私は人間(倫理観)を捨てるぞ、旅人!! 作:札幌ポテト
フォンテーヌ被害者の会
シュヴルーズ回
もっとpixivに絵が増えて欲しい、需要があります。
微睡の中、ぼやけた頭を動かしながら彼女は身じろぎをする。日課として朝からしているランニングをしろと、体が起こしているのだろう。いつもの彼女ならば、特段問題無く起き上がり直ぐにでも外に出ていた。
「んぁ……ん……?」
しかし、体には疲労感がある。起きあがろうと思うが瞼が重いし、頭も何処か疲労とは違う鈍痛を感じてしまう。ただこのままでは日課のトレーニングをこなせないと、無理矢理起こしてみるが。
「う、うぅ……ここは……」
紫色の長髪を揺らしながら、彼女は目を擦る。しかし自宅では無い場所にいる、彼女が自宅以外の場所で寝る時などサバイバル訓練を行う時くらいなのだが、やけに雰囲気の良い場所で寝ている。
そんな違和感を感じながら、ふと目線を下にしてみると────
「ん……?なぁっ!?」
自分の上半身には、服も下着も着いてなかった。少し肌寒いと思い見てみたらそうなのだから驚きも大きいだろう。途端に顔を紅潮させてしまうが、それは下の方も布団の下に何も履いていない感覚に気づいたからだろう。実際周りを見れば自分の服と下着がベッドに、それも下着に至っては枕元に転がっている。更に見てみれば状況は酷いらしい。
「(な、何で裸なんだ!?それに、匂いもあれだがシーツにある赤いシミって……いやいやいやっ!?)」
布団の下に血がついた痕と妙な匂い、それから嫌な予感はしているが頭が珍しく回っていないのか答えは出てこない。そんな時に、部屋に自分が写った鏡を見ると。
「(な、なんだこの赤い斑点?私、昨日は一体……?)」
首の辺りに虫に刺されたような跡がある。よく体を見ればお腹やお尻、ふとともの内側や二の腕の下にまであるようだ。
昨日の自分は何をしていた、何故ここにいるのか、時間と共に明瞭になりつつある思考を巡らせている時だった。
「あれ、起きた?」
「きゃっ!?」
反射的に、声が聞こえると同時に捲り上げていた布団を被り直す。裸で考えていたのを忘れていた時に現れた男の声と顔には落ち着いていた思考すら吹っ飛んでしまう。
ただ、その顔には見覚えがあったので思考は更に混乱する。
「あ、あれ?バンパー……様?」
バンパー、フォンテーヌの英雄にして三代目水神。予言を対処しフォンテーヌ人を救った存在、今1番の有名人である。ただ頭がまだボヤけているせいか、情報量の氾濫で思考がまとまらない。
何故同じ部屋に彼が居るのか、何故自分が裸なのか、昨日は何があったのか、一つの線で結べてしまいそうなそれを恥じらいながら纏めていると。
「おはよう、シュヴルーズ。恥ずかしがる君も可愛いけど、隠す事ないんじゃない?昨日散々お互い見せたんだし」
「昨日?お互い……?」
「あれ、忘れちゃった?」
「ひゃあっ!?♡」
「じゃあ、思い出そっか♪」
そんな事はお構い無しに彼はシュヴルーズの隣にやって来た、そして彼女を背中から抱きしめ、手をそのまま布団の中に入れた。
途端に自分のものとは思えない女性らしい声が出てしまい、反射的に声を抑えようと手を当ててしまい上半身を隠す布団が剥がれると。
「な、なんで!?♡お腹、熱っ!?♡ひぁっ!?♡」
そのままお腹を撫でられながらゆっくりとベッドに押し倒される。混乱のままに、彼女は布団の中に入ってくる彼を拒む間も無く、また首筋に赤い斑点を作られ始めた。
彼女がこんな事になったのを思い出そうと必死になっているが、それは昨日の事なので直ぐに思い出すだろう。
☆
私、バンパーはフォンテーヌで優雅に過ごしている。というのもちょっと前にヌヴィレットから仕事、もとい異変があったから様子見で各地を巡り色々とやべー事件を解決していたからだ。
