(やっぱり何か引っかかる...)
リュイラと一緒にお城を作っていると、何だかモヤモヤが更に大きくなっていました。
(ちょっと前まで誰かとこうして遊んでいた様な...そんな感覚...)
いや...、この歳になって砂場で遊ぶなんて絶対にありえないと思いつつも、なんだかそんな気分になってきました。
そう思いながら作業をしていると...。
「じゃあそろそろ水で固めて頑丈にしていきましょうか」
リュイラの奴が少量の水を砂場に吹きかけ、土を固めてくれました。
「これで簡単には崩れなくなったわね、じゃあプラムちゃんはそっちからトンネルを掘ってね」
「わかった」
私と彼女は反対方向からトンネルを掘り始めました。
この感じは懐かしい。
私も昔は妹と砂場で山を作ってトンネルを掘って...ないな別に...。
そう、賢聖エルカは私の本当の妹ではありません。
ただ同じ師匠の元で教わったと言う事実から彼女は私の事を「姉さん」と慕うようになったのでした。
それが今では国を守った英雄として『賢聖』を名乗っているのですから人生分からない物ですね。
そんな事を思っていると、彼女の手と挨拶できました。
お互いに手を合わせると顔を見合わせます。
「やった! 開通できた!」
何故か喜んでいる彼女を心の中で笑いながら、表面には出さずにこう言いました。
「やった! トンネルできた〜」
出来るだけ彼女を喜ばせるように子供っぽく振舞います。
それを見た彼女は私の方を見てにっこりと笑いました。
「やったねプラムちゃん!」
「うん、できたよママ」
(ママって言うのだけはかなりきついけどね...)
いくら彼女を喜ばせる為とはいえ、やはり恥ずかしい物は恥ずかしい...。
まだお昼を過ぎたばかりなので時間は残っています。
(次は何をさせられるんだろうか...)
そう思いながらも、お城に旗を立てて完成させるのでした。
□◾️□◾️□◾️
砂のお城の上にそびえ立つお子様ランチの旗がそよ風に揺れています。
「できたねプラムちゃん!」
「うんそうだね」
(後で絶対に一回は凍らそう...)
今日1日を乗り越えたら私は自由ですし、そうなったら一回はリュイラを氷漬けにしようと思いました。
「それはそうとして、そろそろ日が暮れるけど...、まだ何か私に要求ある?」
夕暮れ時となった町を指差して私は彼女にそう言いました。
「えっ!? もうそんな時間なの!? 楽しい時間はあっという間に終わっちゃうね...」
少し寂しそうに顔を俯ける彼女を見て心の中で嘲笑う私。
(そう...、もう今日が終わるのよ...、長かった我慢ももう少しで終わりだから頑張らなくちゃね)
彼女の要求に内心ビクビクしながらも時間を稼ぎます。
「でも今日は楽しかったわ、ありがとうねリュイラ」
勿論嘘です。
嘘ですけどこれ以上に彼女を満足させる言葉を私は知りません。
結局の所、彼女が満足してくれれば私はそれでいいのです。
無論お金は払ってもらいますけどね!!
お金の計算をしながら彼女の話を聞いてあげます。
「ありがとう♡ プラムちゃん! じゃあ最後に私と一緒に銭湯に行きましょうか♡」
「はっ?」
銭湯? なんで?
いやまあ...、分かりますけど、なんで銭湯?
「プラムちゃんに拒否権はないわよ♡ 早く行きましょう♡」
何故か無理やりに連れていかれる最後の場所は銭湯になりました。
〜銭湯〜
私達がそこに着く頃には星が瞬く時間帯となっていました。
「もう夜ね...」
少し寂しそうな声を出しながら私の方を見てきます。
「ありがとうねプラムちゃん、お金の為とはいえ、私のわがままに付き合ってくれて...」
「べ...別にいいのよ...、あんたが全額支払うって言い出したんだから払ってさえくれれば文句はないわ」
「ええ...、ちゃんと支払うわ」
私と彼女はそんな会話をしながら銭湯ののれんをくぐるのでした。