私はその日、運命の人と出会った。
高校に入学するその日、私はバス停に向かって走っていた。余裕を持って家を出たから、1本早いバスに間に合いそうだった。
バス停まであと少しと言うところの曲がり角で、人とぶつかってしまった。走っていた私は、その衝撃で尻餅をついてしまった。
「きゃっ!!・・・いったたぁー。」
「すいません!大丈夫ですか!?」
どうやら、転んだのは私だけみたい。相手はしゃがみこんでこちらを心配してくれている。
「いえいえ!こちらこそ、すい・・・ま・・せん・・・。」
相手の顔を見た瞬間、つい見惚れてしまった。昔、絵本で読んだ王子様みたいな整った顔。・・・かっこいい。
「・・・あのー、本当に大丈夫?多分、同じ学校の新入生だよね?」
「・・・はっ!?そ、そうです!私、一之瀬 帆波って言います!」
彼に言われた通り、私と彼は同じ制服を着ている。
「俺は神田 幸也って言うんだ。よろしくね、一之瀬さん!」
・・・神田くん。そっか、神田くんって言うんだ。彼の名前を反芻し、この運命の出会いに感謝した。どうやら、彼に一目惚れしてしまったようだ。
私は中学3年の頃、万引きをしてしまった。それまで私が築き上げたものは崩れ去り、卒業までの約半年、みんなと一緒に授業を受けることさえ出来なかった。
だからこそ、この高校を選んだ。全てをリセットして、今までしてこなかった恋もしようと誓い、自分磨きにも力を入れた。
そんな矢先、彼と出会ってしまった。これを運命の出会いと呼ばずに何と言うのだろう。地面に座ったまま数秒間、彼の顔を見つめていた。
「・・・こんな漫画みたいな出会いってあるんだね!なんかドキドキしちゃった!にゃはは!」
そんな胸の高鳴りを誤魔化すように、彼に笑いかけた。しかし、彼はどこか気まずそうに目を逸らす。
「・・・その、すごく言いづらいんだけどさ。・・・座ったままだと・・、見えちゃってるんだよね。」
「へ・・・?・・・きゃっ!?か、神田くんのエッチ!!!」
自分の足元を見ると、折り曲げた足の間から、下着が丸見えになっていた。は、恥ずかしい!入学式だから、と気合を入れてお気に入りの下着を付けた昨日の自分を褒めてあげたい。
「ご、ごめん!その・・・、つい見惚れちゃって!」
「も、もう!怒ってないから神田くんも忘れて!」
み、見惚れちゃった・・・?彼も私を意識してくれてるのかな。
今まで何度も告白されてきたけど、自分が恋をしたの初めてだった。どんな顔をして彼と話せばいいか分からない。
「そ、それじゃあ、また学校で!」
「あっ!待って!」
その場を去ろうとする彼を、つい呼び止めてしまった。
・・・どうしよう。と、とりあえず、一緒に学校まで行こう!もっと神田くんのことが知りたい!
「その・・・、良かったら学校まで一緒に行かない?・・・ほら!こうして会えたのも何かの縁だと思うから!せっかくだし!ね?」
振り向いた神田くんは、私の胸を注視しているように見えた。今まで何度も胸に視線を感じたことはあったけど、好きな男子から見られることがこんなに恥ずかしいとは思わなかった。
彼の返事を待っていると、こちらの不安が伝わったのか、観念したように了解してくれた。
「ま、まぁそうだね。せっかくだから一緒に行こうか。」
「ありがとう、神田くん!それじゃあいこっか!」
やっぱり神田くんは優しい。この人を好きになって良かったと、心から思った。
神田くんと並んで歩き、その横顔を眺めた。
・・・彼に好かれたい。彼の愛が欲しい。彼の全てが知りたい。彼の全てが欲しい。いつしか私の中には、そんな感情が渦巻いていた。
_______________________
バスに乗った後も、神田くんのことが知りたいと思うあまり、つい質問攻めにしてしまった。ちなみに、今彼女はいないらしい。
この学校にも知り合いは居ないらしいから、彼のことを1番知っているのは私で間違いない。そう思うと、体の中から幸せな気持ちが溢れてくる。・・・きっとこれが愛なんだろう。
学校に着いて、私は絶望した。彼はDクラスで、私はBクラスだったからだ。授業を受ける彼の姿が見れないと思うと、頭の中が真っ白になってしまった。
「まぁ、また来年があるよ!」
「・・・うん。仕方ないよね・・・。」
やっぱり彼は優しい。私の全てを受け入れてくれる。きっと私の過去だって受け止めてくれる。
「それじゃあ、俺はこっちだから!またね!」
「あ、うん。神田くん、またね!」
そう言うと、彼は行ってしまった。きっと、悲しむ顔を私に見せたくなかったんだろう。本当に優しい。
