※この作品はR-18です。

私は人間(倫理観)を捨てるぞ、旅人!!   作:札幌ポテト

16 / 45

刻晴&凝光回

本格的に手を出してはいけない存在に狙われ始めちゃった回。


七星に手を出したら人権が無くなるんですか?☆

 

 1.刻晴

 

 あの日から、自分の体は変わってしまった。

 

「あ……あんな奴のせいで……!!」

 

 いや、作り変えられてしまった。自慰をしても収まらない興奮は日増しに大きくなり、歯止めが効かない。最初の頃は抵抗もあったこの行為も、今は毎晩しなければ寝付けなくなってしまっている。

 

 刻晴は自室で、ただ自分の中で溢れるそれを抑えるのに精一杯であった。

 

「はぁ、はぁ……んん!」

 

 ただ、簡単に収まってはくれない。あの日、自身を余す事なく平らげた存在から初心な刻晴は自分が女であることを教え込まれてしまったのだ。逃れられない快感と雄の匂いによる酩酊感が、あの日の自分を完全に変えてしまったのだ。

 

「うぅ……まだ収まらない……」

 

 ただそんな事をしでかした当人に対し、御礼参りを彼女はする事が出来なかった。指名手配する事も裏で懸賞金をかける事も出来なくはないが、握られた弱みにより出来ない。彼女は文字通り、自身を慰め泣き寝入る事しか出来なかったのである。

 

「奥まで、届かない……ん」

 

 ただ、この溢れ出る欲を抑えられない。自分のような鍛えていてもどこか柔らかい女の体と男の体は違った。筋肉質な体に包まれ、触られ、打ち付けられて、懇願しても自身の弱い所を暴いては攻め続けていた。

 

「あのときは、もっと……ん……いや?じゃないわよ!? まるで私が欲しがってるみたいじゃない!! ふざけてるの!?」

 

 その癖して途中からわざと速度を落としてもどかしくしてきたので、仕方なく自分の欲望を晴らすために自分から動いた。全て向こうの手の内なのだろう。

 

 ただどうしても、あの時知ってしまった感覚を体は求め続けてしまっている。

 

「あの男、絶対……!!」

 

 だからこそ、刻晴は覚悟を決めていたのだ。

 

「後悔させてやるんだから……!!」

 

 ☆

 

 私ことバンパーは危ない橋を渡りたくない人間だ。女の子を楽しむのも、実は事故を装って軽くハグしたりとか、躓いて転びそうな子を抱えて転んだりとか、最初の方はそんなのばっかだった。初心な子は筋肉質な体に包まれた感触とか気にしてて胸が当たってるのとか気にしないので満足出来ていたのだ。今でもフィッシュルにキメ顔作って庇ったりする時の反応見るの、楽し過ぎてやめれないし。

 

 ただ、やはりそれで満足出来ない体になってきている。

 

 最初は事故だった、エウルアと稽古中に押し倒して両胸を掌に包んでしまったのだ。てか何なら3,4回程……嘘です、その倍ぐらい勝手に手が動いてしまいました。最初の瞬間は抵抗もせず何が起こってるか分かってなかったエウルアだけど、途中でちゃんと殴られた。

 

 あの時の事は謝ったけど何で許してくれたんだろう、何ならまた押し倒した時に胸を触らず庇ったのに怒ってたのはなんでだろう。考えれば考える程、エウルアの事は分からない。ただ彼女のおかげという何というか、私のブレーキが壊れ始めたのだ。

 

 女の子に手を出したい、ハグぐらいが限界か? 

 ↓

 犯罪者なら手を出して大丈夫だな

 ↓

 事故を装えば大丈夫やろ

 故意じゃなきゃ(ばれなきゃ)セーフ

 ↓

 エロい事されたら利子つけてやり返しても大丈夫やろ

 ↓

 同意があれば大丈夫

 同意せざるを得ない状況にすれば良い

 ↓

 気持ちよくさせて後で同意にすればいっか! 

