「あ、来たんですか、先輩」
放課後、文芸部の部室にやってきた俺を出迎えたのは、いつもの通り黒木だった。部屋の隅の机で、新しく買ってきたであろう本を読んでいた。
「ああ。その、久しぶり」
「お久しぶりです。良かったです。また学校来れて」
「まあ、そうだな。一応ちゃんと学生やれるだけマシだな」
あの日、黒木の家に訪ねてきた警察に、俺は素直に連れていかれることを選んだ。どうせ逃げられやしないし、あれ以上二人を巻き込みたくなかった。
「それで結局どうなったんですか? ここにいるってことは罪には問われなかったっぽいですけど」
「幸い……って言っていいのかわかんないけど、正当防衛ってことになった。だから俺もさつきもお咎めなしだ」
黒木の机からは少し離れた席に座りながら答える。
あの日、家を下手に荒らさないで逃げ出したことが良かったらしく、現場には状況証拠が揃っていたという。そして、俺やさつきの証言がそれと一致したことで正当防衛が認められた。
事情を聞かれたりなんやかんやで一週間以上かかってしまったが。まあ、ちゃんと家に帰れたのだからそれくらいは些末事か。
「お前は? あの時一緒に連れてかれてたけど」
「あたしは大したことないですよ。事情を聞かれて、ちょっと怒られただけで帰してもらえましたから」
「……そうか。まあ、それなら良かった」
とりあえず、俺たち三人が何も罪に問われなかったのは本当に良かった。
「ま、あたしのことはいいです。それより」
ぱたん、と読んでいた本を閉じて黒木は言った。
「先輩。クラスでの扱い、酷いんじゃないですか」
「……わかるのか?」
多少は、と黒木は窓の外を見ながら呟いた。空はどんよりと曇り、今にも降り出しそうだ。
「先輩の噂、一年のあたしのとこまで届いてますよ。……二年に父親を殺した生徒がいる、って」
吐き捨てるように黒木は言った。
俺が今日登校してきたときから、はっきりとそれは感じ取れた。俺を見る周りの目が明らかに今までと違うと。
疑念、軽蔑、哀れみ、いずれにせよひどく居心地が悪かった。そんな様子だから、俺に近寄ってくるやつなど一人としていなかった。
「仕方ないだろ。本当のことなんだから」
「それ、本気で言ってます? ろくに事情も知りもしないヤツらに勝手に人殺しのレッテル張られてるんですよ?」
ぎり、と怒りの滲んだ声。
「そりゃ俺だって悔しいよ。……でもどうしようもないだろ。一人一人誤解を解いて回れってのか」
それは、と黒木は言葉を詰まらせた。
そう。どうしようもない。経緯がどうだったにせよ、俺は父さんを殺したのだから。
「そうだ。それよりさつきはどうなんだ。その、俺みたいな仕打ち受けてないよな?」
俺に問われた黒木は、明らかに動揺する素振りを見せた。びく、と叱られた子供のように体が反応した。
そして、気まずそうに目を反らして答えた。
「……その、言いにくいんですけど、無視されたりとか、聞こえる声で陰口叩かれたりとか、されてます」
「な、どうしてだよ! さつきはなんもしてないだろ!」
がた、と思わず立ち上がって声を荒らげてしまった。黒木がたじろぐ。驚かせてしまったようだった。
「別の噂も立ってるんです。さつきも共犯だ、って」
「っ! 誰がそんなこと言ってんだ! 今すぐ訂正させてやる!」
かっ、と頭に血が上る。俺が何か言われるのは別にいいが、ふざけた噂でさつきが傷つくのは許せなかった。
「ちょ、待って、落ち着いてください! そんなのわかんないですよ。噂に尾ひれがついていつの間にかそうなっちゃっただけですよ、きっと」
黒木にそうたしなめられるが、怒りはおさまらない。
さつきがそんな誤解をされている事実は許容しがたい。
「それより、今はさつきのそばにいてあげてください。お兄さんなんでしょ、先輩」
だが、その言葉で我に返った。
そうだ。兄貴なら、妹がつらいときはそばにいてやるもんだ。
