「あの!」
玄関周りの掃除をしていたら、知る人に声をかけられた。リルリさんのお母様だ。
「こんにちは」
「あ、はいこんにちは。……一昨日は本当にありがとうございます」
「いえ、当然のことをしたまでです。…………?……どうか、なさいましたか?」
「その……また、うちの娘のことなんですが……」
なんと、少女はまた姿を見ないこととなっていた。
けれど今回は母親から緊急性は感じられない。誘拐犯達は昨日纏めて逮捕されたし、また犯罪に巻き込まれた可能性は極めて低いだろうから。
「なにより、あの子はちゃんと日が暮れる前に帰るからと言われまして」
そう、あくまで母親としての憂慮が拭えないので、こうしてダイアナに相談しに来たのだ。つい一昨日のことだ。無理もない。
「手紙も預かっているんです。メイドさんに会えたついででいいからと」
簡素な便箋だった。開くと一文だけ。しかしその内容はまるで本日のダイアナの行動を支持するようでもあった。
――――メイドのお姉さんへ もしお母さんがしんぱいしてたら、地図をつかってお姉さんも来て下さい。お友だちとまってます。 リルリ
あの後、謝礼は要らないと述べるダイアナに対して、少女は一枚の地図を渡した。
それは大人から見れば落書きにしか見えない代物だった。けれど彼女曰く「お友だちに会う為の宝物」と。
ダイアナは眠れなかった夜にて、その地図を模写するなどの吟味をした。事件の後遺症を誤魔化す為とかもあるけれど、純粋に気になってしまったのだ。
いつかの日。懐かしい誰かが子守歌のように伝えた御伽噺がある。
精霊踊る国は妖精の通り道でもある。
うつし世の中のかくり世。悠久の刹那にて、気紛れな妖精の住処、神樹の苗床が其処にある。
少女の宝の地図は、よく見るとベルデ国の地図に似ていた。四精霊を祀る霊地とも北の祠(黒城)とも違う場所に付けられた印は、誰も知らない幻想の地を指しているのか。
文字通りの街の玄関を預かっている門番さん。
先日、狂暴化したモンスターから不意打ちを受けた彼はダイアナより酷い怪我を負っていた。兵士の人手不足で交代もままならない。それでも実直に勤務を守っている。
「子供なんて見る訳ない。とても外に出せないよ。あり得ない」
「ですよね……」
リルリさんのことを尋ねてみたら、当然の反応が返った。
……だが、彼の目を盗んでここを通り過ぎていったならあり得なくなる。門番氏は包帯で隻眼状態になっていたし、死角等の隙を突けば……。
「まさか、外に出ようとしているんじゃないよね?」
「……」
「絶対に駄目だよ」
じろり、と据えた目と共に釘差される。
行かないと嘘も言えないダイアナである。ここは外に出ないと態度で意志表示。……の、フリをするべしと、搦め手を使うことにした。
「……それは?」
「お裾分けをお持ちしました」
バスケットに詰んでいた弁当一式。ダイアナは事前によく空で練習していた台詞を、いつもの慎み深い喋りで出す。
「いつも城門の見張りをして頂き、感謝しています。ジャンヌ様のご帰還の件、必ずあなた様が、最初に迎えてくれるおかげでも、ありますから」
「ああ……最近は、あの方が笑顔で帰って来ることも増えて、ホッとしているよ……」
異変が始まった頃の彼女は冒険先での敗走が多く、装備がボロボロになっていたり全裸に近い姿で倒れて帰ってきたことも。その都度に彼が先ずその場で保護してからダイアナを呼んでいたんだっけ。
「こないだは裸に包帯ローブで帰ってきたけど全然元気そうだったね」
「はい。あの方は、前より、お強くなってます」
談笑しながら門番氏はダイアナの差し入れを次々口に放り込んで咀嚼していく。喉詰まらないように紅茶の入った水筒も渡した。朝と昼の飯には城からの配給はあったが最低限なもので、男の胃には物足りなかったようだ。
「ふあぁ……」
門番は欠伸を始めていた。満腹感と緊張の緩みで睡魔が訪れたようだ。そろそろだ、とダイアナは彼に仮眠を促した。
「少し、お休みになさって下さい。大丈夫です、何かあればお呼びいたしますので」
「ああ、すまないねぇ……」