 

 みたいな感じに壊れてきたのだ。色々と手を出してきたけど、最後の段階までやった人はそんなに居ない。リサさんの時は割と本気で後先考えずやられた事をやり返しただけなので良かった(良くない)し、モナも人のお金をじゃぶじゃぶ使ったので訴えられるとかなかった。

 

 ただ刻晴さんは違う、脅してるだけでなりふり構わなくなれば訴えられる。初心な権力者を一晩中好き放題したのだ、股をいじった後の手を咥えさせた後に口をしっかり貪ったりとかやり過ぎである。本当に犯罪者になってしまう。

 

 なので璃月に来たのは、流石にほとぼりが覚めてくれただろうと確認を取るためだ。凝光さんにアポは取ってるので会えない事は無いだろう、それはそれとして見るだけで目の保養となる甘雨さんとかに久しぶりに会うのを楽しみにしつつ、暇でもあったので来たところだ。

 

 まぁ刻晴さんにはすごい事しちゃったけど、1ヶ月も間が空けば大丈夫やろ。

 

「よくも堂々と顔を出せたわね」

 

 そう、思いたかった。

 

 いやうん、こっそり確認するつもりが璃月入って5分くらいで向こうからやってきたんだよね。それも明らかに人を見る目じゃなかったし、何か獲物を見てる目だったから。

 

 だが甘いよ刻晴さん、私はあの時の事は忘れたことにしている。

 

「あ、久しぶりですね。仕事は順調ですか?」

 

「えぇ、おかげさまで。仕事が手に付かないわ、誰かさんのおかげでね」

 

 え、写真のこと忘れてないよね? もう開き直ってる? 確実に私を仕留めにきてる? 甘かったの私の方やん、覚悟ガン決まりしてるやん。何が彼女をそうさせ…………? 

 

 ☆

 

 思い返してみると、バンパーという冒険者は英雄であった。どこからともなくやってきて、いつの間にか事件を解決していく。そんな冒険者の話を璃月の七星という立場にあった刻晴は何度か耳にしていた。

 

 ただそれでも、信用はできなかった。特にそれが、岩神が死んだ時ならば尚更だ。

 

「凝光の紹介? 今の時期に部外者を入れるのは理解できないわよ」

 

 凝光が冒険者、それも璃月の外の者を雇っていると知った時は正気かと疑った。いくら七星の纏め役とも言える彼女だとしても、その考えに疑問を持ったのは刻晴だけではないだろう。

 

 ただそれでも、凝光は言う。

 

「私は信頼してるわよ。彼には裏切るなんて度胸が無い、根っこは小心者なんだもの」

 

「小心者ほど、逆に裏切りやすいんじゃないかしら」

 

「本当に大丈夫よ。彼程表側は『真っ当な人間であり続けようとする』姿勢を取る人は居ないんだから」

 

 だがその言葉の意味を、刻晴は理解する事が出来ない。理解できるだけの情報量も無かったのもあるが、そもそもそれを好意的な意味で言っているかも怪しかったのだ。

 

「それ、どういう意味よ」

 

「さぁ、彼に会ってみれば分かるかもしれないわね」

 

 少なくともその時の彼は凝光にとって『裏切らない興味のある存在』程度のものだった。そんな試しに使ってみる駒程度の価値の存在に、少しばかり刻晴も同情した記憶はある。

 

 ただ、そんな凝光にとって彼の認識は違ったものになっていると知ったのは事件が解決して1ヶ月がたった頃だ。仕事も落ち着き、ようやく事件の後片付けも終わりまとまってきた頃だった。

 

 バンパーが居なければ、何が起きていたのか。最悪の場合には璃月が崩壊、群玉閣で庇われた兵士はそのまま死人となり、ファデュイの策謀を見破るのに時間がかかっていたかもしれない。

 

 ただ少なくとも、あの力は人の域になかった。

 

「凝光の言ってた小心者、大活躍だったわね」

 

 渦の魔神の撃退、これをほぼ1人でやったようなものなのだ。璃月という国が総力を上げて打つ手が無くなった怪物を、群玉閣ごと吹き飛ばして再封印したのである。一応凝光のプランには群玉閣を放棄し落下させて撃退しようとも考えていたらしいが、それでも倒せない可能性はあった。

 

 それだけ桁違いだった。何はともあれ凝光の慧眼に璃月は救われた、そう思い刻晴は彼女を褒めると。

 