この状況は俺一人でどうにかできるものじゃない。だったらせめてさつきを元気づけるのが俺の役目なんじゃないのか。
「……そうだな。悪い、黒木」
「別にいいですよ。先輩の気持ちだってわかります」
黒木は視線を合わさず、そう答えた。
「なあ、黒木」
「はい」
「お前はどうなんだ。お前にはヘンな噂立ってないのか」
ふと浮かんだ嫌な予感を口にした。
黒木は一瞬だけ俺に視線を戻したが、またすぐに窓の外に逃げた。
「……立ってます。先輩たちを匿ったって。ま、事実ですけど」
ずきん、と胸が痛む。
やはり巻き込むべきじゃなかった。俺が彼女を頼らなければ、そんな噂は影すらもなかったはずなのに。
「その、すまな──」
「やめてください」
頭を下げようとしたその時、刺すような声で遮られた。
「先輩に謝られたら、あたしがやったことバカみたいじゃないですか」
少しの怒りも込められている声。
有無を言わさないその口調に、俺はなんと答えたらいいかわからなかった。
「いいんです。後悔なんかしてません」
「……そうか」
俺は黒木の顔を見ることもできず、そう力なく返すしかできなかった。
アパートのドアの前に立つ。
窓からは電気が漏れていて、さつきが帰っていることがわかった。
さつきはどうしているだろうか。傷ついて塞ぎこんでしまっているかもしれない。
そんな彼女に、俺はどうしてやればいいんだろうか。明確な答えもでないまま扉を開けた。
「ただいま」
一歩足を踏み入れて呟く。少しもしないうちに、奥からぱたぱたと足音が聞こえてきた。
「おかえり、兄さん」
制服の上にエプロンを着た、見慣れた姿のさつきが顔を出した。いつものような微笑みをたたえて、温かく俺を迎え入れてくれた。
その、あまりに普段と変わらない様子にちょっと固まってしまった。それはすごく良いことなんだが、身構えていた分ちょっと拍子抜けしてしまった。
「ん、どしたの? ぼーっとして」
「あ……い、いや、なんでもない。ただいま、さつき」
「うん。ご飯できてるよ。一緒に食べよ」
ああ、と返事をしてさつきと一緒に居間へ向かった。
それからも、さつきの様子はいつもと変わらなかった。物静かで、落ち着いていて、だけど俺との会話では笑顔も見せてくれる。手料理も相変わらず美味しい。
食事と風呂を済ませて、床に就くころには俺はすっかり安心しきってしまっていた。
「ふう……」
緊張の糸がぷつりと切れて自然と安堵の息が漏れる。一番の心配だったさつきが元気そうで、何よりも良かった。
ただ、さつきは何も思っていないだろうか。さつきが心無い言葉に晒されたということは事実だ。
本当に気にしていないのかもしれない。さつきは割とそういうところがある。
しかし、実は心の奥底では傷ついていて、俺に心配をかけないために明るく振舞っているだけなのかもしれない。
そう思った時だった。
とんとん、と部屋のドアがノックされた。
「兄さん。まだ起きてる?」
さつきの声。
「さつきか? 起きてるけど。どうかしたのか?」
「入って、いいかな」
「ああ、いいけど」
珍しいな、と思いながら返事をする。基本的にさつきが俺の部屋に入ってくることはない。
がちゃ、とドアを開けてさつきが入ってくる。
「ごめんね、こんな時間に」
「別にいいよ。何か用事か?」
うん、と答えながら、さつきは後ろ手でドアを閉めた。
「えっと……その、今日は一緒に寝たいな、って思って」
「え──?」
言いにくそうに目を伏せながら、さつきは呟いた。彼女らしくない、たどたどしい言葉。
「どうしてまた」
「ダメ、かな」
「いや、別にかまわないけどさ」
頬をかきながら返事をすると、じゃあ隣入るね、と言って布団の中に入ってきた。
俺のほうに向いて身体を丸めている。ぎゅ、と俺に密着していて、その表情は見えなかった。
