「せんぱーい、朝ですよー」
「起きて、兄さん」
ゆさゆさと体を揺さぶられる。まだ眠っていたい意識が強制的に目覚めさせられる。
「んん──」
うっすらと目を開けると、眩しい光と一緒に俺を覗き込んでいる二つの顔が見えた。
さつきは制服姿、黒木は寝巻のままだった。
「あっ、起きた」
「もう、なかなか起きないから心配したよ。兄さん」
聞きなれたさつきの声と、黒木の声が耳に入ってくる。
一瞬、黒木がそこにいることに疑問を覚えたが、そういえば昨日から匿ってもらってることを思い出した。寝起きは頭があまり働かなくて困る。
「ん……おはよ。今何時だ?」
「九時半。寝坊だよ」
「まあどうせ日曜なんでカンケーないですけどね」
瞼を擦りながら身体を起こす。ちょっと背中が痛い。やっぱりソファで寝るのはよくない。
と、はらりと体から何かが滑り落ちた。見ると、女もののコートだった。黒木がかけてくれたのだろうか。
「兄さんも起きたことだし、朝ごはん食べる?」
「そうだね。なんかちょうどいいインスタントあったかな……」
「さすがに朝ごはんはちゃんとしたもの食べようよ。私作るから」
そういうと、さつきは立ち上がってキッチンに歩いて行った。
「食材テキトーに使っていいよー」
そのさつきに向かって黒木が言うと、キッチンから「はーい」と返事が返ってきた。
家主の黒木はともかく、さつきはだいぶ馴染んでいる様子だった。ひとまずさつきが安心できているようで、俺は嬉しかった。
「せーんぱい」
ずい、と黒木が俺の隣に座ってくる。大きめのソファなのに、やけに近い。
そのままおもむろに俺の耳に口を近づけて言った。
「昨日はすごかったですね」
どきん、と心臓が跳ねる。寝起きで頭から抜け落ちていたが、その言葉ですぐに思い出した。
「な、なんだよ急に」
「んー? 別になんでもありませんよ。ただの感想でーす」
絶対違う。にやけた表情がそれを物語っている。
だが、俺はその態度にどこか安心していた。昨日のことで今までのように接することができなくなってしまったのではないかという不安があったからだ。
「その、お前体大丈夫だったか?」
昨日は自分でもどうかしてたと思うくらいサカってしまっていた。彼女に必要以上の負担を強いてしまったのではないかと心配だった。
「ん? ヘーキですよ。あ、それとも中に出したの心配してるんですか?」
「ああ、うん。それも心配だ」
「先輩めっちゃ出しましたもんねぇー。そんなにあたしに興奮したんですかぁ?」
「からかわないでくれ、黒木」
つい語気を強くしてしまった。だがそれでわかってくれたのか、はいはいと言いながら答えてくれた。
「安全日なんで大丈夫だと思いますよ。てか、そうじゃなかったら中に出してくれなんて言いませんよ」
「……そうか。そんならまあ、良かった」
ぽりぽりと頬をかいてぼそりとそう答えた。なんだか少し照れくさいというか気まずくなってしまった。
「おまたせー。朝ごはんできたよ」
と、そこにタイミングよくさつきが戻ってきた。こと、とテーブルの上に皿が並べられる。
「わ。フレンチトーストじゃん。さつきすっごーい」
「これくらい簡単だよ。よかったら後で作り方教えるから、冬香も作ってみれば?」
「んーそうだなあ。じゃあお願いしよっかな」
黒木と話しながら、さつきが俺の隣に座ってくる。意図せず、二人に囲まれる形になってしまった。
「じゃあ冷めないうちに食べるか」
「うん」
「はーい」
三人でいただきます、と言って少し遅めの朝食を食べ始めた。
「──それでさー、先輩ったら真に受けちゃってさ」
「あっははは! なにそれ、兄さんちょっと間抜けじゃない?」
「うっせーなー。黒木がマジっぽい言い方するからだろ?」
広いリビングに俺たちの話し声とテレビの音が響く。相も変わらず三人でソファに並んで座ってくだらない雑談をしている。
ふと時計に目をやると正午になろうとしていた。黒木もさつきもいつもの調子で、俺たちは時間も忘れて楽しんでいた。
「そんなことよりそろそろ腹減らないか?」
「あー。ちょっと先輩、話そらさないでくださいよ」
「んー……でもいわれてみればちょっとお腹すいてきたかも」