「……そうね」

 

 どこか、遠い目をしていた。珍しく、本来の彼女なら「私の目に狂いがあるわけないじゃない」ぐらいは言いそうだが、想像とはかなり違う反応をしている。

 

「どうしたのよ、いつもの貴方らしくないわ」

 

 彼の人となりについてはあの戦いで分かっている。命懸けで戦うその姿は駒としか扱っていなかった凝光にとって、それ以上の者になっているのかもしれない。現に甲斐甲斐しく凝光はバンパーを看病していたとも聞くので、その事について話そうとしたがその時は全く取り合ってもらえなかったほどだ。

 

 いつもなら話ぐらいして貰えるのだが、その時は何故か3日ほど彼の話の断片を拾えることはなかった。なお何が起こっていたのかは、バンパーの人の形を再確認した時に察してしまうがこの時は気づかなかった。

 

「私はいつの間にか、彼に変えられてしまったのかもしれないわね」

 

「惚気話が聞きたいんじゃないわ……

 

 彼をどうする気なの?」

 

 ただ凝光は、間違いなく変わった。ただの数ある駒の中から、彼だけが別のものになっていた。特異的な能力を持っているから、というのもあるだろうがそんなものよりも、中身を求めている。

 

「私の手元に、置いておきたいわね。人の身であんな力を持つ存在を私は知らないわ、色々な意味で手放したくない。

 

 だから────盗られたくない」

 

 凝光のここまでの明確な決意とも取れる意思が特定の個人、それも璃月外の人間に向けられた事は意外であった。そしてそれがやっぱり惚気話である事も、刻晴には分かっていた。

 

 堅物であった凝光を変えてしまえる、そんな存在に興味は彼女もあっただろう。あの時の戦いで庇われた事も何回もあり、璃月を────絶対に自分では救えなかった国を、救った男なのだ。

 

「来なさい、逆らえば犯罪者よ」

 

 だからこそ、だろうか。

 

 そんな凝光が求めているものが、目の前に転がっているのを手にしたいという願望が生まれてくるのは。別に凝光が欲しがっているから欲しいのではない、七星としての考えは刻晴自身に手を出したので自分が管理した方が良いという言い分があるので良いが、それは後付だ。

 

 自分を好き勝手した相手を、征服したいという欲望が出てきてしまっている。自分には手の届かない存在と思っていた者に体を作り変えられ、もはや彼をそういう対象にしか見る事が出来なくなっている。自分の中の新しい扉を開けてしまったこの男に、それを思い知らせる事しか頭に無い。

 

「え、いや流石に」

 

「いいから来るのよ!」

 

 刻晴は薄暗い路地裏に彼を引っ張っていく。普段から人しかが通らない場所であり、尚且つ多少の音が響いたとしても気にならないような場所。そんな都合の良い場所に連れて来られたバンパーは「あ、マジな口封じなやつだ」と思いながら周りを滅茶苦茶に警戒している。

 

 だからこそ、殺意のない刻晴の押し倒す動作に反応が遅れる。

 

「痛っ、刻晴さん何……んんっ!?」

 

 同時に、倒れ込んだ彼の頬を両手で押さえるとそのまま彼女は彼との距離をゼロにする。屈んだ状態で上を取る彼女の唾液を、容赦無く彼の中へと送り出していく。10秒経ったのか、はたまた数分経ったのか、そのまま口は銀色の糸を引きながら話されていく。そこで初めて、バンパーは刻晴の顔を見ただろう。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 完全に、昂っている顔を。

 

「あ、貴方の! せいなんだから!」

 

 慣れない手つきで彼の下半身に手をかける。咄嗟に反抗しようとする彼であったが、それは何故か止まってしまう。そしてそのまま、彼の隠された部分が出されると。

 

「う、うぅ……はむっ!」

 

「ちょっ!?」

 

 意を決したように、彼の部分に刻晴は食い付いた。頭を両手で押さえるバンパーであるが何故か抵抗は弱い、そして咥えていたものから離れ顔を上げると乱れた髪を掬い上げて、宣言する。

 

