「ふぅ...ご馳走になったわユウカ」
「お口に合えば何よりです」
礼儀正しい口調でそう言ってくる彼女の態度はまさしく騎士そのものであるのだが、まだ油断をしない私。
ここから帰るまで気を抜けないのだ。
「そろそろ帰るとするわ、今日はありがとうねユウカ」
私が出口の方に歩いて行こうとすると、不意に声を上げる彼女。
「プラムさん、今日はもう遅いのでここでお休みになられては?」
そう申し立てて来た彼女だが、正直帰りたい。
「貴方達の負担が大きくなるのは私としては不本意なのだけど...」
「負担だなんてとんでもない! 名だたる大魔法使いであるプラムさんを泊めたとなれば我が家に箔が付きますし、何より...」
彼女は急に声のトーンを落とし、私に囁きかけて来た。
「当家自慢の露店風呂と名酒『シュガーワイン』をお出ししますよ...」
「露店風呂にシュガーワイン!?」
私の目の色が変わる。
シュガーワインとはその名の通り砂糖が多めに入っているワインで、その甘さこそ最大の特徴なのだが、製法をユウカの家族が独占しているためよく知られていない所がある。
ただ...、以前私が飲んで見たときにはその美味しさに目を疑った。
たしかに甘さが強いのは認めるしかないのだがしつこくなく、程よいアルコールでいい感じのほろ酔いが楽しめる為、まさに酒に弱い私のためのワインといってもいいのだ。
最初こそ帰りたがっていた私だが、一気に興味をそそられてしまう。
「分かったわよ...、そのかわりお風呂とワインを早急に出しなさい」
「...はい」
少しニヤついた彼女の表情が気になるが、まあいい。
(お風呂♡ ワイン♡)
私はそれらを楽しみにしながら浴場へと向かうのでした。
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脱衣場で服を脱いだ私は、彼女の言っていた露天風呂に向かう。
「わぁ〜...」
私は思わず子供みたいな声を上げて感激していました。
露天風呂特有の開放的な作りにまずは目がいくがそれだけではない、滝のように流れ出るお湯に所々に咲いている白い花達がこの空間を彩っている。
だがやはり夜空に浮かび上がる星々がこの浴場に対して一番マッチしているように思えた。
「凄く...綺麗ね...」
そう呟きながら足の先からお湯に浸かる...。
「あっ♡ いいお湯♡」
つま先をつけただけでも分かってしまう。
このお湯はとても良いものだと...。
体をゆっくりと湯船につけて行き「ハフ〜...」と声を漏らす。
肩まで浸かったときには天にも登る極上の気持ち良さを味わえた。
「気持ちいい...♡」
月夜を眺めていると、ユウカのやつも入浴して来た。
「プラムさん、隣いいでしょうか?」
その手には、湯に浮くお盆と恐らくシュガーワインが入っているおちょことグラスが二つ。
私は笑みを浮かべながら「いいわよ」と答える。
彼女も笑顔を浮かべ、ゆっくりと湯船に浸かって行き、私の横に座りお酒を注ぐと、湯気に混じり程よい甘みのある香りが蔓延し始める。
(流石シュガーワイン♡ とても甘くていい香りね♡)
その香りに思わず顔がにやける。
私たちはお盆一つ分の間を開けてゆっくりとワインを楽しむ。
一口飲むと納得の甘さと、ほど良いアルコールに思わず舌が唸る。
「うん、美味しい」
「そうですね...」
心なしか、彼女の視線が私に揺らいでいる気がするが、あまり気にしないことにした。
暫く沈黙が続き、この至福の時を味わう私。
(ああ...幸せ...♡)
私がささやかな幸せに浸っていると、不意に声をかけてくる彼女。
「所で...、
(来た...!)
私は思わず顔をしかめる。
今回なかなか言って来ないなと思っていたら、こんなにいい場面で切りだして来るとは思わなかった。
「あなた...まだ私の事を狙っているの?」
暫く黙った後彼女は口を動かします。
「...、やはり私はあなたを諦める事が出来ません...、どうかお願いします」
深々と頭を下げられても私は願い下げである。
「あんたね〜...、前に言ったと思うけど嫌よ、