全員ほとんどソファから動いていないが、しゃべっているだけでもそこそこカロリーは消費するらしい。
「また適当になにかご飯作るよ」
「なら今度は俺も手伝うよ」
「あ、じゃああたしも」
三人で立ち上がろうとしたとき、全員の動きが止まった。その原因は、ろくに内容も聞いていなかったテレビのニュースだった。
「次のニュースです。今月二十日に起きた、男性が殺害された事件で──」
それは、父さんのニュースだった。液晶に俺たちのアパートが映し出される。
アナウンサーが読み上げる内容は昨日とほとんど同じ。ただ、俺たちのことを除いて。
「警察は被害者の息子の水野浩一さんと娘の水野さつきさんを重要参考人として捜索を──」
昨日見たニュースでは俺たちのことを「事件に巻き込まれた」と報道していたが、今見ているそれは違った。
「重要参考人……」
隣のさつきがぽつりと呟いた。「容疑者」でないだけマシだが、俺たちを少なからず疑っているであろうことは推察できた。
少しだけ浮かしていた腰が再びソファに落ちる。明るかったさっきまでとは打って変わって、重苦しい空気がリビングに満ちる。
「探してるんだよな、俺たちのこと」
昨日から安心できる時間を過ごしていたせいで忘れていたが、俺が人を殺して逃げているという事実は変わりないのだ。そして、さつきと黒木をそれに巻き込んでしまっている。
「で、でもここにいれば平気ですよ! 先輩たちがここにいるの、あたししか知らないんですから!」
暗い空気を晴らすためか、黒木はそう言ってくれた。だが、それただの虚勢でしかないことは、誰の目から見ても明らかだった。
黒木自身もわかっているのだろう、いずれは見つかってしまうことを。それっきり、彼女は口を閉ざしてしまった。
「どう、なるのかな。私たち」
この中の誰もが思っていることを、さつきは口にした。逃げ出したあの日から、不安そうな素振り一つも見せなかったさつきが。
それが、俺たちの絶望的な状況を物語っていた。
「どうなるって、そりゃ……」
不安に押しつぶされそうになり、思わず口にしてしまいそうになる。この先に待っていることを。そうすれば、少しは楽になれるかもしれないと思ったから。
「何も変わりませんよ」
だが、その前に黒木の言葉が俺を遮った。
「え……」
「何も変わりません。昨日と同じように三人で過ごすんですよ。ずっと」
黒木は突拍子もないことを言い出した。だが口調は真剣で、まっすぐに前を見つめている。
「ずっと、って……んなこと無理だろ。俺たち匿ったままここで暮らすってのかよ」
「そうです。そうすれば、先輩もさつきも見つからずにいられるでしょう?」
「冬香、無理しなくていいんだよ。これから先ずっと私たちを養っていくなんて現実的じゃない」
俺とさつきの意見は同じだ。だが、その否定を受けても黒木は引き下がろうとせず、言葉を続けた。
「そんなのやってみなくちゃわかんない。今から勉強頑張って、いい大学入って、給料の高い会社に入ればきっとできるはず」
ぎゅ、と膝の上で拳を握りながら黒木は言った。あまりに現実的ではない、空想といってもいい。だが、黒木は本気の口調だった。
「たくさん、一人暮らしならすごい贅沢ができるお金を稼いで、それを三人で分け合うんです。そうやって、いつか時効になる時までみんなで暮らしていけばいいんです」
都合のいい夢物語。そんなことできるわけない。
でも、もしそうしていけるのならば、それも幸せなのかもしれない。そんなことを考えてしまう。
「あはははっ! なにそれ、すごい理想論!」
非現実的、それを通り越して滑稽だったのか、さつきがこらえきれず笑い出した。
「なっ、なに笑ってんの、さつき! あたしは本気でっ」
「わかってる、わかってるよ。うん、笑ったりしてごめん」
ふう、と呼吸を落ち着かせてさつきは続けた。
「でも、そうだね。そうできたらいいよね」
「でしょ?」
「でもさ、冬香勉強苦手じゃん。どうするの?」
「それは……気合いだよ、気合」
「気合って。それで上手くいったら苦労しないよ」
あきれた口調でさつきは言った。だが、その表情にはいつの間にか明るい色が戻っていた。
