はあ、と重苦しいため息をつきながら、シャワーの水栓を閉める。
シャワーを浴びれば少しは気持ちも落ち着くと思っていた。確かに、さつきから父さんとのことを聞かされたショックは多少マシになった。
だが、代わりにこれから俺たちはどうすればいいのか、どうなってしまうのかという不安が頭を埋めつくすだけだった。
「おかえり、兄さん」
バスローブに着替えて浴室から出てきた俺に、さつきは優しくそう言った。その声色が、いつも俺を出迎えてくれる時のものと同じで少しだけ安心した。
「ああ、ただいま」
作り笑いを浮かべながら、ベッド上に座っているさつきに答える。俺はさつきから少し離れたベッドのふちに腰かけた。
「今日は疲れただろ。さつきはもう寝な」
できるだけ優しく、普段通りの声で言ったつもりだったが、やや上ずった声になってしまった。
「兄さんは?」
「俺はもう少し起きてるよ。まだ眠くないんだ」
それに、これからのことも考えないといけない。
「じゃあ私も起きてるよ。そんな状態の兄さん、ほっとけない」
「大丈夫だよ。さつきが心配するほどのことじゃ──」
「ウソ」
さつきは珍しく強い口調で俺の言葉を遮った。
「大丈夫な人はそんな顔しないよ。兄さん、今にも死んじゃいそう」
さつきは俺の隣に来ると、俺の手をぎゅっと握った。思わずさつきの顔に目をやると、わずかに瞳に涙を浮かべていた。
「……そうだな。今日はいろいろあって、少し疲れた。ごめんな、心配かけて」
本当、兄貴失格だ。さつきだって不安な気持ちになっているはずなのに、こんなに気を遣わせて。
俺は、そんなさつきの頭を撫でてやることぐらいしかできなかった。少し濡れている短い黒髪の感触が、なんとなく安心する。
「ううん。いいの」
心地よさげに目を細めながら、さつきは小さく呟いた。
そうして、二人で肩を寄せ合った。俺もさつきも無言のまま、お互いがそこにいることを確かめるように。
そうして、数十秒か、数分かが過ぎたころ。さつきが口を開いた。
「ねぇ、兄さん」
俺の手を握る力を少しだけ強くして、さつきは続けた。
「慰めてあげよっか」
わずかに、だけれど確かにさつきの声色が変わった。平坦にも思えるその声の中、ほんの少しだけ込められた色香。
それだけで、さつきの言っている意味がわかった。
「……何言ってるんださつき。俺がさっき言ったこと忘れたのか。俺とお前は兄妹なんだぞ。そんなことしちゃだめだ」
「わかってる。でも、兄さんが少しでも楽になれるなら、私はいいよ」
俺の目を見つめてさつきは言った。その表情と言葉に嘘偽りはない。さつきは本気で言っている。
「さつき。そんな理由でするなんて間違ってる。誰かのためにさつきが自分の身体を差し出すなんて、もうしなくていいんだ」
それに、ただ忘れるために、楽になるためにさつきを抱くなんて、そんなの父さんと同じだ。
「それは違うよ。兄さん。父さんのときは、父さんが私を求めたからしてた。だけど、今は私がそうしたいから、兄さんのそんな辛い顔見たくないからこう言ってるの」
それにね、とさつきは付け加えた。
「私、兄さんのこと好き。好きな人とするなら、それはいけないことじゃないんだよね」
何のためらいもなく、さつきはそんなことを言った。それはどこか無邪気で、純粋な言葉に聞こえた。
「……それは、家族として好き、ってことだろ。恋愛感情とは別物だ」
ただ素直に、取り繕うことなく自らの気持ちを告白してくるさつきに、ほんの僅かに自制心が揺らぐ。そんな気持ちから目をそらすように、視線を床に落として答えた。
「そうなのかな。……私、わかんないんだ、恋とかそういうのがどんな気持ちなのか。──でも私は兄さんのこと、世界中の誰よりも好き。私の体だって全部差し出してもいいくらい、兄さんのこと大切に思ってる」
目を閉じて、さつきは愛おしむようにそう告げた。それはほとんど愛の告白に変わりない。
なんと答えたらいいかわからない。
