※この作品はR-18です。

TS勇者は取り戻したい 〜 TSFのFはふたなりのF! 〜   作:亜星

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TS勇者と旅の仲間(3/3)

(ばちっ… ばちっ… )

 

 時折爆ぜる焚き火をBGMにオレたちは焚き火の回りに集まった。「まあとにかく座りましょう」と、頃合いを見たエルリックがオレたちを焚き火の回りに呼び寄せたのだ。エルリック自身はブライアンが落ち着くまで一人離れて火の番をしていたようだった。ブライアンもきまり悪気な様子だったが、近づいてきて素直に腰を下ろす。オレはというと、二人のすわる中間あたりにトコトコとむかうと、膝を立てないように注意しながらぺたりと腰を下ろす。向かいに座らなかったのはパンチラならぬチンチラ対策である。割と気を使う。皆が腰を落ち着けた頃合いを見て、オレたちは情報共有を始めた。

 

「初日が一番大変でしたね。まだ魔軍の残党の密度が濃い中をクリスを背負って動かなければならなかったですし。」

「然り。クリス殿の容態も気が気でなかったのだが、魔物を退けながらではそれ叶わずといったところでしたな。」

 

 エルリックとブライアンが気がついたのは、オレと魔王の戦いが完全に終わった後だったそうだ。飛び込んだ当初は禍々しくも荘厳な雰囲気だった謁見の間は、周囲の区画ごと吹き飛び跡形もなくなっていた。辛うじて残っていた玉座の下でオレはぶっ倒れていたらしい。すでに魔王の禍々しい気配も感じられたかったため、魔王城の混乱に乗じて脱出したとのことだった。二人はひどく衰弱したオレを抱えたまま魔軍を避けて何日か逃げ回り、比較的安全そうなこの場所にキャンプを定めたのが昨晩とのことだった。

 

「そっか、オレそんなに寝てたのか。魔軍を撒きながらオレの面倒も見てくれたなんて、ほんとうにありがとな。」

「礼には及びませんぞ。なかなか休息していただくことができず、クリス殿にも負担をかけ申した。傷自体は吾輩の 【聖刻術】(ホーリーフレイ)で癒せるものでしたので、その点は不幸中の幸いでしたぞ。」

「私はちゃんと休ませることができればすぐに目を覚ますと言っていたのですけどね。ブライがあそこまで取り乱すところはちょっと見ものでしたよ」

 

 いつも物事に動じずどっしりと構えているブライアンがそんなに 動揺し(テンパっ)てたのか。自分が原因だから微妙な気持ちだけど、見逃してしまったのがちょっと残念だ。

 

「ところで、魔王はどうなったのか教えてもらえますか? 魔軍の求心力が消滅してることは確認してるのでおおよその見当はついていますが。」

「倒したよ。輝銀の棍(こいつ)でやつの魂を砕いたところでオレも限界だったけど、でもきっちり倒した。」

 

 女神(フレイサイス)から授かった、因果をも打ち砕くという銀の棍をトンと地面に突いてみせる。互いの全力を注ぎ込んだ破壊の術式のぶつけ合いは正直良くて引き分け、少しこちらに分が悪かった。けれど、防御を完全に捨てていた魔王は瀕死の体で、対してオレはブライアンから借り受けた結界刻印のおかげでなんとか身体を動すことはできた。止めはあっけないくらい簡単で、今までの苦難の道程の終着点にしてはあっさりしたものだった。そんな事をこちらからも語って聞かせる。

 

「それを聞いて安心しました。先程疫病神(フレイサイス)様が顕現された気配を感じたので、もしや魔王を仕損じていたのではないかと気にしていたのですよ」

「なんと!女神様がいらしていたのに祈りを捧げる機会をいただけなかったとは、吾輩またしても一生の不覚っ」

 

 ブライアンと旅するようになってもう随分立つけど、女神(フレイサイス)はなぜかブライアンの居合わせない時に顕れるのだ。今まで男くささの塊であるブライアンを女好きの女神(フレイサイス)が避けてるのだろうと思っていたのだけど、今回は突発でオレが呼び出したのだからひょっとしたら超絶に間が悪いだけなのかも知れない。

 

「しかしそれでは、ついにこの旅も終わりなのですね。この3人で旅することができるのも後わずかとは寂しいものです。」

「いやいや、魔王倒れたりとはいえ、魔軍は未だ数の衰えを知りませぬ。まだまだやれることはあるはず、我々の旅はまだ続きますぞっ」

「とはいえブライ、あなたが聖刻騎士団を離れていられるのは災厄討伐の間だけと聞きました。クリスとて魔軍打倒の旗印として自由に動けなくなる事も大いに考えられます。魔軍との戦いは皆離れ離れになってしまうのではないでしょうか。」

 

 エルリックが旅の終わりを口にして、今まで語ることを避けてきた話題に向き合うしかなくなった。オレたちがこうして一緒に旅をしているのは、打倒すべき災厄があってこそだった。今代の災厄たる魔王は魔軍を統べる王だったわけだけど、これはたまたま魔王が災厄だっただけで、災厄と魔軍は一切関係ない。そして災厄と戦うのが勇者たる俺の仕事であるように、魔軍と戦うのは各国の軍隊の仕事。いくら魔軍にまだ勢いがあるとはいえ、それはオレたち3人が一緒にいられる理由にはなり得ないのだ。

 