たとえ絵空事でも、そうやってもしもを想像するのは少しは気が楽になる。俺も二人に当てられて、なんとなく楽観的に考えてしまう。
「っていうか、そうなったら俺たちヒモじゃないか」
「不満ですか?」
「不満っていうか、なんか恥ずかしいっつうか、情けないだろ」
「でも、女の子二人とだらだらして過ごせるって男としては嬉しいんじゃないの?」
くすくすと隣でさつきがからかってくる。それに便乗して、反対にいる黒木も
「両手に花ってやつですかぁ?」
と、にやけた顔で言ってくる。ぐい、と俺の腕に自らの体を押し付けながら。
豊かな胸の感触が伝わってきて、どきりとしてしまう。さらに、反対側のさつきもじり、と身を摺り寄せてきた。
「いいんじゃない? 兄さん。私も冬香も、もう兄さんとしたんだからさ」
さらり、とさつきは聞き捨てならないことを言った。それに先に反応したのは黒木だった。
「えっ、さつき──知ってんの……?」
「うん。そりゃあ、あんなに声上げてやってればさすがに気付くよ」
何を当たり前のことを、とでも言いたげな顔をさつきは見せた。
途端、俺と黒木は同時に顔が真っ赤になってしまった。確かに二人してすごく盛り上がってしまったのは自覚している。だが、今朝からさつきが何も言ってこないから気づかれていないものと思っていた。
「二人って付き合ってたんだっけ? そんな風には見えなかったけど」
「いや、別に付き合ってるとかそういうわけじゃ……」
黒木が気まずそうに言葉を濁す。
「ふーん……じゃあ慰めてあげてたとか」
びく、と俺と黒木の両方が反応する。さすが勘が鋭い。
「それなら私も混ぜてくれればよかったのに」
ふふ、と微笑みながらさつきは言った。微妙に冗談なのか本気なのかわからない言葉に、なんと返したらいいかわからない。
「え、3Pってこと?」
「さん、ぴー? って呼ぶの? まあよくわかんないけど、そう。──なんなら今してみてもいいけど」
平然とさつきはそんなことを言った。やっぱりさつきのその辺の感覚は少しずれてる。
「…………」
沈黙が訪れる。だが、両隣の二人はぴったりと俺に体をくっつけたまま。
どきん、どきん、と自分の心臓の音がやけにうるさい。
妙な雰囲気。どこか気恥ずかしいが、居心地が悪いわけではない。
例えるなら、そう。初めてを迎える男女が、裸で向かい合った時のような──
「先輩……」
その均衡を崩したのは黒木だった。ぽつりと俺を呼ぶと、おずおずと顔を近づけてきた。
その動作が、口づけに至るものであることは容易に理解できた。
「くろ、き……」
磁石が吸い寄せられるように、自然とそちらに顔を向ける。それとほぼ同時。
「ん──」
二つの柔らかいものが重なった。昨晩味わったときより、少しだけ慣れた感じ。
愛撫でもされるように、ゆっくりと唇を擦り合わされる。そのたびに、ふにゅ、と食べてしまいたいほどの感触が押し付けられて欲望を煽られる。
「冬香のキス、気持ちいんだ」
耳元からさつきの囁き声が流し込まれる。そして、ちゅ、と耳に口づけられた。
そのまま何度かキスをされる。さつきはしばしそれを続けると、今度は唇をくっつけたままするすると下へ降りて行った。
「ん、兄さん……っ」
首筋をさつきのみずみずしい唇が撫でていき、背筋がぞくぞくする。そして鎖骨のあたりで止まると、今度はそこにキスを何度も落とされる。ちゅく、ちゅく、と俺の肌を啄むように。
そのさつきの奉仕に負けじと、黒木からの接吻が激しくなる。唾液が飛び散るのも構わずに、俺の唇の味を貪ってくるようだった。
「ん、ぁ、んんっ……っん、せん、ぱ……」
甘い感触にとろかされ、だんだんと力が抜けてくる。それは唇も同じ。わずかに空いた隙間から、ぬるりと舌を差し込まれた。
ぐちゅん、と唾液にまみれたものが絡まる感触。黒木の舌使いは不器用ながら、存分にその感覚を味あわされる。
「ん……ぁむ、は、先輩……っ、ん──」
「ん、にい、さん……ちゅ、ぁ、ん……」
二人に両側から唇で奉仕され、否応なしに男の象徴が反応してしまう。それは二人にも伝わったのか、さす、とほぼ同時にそこに二人の手が触れた。