そのまま、特に何を言うでもなく時間が過ぎる。だが、いつまで経ってもさつきが落ち着いた寝息をたてることはなかった。
代わりに、ほんの少しだけその体を震わせていた。
「……さつき。なにか、あったのか」
迷ったが、心配で声をかけた。僅かに息を呑む音が聞こえた。そうして、さつきは
「……うん」
と、ただ一言だけ呟いた。
やはり、ただ平気なふりをしていただけだったのだろう。
「酷いこと言われたりしたのか? 俺と共犯だ、とか」
うん、と小さい声。変わらず顔は見えない。ただ、その声が震えている。
「……他にも、兄さんのことも。人殺しだって、犯罪者だって陰口言われた」
すすり泣く声が聞こえる。
俺はそんなさつきの体を、できるだけ優しく抱いた。背中に腕を回してそっと撫でる。今の俺にはこれくらいしかできない。
「この前まで友達だった子も、一緒に楽しくおしゃべりできた子も、みんな私と兄さんのこと、冬香のことも悪者だって──っ」
涙と共に、さつきの隠していた気持ちが一気に溢れ出す。それと一緒にぎゅう、と縋るように身を摺り寄せられる。
「ごめん、ごめんな、さつき……」
「違う……! 兄さんの、せいじゃない──わたし、私が父さんとのこと、ちゃんとしてれば──っ」
それは違う。父さんとのことは、さつきに縋るしかなかった父さんの弱さと、気づけなかった俺の責任だ。
「さつき。そんなことない。だってさつきは何も悪いことしてないだろ」
だが、俺がいくらそうしてさつきが悪いわけではないと言い聞かせても、さつきは「違う」と必死に否定してくる。
そう思わせてしまうのは俺の弱さだ。あの時、さつきを連れて逃げなければ、殺さずに父さんを止められれば。
だが、それは今更どうにもできなかった。
「にい、さん……」
ひとしきり泣いた後、さつきは掠れた声で俺を呼んだ。
「兄さんは、私の味方でいてくれる……?」
「当たり前だ。妹の味方をしないヤツなんか兄貴失格だ」
さつきは俺の言葉に、ようやっと顔を上げてくれた。涙で潤んだ瞳が、月明かりで美しく輝いている。
「ありがとう、兄さん……」
濡れた瞳のまま、さつきは控えめながらも笑顔を見せた。そのまま、さつきの方から抱きついてきた。
俺の首の後ろに両腕が回されて、二つの体が密着する。そこから伝わるさつきの体温が、いつもより熱く感じた。
「兄さん、一つお願いきいてもらえない、かな」
「うん、いいよ。俺にできることならなんでも」
なら、とさつきは言葉を続けた。
「私のこと、慰めて。あの時、私が兄さんにしたみたいに」
耳元でそっと囁かれる。僅かに震えるそれは、ぞくりとした感触を与える。
どくん、と俺とさつきの心臓が跳ねる。触れ合っている俺たちの胸がそれを伝えてきた。
「さつ、き……」
一瞬、拒否しなければいけないという警鐘が鳴る。
だけど、艶めかしいさつきの声や、もう二度も交わったという事実。そしてなにより、凍えた子猫のようなさつきを少しでも楽にしてやりたいという気持ちが、その枷を外した。
「んっ……」
俺から唇を塞ぐ。さつきの顎をくい、と上げて、その柔らかいもの同士を触れ合わせた。
ぴり、と電流が走るような感覚。それで、俺の中の情欲に火が付いた。
だけど、今は欲望に身を任せたセックスはしたくない。全部忘れてしまうほど、さつきのことを気持ちよくしてあげたかった。
「ん、ぁ、む……ン、ん……」
涙で濡れたさつきの唇。そのせいか、前よりも密着感が強い。
大した力を入れなくともぴたりと吸いついてくる。そして、少しだけ唇を離すと、ぴちゃん、と小さな水音が響く。
はぁ、とその合間に漏れるさつきの吐息。さつきの匂いと混ざったそれは、ふわりととろけてしまいそうな香りだった。
「ぁ、ぁ……ん、は、ンっ……! あ、んむ、ぁふ……」
ごろん、とさつきの体ごと転がして、俺が上になる。
