TS勇者は取り戻したい 〜 TSFのFはふたなりのF! 〜 作:亜星
(ばちっ… ばちっ… )
時折爆ぜる焚き火をBGMにオレたちは焚き火の回りに集まった。「まあとにかく座りましょう」と、頃合いを見たエルリックがオレたちを焚き火の回りに呼び寄せたのだ。エルリック自身はブライアンが落ち着くまで一人離れて火の番をしていたようだった。ブライアンもきまり悪気な様子だったが、近づいてきて素直に腰を下ろす。オレはというと、二人のすわる中間あたりにトコトコとむかうと、膝を立てないように注意しながらぺたりと腰を下ろす。向かいに座らなかったのはパンチラならぬチンチラ対策である。割と気を使う。皆が腰を落ち着けた頃合いを見て、オレたちは情報共有を始めた。
「初日が一番大変でしたね。まだ魔軍の残党の密度が濃い中をクリスを背負って動かなければならなかったですし。」
「然り。クリス殿の容態も気が気でなかったのだが、魔物を退けながらではそれ叶わずといったところでしたな。」
エルリックとブライアンが気がついたのは、オレと魔王の戦いが完全に終わった後だったそうだ。飛び込んだ当初は禍々しくも荘厳な雰囲気だった謁見の間は、周囲の区画ごと吹き飛び跡形もなくなっていた。辛うじて残っていた玉座の下でオレはぶっ倒れていたらしい。すでに魔王の禍々しい気配も感じられたかったため、魔王城の混乱に乗じて脱出したとのことだった。二人はひどく衰弱したオレを抱えたまま魔軍を避けて何日か逃げ回り、比較的安全そうなこの場所にキャンプを定めたのが昨晩とのことだった。
「そっか、オレそんなに寝てたのか。魔軍を撒きながらオレの面倒も見てくれたなんて、ほんとうにありがとな。」
「礼には及びませんぞ。なかなか休息していただくことができず、クリス殿にも負担をかけ申した。傷自体は吾輩の
「私はちゃんと休ませることができればすぐに目を覚ますと言っていたのですけどね。ブライがあそこまで取り乱すところはちょっと見ものでしたよ」
いつも物事に動じずどっしりと構えているブライアンがそんなに
「ところで、魔王はどうなったのか教えてもらえますか? 魔軍の求心力が消滅してることは確認してるのでおおよその見当はついていますが。」
「倒したよ。
「それを聞いて安心しました。先程
「なんと!女神様がいらしていたのに祈りを捧げる機会をいただけなかったとは、吾輩またしても一生の不覚っ」
ブライアンと旅するようになってもう随分立つけど、
「しかしそれでは、ついにこの旅も終わりなのですね。この3人で旅することができるのも後わずかとは寂しいものです。」
「いやいや、魔王倒れたりとはいえ、魔軍は未だ数の衰えを知りませぬ。まだまだやれることはあるはず、我々の旅はまだ続きますぞっ」
「とはいえブライ、あなたが聖刻騎士団を離れていられるのは災厄討伐の間だけと聞きました。クリスとて魔軍打倒の旗印として自由に動けなくなる事も大いに考えられます。魔軍との戦いは皆離れ離れになってしまうのではないでしょうか。」
エルリックが旅の終わりを口にして、今まで語ることを避けてきた話題に向き合うしかなくなった。オレたちがこうして一緒に旅をしているのは、打倒すべき災厄があってこそだった。今代の災厄たる魔王は魔軍を統べる王だったわけだけど、これはたまたま魔王が災厄だっただけで、災厄と魔軍は一切関係ない。そして災厄と戦うのが勇者たる俺の仕事であるように、魔軍と戦うのは各国の軍隊の仕事。いくら魔軍にまだ勢いがあるとはいえ、それはオレたち3人が一緒にいられる理由にはなり得ないのだ。
「そういえば
「クリス殿、女神様は貴女に期待して試練を課されておるのですぞ。そのような事をおっしゃっては…」
「ブライは信心深いですね。私もクリス同様、あの方がわざわざ顕れたと聞いては厄介ごとしか想像できません。してクリス、今度はどんな厄介事を持ってきたのですか、あの女神様は?」
信心深いブライアンとは対象的にさして信心深くもなく、
「
「なんですと?それは喜ばしい!ぜひ我輩にもお手伝いを!」
「ほう?まったく厄介なことだね。それはどんな試練なんだい?」
女神の使命と聞いて、急に詰め寄ってくる2人。ブライは神に奉仕する
「まあ使命と言ってもオレの個人的なことだから、二人に手伝ってもらうのはちょっと気がひけるんだけど。」
「何を水臭い事を言ってるのですか。クリス一人で旅なんてさせたら途中でどんな悪い男に捕まってしまうか。
「女神様の試練とあらば、それがどんな些細なものであれ力添えしないわけには参りませぬ。吾輩も護衛としてついて行きますぞっ」
「おいおい、オレそんなに1人だと頼りないかな? でも心配してもらえるのは嬉しいよ。ありがとう。」
オレの実際の年齢は二十は超えていたけれど、いまの身体の年齢は見たところ15、6才くらい。どうしても年端も行かない女の子を相手にしている気分になるのだろうか。たまに周囲の人間がオレに対して過保護すぎるように感じるのはオレの気のせいではないはずだ。
「じゃあ王都にまっすぐ戻らずにちょっと寄り道を…」
そのまま流れで詳しい内容を話そうかと思ったけど、ちょっとまて。今回の使命って女の子と
(ブライはなぁ。 潔癖症だからあんまりいい顔はしないだろうな)
治療のためだとしても女性の肌に手を触れることに気おくれするほどの性格だ。オレがあっちこっちで
(こいつの助けは正直必要かもしれないんだよな…)
ちらりと横目でエルリックの整った顔立ちを盗み見る。切れ長で涼しげ瞳と甘い顔立ち、魔道士に似合わぬ均整の取れた引き締まった肉体。街を歩けば女性が思わず目で追ってしまうそんな
「クリス?どうしたんだい?」「クリス殿、どこか具合でも?」
「あーごめん、不丈夫だよ。でもちょっと考えをまとめたいから、この話はまた後にさせてくれ」
急に黙り込んだオレに見かねて二人が気遣うように覗き込んでくる。彼らの不安を振り払うような明るい笑みを向けて、なんでもないと安心させてやる。怪訝な様子だったが、二人は納得してくれた様子だった。
実際問題伝え方を考えないといけないことは変わんないよな。そもそも新しい使命のことを話すなら、股間に生えた
「クリス、水浴びでもしてスッキリしてきたらどうかな?