びくん、と反応する体。だがそんなことお構いなしにそれを撫でまわされる。
さつきの手つきはゆっくりとしていて、焦らされているような感じ。反対に黒木は無遠慮に揉んできたりと、やや乱暴だった。
だけど、どちらの刺激も興奮を煽るには十分すぎる。気が付けば、ぎちぎちと制服のズボンを突き破りそうなほど勃起していた。
「兄さん、脱がすね──」
口づけをしながらさつきがそっとささやく。蠱惑的なその響きに、抵抗する気は全く起きない。
慣れた手つきでベルトを外される。そのカチャカチャとした無機質な音がやけに緊張する。
腰上げて、とさつきに言われるがままに浮かすと、ずる、と一気に脱がされた。さつきが意図したのかはわからないが、下着も一緒に下に落とされた。
「ん、は……ぁ、あ、先輩の、もう勃起して、る……」
露わになった俺のものを見て、黒木は唇を離してそう呟いた。キスや、首への軽い奉仕だけでこんなに反応するなんて、自分でも驚いた。
二人にいやらしいことをされていること、そしてこの先のさらに淫らな行為を想像してしまうからだろうか。
「兄さん……もうさ、挿れちゃおうよ──」
吐息が多分に含まれたさつきの言葉。さつきも興奮しているのだろう。
「先輩……あたしも、もう濡れてる、から……シてくださいよ──」
黒木はもっと露骨に、昂った劣情を見せつけている。傍目に見える黒木の両脚は、情欲を慰めるようにくねらせている。
俺たち三人は、もう完全に出来上がってしまっている。つい数分前に感じていた不安なんか忘れて、ただの発情したオスとメスに成り下がっていた。
「兄さん……挿れ、て──私、もう、どろどろだから……」
「あ、あたし、だって……もうぐしょぐしょなんですからぁ……先輩、あたしにハメてくださいよ……」
テーブルの上、さつきと黒木の二人が体をあずけている。
さつきは仰向けになり、制服のスカートをめくりあげ、ショーツを片足にひっかけて誘惑している。
黒木のほうは反対に、テーブルに手をついてこちらに臀部を突き出している。下半身に身に着けているものはすべて剥ぎ、交尾をねだるような姿を見せつけていた。
眩暈のするほどの光景。俺はそれを前にして、どちらに入れるかなんて贅沢な選択に迷っていた。
「んっ……あ、にい、さん……」
肉付きのいい脚をつかむ。すると、さつきの体がびくんと嬉しそうに反応した。しかし、隣にいる黒木は恨めしそうな顔をこちらに向けている。
すまない、とそれに目で謝った。妹だからか、なんとなくさつきを優先してやりたかった。
いや、本当なら妹にこんなことしちゃいけない。それはこの前からわかっていること。
だけど、一度そうしてしまったからか、それともこの異様な状況のせいか、そんなことは些末事になっていた。
「あっ……にいさん、の……すごく、あっつい……」
俺を迎え入れるように開かれているさつきの割れ目に、くちゅ、と先端を触れさせる。さつきが自分で言っていた通り、そこはもう十分に濡れそぼっていた。
「さつ、き……」
ぐっ、と腰にわずかな力を入れる。それだけで、つぷん、と先端が飲み込まれた。
もうとっくに俺のものを受け入れる準備ができているからなのか、そこに抵抗はほとんどなかった。
だが、突き入れた亀頭を包む膣肉はそれをぎゅう、と締め付けてくる。その動きに抗うように、または応えるように、一気に奥まで挿入した。
「ぁんっ! あっ、ん、ぁは……大胆、だね……にいさん……」
ぱちゅん、と腰同士がぶつかる音ともに、俺たち兄妹は再び一つになった。変わらず罪悪感はあるが、過剰なほどの快楽がそれを塗りつぶす。
頭の中を侵すほどのそれのせいで、さつきを貪りたいという欲望で思考が埋め尽くされていく。ラブホテルで味わった、苦痛すれすれの快楽。それをもう一度味わいたい。
「んっ、アっ、あんっ、にい、さんっ! ぁん、は、あはっ、あ、はげ、しっ──す、ごいっ……おっ──!」
脳髄を焼き尽くすほどの情欲に突き動かされるまま、腰を振り始めた。さつきの両脚をつかんでひろげ、そこへ向かって何度も何度も。
加減なんかできなかった。ただ本能のまま、快楽だけを求めるセックス。