一瞬だけ唇が離れたが、すぐに奪い取った。ん、と互いのくぐもった声が漏れて、また一つになる。
その勢いのまま、さつきの口内にそっと舌を差し込んだ。さつきはそれを少しも拒まず、僅かに口を開けて受け入れてくれた。
「ん、あっ……ちゅ、ン、ぁ……んっ、は……ぁん」
ぐちゅ、と濡れた二枚のものが絡まった。唇とは比べ物にならないほど熱をもったそれは、こちらの舌を溶かしてしまいそうなほど。
そのまま、唾液を混ぜ合わせるように舌を動かすと、ぞくぞくとした快感が全身に走る。まるでさつきの熱と感触が体の中を駆け巡っていくよう。
「ん、ひゃ、っん、あんっ……! ん、ぁ、にい、さぁ、ん、ン……あ……」
片手をさつきの膨らみに触れさせた。揉む、というよりもただ添えるだけ。
だけど、さつきは可愛い声と一緒に体を震わせた。キスだけで昂ってしまっているのだろうか。それは俺も同じだが。
無駄に焦らさず、軽い力を入れてその胸を包んだ。ふにゅ、と服の上からでも十分に伝わる柔らかさ。
「ん、は……っ、兄さん……私のおっぱい、直接触って……っ」
我慢できないのか、さつきは唇を離してそうねだってきた。
ああ、返事をして寝巻のボタンを外す。焦ってしまって四苦八苦してしまう。なんとか外し終えて、ぱさりとはだけさせる。
「あれ、さつき、お前ブラは?」
「え、あの、最初から兄さんとシたかったから、その……」
外してきた、と恥ずかしそうに口にした。どき、と胸が跳ねる。さつきがこんな風に恥じらう姿なんて初めて見た気がする。
たまらず、あらわになっている乳房にしゃぶりついた。ぴん、と上を向く乳首を口に含み、それをぺろぺろと舐めまわす。
「んっ、あんっ……! ン、あっ、にい、さんっ、ぁ、はあっ、きもち、いっ……」
敏感なさつきの乳首を舌で愛撫する。そうやって擦れるたびに、さつきが激しい嬌声を上げる。
体もびくびくと痙攣し、もう片方の乳房がふるふると揺れている。そちらを片手で鷲掴みにした。
そして、人差し指でくりくりと先端を転がす。すると、面白いくらいにさつきの体が反応して可愛らしい。
「あ、ぁんっ、は、アっ、だ、めっ……! にい、さん、っあんっ、や、ん、あっ……兄さん、アソコ、も……っ!」
たまらないのか、喘ぎながらさつきが懇願してきた。いいよ、と答えて彼女の下にはいているものを脱がす。
とりあえず寝巻きだけ。さす、と腰のあたりを触ってみると、布の感触があった。さすがにショーツは身に着けているようだった。
そのまま、股布の上から指でなぞってみる。既にそこはじんわりとさつきの情欲が漏れ出していた。
「んっ……! にいさん、あっ、ぁんっ……下着の上からじゃ、なくて……っ、んっ、ちょくせつ、弄って──っ!」
ぎゅ、と俺の肩を握って、さつきはそう言ってきた。もう俺よりさつきのほうが興奮しているようだった。
する、とショーツの下に手を滑り込ませる。むわ、として湿り気が直に伝わってくる。
僅かに生える陰毛をかき分けて、蜜の源泉にたどり着いた。そこへ人差し指を触れさせてみると、ず、と沈み込んだ。
そのままもう少し力を入れると、つぷん、といともたやすく飲み込まれてしまった。
「ぁんっ! あ、兄さんの、ゆび……っ、はいって、きた……っ」
さつきの穴に食べられたそれを、軽く動かしてみる。生殖行為を真似るように、抜き差しをする。
ぬるりとした愛液の感触が指全体に伝わる。さつきの膣内はもう中までどろどろだった。
その粘り気をまとったまま浅く引き抜き、ずぷ、と限界まで突き入れる。その時、膣肉がかきわけられて、くちゅくちゅと卑猥な音が響く。
「んっ、あっ、あ、アっ、んっ……! は、あっ、きもち、いいっ……にい、さんっ……」
その音にさつきの喘ぎ声が絡まる。俺の耳に入り込んだそれは、内側から脳内をピンク色に染めていく。
それはさつきも同じなのか、手での愛撫を続けるほどに嬌声が熱く高まっていく。