1週間ぐらいはかかったと思うが、それなりに壮大な計画で人外が暗躍していた。一言で言うなら人類補完計画だったけど、碇ゲンドウかよ、エヴァンゲリオンかよ、フォンテーヌ滅亡案件やめてよ。
ちなみに仕事の話を振られた時、これ旅人に頼めよとヌヴィレットに嫌味を言ったが『旅人は璃月に出立した』とか言われたので大人しく仕事をしたのは内緒である。
申鶴の使った部屋見たら媚薬ほぼ使い切ってたし凄い状態だったもんな、そりゃいないよな。やっちまったわ。いややり尽くしたのは申鶴だけど。あいつ何児のパパになるのだろうか。
とりあえず、解決はしたから良かった。割と疲れたし、もうこんな事件起きないことを祈っておこう。*1
あと最近、性欲の発散が出来てない。リネットは公演で忙しいらしいし、ナヴィアに2回目の行為をするのは様子を見ておきたいし、シャルロットはマッサージ店を流行らせた嘘情報流したら釣れたので他人のフリして処女取られてしまった事を焦らして告白させてからえっちしたので今手を出すと訴訟を起こされかねないので難しい。
でも彼女は『真実を追求するのに命は懸けて当たり前!』みたいな事言ってたから『じゃあ代わりに尊厳で払ってもらうね♪』って私に処女食べられたのに、学んでるのだろうか。でも2回目も涙目で睨みつける事しか出来ないのが可愛かったです。
ただ、本当に発散は最近出来てないのだ。どうにかして新しい子を探すかと、真面目に思考を纏めるためにティータイムをホテルで過ごしていると。
「随分と優雅な日々をお送りのようだ、流石は国を救った男」
1人で茶菓子を楽しむ私の隣に、男が座り込んで来る。新手のナンパにしては品が無いし、最近私の事を英雄だからと一目見たいと寄ってくる野次馬でも無い。
それに、色々と発現した能力のせいで向こうが私に対して『負の感情』を向けているのは察している。
「何?頼み事なら、ヌヴィレット通して欲しいけど」
私を何らかの形で嫉妬しているのかな?とか思うが、見た目からして執律庭と言った国の役人ではない。むしろ、その対極にも感じられる。
「御安心ください、我々は貴方に休暇を与えに来ただけの者」
そんな気配が、私を囲うように睨んでいる。私に向けた悪感情の多さはこの国に来てからは少し珍しいなと思っていたが、取り出された何かが私の頭に向けられると面倒ごとだと理解する。
「バンパー・ドゥ・フォンテーヌ、フリーナ様に力を返して頂きたい。でなければここで消えてもらう事になります」
「その呼ばれ方初めてだなぁ、もう慣れたけど」
銃を向けるのは目の前の男以外に通行人のふりをしていた1階の7人、それと2階の吹き抜けからマスケット銃を構えている5人、計13個の銃口が私に向けられている。
途端に周りの一般人やホテルマン達が騒がしくなるものの、目的は私だけなようで構っていないようだ。人目を憚らずに仕掛けたのはそれなりの決意でもあるのだろう。
ただ何か勘違いをしているようで、何がどうなったら私の名前がそこまで長くなるのか。なんか思い返してみるとナヴィア助けた時も呼ばれてた気がする、あの時は適当な事言ってたからイラついて忘れてたけど。
ヌヴィレット辺りが適当に苗字を付けたのかもしれない、璃月でも市民権発行されてるの確認したら何故か凝光さんの名前が隣にあったからね。なんで名前が隣にあったかは考えないようにしながら生きてます。忘れて目の前の事でも考えておこう。
「所詮、神の力を得た……いや、奪っただけの人間。大人しく返し、フォンテーヌを去れば命は取りません。フリーナ様に誓いましょう」
「我々に、偽物の英雄は要らない」
「フリーナ様の代わりに預言を解決した功績は汚さないでやる、だが神座に居座るなら容赦はしない」
全員引き金に指をかけている、脅しだけで握っているわけではないらしい。かと言って近づいて来ないのは反撃されて人質にされる事でも警戒しているのか、全員が距離を保ったまま銃を構えている。