「貴方は、これから私に従うしかないのを理解しなさい……!」

 

 徐に、彼女は下の衣服を取っていく。まるで以前彼女にされた下着を目の前に置く事でどのような状況になり、これからどうなるのか宣言するかのように。

 

「私が話せばいつでも犯罪者なんだから、反抗するんじゃないわよ! う、訴えても私が握り潰すのなんて簡単なんだからね!?」

 

 普段の彼女ならば絶対に言わない『予め考えておいた言葉』を言いながら、刻晴はあの時とは逆の立場となる。眼下には困惑しながらも顔を真っ赤にして彼女を女として見てしまい、これからの事に抵抗が出来なくなってしまう彼、想像通りの光景があった。

 

 想像とは違った背徳感を感じながら、彼の体に跨る。

 

「泣いて謝っても、許してなんかあげないわ」

 

 そして、彼女は彼に腰を落とした。

 

 ☆

 

 2.凝光

 

 璃月へ久しぶりにやって来た私だが、とあるニュースを耳にしていた。刻晴さん? あぁ、路地裏連れてかれた後に色々されちゃったからな。まぁ刻晴さん気づいてなかったけど『香菱』凄い顔しながらがっつり見てたんだよね、だからちょっと抵抗したけど敵わない的な演出をしてみた。友人があんな男を襲う爛れた子と知っちゃったねー、今度会うのが楽しみである。

 

 ちなみに刻晴には更にその後、彼女の家に連れてかれ湯浴みを共にしてそのまま夜を過ごすというこの人本当に倫理観壊れちゃったんじゃないかという長い夜を過ごした。まぁ路地裏は観客が居たので手加減したけど、経験の差で圧勝した。お尻の方も最初は困惑してたけど楽しんでくれたみたいでよかった。

 

 その後は『子供が出来た瞬間に人権を剥奪する』みたいな書類に印を押して渡したら解放された。あれの書類の処理する煙緋さんらしいけど、なんかやばい者を見る目をしていたし声がどもりまくってたけど大丈夫かな。

 

「やぁバン、久しぶ……え? な、え? その2人はその、え? いや詮索はしないけど、そのあの、友達として知って、え? へ? え? 私がさ、き……ふぇ?」みたいな反応が今でも思い出せる、最近辛いことがあったのかもしれないし今度相談に乗ってあげよう。

 

 まぁそんな彼女に渡した書類、具体的には『子供が出来たら璃月国民となり七星(刻晴)の下で彼女がその任を降りたとしても死ぬ迄側に控える』みたいな感じだったけど、まぁ子供は出来たら出来たで考えよう。てか調子乗って「刻晴との子ども、出来たら可愛いだろうね」みたいな事しながら言っちゃってたし、私ってベッドの上でだけプレイボーイ過ぎるかもしれんが、とりあえずその話は置いておこう。ニュースの話だ。

 

 リサさんが本気で私に子供が作れる用に分析を続けてるらしいけど、それも知らなかった事にしよう。

 

「群玉閣の再建設?」

 

 偶然なのか必然なのか、旅人と出会い凝光さんがそのような計画を流布したというのを知った。以前起きた事件で私は群玉閣ごと魔神オセルを吹き飛ばした、その再建については『群玉閣に貴方の部屋を作っても良い』とお願いの中の選択肢にあったので、いつかはやると思っていた。

 

 ただ、そう簡単に建設のできるものではない。

 

「うん、それで色々と集めてるんだ。バンはどれか心当たりとかない?」

 

 それでまぁ、旅人とパイモンに色々聞かれている。

 

「いや、どれも知ってはいるけど流石に心当たりはないな。一般人じゃどれも手に入らないだろ」

 

 群玉閣建設には色々と必要な物がある。建材はもちろんのこと、あんな馬鹿でかい建造物を浮かせ、制御する機構が必要となる。特に建造費よりその特異的な機構に必要な物が重要であり、それを凝光さんは探している。

 

 個人的にはモラをいくら積まれても探せるものじゃない、知識としてあるが、手に入るかは別問題だ。死ぬか探すかみたいな感じなら探し出すし多分探せるけど。

 