日頃の疲労も溜まっているだろう。間もなくスー……と門番は寝息を立てて、舟を漕いでいた。
「モニ、門番さんのお手伝いをしてあげて下さい」
同伴していた愛犬は、キュウ、と小さな鳴き声で返事した。
「用心はしてきます。……いってきます」
その手に件の地図を握り締め、他も必要最低限の持ち物も落とさぬように携えて。
ダイアナは王都テウ・レプスを後にした。
安全な囲いから出て北をみやれば、悍ましい程の不気味な黒き巨城を目に入れて、ダイアナは身震いをした。
(あれが黒城……街からも見えては居たけれど、近付けば近寄る程恐ろしい……)
あんな所にリリィ姫が囚われているというのか。兵団が大隊を持ってして一切に突入してはあえなく返り討ちにされ、率いてた聖騎士も治療に時間を要する傷を負ったと聞く。攻略する為に必要な鍵は王家の指輪と精霊であるとか、ジャンヌが呟いていたのを拾った気がする。
……ここまでの感想を持ったがとりあえず、ダイアナの目的地はそこではない。
(あの最北の城よりやや東……北北東、で、子供の足でもすぐに着けそうな……)
目印は四精霊の霊地ともズレている。元は北の祠だった箇所に近い位置。
(……おそらく、この辺り?)
推測を付けてから歩いてはいた。
だが、見晴らしの良い所は避けて茂みや舗装された林道を選んでいる。その途中で更に深い茂みを、獣道に等しい所に足を運ぶ。
地図の示したものが人の手が加えた道にはないと考えられる。かつ、冒険者でも騎士兵士でもない自分は、周囲を警戒しながら自らを出来るだけ隠蔽させながら動かないとならない。
黒城の影響かモンスターは活発化している。哨戒の兵士も居ないので王都以外のベルデの地は野良モンスターが闊歩していると考えていい。ダイアナのような非戦闘者にとっては一体でもモンスターに見つけられたら命に関わる危険に直面する。
……ほら、早速見つけた。
襤褸を纏う緑色の小鬼。
(……ゴブリンだ)
ゴブリンは群れで行動するのとはぐれで行動するタイプに分かれている。ベルデ国でははぐれ型が多い。
(……一体だけのようですね)
群れだったら、既にダイアナの命とついでに貞操は無くなるだろう。幸いにもこちらから先に発見したし、あちらにはまだ気付かれてない。
(はぐれなら、罠が近くにある筈)
はぐれゴブリンは、自作の罠を精製して周囲に設置していることが特徴と言っていい。群れない代わりに獲物を取る為の知恵を持っているということだ。
茂みに入る前に、丁度良い長さと重さの木の枝を拾っていた。いざという時の護身には、ならないだろう。けど罠の確認くらいになら使えるだろう。
はぐれゴブリンから息を潜めて離れながら、足元よりやや先の茂みを突き回って行く。案の定、途中で何かに枝が当たっては一部を砕かれたりした。トラバサミ、落とし穴、それから既に罠に掛かった犠牲者の亡骸。
(……鳥の死骸、か……)
目の当たりにしてつい眉間を顰める。それもまだ間もない亡骸だ。毒ガスを吸ってしまったんだろう。弱肉強食の掟と言えばそれまでだが、この罠にかかった以上ゴブリンの食糧にもなれずに腐り果てていくだろう生きていたものを、哀れに思う。
ハンカチで包んだ。なんとなく拾っておこうと思った。
何事もなければ後で埋葬するのかもしれない。何事もなければ。
次の脅威もそう間を置かずに遭遇した。
普段は岩石に擬態しているが、昼なのに活動している植生物。
蔦が蛇のようにくねらせているモンスター。
(マンイーターですか……)
ダイアナもこの獰猛な触手系モンスターの知識は持っていた。
主食は生物の体液、特に女性の分泌液が好物という。子供には見せられない挿絵付きの本に紹介されるのは、それでも年頃の女性の護身の為でもある。……特殊性癖家の間では、わざわざ飼育したり隷属させたりして自ら体を差し出し愉しんでいる輩が居るという、要らないことも学んでしまったが。
(これも、一体だけのようですね……)
触手生物の視界は狭い。実は嗅覚が優れていると聞く。特に餌に当たる生物の体液……血など鋭利に嗅ぎ分ける。
……花を使った香料には反応しているのだろうか?