拒絶することは容易い。でも、こんなにも純粋な気持ちを無下にするのはためらいがある。俺だって、家族としてではあるがさつきのことを好きで、大切に思っているのだから。
「兄さん」
俺がそんなことを考えて迷っていると、さつきは立ち上がって俺の正面に来ていた。そして俺の肩に軽く手を添えたかと思うと、とん、と軽く押された。
「うわっ──」
ぼす、とベッドに背中から倒れる。さつきはそんな俺の上に四つん這いになってまたがってきた。
「さつき、何を──」
「大丈夫。兄さんは何もしなくていいよ。私、ちゃんと兄さんのこと気持ちよくできるから」
ささやくような声には、誘惑の色が混ざっている。それはわざとか、無意識か。
つう、とさつきの指が俺の首筋をなぞっていく。わずかな刺激なのに、やけに鮮明に、扇情的に感じる。
「さつき、ダメだ、こんな……」
「嫌だったら力づくでとめてね。兄さんの力なら簡単でしょ?」
さつきは意地悪く言うと、しゅる、と俺のバスローブの紐をほどいた。それは、これからの秘め事の始まりの合図のようだった。
ぱさりとはだけられて、素肌を晒される。そこにさつきの手が触れて、ひんやりとした感触が伝わる。
「兄さんのカラダ、あったかいね」
片手で胸板をさすさすと優しく撫でられる。ただ軽く擦られているだけなのに、性感帯を触られているみたいにぞくぞくする。
「ん……」
ちゅ、と軽い口づけが首筋に落とされた。それを何度も繰り返される。
あくまで触れるだけの甘い接触。だけど、さつきのやわらかい唇でそうされると、ぶるりと震えるほど気持ちがいい。
それだけでも理性が溶けそうなほどなのに、下腹部からそれ以上の快感が襲ってきた。
「さつ、き……っ」
見ると、さつきの左手が下着の上から股間を撫でていた。衣服を一枚隔てていたとしても、性器への刺激は激しい快感を伴うもの。
「あ……下着の上からじゃもどかしいよね。直接触ってあげる」
さつきは首筋から唇を離すと、起き上がって俺の下着に手をかけた。それをずる、と下におろすと、すでに固くなり始めた俺の生殖器が顔を出した。
さつきは半勃起のソレの先端に顔を近づけて、ちゅ、とキスを落とした。針のような感覚に、びくん、と体が跳ねる。
「ん……ふふっ、もっと気持ちよくしてあげるね」
無邪気な笑みを浮かべながら、さつきはかぷりと亀頭を口に含んだ。熱い口内と吐息の感触が直に伝わる。
さつきはそうして俺の男根を口に含んだまま、顔を上下に動かしてきた。じゅぶ、じゅぶ、と淫らな音を立てながら、敏感な肉棒をさつきの唇が擦っていく。
初めて知る快感に、半勃ちの肉棒はあっという間に固くなった。
「ん、は──ぁ……おっきいんだね、兄さんの……」
口を離したさつきは、目前の勃起した生殖器を見て嬉しそうに言った。
そのさつきの唇と、俺のモノの先端を唾液の糸がかかっている。重力に引っ張られて落ちる前に、さつきはそれを指ですくって飲み下した。
その仕草、はぁ、とうっとりした吐息が、悔しいくらいに俺を興奮させる。実の妹だというのに、俺はさつきを女として見始めていた。
「続き、するね。──ぁむ……」
再び先端からさつきの口に飲み込まれる。今度はさっきよりも深く、さつきの奥まで挿入されていく。
ん、と少しだけ苦しそうな声とともに、一番奥までたどり着いた。性器全体に伝わる口腔の温かさ。
溶けてしまいそうなその熱に包まれたまま、さつきの顔が動かされる。唾液とともに唇が竿を擦っていき、しびれる程の快感が腰全体に走る。
「ん、っむ、んぁ……っ、ぢゅ、ン──にい、さん……」
固く勃起した俺のモノを咥えこんだまま、さつきは俺に微笑みかけてくる。まるで、「気持ちいい?」と問いかけるみたいに。
その、健気に奉仕する姿に、やめさせなければいけないという気持ちはどこかへ消えていた。代わりに、もっとしてほしいという情欲が燃え上っていく。
「さつ、きっ……」
無意識に、さつきの髪をさらりと撫でていた。
するとさつきはそれに応えるみたいに、激しく顔を上下させてきた。さつきの小さな口に、何度も肉棒が出たり入ったりと、その光景だけでも射精してしまいそうなほど。