「報酬として凝光に3つも質問できるんだぜ、お宝の場所とかモラの稼ぎ方とか教えてもらえそうだよな!」

 

「それ私あまりメリットないよ?」

 

 だからこそ、凝光も相応の対価を準備している。彼女と同じ時間を過ごすには噂によると何千万モラもかかるらしい、そしてそれを払っても相応の利益を得られると皆知っているのだ。それを考えれば3つも質問が出来るのは十分過ぎる対価だ。

 

 ただ私としは普通に友達というのもあるがあまり聞きたい事もない、というか一番みんなが聞きたいであろう商売の話に興味もない。玩具(大人用)の販売を趣味でやる分には良いが、仕事としてやるのは疲れそうだし。

 

 正直、世界的な情勢でも聞く事はない。だって後ろ暗い人達から色々教えて貰えるからね! 地下情報網、身分も功績も名前すら捨てて戦う者達が会うと話したくもないのに色々教えてくれるのだ。渦の魔神やったのが悪かったのか? 悪かったんだろうなぁ……! 

 

 まぁそんなわけで私がこの建設に関わる気はない。となると彼女自身についてになるかもしれないが、それに見合うかと言われたら絶対ない。

 

「手伝うのはやぶさかではないけど、力にはなれんぞ。それに……何か別件がありそうなんだよな」

 

「別件?」

 

「凝光さんに協会経由で呼び出されたんだよ、そんな事中々ないからさ」

 

 冒険者を名指しで指定し、依頼をする事は珍しくはない。優秀な者に仕事が回るのだから、実力主義のこの現場ではよくある事だ。ただ今回に関しては璃月へ久しぶりに顔を出すと連絡しようとしたら協会からもそう言われたのだ。

 

 ただ私には普段そんな事はない、なぜなら冒険者協会の依頼なんて殆ど受けないようにしているからだ。受けてて色々な災難に出くわしてきたというのもあるが、別にモラに困ってもいないというのも理由にある。普段から森や山などでサバイバルをしているので使い道がなく、西風教会への仕送りぐらいしか使っていない。それでもいつも9割ぐらい残ってるし、まぁその9割もモナのおかげで一回無くなったけど今は2割程度まで回復してる。

 

 なお受けてなくても解決する事も多いので、そのせいでモラが溜まってもいる。受注してないんだから私が解決してたとしても報告してなんだから手柄にはしないで欲しい、世界に目立てと言われてる気がしてならない。

 

「そういえば、知る人ぞ知る大冒険者だったな」

 

「え、それ初耳なんだけど」

 

「あぁ、キャサリンが言ってたね」

 

 パイモンですらそんな事を知ってるとは、てかそんな風に呼ばれてるのかよ。冒険者で顔見知りの人全員知ってそうである。今度から偽名を名乗ろうか悩むぞ。

 

「前に大宝盗家には大冒険者をぶつければ良いって、確か甘雨が探してたぞ。何であの時は来なかったんだ?」

 

「確かに、あの時いてくれたら助かったんだけど……」

 

「それジンから聞いたな、使徒が出てきた奴だよな? 解決出来る出来ないに関わらず絶対に嫌だが?」

 

 うん、こんな感じで私は指名される時が割とある。しかしいつもそんなの私は聞かなかったことにしている。仮にモンドを狙った大事件の前兆であろうと、態々毎回私が行くのもおかしな話であるし、騎士団の領分だ。だから基本的には関わらない、積極的に関わるとしたら目の前で何かが起きる時か、私自身が原因の時以外は殆どないだろう。

 

 私はこの世界の異物なんだ、この世界の命運を観測する事はあっても解決する事はない。たぶん、きっと、そうであってくれ。

 

「あの時に限らないけど協会で呼び出されるのは大抵が私1人でどうにかならない面倒方だからだな、過剰な期待が重過ぎるんだよ。いつも聞く前に退散してるんだけど……」

 

 展開してるファデュイの殲滅? アビスの不穏な動きの調査? 魔神封印の確認及び漏れ出たソレの排除? 珊瑚宮の地下にある異空間の単独調査? 