「何人いるのさ、フリーナも厄介なファンがいるのね」
「返すのか、返さないのか、答えは?」
「今のフォンテーヌに神は居ない。答えはこれで良い?」
とりあえず嘘でもないので答えるが、やはり求めていた言葉ではなかったようで、ほぼ全員同時に火花を散らしながら爆音を奏で始めた。
嘘じゃないのに気に食わないからって人を撃てるのを見るに、人って割と残忍だよね。
とりあえずここまでやらせたら多少の正当防衛には目を瞑ってくれるだろう、公序良俗に反しない程度に暴れてOKだ。
また捕まってメロピデ要塞に行くとシグウィンに『子供作りましょ♪とっても可愛い子!』とか言われかねないからな。万が一にも子作りしてリオセスリに殴り殺されたくはないのである。
☆
水神への襲撃、それは衝撃を与えただろう。フォンテーヌの恩人への行為とは思えないのもあるが、仮にもヌヴィレット達の認めた神*2を襲おうなどとは思わない。
逆に言ってしまうならば、フォンテーヌの恩人を害する決意を固めた上で神殺しに踏み切れる準備をしてきた輩が揃っている可能性があった。
故に通報を受け、即座に動いたのは特巡隊であった。特異的な能力を持つ変わり者達が集まった部隊であり、隊長のシュヴルーズは部隊を召集し、集まっただけの人員で襲撃の起きたホテルへ向かった。
「動くな!武器を捨て、投降し……」
だが、通報から10分も経たずに現場へ着いて見たものは13人の宙吊りにされた水の繭と、その下で優雅に中断されたティータイムを寛ぎ直す水神バンパーであった。
「こ、これは?」
「ご苦労様、疲れるし下ろしちゃうよ」
銃がバンパーの足元に転がっている、見るに引き金の引かれた跡があるのでそれで殺害しようと計画していたようだ。
ただティーカップを傾ける余裕を見るにこの頭数と銃を揃えても脅威にはなれなかったようだ。
しかし、それにしては大人しいと思い下ろされ始めた襲撃者達を見てみると猿轡のように水を口に溜められて塞がれていた。水神程の水の使い手だ、その気になれば気道なんていつでも塞いで窒息させられるだろう。そう考えに至れてしまえば大人しくもなる。
「銃刀法違反の現行犯だ、連れて行け!」
相当なトラウマでも植え付けられたのか、それとも敵わないとでも教え込まれたのか、犯人達の殆どは顔色を青くしながら大人しく連行されて行く。
ただ、何人かはそうではないらしく水を吐き出した途端に強気になる。
「離せ!俺たちは、フリーナ様の為に!!」
「くそ、くそぉ!!」
「なにが『女好きなだけのクソ雑魚』だ!ふざけやがって!!」
命の安全でも得られたからと悪態を吐き始めるが、どうやら彼等は相当な前水神フリーナを信仰した者達のようだ。今の水神を認められないらしい。
現実を認めたくのかもしれない。フリーナ様は力を失い神座を降りたのだ、代わりに座ったのは元がフォンテーヌ人ですらない黒髪の水神。それを受け入れていない者は少ないが一定数存在している。
一方でバンパーは「ちょっと、それ言いふらした奴について詳しく」などと何か悪態をついた犯人に詰め寄ろうとしているが、いくら水神でも私刑は出来ないのでそのまま連行されていくものの、どこか物悲しそうな顔をしている。
「申し訳ありません、我々の対応が遅れバンパー様のお手を煩わせるとは」
「……いや、気にしなくて良いよ。今はそんなに銃も怖くなくなっちゃったし」
銃には発砲の後があり、尚且つ弾もそこらに落ちている。しかしよく見てみると潰れたように変形し、バンパーの肌の一部には豆粒のような青痣も見えるので、撃たれても死なないのだろう。
これが魔神なのかと内心驚嘆するが、一方で「本当に怖いのは女の恨みとかだからね……」と何か実感がこもったような言葉を呟く、魔神ともなればそれなりに人生経験も長いのだろうと納得する。