そして、体への快感は見た目以上で、ぞくぞくとした感覚でおかしくなってしまいそうだ。じゅぷん、と引き抜かれると否応なしに睾丸の中身がせりあがってきて、奥まで挿入されれば、そこでそのまま精を吐き出してしまいたい欲望に襲われる。
「んっ、ん、んぶっ、んは……っ、あ……兄さん、もうでちゃいそうなんだね……」
唇を離される。急に快楽がなくなったせいで、びくびくといやらしく性器が痙攣する。
さつきはそんな俺の様子に目を細めると、どろどろの肉棒を両手で包んできた。そして、手から顔を出している亀頭をはむ、と唇で挟んだ。
そのまま手を動かされる。激しさはさっきの口淫以上。
ぎゅう、と握られたさつきの両手が、唾液で濡れたものをしゅっ、しゅっ、と扱いていく。それは、口淫で凝縮された精液を外へと絞り出すような動きだった。
「ぐ……さつきっ、でる──!」
「ん、はっ、いいよ、だして、兄さん──っ、んっ!」
その瞬間をわかっていたのか、さつきは目いっぱいまで性器を飲み込んできた。その、溶けそうな感触の喉奥に向けて、どぷん、と精液を吐き出した。
枷が完全に外れて、我慢していたものが一気に流れ出ていく。それが尿道を擦って出ていく感覚がたまらなく気持ちがいい。
「んっ……ん、ぅン、っく──」
少しだけ苦しそうに、だけれど恍惚とした声。さつきは嫌な顔を一つも見せず、むしろ嬉しそうに俺の汚らわしい欲望を受け止めてくれている。
いけない、と思っているのにやめられない。むしろ一層興奮する。
紅い唇と濡れた口腔の感触に支配されたまま射精するのが信じられないほど気持ちがいい。
「……ん、ぁ……ふ──」
ようやく射精が終わって、さつきは俺の陰茎から口を離した。ぬと、と唇と亀頭の間を大量の精液が糸を引いている。
さつきの口では受け止めきれなかったものは、唇の端からだらしなくあふれ出ている。さつきは見せつけるように、恍惚とした表情で俺を見上げている。
「あは……いっぱい出したね、兄さん──」
こく、こく、と粘ついた白濁を飲み下しながら、さつきは嬉しそうに言った。それは純粋な笑顔なのに、初めてみる顔のようだった。
何年も一緒にいるのに、さつきのこんな淫らな一面を俺は知らなかった。彼女を他ならぬ父さんがこうさせたと思うと、胸の奥がずきずきと痛くなる。
──さつきは俺の妹なのに。
「さつき」
俺の声に、さつきは「なに?」と顔を上げた。そのまま、さつきの体を抱き寄せて唇を奪った。
「んっ、む──っ!」
わずかな声と共に、俺とさつきの唇が重なった。
口で奉仕されていた時よりも鮮明に感じるその感触。氷菓子のように、触れていれば溶けてしまいそうなほどの柔らかさが伝わる。
でも、それ以上にさつきを感じたい。
「ンっ、ぁ、んんっ──! ぁ、ふ……ぁん、ン……」
首に腕を回して、ぎゅう、とその顔を密着させる。そうして深くなった口づけと共に、さつきの口内へ舌を滑り込ませた。
びくん、とさつきの身体が跳ねる。艶やかな嬌声と一緒に。
軽く舌を絡めてやると、それがさらに色香を増す。くちゅ、と舌同士が熱を伝え合うたび、腕の中のさつきが痙攣するのが可愛らしい。
「ぁ、っ……にい、さ──っ、ふ、ぁ……っ」
くたりとさつきの体重が俺の体にのしかかってくる。快感で力が入らないのか、脱力しきっているそれはどこか心地いい。
その身体を強く抱きしめたまま、さつきの口内を舌で貪る。いつの間にか口の端から唾液がこぼれていたが、そんなことはどうでもよかった。
さつきは先ほどの妖麗な顔とは裏腹に、ただ俺のキスに身を任せている。それも、気持ちよさそうに身体を震わせながら。
そのどこか初々しい反応が、一層俺をこの行為に没頭させる。
「ぷ、ぁ……は、にい、さん……」
好き勝手にさつきの唇と舌を弄み、息が続かなくなってようやく唇を離した。
解放されたさつきは、肩で息をしながらも嬉しそうな顔をしている。
「あは……ファーストキス、奪われちゃった──」