 

 これ、私じゃない方が良くない? 然るべき軍隊とかが展開した方が良いだろ。斥候だとしても殲滅まで言わないだろ、出来ないとは言わないけどやりたいと思うかは別なんです。

 

 今回は凝光さんからの依頼だ、不安しかない。聞いてなかったなら言い訳できるが聞いてしまったなら仕方ない、すっぽかせば大変な事になる。

 

 ただ依頼内容は『現地で依頼』という感じなので、怖くて仕方ない。

 

「とりあえず、凝光に会ってくるから。旅人は旅人で頑張れよ」

 

 やばかったら、断ろう。

 

 →→→

 

 魔神という存在は絶対である、人が干渉することなど浅ましいと思える程の災厄の化身。ただそんな奴らでも、いやだからこそか。手下のような存在がおり、それはこの世に全て封印されているというわけでも、現代から去ったわけでもない。

 

 そして、璃月にもそんな存在が確認されている。

 

「ねぇ凝光さん、私を騙したことについて何か言うこととかある?」

 

「上手く騙せたみたいで良かったわ」

 

「そんな言葉全く求めてませんけど」

 

 凝光さんが私を呼び出したのは表向き『郡玉閣』に私の部屋を作る為(断ったがいつの間にか作られた)であり、依頼としてはまぁ面倒ではあったが厄介方では無かったのでそのまま色々と手伝った。そして空へ浮かべる儀式をすると言って私や旅人達を乗せた郡玉閣をそのまま浮かべた。

 

 無事に再建できたのでめでたしめでたし、と言いたい所ではあるがそれに釣られてとんでもないのが現れた。

 

「でも良かったんですか、璃月の危機をモンド人が手伝うのは」

 

「安心して、既に貴方の璃月での市民権は手配済みよ」

 

「今さらっととんでもないこと言ってる自覚あります?」

 

 跋掣、それは魔神オセル最後の追従者。郡玉閣はそのオセルを倒した一因であり、それに呼応させて呼び出し撃破するのが目的であった。ただそんな事を当然ながら一ミリも知らない私は『あ、これいつものヤバいやつだ』と乗せられた上で勝手に飛行し始めた時に察した。海の方からやばい雰囲気感じちゃったからね! 

 

「もういいじゃない、本当は手伝ってもらう気はなかったのよ? 私達だけで解決もできたのは分かるでしょ?」

 

「あの通りすがりの仙術使いがいなければ被害はやばそうだったと思いますけどね」

 

 一応北斗さんや凝光さん、その他璃月の力を持って結集した事でかなり優勢に対応していた。ただそれでも相手は魔神の妻、反撃もすさまじく旅人が攻撃を止めようと特攻して撃退され、流石に見過ごせなかった私と旅人の友人である仙術使い申鶴は共に久々のフルバトルを繰り広げて撃退してしまったのだ。

 

 なお、現在副作用で飯の味がしない。何故私はこんな事をしているのだろうか。ただそれでも、凝光さんの思惑がそれだけじゃないのは察している。

 

「貴方にはあの時頼りきりだった、でも今はそうじゃない。それを見て欲しかったのよ、悪かったわね」

 

 一応は善意なのだ、最前線まで強制連行されたのも郡玉閣は安全と考えての事だろう。最悪の場合は仙人もいたので、負け戦となる事は無かったのは明らかだ。

 

 まぁだとしても全然許す気ないけど。

 

「今日は泊まるといいわ、貴方の部屋はあるから」

 

 朝イチで帰ろう、これ以上の面倒方は嫌だ。

 

 ☆

 

 私って前世は一般人だが、今世ではまぁまぁ長い間冒険者をしている。見た目は15歳くらいだけど20歳を超えてるし、10歳から冒険してるので普通に常人離れした感覚とかがある。五感の鋭さなんかは間違いなく一般人や並の冒険者よりも上だろう、なので寝ている時に意識の一部が起きていたりもする。

 

 それは基本どこであっても、だろう。ちょっと前に信頼してたリサさんの前で寝てたら色々されてしまってから完全にそうなった、なおそれをしたリサさんは一晩かけてぐちゃぐちゃにした上で童貞も卒業させて貰ったけど、ソレは置いておこう。

 