「兄さんっ……! もう、だめっ──っ、は、ぁ……兄さんの、挿れてっ……! ぐちゃぐちゃに犯していいから、兄さんとひとつになりたい──!」
先に我慢ができなくなったのはさつきだった。快楽に緩んだ表情を隠そうともせず、お願い、と必死に告げてくる。
でも、俺ももうほとんど限界だった。柔らかい全身の感触を感じて、淫らな声を間近で聞かされて、股間のものは爆発しそうなほど勃起している。
ずる、と下に着ているものを全部脱ぎ捨てる。そして、さつきの大事な部分を守っている最後の布をするりと抜き取った。
「にい、さん……はやく──っ、それ、いれて……」
はあ、はあ、と色香をそのまま気化されたような吐息を吐きながら、必死にねだってくる。
その姿に唾を飲みながら、両脚をぐい、と広げる。その間の、俺を誘う蜜壺に狙いを定めた。
「あっ──! はいって、きてっ……あっ、あ、アッ……!」
腰に力を入れてずぶずぶと挿入していく。ぴったりと吸盤のような感触を堪能しながらの挿入。
きついのに、奥へいこうとするといともたやすく割けてしまうさつきの秘裂。まるで、言葉だけでなく、身体でも俺を求めてくれているよう。
だから、最奥まではいとも簡単にたどり着いた。ちゅ、と子宮の入り口と俺の先端がキスしているのがわかる。
「んっ、あ……っ、ぁ、あっ、兄さん、のっ、奥まで──すご……っ、あっ、ん、うれ、しい……」
ふるふると快楽に身体を震わせながらも、さつきは柔らかく顔を綻ばせた。
その表情がとても愛おしくて、さす、と頬を撫でる。くすぐったいのか、さつきは軽く目を細めた。
「ねぇ、動いて──兄さんのおっきいので、一番奥まで突いて……」
とろん、とした瞳で俺を見つめながら、さつきが口にする。その目は、妹が兄に向けるものではない。
でも、それが間違いだ、なんて言わない。俺にそんな資格はもうない。
だったら、さつきが俺を求めるその気持ちに応えてやるべきだ。そう言い訳をして、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ──ん、ぁん、あっ、ん……っ、は、あっ──兄さん、ぁ、ン……」
それと同時に甘い声がさつきの口から漏れ出す。安心しきった、心底心地よさそうな声。
だが、その柔らかい響きとは反対に、さつきの膣内は容赦がない。まだ優しく動いているにも関わらず、絡みつくように愛撫してくる。まるでいくつもの舌で奉仕されているようだ。
その快楽に耐えながら肉棒を抜き差しする。愛液と共にぎりぎりまで引き抜き、媚肉の感触を感じながら奥まで押し込む。
「ん、あ──は、ぁ、にいさ、ん……っ、なんか、ゆっくりだね……」
「ん……イヤか?」
「ううん──ぁ、ん、でも、もっと激しくしたほうが、兄さん、気持ちいんじゃないの……?」
「別にいい。……さつきが激しいほうがいいならそうするけど」
さつきは大丈夫、とだけ口にした。慰めてと言ってきたのに、俺のことを気遣ってくれるその優しさがさつきらしいな、と思った。
だが、さつきのその言葉につい甘えたくなってしまう。細いさつきの身体をがっしりと押さえつけて、欲望のままに貪ったらさぞ気持ちがいいだろう。
喉元までせりあがるその欲望を紛らわすように、ふるふると揺れる両の乳房に触れた。
「ぁんっ……! ん、兄さん……おっぱい、好きにさわって……っ」
びく、と体を震わせるとともに、さつきは自らの手を俺の手に重ねてきた。そのまま、ぎゅっ、と胸に押し付けられる。
手のひらすべてに伝わる、ぞっとするほど柔らかい感触。男を堕落させるそれに溺れるまま、ぐにゅぐにゅと愛撫する。生殖器を擦り合っているこの状況では、その感触は興奮を高める媚薬のよう。
自然と、さつきの奥を突く強さが増してしまう。ごりゅ、と子宮を犯すように先端を押し付けると、射精欲に陰嚢が反応するのがわかる。