「バンパー様、ご不便をおかけします。近頃は御身に対して良からぬ噂を吹聴する輩がいるようでして」
「あー、通りで最近敵意混じった視線が……」
彼は水神、しかし彼自身は水神と公言せずに過ごしている。仕事に関してはヌヴィレットと直接のやり取りをしているのだが、それを市井の者達が知るところではない。
更にその内容ともなればシュヴルーズですら耳に出来ないのだから、彼の秘匿性の高さを感じられる。
「ちなみに、どんな噂かな?」
ただ心無い言葉を、予言を乗り越えたというのに不安からか、彼に向けて正面からは言えないものたちが好き勝手に言うものがいるのは悩ましいものである。
「フリーナ様から力を奪い神となった簒奪者、弱みに付け込み女性へ行為に及んだ挙げ句子供を産ませて認知をしないクズ、蛮行が表に話が出ないのはスチームバード社の記者や棘薔薇の会の代表に手を出して口封じをしているから……などですね。他には」
「ごめん、もう聞きたくない」
言葉を遮ると、彼は額に手を当てる。顔色を見るに随分と心を痛めているように見えるので、魔神といっても人と変わらないのかもしれない。ちなみにこの魔神という噂は旅人から流布されたもので世間に浸透しているが、この時のバンパーは知る由もなかったのである。
☆
暫く家に帰れないだろうなと、街中で堂々と襲撃に至られた私ことバンパーは仕方ないと割り切る事にする。
私怨というか勘違いで襲われるとは思わなかった、女性関係のトラブルですら詰め寄られるだけで殺傷力のある攻撃はされたことがなかったのに。
嘘に聞こえるかも知れないが過去にあったのでも刺されてはないからな、有耶無耶にしたりしながら刺される5秒前みたいな雰囲気になった瞬間には逃げれてるし。でもその時にみんな堂々とするの凄いよね、ニィロウとか堂々と『みんなもバンが大好きなんだ!お揃いだね!』とか言ってドニアザードとハグしてたし。逆にドニアザードは『な、なら今度は3人で…する?』みたいなとんでも無いこと言ってたし。
ファルザンはめちゃくちゃ苦々しい顔してたけど、怒鳴りつけてこようとした瞬間にお腹撫でたら凄い声出しながら腰抜かしちゃってたし、一応修羅場にはなってないだろう。でも次は絶対ヤバいので暫くは行かない、もう修羅場とか怖くて璃月も行きづらい。
それはそれとして、今日のは銃がかなり怖かった、元現代日本人だからね。でも何というか、自分の存在格を神の権能を使えるレベルにまで引き上げると耐えれるのは知っていたので青あざが出来たりもしたが耐えれた感じだ。もう治ってるけど。
銃ぐらい耐えれなきゃ鯨の突進は耐えれないしね、いや鯨とか素面の状態で絶対戦いたくないけど。それはそれとして、暫くホテルに缶詰だとある意味きついなと思っていると。
「暫く護衛を務めます、特巡隊隊長のシュヴルーズです。よろしくお願いします」
特徴的な眼帯を片目に紫色の髪をした美人な警官が、そこにいた。可愛いよりも美人系の、キリッとした目つきをした子がいた。
「あー、この前の……君にそういう仕事回ってくるのね」
「いえ、志願しました」
赤い神の目を持つ彼女は、どうやら志願して私の護衛を引き受けたらしい。ファンテーヌじゃそこまで下調べをしてないので彼女の部隊の名前に聞き覚えは無いのだが、見た感じはかなり鍛えられた体付きをしている。相当自信もあるのだろう。
「未だ不安定のフォンテーヌに貴方の襲撃事件となれば、執律庭の築いてきた治安は揺らいでしまいます。それに私も一、フォンテーヌの市民として感謝しているのです。お任せください」
「まぁ、暫くフリーナの方には戻れないみたいだし。ホテル暮らしになるし……よろしく」