 深夜の群玉閣、私の部屋に気配があるのだ。そしてソレは私の布団にまで手を伸ばしてきたので、それを掴み布団の中に入れ込むようにして組み伏せる。ここで逃げられても厄介だし、さっさと元凶を吐かせるためでもある。馬乗りになって腰を抑え、片手は両手の手首に、もう片方の手は首に当てる。これで簡単には動けない、元素の力を使おうといくらでも対応できる。

 

「誰だ、ファデュイなら詰めが甘……」

 

 そして眠気も吹っ飛んだぼやけた目が覚醒してくると────なぜかそこには、顔を赤くした凝光さんがいた。

 

「その、あの……」

 

「…………」

 

 どう見ても、凝光さんだ。間違いない、なんで間違いなく凝光さんなんだ? 戸惑いながら首の方の手を外すけど、無茶苦茶戸惑っているのがわかる。

 

「……強引ね?」

 

「その態度は無理があると思う」

 

 心なしか薄着だし、何しに来たんだこの人。こんな空の城塞に刺客が来る可能性は低いとか思ってたけど、マジで何しに来たの? いや一応理由は探そうと思えば見つかるけど。

 

「寝首かきに来たんですか? まぁそうされる事はしましたし、させましたけど」

 

 前やったからなぁ、盛大に楽しんだからなぁ。彼女を爆発寸前の状態でずっと維持して、自分自身で発散させたからなぁ。目の保養だったし、発散直後に肩を支えて特に抵抗しなかったから軽く貪ったら舌絡めてきたし。まぁ理性が戻った時に押し飛ばされて凄い真っ赤な顔で色々独り言呟いた後に「出て行って!」と言われてから手は全く出してないはずだ。

 

 ……いやまぁ、これやったら普通に殺されるだろ。良く生きてんな私、てか5体満足で良く生きてんな。

 

 ただ何故か、凝光さんは顔を俯かせている。白い肌に朱を混じらせた頬はそのままに、首に回していた手は緩めてるが、彼女は意を決して何かを言いたそうにしている。

 

「よ……よ、夜這いよ」

 

「いくら私でも、騙されると思いますか」

 

 どこに私の好感度を稼ぐタイミングがあった、マイナスになるのは分かるけど。これは襲おうとしたけど失敗したからその言い訳にしてるって事だろう、薄着なのはその言い分で逃げる為だ。黒装束で部屋に忍び込んできたら言い訳も出来ないが、それを見据えての事なのだろう、何て頭の回る人だ…………いやそうはならんと思うけどそうとしか考えようがない。

 

 ただ、そうだとしても結果としては何も起こらなかったので凝光さんをどうこうする気はない。

 

 まぁ理由が理由だし、ただ迷惑料ぐらいは貰っておくけど。

 

「そんな無防備じゃ、こういう事されても文句は……」

 

 首に回してたけど外して暇をしていた片手を、彼女の薄着の上に置く。ダイレクトに彼女の感触を感じるし、それは彼女の双丘でも感じる。軽く撫でながらゆっくりと手のひらで包んで圧迫していく。やっぱ柔らかい、良いもん食ってる故になのかな。すこーしだけじっくり、でも抵抗されたらすぐ辞めるぐらいの感覚で彼女の胸を楽しませてもらう。

 

「……ん、ん」

 

 なの、だが。

 

「その、あの……」

 

 抵抗しない、どころか喉を鳴らして目を細めてる。いやそうじゃないだろ、これも体を張って耐えてるんですね? なら直接触って…………無抵抗なんですが、先端こねくり回しても身を捩らせるだけで抵抗してないんですが。むしろ声がその、艶かしいというか喜んでるように聞こえて……。

 

 …………いや、まだわからない。とりあえず服を剥ぎ取って、何らかの術式も警戒しつつ他のところも…………弄れちゃうんですけど、というかどこがとは言わないけど『ぐっしょり』なんですけど。

 

 いやまだだ、ここはもう少し……。

 

 いや、ここをこうすれば……。

 

 ……流石にここまでされれば。

 

 

 一回ならまだギリギリ許容するだろう、だが二回目は……。

 

 

 1時間くらい耐え切る人だ、まだこのぐらい……。

 