ふと、香水をかけたハンカチと包んでいた物をポケットから取り出して見やる。ついさっきまで生きていたもの。
範囲に入った途端に触手は素早く伸びてダイアナを捕まえるだろう。
「ああ、ごめんなさい」
ハンカチもとい鳥の死骸を投げつけてから、ダイアナは少しだけ迂回して走った。
先日も思ったが、少しは体力を付けるべきだろうか。ジャンヌ様ならなんでもない距離もダイアナからすれば咳き込む位に息が上がる。
(大分進んだ。いつでも引き返せるだろうけど)
皮肉にも目印となるのは黒城だった。あれのおかげで北が分かるので。
日の傾き具合からしてそれなりの時間は経っている。門番氏はとっくに起きていてダイアナの不在に気付いているだろうし……また街が騒然としてなければいいが。
(もう少し探してみよう。けれど夕方になったら戻ろう。今度もジャンヌ様より先に帰らないと)
息が平時まで整い直せた。地図を握り直す。危険地帯に居ることには変わらないし、警戒は怠れない。まだ身近にある恐怖より未知への好奇心が勝っている。
すると、眼前の茂みが動いた。身構える。
さっきのマンイーターか、またゴブリンか、それとも……。
「なんだ。違う女か」
出てきたのは、ワーウルフだった。
ダイアナは直面した事態に顔面蒼白になる。
不味い。
かなり不味い。
相手は獣人だ。ゴブリンやマンイーターよりずっと知能が高い。身体能力も秀でている。
「なんで、こんな所に居るんだ?一人か?」
(……大きな、『犬』の獣人)
つい先日の悪夢が想起される。彼がもし牙や爪をちらつかせたら、ダイアナは膝をついてそのまま動けなくなっていたかもしれない。抑々こうして相対してしまっただけで、抵抗する術をほぼ持たないダイアナの命運が決まったようなものだ。
(ダメ。……足よ、竦むな。私が、ここに居る理由を、目標を、忘れるな)
ダイアナは恐怖に囚われかけるが、自分の鳩尾に手を押し込んだ。丹田という部分を圧すと良いらしいと、彼女なりのやり方で喝を入れた。
考えろ。考えろ。思考を止めるな。
何故ここに居るかと尋ねられた。
交渉が可能かもしれない。
警戒は緩めるな。相手はモンスターやスラムの悪漢と変わらないと想定して行動を選べ。しかし従順になるな。彼方は優位だと分かりきってて自分の牙と爪を遊ばせている。
戯れを止め、牙と爪を奮った時点で少なくとも私の足は終わる。
彼の言から突破口を。
「黙っていると、食っちまうぞ~?」
「女の……」
「ん?」
「女性の、知り合いが、居るんですか……?」
「あ?そうだな。最近あちこちを走り回っている、騎士の女だ」
「騎士の……ジャンヌ様のことですか……?」
「!?……お前、あの女の知り合いか!」
ワーウルフは目を丸くする。話の手札としては良い切り方だったろう。然し、相手方は好意的な反応ではなかった。
「丁度良かった。お前を捕まえれば流石にあの女も大人しくなるだろうよ」
知り合いだからといって味方とは限らない。……具体的な関係は知らないが、敵対者というのはダイアナにも分かった。
これはいけない。
私を人質に使う心算だ。
ダイアナは、とっさにワーウルフが怯める手札を口にした。
「ジャンヌ様なら、近くにおられますよ」
嘘も方便である。効果は覿面だった。一瞬だけ慄く狼男。
……さて私も人狼に成り切れるか。
「……おいおいおい。こんな所にあの女が来てる訳ないだろう」
「本当ですよ、今この辺りのモンスターを駆逐している所です。もうすぐ、あなたの背後から来ます」
