「プラムちゃん!来てくれたんだね♡」
「一応約束したしくるわよ...」
「ありがと、じゃあついてきて」
「どこに行く気なのよ..」
「着いてからのお楽しみ♡」
クティル王国にある中央広場で待ち合わせし、そこからどこに行くのかは全く聞かされていない私。
長い髪を揺らしながら前を歩く彼女に着いて行くと、なぜか公園に行き着いた。
「ちょっと、なんで公園なんかに...」
私がそこまで言いかけると、彼女は嬉しそうにこう言いました。
「じゃあ何して遊ぶ?、砂遊び? 鬼ごっこ? それとも隠れんぼ?、滑り台とかブランコも良いわね〜♡ プラムちゃんの好きな事して遊ぼっか〜♡」
(こ...こいつ...、正真正銘私の事を子供だと思っている奴の態度なのよ!!!)
怒りで狂いそうになる自分をどうにか抑えようと頑張る。
(一日だけ...一日だけ...、ふぅ...)
そう思いこむ事で何とか自分を抑え込む。
私が何とかこの屈辱に耐えていると、彼女はいきなりこんなことを言い始めた。
「じゃあまずは滑り台を一緒に滑りましょうね〜」
「はい?」
いやまさかな...、この歳で恥ずかしげもなくそんなことする奴なんて...。
「じゃあ行こっか!」
(いたわ!!)
私の意見など完全に無視し、無理矢理滑り台のてっぺんに連れてこられ、今にも仲良く滑り降りようとしているところです。
「えっ...、あのちょっと...本気?」
「行くわよ〜、それ〜」
私を膝に乗せたまま、まるで親子の様にシュ〜っと滑り落ちる私たち。
しかも子供用なのですぐに終わる。
(めっちゃ恥ずいんだけど!)
周りにいる子供達もそこまで気にしていない様子だが、それもまるで私がリンの子供だから普通だよね! と言わんばかりの顔をする輩ばかりなのでかなりムカつく。
滑り終えて数秒すると、リンの奴が私の頭を撫でながら優しく呟いてきました。
「よしよし、プラムちゃんよく滑れたね〜♡ じゃあ今度は砂場で小山でも作りましょうね〜♡」
(こいつ...、氷漬けにしたろうか!!)
人を小馬鹿にするのもいい加減にしろ!と言いたい所ではあるのだが、彼女の押し付けた仕事の量が量なので言いづらい。
(1日だけ...1日だけ...)
呪文のように頭の中でその言葉を繰り返す私。
ああ...早く帰りたい。
□◾️□◾️□◾️
彼女と一日中子供の遊びに付き合わされたのでもうクタクタです。
砂場で小山を作った後は、つり革や鉄棒などで遊ぶことになり、普段から運動をしていない私にとっては地獄のような運動量に達していたのでした。
「ハァ...ハァ...」
息も乱れてきたのでそろそろ帰りたいと思っていると、彼女が不意にこんな事を呟くのでした。
「プラムさんありがとうございました、実は私...、子供と遊ぶのが苦手で...、プラムさんならきっと上手いこと遊べると思って練習相手にしちゃいました!、本当にごめんなさい!」
深々と頭を下げる彼女を見た時、彼女の奇怪な行動にも合点がいった。
(なるほど...、そう言う事だったのね...)
「まあいいのよ、あんたには世話になったし、これでチャラって事で...」
もうさっさと帰りたいので、逃げる準備をしていると...。
「あの...良かったら私の家で晩御飯食べていきませんか?、いいお酒入っているんですよ!、タキシカルソーダという結構お高いお酒なんですけどね」
「タキシカルソーダ!?」
思わずその名前に振り向く私。
タキシカルソーダ...、それはちょっとお高い酒の一種で、しっかり熟成したタキシカルと呼ばれる果物の果汁に炭酸を入れたお酒なのである。
ただこれ...、物の絶対量が少なく、なかなか手に入らない事で有名なのだ。
1年間で1万本作られるかどうかと言う限定品で、私も現物を見たことがない為興味をそそられる。
早く帰りたかった私だが、大の酒好きとしては見過ごせない為、わざとらしく咳を込みながら彼女の方を見据える。
「少し喉が渇いたわね...、いいわ誘われてあげる、ただし! 着いたら真っ先に現物を見せなさい」
その言葉を待ってましたとばかりに笑みを浮かべる彼女。
「はいっ! 勿論です!」
(タキシカルソーダ! タキシカルソーダ!)
私の頭の中は未知の味で一杯になっています。
(早く飲みたいな...、どんな味がするのかしら?、やっぱり限定品なのだから絶対美味しいに決まってるわよね?)
年甲斐もなくワクワクしながら彼女の家へと向かうのでした。