちきりなんですから」

 三沢がカナコを見る。

 Kっていったいなんだ、疑問符。

 

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