二人の唾液がこぼれる唇を微笑みに染めて、さつきは言った。その、うっとりとした口調が情欲を刺激する。
「さつき……初めて、だったのか?」
「うん。でも兄さんならいいよ。兄さんが最初なら、いい」
さつきはそう言うと、俺に抱きついてきた。そうしてそのまま、今度は逆にさつきのほうから唇を重ねてきた。
はむ、はむ、と何度か軽く唇をついばまれる。さっき一方的に貪っていた時とは違う、さつきから与えられる柔らかい感触。
そして、唇の隙間から熱い舌を差し込まれた。それだけで、ぞくん、と背筋に快感が走る。
さつきは俺の舌先にちょん、と挨拶をすると、ゆっくりと唇を離した。
「ねぇ──兄さん」
耳元で囁かれる。さつきの生温かい吐息で、耳を愛撫されたよう。
さつきはそのまま、色香を孕んだ声で続ける。
「これ、挿れちゃおっか──」
さわ、と濡れた肉棒を撫でながら、さつきは言った。
気づくと、先ほどのキスでそれは既に硬くなり始めていた。それが、さつきの焦らすような手つきで少しずつ大きくなっていく。
「さつき──それ、は……」
ダメだ、と言いかける。でも、今更俺にそんなこと言う資格はない。
さっき俺は自分からさつきを求め、唇を奪った。それになによりも、さつきの言葉に期待している俺がいる。
──さつきと交わることに、期待している。
「まだ抵抗あるの? 私とするの」
俺の顔を覗き込んで、さつきは言う。少し不安そうにその瞳が曇っている。
俺はその問いに答えられず、目をそらすことしかできない。
「もう、さ」
さつきは俺に覆いかぶさっていた身体を起こした。
下から見上げたさつきは、くす、と妖しく笑うと、おもむろに自らのバスローブの紐に手をかけた。それをゆっくりとした手つきでほどく。
そして、蝶が羽を開くように、ぱさりとそれをはだけた。する、とわずかな衣擦れの音とともに、それがベッドに滑り落ちる。
晒されたさつきの肢体は、下着にもなにも守られていなかった。触れなくともわかる、滑らかな肌。形の良い二つの膨らみは果実のようで、食べてしまいたくなる。
さつきはとっくに女の身体に成長していた。
「いいじゃん。そういうさ、妹だからとかどうでもいいよ。──全部忘れて二人で気持ちよくなろ?」
優しい口調。だが、その合間に興奮を孕んだ吐息が漏れている。
その呼吸に合わせて、さつきの豊満な乳房が揺れる。汚れも、傷も一つとして見当たらないその膨らみに、思わず心を奪われる。
そのまま、さつきは今一度問いかける。
「いいでしょ? 兄さん──」
微笑みとともに告げられた誘惑。
ほぼ無意識に、こく、と頷く。とっくに俺の頭はさつきに魅入られていた。
それにさつきの言葉通り、全部忘れてしまいたかった。
「じゃあ……しよっか」
ふふ、と笑うと、さつきは後ろを向いて俺の肉棒をそっと掴んだ。
もうすっかり活力を取り戻したソレが、さつきの手という刺激にびくんと反応する。
「あは……元気だね。やる気満々って感じ。……んっ」
わずかな水音。
見ると、うっすらと陰毛の生えたさつきの秘部と俺の亀頭が触れた音だった。濡れているのは俺のだけじゃなく、さつきのもだ。さつきもこの行為に興奮している。
「あっ……ん、おっき、い、ぁんっ……!」
ずぷ、と一気に亀頭がさつきに飲み込まれた。それだけで果ててしまいそうなほど気持ちがいい。びく、とまた男根が反応してしまう。
それが合図になったのか、さつきは一気に奥まで挿入した。ぱん、という肌と肌がぶつかる音と共に、驚くほどあっさりと俺たち兄妹は一つになった。
「んっ、あ、ぁ、あん……っ、あ……にいさん、ぁ、はいった、よ……っ」
震えながら俺に顔を向けてさつきは笑った。その声は絶え絶えで、苦痛に耐えているようにも見える。
だが、さつきの恍惚とした表情、俺とキスをしていた時と同じような体の震えが、それは違うと示していた。
「さつきもしかして、イッた、のか?」
「ん……うん、あ、っあ、まだ、ちょっとイって、る──あ、は、兄さんの、すごいね、っん──」