「んっ、あっ……ん、兄さんっ……いい、んだよ……兄さんが好きなよう、に、あ、はっ、はぁ、んっ……好きに、私の体、犯して──汚してほしいっ……」
それはさつきの心からの声に聞こえた。切なさに瞳が潤んで、興奮で頬が上気している。
だったらもう無理に我慢しなくていい。俺はさつきに覆いかぶさって、激しいピストン運動を始めた。
「あっ──! んっ、あっ、あんっ、おっ……! あっ、はげし、っ……ぁんっ、兄さんっ……も、っと、あんっ、あっ、ア、こわし、てっ……私のこと、壊して……っ、兄さん──!!」
途端、熱くなるさつきの嬌声。恥じらいなんか彼方に捨て去り、劣情丸出しの声を俺に聞かせてくれる。
その声と、激しく擦れ合う粘膜が、マグマのような熱い快楽を運んでくる。頭の中はそれがはじけて精を吐き出す瞬間を自然と妄想してしまう。
その瞬間を手繰り寄せるようにさつきの体を求める。広げた両手をがっしりと押さえつけて、情欲を余さずぶつけるように腰を叩きつける。
「あっ、ア、あぁっ、んっ、は、あんっ! にい、さ……っ、兄さん、ごめんなさ、あっ、ごめんなさ、いっ……! 私、あっ、ぁ、おっ……イク、もう、イっちゃう──!!」
「いいぞ、さつき……っ! 俺も、もう、出るっ──!」
ぎゅう、と子種を求めるように絡みついてくるさつきの媚肉。それに絞られて、一気に白濁が昇ってくる。
最初のゆっくりとした交わりで凝縮されたそれを吐き出すのはどれだけ気持ちいいだろうか。
今すぐにでもそれを味わいたくて、ぱん、ぱん、と肌と肌をぶつけ合う。あまりにも激しいそれに淫液が飛び散るがそんなことはどうでもいい。
「あっ、あっ……イクっ、ん、私、イく──! 兄さんっ、一緒に、イって……っ!!」
「ああっ……! 全部、出すからな……っ!」
そして、快楽が一番高まったその瞬間、膣奥へ陰茎を思い切り突き入れて射精した。
びくん、と共鳴するように震える俺たちの体。それと同時に、バケツをひっくり返したみたいに快楽が襲ってきた。
「んっ、あっ、ア……あっつ、い……っ、あっ、あ……中、せいえき、いっぱぁい……」
びくびくと快楽に悶えるように体を痙攣させながら、ゆっくりと脱力していく。だけど膣だけは小刻みに締め付けてきて、最後の一滴まで精を絞りだされる。
とく、とく、と勢いは弱くなったものの、先端から熱いものが出ていくたびに大きな快楽が走る。気絶してしまいそうなほどの絶頂。
「ねぇ、キス、して……」
まだ浅い絶頂が続いている中、さつきがうっとりとした声で呟いた。俺は何も考えず、その唇を塞いだ。
じんわりと広がる心地よさ。それは、この甘い時間を共有するのに十分すぎるほどの感触だった。
そのまま一つになったまま、俺たちは余韻が抜けきるまで唇同士の戯れを楽しんだ。
「ねぇ、兄さん」
「ん? どうした、さつき」
俺の上に体を寝かせているさつきが呟く。服は来ていない、お互いに生まれたままの姿。素肌同士が伝える体温がとても安心する。
「私たち、ずっと一緒にいられるよね……?」
「いられるさ。俺たち兄妹なんだから」
不安そうに問いかけたさつきを安心させるため、そっと背中を撫でてやる。強張っていた体から少しだけ力が抜ける。
「そっか。なら、良かった」
はぁ、とさつきの息が胸板に触れる。
「……ねぇ」
「ん?」
「男と、女としても、一緒でいられるかな──」
思わずさつきの顔を見る。だが、さつきは俺の胸に顔を埋めていて、表情は見えなかった。
「ふふ、冗談。私は兄さんと一緒にいられればそれで十分だよ」
「……そっか」
さら、と頭を撫でる。すると少しもしないうちに、穏やかな寝息が聞こえ始めた。
それを聞きながら思う。さっきの言葉はすべてが冗談には聞こえなかった。
さつきの中で、何かが少し変わり始めているのかもしれない。それが喜ばしいものかどうかは、俺にはわからなかった。