「そういえば女神(フレイサイス)が来たのは災厄とは全く関係ない話だったんだけどな。あーでもある意味「災厄」なのかな?女神(あいつ)が来ると大抵厄介事増えるんだよなぁ」

「クリス殿、女神様は貴女に期待して試練を課されておるのですぞ。そのような事をおっしゃっては…」

「ブライは信心深いですね。私もクリス同様、あの方がわざわざ顕れたと聞いては厄介ごとしか想像できません。してクリス、今度はどんな厄介事を持ってきたのですか、あの女神様は?」

 

 信心深いブライアンとは対象的にさして信心深くもなく、女神(フレイサイス)に対しては厄介な女(腐れ縁)くらいにしか感じていないエルリックとオレでは感じ方が真逆だ。ブライアンがため息と共に小さく聖句を呟くのが聞こえた。

 

「女神(フレイサイス)とはちょっとあれから色々あってさ、また新しい使命を受けたんだ。」

「なんですと?それは喜ばしい!ぜひ我輩にもお手伝いを!」

「ほう?まったく厄介なことだね。それはどんな試練なんだい?」

 

 女神の使命と聞いて、急に詰め寄ってくる2人。ブライは神に奉仕する聖刻の僕(聖職者)だし、オレも形式上は女神(フレイサイス)の眷属ということで、神々の意向を最優先にして良いことになっている。つまり使命さえあればまだこの仲間で旅を続けられるとあって、ブライはもちろん普段はとくに女神(フレイサイス)の事となると斜に構えるエルリックですら、素直な期待の視線を向けてくる。

 

「まあ使命と言ってもオレの個人的なことだから、二人に手伝ってもらうのはちょっと気がひけるんだけど。」

「何を水臭い事を言ってるのですか。クリス一人で旅なんてさせたら途中でどんな悪い男に捕まってしまうか。淑女(レディ)のエスコートに手間は惜しみませんよ」

「女神様の試練とあらば、それがどんな些細なものであれ力添えしないわけには参りませぬ。吾輩も護衛としてついて行きますぞっ」

「おいおい、オレそんなに1人だと頼りないかな? でも心配してもらえるのは嬉しいよ。ありがとう。」

 

 オレの実際の年齢は二十は超えていたけれど、いまの身体の年齢は見たところ15、6才くらい。どうしても年端も行かない女の子を相手にしている気分になるのだろうか。たまに周囲の人間がオレに対して過保護すぎるように感じるのはオレの気のせいではないはずだ。

 

「じゃあ王都にまっすぐ戻らずにちょっと寄り道を…」

 

そのまま流れで詳しい内容を話そうかと思ったけど、ちょっとまて。今回の使命って女の子と性交(えっち)しまくって魔力をためたら大神殿に行くって事だよな。これ、ブライアンにストレートに話せる内容じゃぁない気がする。

 

(ブライはなぁ。 潔癖症だからあんまりいい顔はしないだろうな)

 

 治療のためだとしても女性の肌に手を触れることに気おくれするほどの性格だ。オレがあっちこっちで性交(えっち)しまくるなどと聞けばいい気分ではないだろう。ましてブライアンにとってはオレは本来護られるべき可憐な少女(女の子)なのだ。オレが元々は男だということはもちろん話しているのだが、「自分を男だと言い聞かせて闘いに身を投じる健気な少女」そんな風に考えているようだと、エルリックから教えられた時には頭を抱えてしまった。ともあれオレが女の子と性交(えっち)するという事は女同士のそれとなるわけで、そんなものは神の摂理に反すると説教される事は間違いない。

 

(こいつの助けは正直必要かもしれないんだよな…)

 

 ちらりと横目でエルリックの整った顔立ちを盗み見る。切れ長で涼しげ瞳と甘い顔立ち、魔道士に似合わぬ均整の取れた引き締まった肉体。街を歩けば女性が思わず目で追ってしまうそんな美男子(イケメン)がコイツだ。一緒に歩くオレにいつも嫉妬の視線が突き刺さるのでコイツの顔の良さには普段は迷惑しか感じないのだが、反面こいつは女性に顔が利く。魔力を貯めるために相手してもらう女性を探すためには、エルリックの助けは必要なはずだ。

 

「クリス?どうしたんだい?」「クリス殿、どこか具合でも?」

「あーごめん、不丈夫だよ。でもちょっと考えをまとめたいから、この話はまた後にさせてくれ」

 

 急に黙り込んだオレに見かねて二人が気遣うように覗き込んでくる。彼らの不安を振り払うような明るい笑みを向けて、なんでもないと安心させてやる。怪訝な様子だったが、二人は納得してくれた様子だった。

 

 実際問題伝え方を考えないといけないことは変わんないよな。そもそも新しい使命のことを話すなら、股間に生えた息子(ちんこ)の話も避けては通れないわけだし。このあたりも含めて、話し方考えないといけない。

 

「クリス、水浴びでもしてスッキリしてきたらどうかな?宿営地(ここ)の近くにきれいな湖があってね。まだ日も高いから冷たすぎるってこともないと思う」

 

 一物(ちんこ)が生えた話とか、淫紋もどき(聖刻印)の話になれば、見せてしまうのが手っ取り早い。となれば流石に身綺麗にしておきたいし、何より天幕でひどく汗を書いてしまったことも有り、それは魅力的な提案に思えた。エルリックから場所を聞くと、オレは拡張収納(かばん)片手に湖へと足を向けた。

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