_______________________
Bクラスに着くと、クラス中心として積極的にみんなに声をかけた。男子からは胸に気持ち悪い視線を感じたけど、我慢するしかない。周囲の評価を上げて、彼に相応しい女だと認識させなければいけない。
こうしてBクラスには、学級委員 一之瀬帆波が誕生した。
でも、私の前に更なる壁が立ち塞がった。ホームルーム中、担任の星之宮先生がこう告げた。
「この学校にはクラス替えがありません。だからみんな、3年間仲良くしてね!」
クラス替えがない。彼と同じクラスになることは一生ないと言うこと。神様はまだ私に試練を与えるのだろうか。
・・・先生の説明にはこんなものもあった。
『ポイントで買えないものは無い。』
この一言を希望に、放課後、星之宮先生の元に向かった。
_______________________
放課後、神田くんと連絡先を交換した私は、星之宮先生の元を訪ねた。
「星之宮先生、ポイントについて質問があります!」
「ええ、何でも聞いて。先生、何でも答えちゃうから!」
先生はニコニコして反応してくれる。
「クラスを移動する権利は、何ポイントで売ってもらえますか?」
「!!・・・Bクラスの生徒がAクラスに移動するためには、2000万ポイントが必要よ。」
私の質問に、先生の顔は真剣なものになった。やっぱりポイントでクラス移動ができる!その事実に心が弾んだ。
でも、それは私の求めている答えとは違う。
「じゃあ例えば、BクラスからDクラスに移動する場合もポイントは同じですか?」
「え?Dクラスに?・・・うーん、先例がないから分からないけど、500万ポイントぐらいじゃないかな?」
「500万!ありがとうございます!」
それなら手が届くかもしれない!私の心に希望の光が差し込んだ。
「・・・質問はそれだけ?」
「あっ、もう1つだけあります!その・・・昔から鍵を無くしちゃうことが多くて。できたら寮の鍵のスペアを作りたいんです!」
先程とは一転して、先生はいつもの笑顔に戻った。
「ふふ、それなら先生がサービスで頼んどいてあげるわ。ポイントは必要ありません!」
「いえ、きちんとポイントを払います。私だけ特別扱いは良くないと思うので!」
「・・・分かったわ。じゃあ300ポイントでいいから先生に送ってちょうだい。」
「はい!・・・送りました!」
「うん、確認しました!これで契約成立ね。一之瀬さん、可愛いんだから無くさないようにしないと。悪いストーカーさんに襲われちゃうわよ!」
そんな冗談を言いながら、先生はポイントを確認した。
「一之瀬さんの部屋番号って何番だったかしら?」
「いえ、私の部屋じゃなくて、104号室の鍵をお願いします!」
私は、今朝聞いた彼の部屋の番号を伝えた。
「・・・え?1階と2階は男子生徒の部屋があるはずよ?」
「はい。でも、私は自分の部屋の鍵とは言っていませんし、先生ももうポイントを受け取りましたよね?」
このとき、私はどんな顔をしていたのだろう。きっと悪魔のように笑っていたに違いない。
「で、でも・・・。」
「鍵はいつ取りに来ればいいですか?」
「・・・。」
「まさか先生が契約を破るんですか?」
「・・・明日の放課後、また取りに来てちょうだい。」
「はい!ありがとうございます!」
彼の部屋の鍵は手に入れた。明日の放課後が楽しみで仕方ない。
_______________________
翌日、寮の出口で神田くんを待っていた。昨日端末を操作していて分かったことがある。それは、連絡先を知っている相手ならば、相手の位置情報を確認できるということ。
彼はまだ部屋にいる。あ、動き出した。手鏡で身だしなみを整える。よし、大丈夫!でも、やっぱり緊張してしまう。
「あっ!おはよう、神田くん!・・・良かったら学校まで一緒に行かない?」
「・・・一之瀬さん、もしかして待っててくれたの?」
「う、うん。その・・・、昨日はちょっと話し足りないなって思っちゃって。」
そこから彼と、他愛の無い会話を楽しみながら登校した。・・・このまま時が止まってしまえばいいのに。
登校中、他の生徒からかなり注目されていた。彼も私も目立つから仕方がない。それに、このまま付き合っているとでも噂になれば、彼に寄ってくる悪い虫たちに牽制できる。
途中、彼に今日の予定を聞いた。クラスメイトとカラオケに行って、そのまま夕飯を食べて帰るらしい。
となると、恐らく帰宅は8時以降。・・・いけないと思っていながら、悪魔の囁きに逆らうことが出来なかった。
_______________________
放課後になり、星之宮先生を訪ねた。約束通りに鍵を渡してもらったが、先生の顔は暗かった。