「っ!?」
余程ジャンヌを恐れているらしい。大袈裟な反応をしながら振り向いた。それと同時にダイアナは草叢の濃い所へ走った。
「あ、てめ!」
深い深い森の奥は、人が踏み入れてはならない場所。
其処にこそ伝承にだけ存在する者達の住処があると信じられる。
私の足はまるで初めから其方へ行こうとしていた。
後ろから岩石のようなものが投げつけられる。
肩を掠った。それだけで酷い衝撃だったが、怯んではいられなかった。
何かに躓いて転んでしまった。
痛みと衝撃、けれどすぐに起き上がり、走り出す。
息が切れそう。心臓の音が自分の脳を揺らしている。内臓全てが痛い。けど足を激しく上げ下げしていた。
やがて鬱蒼とした森の隙間から、木漏れ日が見えた。
私はその光に飛び込む。
とある、冒険者の遺言書を思い出した。永い眠りに着くまで様々な地に足を運び、幻想を触れ合い確かめて生きてきた彼は、最後にこう記していた。
私の目が霞んでいく。人生と言う旅路にも終着点が近づいてきたようだ。
五十の歳月を越えれば充分だと思うが、もっと永く、世界を歩き続け学び続けたかったのは欲深い種の性か。
願わくばこの魂が悠久の地に辿り着けるように。
大妖精パックよ、どうか導いておくれ。
ダイアナは、見たこともない洞の前に居た。そこはベルデ国ではない、と直感的に思った。
黄金の蝶々や、幻想種ふわふわが漂っている。まるで現世から切り取られたかのような、黄昏の世界だった。転がるように伏していた彼女に、何者かの影が差す。
「……へぇ、これまた、珍しいお客さんが来たね」
ダイアナが顔を上げると、そこに裸足の少年が一人立って居た。
尖った耳に白星宿る瞳。半裸の装束に違和感がないのはこの空間の住人だからか。
エルフや精霊とも違う。そして明らかな幻想寄りの存在。
「あなたは、伝説の大妖精、パックですか」
「確かにパックという名を持っている。けどそんな大層なものでもないよ」
彼の背中から一人の少女が顔を覗かせた。
「メイドのお姉ちゃん、来てくれたんだね」
リルリだ。彼女のお友だちというのは、パックのことだったのだ。
パックはリルリと繋ぐ手とは反対の手で、ダイアナに握手を求めた。繋いだままで付いてきてと言われたので従った。そうして洞の中に入っていれば、更に幻想的な空間へと案内された。
清め切った浅い湖畔。何処から差し込まれる木漏れ日が眩し過ぎず、緑の小島を優しく煌めかせている。また多くの幻想種ふわふわが漂っていた。
君はただの招かれ人だからね。友達の友達に危ない目はあわせられないよ。
「此処はね、本当は最初からみんな行き方を知っているの。主に子供の内に忘れちゃうんだ。でも君みたいにふとした切欠で思い出してたり、ずっと覚えてたりする人の子も、時々居るんだよね」
……それが切欠になったのかな?と指摘されたのは、ダイアナの手の中にある、リルリから貰った『宝物』だ。
少しして、大妖精は悪戯好きの子供のように笑っては、こんなことを呟いた。
「今日は本当に珍しく、素晴らしい日だ。新しい客人が二人も訪れるなんて」
階段を駆ける足音がする。そういえば、ここは地下だった。
ダイアナが振り返れば、主人である少女騎士が、
「ジャンヌ様」「ダイアナ!!」
出会い頭に抱き締められた。
「どうやって此方へ」
「あなたの書き残した地図を見て来たの……じゃなくてっ!危ないことしないでって言ったでしょ!」