だけど、さつきはそれでも苦しそうな顔ひとつ見せない。むしろ、淫らに顔を綻ばせながら、甘い声をひたすらに聞かせてくれる。
「んっ、あんっ、ア、あはっ、おっ……! 兄さんっ、ぁンっ、あ、はぁっ、きもち、いいっ……んぁっ、あんっ! もっと──もっとシてっ……! にい、さんっ、ふあっ、あんっ、おっ、ン、ぁあんっ……!」
さつきへの気遣いもほとんどない、身勝手な動きをしているのに、さつきはもっと、とねだってくる。あの時もさつきは淫らによがっていたが、今はそれ以上だ。
俺はさつきのその言葉に従うまま、体重を思い切りのせてピストンを始めた。どちゅん、とまるでさつきをレイプしているみたいな感覚。
それでも変わらず、いやさっき以上にさつきの膣内は俺を求めてくる。愛液は奥からどろどろとあふれて、肉襞はずりずりと肉棒を擦ってくる。
「んっ、んんっ、あ……さつ、き……きもち、よさ、そう……ぁ、あっ、せん、ぱい……」
不意に、さつき以外の嬌声が耳に届いた。そちらに目をやると、黒木は俺たちの交わりを見ながら自らを慰めていた。
もどかしそうに、色香でいっぱいの吐息をはきながら、くちゅくちゅと濡れた場所を指で弄んでいた。臀部をこちらに向けているその恰好は、黒木の自慰がよく見える。
「ん、ぁあっ、んっ! にい、さんの、また、おっきく、あっ、おっ、あんっ、おっきく、なってっ……! あんっ、すごいっ、あっ、だめ、これ──イっちゃ、うぅ……っ!」
初めて見る女の子の自慰行為に、また生殖器が反応してしまう。セックスしている相手はさつきなのに、黒木で興奮して固くしてしまうなんて、あまりに贅沢な行為。
その背徳的な快楽に、一気に精液が昇ってきた。さつきも絶頂が近いようで、さらにきつく肉棒を締め付けてくる。
「ぐ、さつきっ、で、る……っ!」
「うんっ、ぁ、アっ! いいよ、だしてっ、あんっ、おっ──! 私で、ぁあんっ、わたしできもちよく、なってっ!!」
懇願にも似たさつきの言葉。それに押し上げられるように、尿道をどくどくと精がせりあがってくる。
それを一番気持ちよく出せるように、これ以上ないほど激しく腰を振る。爆発一歩手前の快楽。それを我慢できるぎりぎりまで味わったあと、一気に力を解放した。
「ふぁああっ──! あっ、アっ、ぁ、あ……っ、あんっ、あ……にい、さんっ……あっ、すご、い……せいえき、あんっ、おく、どくどくって、でて……ん、ぁ、は……っ」
びくびくと体を震わせながらさつきは絶頂を迎えた。その体に容赦なく精子を吐き出す。
どぶ、どぶ、と洪水のような量が体から出ていく。先端からその塊が出ていくのがたまらなく気持ちいい。
痛みとも見まがうその射精を、さつきの膣肉を感じながら堪能する。まさに夢心地だった。
「は、ぁ……く、さつ、き……抜くぞ……」
「ん、うん……ンっ──あっ」
射精が終わって、ずるりと引き抜く。俺のものが出て行ったさつきの膣口からは、俺が出した精液がどろどろとだらしなくこぼれ出ている。
「先輩……っ、はや、く、あたしにもっ……」
さつきとの余韻も冷めないまま、隣の黒木が切ない声で言った。目を向けると、指で自らの性器を拡げている黒木の姿があった。
恥じらいなんか捨てて、性欲に素直に従っているその姿。出したばかりだというのに、すぐに劣情が昂る。
「んっ、あんっ……!」
大きく、肉付きのいい尻を鷲掴みにする。それだけで感じてしまうのか、大きく黒木の体が跳ねた。
発情した彼女の姿にごくりと唾を飲みながら、先端を触れ合わせる。愛液が床に滴るほど濡れたそこは、ひくひくと物欲しそうに反応していた。
「あンっ! ぁ、あアっ、ん、はぁっ、はいって、きてっ──! あっ、先輩の、っん、ア、すごい、おっきい……っ」
我慢できず、そこへ挿入を始めた。昨夜と変わらず、締め付けはとてもきつい。だが抵抗は少なく感じる。
まるで、黒木の身体が俺に順応しているみたいだった。そう思うと、彼女が俺のものになているみたいで余計に興奮する。
「あぅ、あ、すご、あ……だ、めっ……! イっちゃ、うっ……せん、ぱ、い……っ、あたし、もう、イっく、うっ……!」
まだ入れている途中だというのに、黒木はがくがくと脚を震わせて絶頂した。その振動が膣肉に伝わる。