 ☆

 

 好き放題にした、やっちゃった私はそこそこの後悔と共に目を覚ます。

 

「…………朝ね」

 

 隣ではそんな事を言って一糸纏わぬ凝光さんがいる。まぁうん、しちゃったよね。マジで夜這いとは思わないよね、抵抗されるまで続けるつもりが最後までやれちゃうとか思わないよね。

 

 ちなみにどれぐらいやったかと言えばまぁ、彼女の体の中に7回ぐらい出すくらいやったけど。全身に付けまくった食んだ跡が生々しい、首筋とか胸元とかどんだけ付けてんだよ、私がやったんだけど……!! 

 

「ん……まだ、感触が……」

 

 ただ何だ、やっぱりヤるハードル下がったせいで私の中の性欲モンスターが止まらなくなっちゃてるな。こんな力も知略もあるけどそっち方面に疎いお金持ちお嬢様を好き放題した背徳感が凄い、あんなに鳴かせたらもうやばい。そりゃそんだけやっちゃうよなぁ……。

 

 ただその、凝光さんが光悦な表情でお腹を抑えてるけど嫌な予感もするし言うだけ言っておこう。

 

「凝光さん」

 

「何? 言っておくけど堕ろせ、なんて言うなら削ぎ落とすわよ」

 

「どこを!?」

 

 やばい、違うんだけどやばい。これ言ったらどうなるんだ、怖すぎる。

 

「いやそうじゃなくて、その……」

 

「何かしら」

 

 ただこれは言っておかないといけない事だ。変な期待を生ませる可能性があるし、私にそういった感情を持っていた場合話さないのは不誠実どころの話じゃない。まぁ実は私の特異的な子種を手に入れる為とかいう場合だったら人間不審になるけど。

 

 ここまでやってしまったので、私は言う。

 

「私、子供が出来にくい体質なんだよね」

 

 私は、子供が無茶苦茶出来難い体質である。ちなみにこれに関して、私は全く気にしていないというかこの世界の異物なんだし、出来たら不都合があるのだろう程度の認識だ。

 

「……それは」

 

「まぁ、全く出来ないわけじゃないし」

 

 俗に言う数が少ない、という奴ではない。私が特異的な体質である事が原因なのか、子供が出来難いのである。これに関しては能力の副作用なので仕方ない、それに能力を使えば徐々に出来難くなる事も分かってる。リサさんに絞られた時でも、確率は0.1%以下だったらしいし。まぁだから損得勘定で見切りをつけて制御をしてた私の精神、どうやらブレーキ壊れちゃったんだよね。凝光さんには絶対言わないけど、彼女で6人目だし。

 

 マジで気をつけないとやばい、子供が出来ないからってやっちゃうのは自分でもやばいと思ってる。けど精神的な反動あり過ぎて、今後どうなるかわからない。可愛い事みたらどうその好意にいたろうかって思考に至るのはやばい。

 

 ただ、これは話さないとダメだろう。変な期待や後悔を与える場合があれば、それは心は痛むが止めなければならない。

 

「それに滅茶苦茶可能性が低いだけで相性とか、回数とかで出来ることは出来……あの凝光さん? ちょっと近くない?」

 

 なのだが、その……凝光さんが無茶苦茶近い。美人で色白で無茶苦茶にした身体を寄せて来てる「あんな可愛い声出せるんだ……」とか思ってた記憶が蘇ってくる。

 

「ねぇバン、貴方全く出来ないわけじゃないのよね?」

 

 何だろう、嫌な予感がする。

 

「……あ、その……はい」

 

「なら、出来るまでしたら良いだけよね?」

 

 そこから先の記憶は無い。ただ頭の中で『そこから先は地獄だぞ!』と警報が無茶苦茶に鳴っていた記憶はある。

 まぁ『その地獄に用がある』と別の私が現れて突っ走って行った。

 

 ただ気付いた時にはぐちゃぐちゃにした凝光さんが隣で寝てた。私の人生、これからどうなるんだろう。





刻晴の本気度は10段階中の9ぐらいです。
凝光は8ぐらい、なお互いに狙ってる事はまだ知らないです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。