矢継ぎ早に事情を聞かされれば、額を突き合わせるような姿勢で怒られた。リルリはポカンとしている。
「ふーん……」
パックはというと、興味深げにジャンヌを見ていた。
「キミ、迷いがあるね」
「え……」
「その迷いを晴らしたいなら、もう少しこの妖し塚を潜ってみるかい?」
「……!」
まるで心を見抜かれているようだった。ジャンヌは、ダイアナから引き離れては、真剣を握り直していた。これを大妖精は承諾と取ったようだ。
「今日の遊びはここまでにしよう。この子と、入り口までお帰り」
♢♢♢
ダイアナは、リルリと共に妖し塚の入り口で待たされた。
何故、パックはジャンヌだけ残るよう勧めていたのだろう。
(……そういえばジャンヌ様、剣を抜いていた)
戦闘態勢を維持したままで、ダイアナ達の所に来ていたのだ。……更に突っ込めばさっき、パックが危ない目には合わせられないとか言ってたような。
伝説の幻想地『妖し塚』は存在こそ彼の冒険者の書物などで語られているが、その詳細は何故か述べられていない。精々そこの家主のような大妖精と、ユグドラシルという神樹の存在だけが語り継がれている。
(けどきっと、冒険者にとってはこの中も立派なダンジョン。ということなんですね)
ダイアナ達はパックの手心によって安全地帯にだけ来れたのだろう。……とすれば、今頃ジャンヌは探索を続けているというのか。今度はダイアナがジャンヌの御身が心配になってきた。
「ジャンヌ様……」
ダイアナが両手を祈りの形にしようとした直後だった。
「……あれ?」
「ジャンヌ様?!」
洞からジャンヌが出てきた。互いに何か拍子を抜けたような、呆気に取られたような顔をしていた。
「ダ、ダイアナ……あなた、随分待っていたのね……」
「い、いえ、……私達が戻ってから時間は、このくらいしか……」
「え……?」
どうやら妖し塚の内部は時間の流れが緩やからしい。
首を傾げるジャンヌの顔に付いていた液体状のものが落ちた。甘い匂いをさせていた。後で聞いたが、何故かクリームパイをぶつけられる罠があったそうな。……なんでパイ?
他にも色々掘り返したいことはあったが、ジャンヌの体に白い光が浴びせられた。驚く間もなく彼女の様相が綺麗になっていく。出てきた直後の彼女は顔や手足に傷があったり、装備が壊れてたりとまあダイアナからすればすっかり見慣れてしまった勇壮な有り様だった。帰宅していつものように清めて手当てをすれば大丈夫な程度の。今日はそれをする必要もなくなった。
「君の中の迷いは消えたかい?」
ジャンヌを全快されたのは彼だろう。パックが上から現れて、祠の天井縁に腰掛け足をふらつかせながら尋ねてきた。問われたのはジャンヌだ、彼女は剣を治めて見上げながら大妖精と向き合った。
「……正直、まだ拭い切れてはおりません」
けれど、とジャンヌは騎士としての礼を取った。
「守護者様、この度に私に試練を与えてくださったこと、甚く感謝します。良き鍛錬になりました」
「そんな堅苦しくならなくていいよ。僕からすれば、ただの暇潰しだったんだから」
「……有難うございます」
「もしまだ鍛錬が足りないと思ったらいつでもおいで。君ももう、覚えているだろうから」
はい。と肯定するジャンヌは自信が付いた笑みを浮かべていた。
凛々しく、悟りを開いたような主人の姿を見て、ダイアナは思った。
もしかしたら、此処にジャンヌを連れてくる為に、行動を起こしたのかもしれない。