さつきの絶頂が、肉棒を包んでいる膣からも伝わってくる。ぶる、とさつきの身体が揺れるたびに、ナカのひだの一つ一つに愛撫される。お互いに腰を振ってすらいないのに、もう気持ちいい。
「んっ、ぁ……もう、平気だから、うごくね──っあ……」
その痙攣がおさまりきらない内に、さつきはゆっくりと腰を動かし始めた。
ぬる、と濡れた膣内に優しく擦り上げられる。たったそれだけで、神経を直接愛撫されたような快感が走った。
その感覚を、緩やかに、だけど何度も与えられる。ぱん、ぱん、というさつきと俺の肌が打ち付けあう音に合わせて。
「んっ、あっ、ぁん、はぁ、っ……んあっ、あっ、ねぇ……っ、にいさん、あんっ、きもち、いい……っ?」
「あ、あ……っ、気持ちいい──っ」
「あ、は……ぁ、んっ、よかった、っんぁ、ん、ア、あんっ、いっぱい……っ、きもちよく、して、ン、ぁ、あげる、ね……」
腰を振りながら、さつきは陶酔するような声で言った。
そのさつきの言葉通り、何度も肉棒を膣で愛撫されて快楽を流し込まれる。膣内はさつきの愛液でとろとろで、動くたびにぐちゅん、とその形を変貌させる。
娼婦のような、慣れた腰使い。前後左右に腰を振って、自らの身体の感触をこれでもかと伝えてくる。
柔らかく濡れた膣肉と、打ち付けられる弾力のある尻。軽く湿った黒髪は振り乱され、亀頭がさつきの奥をえぐるたびに甘い声を上げる。
俺の頭は、もうさつきのことでいっぱいだった。他のことなんか全てがどうでもよくて、ただこの気持ちいい行為に溺れていたい。
「さつ、き……っ、さつきっ!」
「あんっ! あっ、ん、ぁんっ……はぁ、んっ! 兄さんっ──!」
たまらず、体を起こして後ろからさつきを抱きしめた。驚いたのか、一瞬さつきの腰が止まったが、すぐにまた動き始めた。嬉しそうにその身体を震わせながら。
腕の中でかわいい声をあげるさつきを感じながら、両の胸を愛撫する。すると、面白いくらいにさつきの痙攣が強くなる。
その動きが媚肉を通して肉棒にさらなる快感を与えてきた。機械的ではない、生々しいその振動で、少しずつ白い欲望が昇ってくる。
燃え上っていく情欲に、勝手に体が動いてさつきを下から突き上げてしまう。
「んっ、ンっ、あっ、兄さん……っ! あんっ、は、おっ、んぁ、すごっ、い──! 奥、ごりごり、って、ぁンっ、きて、るっ……っ、は、ぁ、お、きもち、イイっ……!」
俺の動きで余裕がなくなってきたのか、さつきは本能のままに淫らな声をあげる。さつきの子宮を先端でえぐるたびに、奥から押し出されるような声が漏れていた。
初めて見る乱れ切ったさつきの姿に、ますます俺の興奮は高まっていく。もっとさつきを激しく犯して、二人で快楽に溺れたい。ぐちゃぐちゃに狂って、何もかも忘れてしまうほどに。
その劣情を叩きつけるように、さつきの膣奥を勃起した生殖器で何度も突く。熱く火照るさつきの身体を逃げられないように抱きしめて、好き勝手にその肢体を貪る。
「あっ、あんっ、や、は、にい、さぁんっ……! 激し、い……っ、ン、ぁ、あっ、おっ、アっ、んっ! もう、あっ、ん、ンッ、イっちゃう──!」
ぎゅう、と膣肉の締め付けがきつくなる。それに絞られるように、生殖器の奥のほうから精液がどくどくと昇ってきた。
もうすぐ俺もさつきも果ててしまう。それまでのあと少しの時間を堪能するために、ぱんぱんと下から激しく突き上げる。
ぬるぬるに濡れたさつきの膣内が、俺のその欲望を優しく、甘やかすように受け止めてくれる。まさに夢心地だった。
「あっ、にいさん、のっ……びくびくして、るっ、あんっ、アっ、そのまま、だしてっ──! ナカに、出してっ、あっ、あんっ、あ、兄さんっ……!」
「さつき……! それ、は──っ!」
「いい、からっ……! あっ、ァんっ、お願いっ、は、ぁ、あんっ、なか、兄さんの、ほしいのっ──!!」
陶酔と切望が混じった声でさつきはそう懇願する。それと同時に、ばちゅん、とさつきのほうから腰を叩きつけてきた。