「一之瀬さん。お願いだから悪用しないと誓って。・・・先生、信じてるからね?」
「先生、考えすぎですよ!彼に何かあった時のために持っておくだけですよ!」
「・・・そ、そうよね!今朝も仲良く登校してたみたいだし、大丈夫よね!」
さすがの先生も、部屋の主が誰かは調べたらしい。それに、やっぱり今朝の様子は教師の耳に届くほど噂になっているらしい。ここまでは想定通り。
「それじゃあ、失礼します。」
職員室を後にした私は、軽い足取りで寮へ向かった。
_______________________
周囲に誰もいないことを確認し、ドアの鍵を開けて彼の部屋へと入った。ちなみに、彼が部屋にいないことは位置情報で確認済みだ。時刻は17時30分。まだあと2時間半は大丈夫。
部屋に入って、まず最初にベッドに飛び込んだ。
「これが、神田くんの匂い・・・。」
枕に顔を埋める。彼のシャンプーの香りが鼻を通り、私の体中を満たしていく。布団の中に潜ると、その温もりはまるで彼に抱きしめられているかのようだった。
「ハァ………ハァ………ハァ………」
息苦しさからか、興奮してしまったからなのか、私の呼吸はどんどん乱れていった。
「ハァ……ハァ……、神田くんっ…ハァ……アンッ、ヤッ…」
右手は自然とスカートの中へ伸び、秘所を下着越しに触れた。ソコはクチュリと音を立て、指を動かすたびに快感が襲ってくる。
「アッ…ンンッ…アッ…ウンッ、アンッ、ンンッ」
自慰は次第に激しさを増していき、指は下着の中に侵入した。割れ目をなぞると、さっきよりも強い快楽が襲ってきた。
「ンンッ!…ハァ、ヤッ、アンッ、アッ、アッ、アッ!…イクッ!イッチャう!!」
絶頂を迎えた私は、体を激しく痙攣させた。今まで何度か自慰をしたことはあったが、こんなに深い絶頂は初めてだった。
その余韻に、数分ベッドに転げたままだった。
呼吸を整えた私が次に向かったのは洗面所。ここでのお目当ては1つ。・・・あった。スタンドに立てられた歯ブラシを見つけた。私はそれを手に取ると、口の中に運んだ。
うっすらとミントの味がする。彼の味だ。彼とキスしている。そんな錯覚に陥った。下着を脱ぎ、再び右手を秘所へと伸ばす。そしてそのまま2回目の自慰を始めた。
「アンッ、アッ、ハゥ、ウンッ、ンッ、ンンッ!…ダッメ!イクッ!!」
いきなり直接触ったからだろうか、あっという間に絶頂してしまった。力が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。
そして、見つけてしまった。
「ハァ……ハァ…ハァ…、あ、あれって!」
見つけたのは黒いボクサーパンツ。洗面所の奥にあるカゴの中、その1番上に置いてある。その存在感に、私の視線は釘付けになってしまった。
力の抜けた手からは、持っていた歯ブラシが床に落ちる。空っぽになった手で、彼の下着を拾い上げた。
・・・あれ?なんか濡れてる?内側を見てみると、黒い生地に浮かぶ白い塊。まさかこれは・・・。
私は下着を顔に近づけ、濡れている部分の匂いを嗅いだ。何とも言えない独特な匂いがする。でも、癖になって、何度も嗅いでしまう、麻薬のような匂い。
私は、下着をそのまま顔に押し付けた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、……ッ!イック!!」
そのまま数秒間、下着の匂いを嗅いでいただけで絶頂してしまった。強烈な雄の匂いに、彼に犯されているような感覚に陥った。・・・足りない。もっとイキたい!
「ハァ、ハァ、ハァ、・・・は、歯ブラシ!」
私は更なる刺激を求め、先程手放した歯ブラシを再び手に取った。それをそのまま秘所に近づけ、クリトリスを撫でる。
「ッ!!アッ、イック!!」
その瞬間、私の体に電撃が走った。プシャッ!と、愛液が吹き出し、床に飛び散った。たった1回撫でただけで絶頂してしまった。
それから、何度絶頂したか分からない。端末から鳴ったアラームのおかげで理性を取り戻した。予め、20時に設定していたものだ。
「ハァ、ハァ、ハァ、・・・も、もう20時。早く帰らなきゃ!」
足元には、私の愛液でできた大きな水溜りができていた。
_______________________
数分で片付けを終えた私は、人に見られないように自室へと戻った。
手には彼の下着を握ったままだった。返さなくてはいけないと分かっていたのに、最後まで手放せなかった。
私はその下着をジップロックに入れ,大切に保管した。
ちなみに歯ブラシは洗わずにそのままスタンドに戻した。私の愛液が付いたそれを彼が口に入れる。その姿を想像して、寝る前にもう1度自慰をした。