〜朝〜
「う...ん?」
「姉さん! 大丈夫!?」
「エルカ...? あれ私どうなって...」
頭がガンガンする...。
体もだるいし、ちょっと気分が悪い...。
「エルカ...、すまないけど水を頂戴」
「分かったわ!」
急いで水を出現させた彼女は、コップに水を注ぎ私に渡してくれました。
たった一杯の水でしたが、なんだかとっても美味しく感ます。
「ありがとう、なんだか長い眠りから覚めたみたい...」
「姉さん...」
酷く心配したような表情でこちらを見てくる妹が逆に心配になってくる私。
「そんな顔してないで、いつもの笑顔を見せて」
「姉さん...、うん!」
いつもの妹の表情がなぜか凄く良いと思ってしまった。
いつもは子供っぽくてとても賢聖を名乗れるような人物ではないはずのその笑顔が、今の私にはとても眩しく思えたのです。
「姉さん?」
「...」
「姉さん!」
「!?」
私はいきなり声をかけられたかのように飛び上がってしまいました。
「どうしたの? ぼ〜っとするなんて姉さんらしくもない」
「いや...ちょっとね...」
妹を見ていると、何かを思い出しそうな...。
そう...茶髪の似たような人物をどこかで...。
ただ、思い出そうとすれば頭に
「ねぇ、エルカ」
「なに? 姉さん」
「私...、最近あなたと似た人物に会っていたかしら?」
私がそう聞くと、一瞬だけ険しい表情を浮かべる彼女。
「いいえ、姉さんは私達と一緒に暮らしていただけよ」
「そう...」
私はやはり気のせいだと思う事にして、妹と二人で紅茶を嗜んだ。
□◾️□◾️□◾️
「カリンちゃんのお陰でリンを捕らえることに成功したわ、本当にありがとう」
「あんな変態先生は早く成敗しないと思っただけ、母さんにお礼を言われるほどの事はやってないよ」
私はそう言いつつも、やはりリン先生に体を嬲られた感触は未だに残っていました。
(うう...気持ち悪い...)
あれから何度もお風呂に入って清潔にしているのですが、時折思い出すのはあの感触。
お尻を揉みしだかれ、乳首を吸われるあの心地よさ...♡
そこまで思うと首を横に振って誘惑を断ち切りました。
(いやいやいや! 気持ちよくなんかない! ただ気持ち悪いだけ!)
自分の策が上手くいった事を喜びながらも、やはりプラム先生の記憶は消すしかない事に少々疑問を持っていました。
「ねぇ母さん、本当にプラム先生の記憶を消しちゃうの?」
私がそう聞くと、母さんは複雑そうな表情を浮かべます。
「ええ...、あなたも見たでしょう? 真実を知った時の取り乱した姉さんの姿を...、誇り高い姉さんには悪いけれど、こうするのが一番なのよ...」
母さんはそう言いながら、ベッドに横たわるプラム先生の記憶を魔法で抜き取っていきました。
「こういう余計な記憶は、姉さんの人生にマイナスにしかならないの...、カリンちゃんには不服かも知れないけど、姉さんは意外と精神面が脆いから...」
「...」
別に記憶を抜く事自体が不服な訳ではありませんが、また同じようなことが起きた時もう一度記憶を抜くのか? と聞こうとしてやめました。
これはあくまでも先生の問題です。
私がとやかく言った所で、どうにもならない問題である事は幼い私の目にも明らかでした。
「でもカリンちゃん、本当にありがとうね、カリンちゃんがいなかったら今もまだ姉さんはリンに体を嬲られていたでしょうから...」
「ううん...、プラム先生も私の家族だから、助け合うのは当たり前だよね」
「カリンちゃん...」
何やら言いかける母さんでしたが、結局何も言ってはくれませんでした。
そんな母さんの心情を察した私はその場を去ることにします。
「じゃあ、邪魔をしちゃ悪いから....、先生の記憶を抜くの頑張ってね母さん...」
「うん...頑張るわね...」
なんとも言えない表情を浮かべる母さんの表情を眺めながら、私はその部屋を出て行くのでした。
次回から新章!
(エタるのはほぼ確定です)