危うく射精しそうになるが、それはなんとかこらえる。そして、まだ絶頂が続いている黒木に構わず、一番奥まで突き入れた。
「ぁんっ! あ、お、あう、おっ……! せん、ぱ……い、あっ、やば、いっ、です……」
ぶるぶると黒木の全身が震えている。まるで快楽に悦ぶように。
二回目だからか、もう痛みはないようだった。それを確認した俺は、浅く引き抜いてから、ぱん、と思い切りそこへ腰を叩きつけた。
「あっ! あ、は、あっ、アっ、んっ、あんっ……っん、せん、ぱっ……ぁ、あうっ! すご、はげしい、っあんっ……! これ、じゃ、すぐイっちゃいますっ……!」
尻の肉を鷲掴みにしたまま、ぱんぱんとピストン運動を続ける。奥へたどり着くたびに子宮の入口が亀頭を包み込んで、そのまま射精したくなる。
自分勝手なセックスなのに、黒木の体はそんな風に淫らに反応してくれる。もっと優しく、彼女を気遣って動こうなんて気持ちは、その反応で薄れていく。
「は、ぁ、あんっ、おっ! せん、ぱいっ、あっ、すごい、ですっ……! 先輩に、ぁ、んぁ、あんっ、もの、みたいに、あっ、犯される、のっ……すき、ですっ……!」
俺の情欲に拍車をかけるように、黒木は途切れ途切れの言葉をこぼす。それが俺を煽るためなのか、それとも本能なのか。だがそんなことはもうどうでもいい。
こんなに気持ちよくて、黒木もこんなに熱く求めてくれる。だったらもうそれを止める必要なんてどこにもない。
尻に跡がつくほど爪を食い込ませて、生殖器を抜き差しする。その激しい動きで、お互いの汗や淫液がまわりに飛び散る。
むわりとした熱気といやらしい匂いがあたりを包み、部屋を淫らな空間に染めていく。
「んっ、あっ、ぁんっ! せん、ぱいっ、あっ、あっ、あたし、もうっ、おっ──! あたし、イク、イっちゃうっ!」
急激に締め付けが強くなる。内臓ごと絞りだされるようなそれに、再び白い欲望が湧き上がってくる。
ぞくぞくと全身に電流が走って、早くその大きな快楽を味わいたいという欲望が身体を支配する。
その本能に従って、ごりごりと黒木の膣奥を抉る。子宮口は物欲しそうに吸いついてきて、気を抜けばそのひと突きで果ててしまう。
「くろ、き……っ、でる、でるっ──!」
「んっ、あっ、だしてっ! 先輩の、あっついの、あたしに出してくださいっ……!」
これ以上ないほど高まった黒木の声に合わせて、精液を一気に吐き出した。
どぶん、と決壊した川のように、無秩序に精子が注ぎ込まれていく。黒木の一番奥、そこへ向けて一滴残らず熱いもので打ち抜く。
「あっ、あっ、ぁう……っ、すご、い……先輩の、せーし……あっ、す、ご……こん、な、いっぱい……」
ぎゅう、と腰を押し付けたまま長い射精を味わう。睾丸に残っているものをすべて絞り出すように。
「ん、あ……あ、精液、とまり、ました……?」
「ああ……く、全部、出たから──っ、抜くぞ……」
ぬぽん、と一気に引き抜く。さすがに二回もしたから生殖器は萎えていた。
そして、俺がさんざん犯した黒木の蜜穴からは、さつきと同じようにどろどろの白濁が零れ落ちていた。
「ん、ふふ、兄さん……すごいね、私たちのこと、こんなにしちゃうなんて」
「も、う……あたし、何回も先輩にイかされちゃいました……」
二人がテーブルにぐったりと身体を横たえたまま言った。その言葉を聞いた途端、俺も一気に疲れがきて、ソファに身体をあずけた。
そのまま眠ってしまおう。そう思った時だった。
ぴんぽん、とチャイムが家に鳴り響いた。
「ん……もう、誰? こんなときに……」
黒木は不機嫌そうにつぶやくと、気だるそうに身体を起こしてインターホンのモニターに歩いていった。
「はい、黒木ですけど……どちら様ですか?」
黒木の声は聞こえるが、相手の声は聞こえない。一言二言話しているのがわかる。
そしてしばらくすると、黒木はこちらに慌てて走ってきた。
「なんだ、どうしたんだ?」
黒木の顔を見ると、さっきとは打って変わって深刻な顔をしていた。そして言いよどむように視線を逡巡させる。
しかし、意を決したように俺を見ると、一言だけ呟いた。
「警察が……来ました」