ぞくん、と一気に快感が駆け上がってくる。それは止めようと思ったところで無理だとわかるほどの射精感だった。
ダメだ、と考えながらも、抗いようのない野生の本能に従うまま、どくん、と精液を吐き出した。
「っ──! さつ、きぃ……っ!」
「あっ──!! にいさぁんっ!!」
びゅくん、びゅくん、と奥から湧き上がる白い欲望。一度堰を切ってしまったそれは、際限なくさつきの膣内に注がれていく。
さつきも同時に果てたようで、びくんびくんと快楽にもがくように身体を痙攣させている。射精中だというのに、その姿にさらに興奮してしまう。
「んっ、ア──ぁ、あっ……兄さん、の、あっついの……あっ、は、ナカ、でてる……」
恍惚とした声を漏らしながら、さつきは俺の精液を受け止めてくれる。嫌がる様子なんて一つも見せず、心底嬉しそうに。
肉棒を包む膣肉は何度も脈を打つように締め付けてきて、最後の一滴まで搾り取られるみたいだ。下半身はさつきと溶け合っているみたいで、気絶してしまいそうなほど気持ちがいい。
「っ、さつき……」
そうして、最後にどくん、と最後の一絞りをさつきの中に吐き出す。それで射精は終わった。
「は、ぁ……気持ち、良かった──」
ひとつ、心地よさげな吐息を吐いてさつきは呟いた。
その気持ちは俺も同じ。自分でするときの比じゃないくらい、さつきとのセックスは気持ちが良かった。
だけど、冷静になった頭はすぐに罪悪感で染まった。実の妹であるさつきと、こんな──
「兄さん」
「え?」
気づくと、抱きしめているさつきが顔をこちらに向けていた。
「気持ちよかった?」
「え……あ、ああ。うん。気持ち、良かったよ」
「ふふっ、そっか」
さつきは俺の返答に無邪気に笑った。こんな状況じゃなければ、俺も笑い返してやりたかった。
さつきはわかっていない。さっきまで俺たちがしていたことがどれだけいけないことだったのか。
ずきん、と胸が痛む。それを誤魔化すように、さつきの唇を塞いだ。
「なあ、さつき。本当は嫌だったんじゃないか? 父さんとのこと」
「え? どうして?」
行為の余韻も去り、俺たちは二人並んでベッドに寝ころんでいた。俺は気まずくてさつきに背中を向けているが、さつきは俺のほうに体を向けているみたいだった。
「今日、お前が父さんにされてるの見つけたときさ、お前、俺に『たすけて』って言っただろ」
「え、私そんなこと言ったかな」
「ああ。確かに言ってた」
「私覚えてないんだけど……まあ、兄さんがそう言うならそうなのかな」
声までは聞こえなかったけれど、あの時さつきは俺を見てそう口にした。だから俺はあの時、さつきから父さんを引きはがせたんだ。
「でも別に、イヤだって思ったことはないよ。逆に嬉しいとも思ってないけど──多分、何も感じてなかったんじゃないかな」
「……そうか」
それは、ある種の防衛反応のようなものなのかもしれないと、俺は思った。心の奥底では嫌悪してたかもしれない。だけど、それをさつきが無意識のうちに押し込めていたんじゃないか、と。
ただ、なんにせよ、さつきのその感じ方は普通ではない。そんな風になる前に気づけなかったのだろうか、俺は。
「ああ、でも」
思い出したようにさつきは呟いた。
「兄さんとしたときはすごく気持ちよかったし、幸せだった。それは確かだよ」
ぎゅ、と後ろから俺を抱きしめてさつきは言った。
「さつき──」
一瞬、その言葉に嬉しいと思ってしまった自分がいた。何を考えている。実の妹にそんな気持ちを抱くなんて。
それに、兄とのセックスが幸せだなんてことを思わせてしまうなど、あってはならない。
「おやすみなさい、兄さん」
後ろでさつきの囁き声が聞こえる。それは、とても安心した様子で、幸せそうな声色だった。
少しもしないうちに、すう、と可愛らしい寝息が聞こえてくる。それで、俺もなんだか安心してしまって、瞼を落とした。
さつきとのことも、これからのことも、明確な答えがでないまま頭が休眠に入っていく。そうして俺は、罪悪と幸福感が綯い交ぜになった感情の中、眠りに落ちていった。