ただ、今はフリーナも住む自宅の方には戻れないので大人しく護衛されておいた方が良いだろう。向こうの狙いが私であって水神の力らしいし、まぁ水神の力なんか奪ってないんだけど。奪ったのは彼女の唇ぐらいだよって教えたらフォンテーヌ国民の殆どが襲いかかってきそうだけど。
「じゃあ部屋だけど」
「隣に手配させて頂きました」
「……仕事早いね」
「護衛であれば、これが1番効率的です。基本的には部屋の外に控えますので御心配なく」
とりあえず、護衛をしてくれるというのだから暫くはゆっくりしていようと思う。なので早速、暇つぶし用に買った本を読む。やはり部屋を出ないなら読書だよね、何なら私は八重堂へ匿名で官能小説を送るぐらいには文字に親しみがある。
よし、最初は『宮司様は狐なのにお散歩が好きですね?』でも読むか、私が過去に書いた本を勝手にシリーズ化して誰かが書き始めた絶版本だ。描写が生々しいので思わずファンレターを贈ろうと思ったが、何故か作者が消息不明なので届かないらしい、残念である。
「では、外出の際はお声掛けください」
……あ、ちなみに八重様は何故かフォンテーヌに来なくなったよ。具体的には10ヶ月ぐらい来ないらしい。何でだろうね、まぁ私には関係ないか。
☆
特巡隊は現在、水神襲撃事件の首謀者と武器の出元を洗い出しの作業にあたっている。ヌヴィレットにも伝えられたそれだが、あえて護衛らしい護衛はフリーナの方だけで良いと伝達された。
「外出はされないのですか?」
「下手に動くとそっちも大変だと思うし、暫く大人しくしてるよ」
「私はフリーナの力を奪ったと思うのは、前の悪評とか放っておいた私の責任でもあるし。逆にファデュイとかには神以上の存在とか警戒され……おかしいな、召使会ってもないんだけど」
ただ、その判断は正しそうである。ヌヴィレットの判断も、彼の立ち回りもだ。
「武装した人たちはどう、捕まりそう?」
「はい。元棘薔薇の会に属していたロムーフ達一派の残党による逆恨みと判明し、順調に捕縛しているとの事」
「なら安心出来るよ」
「ですが、貴方程の方なら襲撃など恐れる事は無いのでは?」
シュヴルーズの護衛は、あくまでも『執律庭』が必要と考えたから一時的に付いている仕事だ。襲撃の可能性がある国の要人ならぬ要神、それも大恩ある国の英雄となれば護衛を控えさせるのは当然の事。
ただ、それでも万全の警備体制が敷かれていないのは────
「そりゃ、鯨に勝てる奴でも居たら不意打ちは怖いけどさ……それ護衛の数とか関係ないしね」
バンパーという存在は、魔神なのだ。銃で撃たれた程度は青痣が出来る程度で、本気ならその青痣もなくなるような存在。一応はホテルの周りの巡回は強化されているものの、ホテルに武装した警備が並ぶのはホテル側としても勘弁したいとの事だったので中には部屋を取っているシュヴルーズしかいない。
ただ、それでも自宅に戻らない。理由は恐らく一つ。
「それに、今のフリーナには力が無い。もう彼女には安心して生きて欲しいからさ」
同棲中の前水神、フリーナ・ドゥ・フォンテーヌがいるからだろう。彼女はフォンテーヌ人を純水精霊から人にした事で力を失った、それを理由に神座を退いたのが公に報されている。
それの真偽は分からぬが、彼女に力が無いというのは事実らしく、実際普通の女の子と変わらないとも言われている。
ただ、彼は恩人で功労者で英雄だが、それでしかない。フォンテーヌを助けたフォンテーヌの外の存在だ。
「貴方は、フォンテーヌ人では無いのに……何故そこまで?」
実際、シュヴルーズも気になっていた。彼は髪の色などから稲妻人と言われているが、他国の存在である彼が態々フォンテーヌの予言に立ち向かった理由は知られていない。
殆どのフォンテーヌ人に知られている概要としては、ポワソン町を救い、フリーナ様の裁判に介入、現れた予言の原因を単騎で沈めたという事のみであり、吟遊詩人もそれに沿ったキャラ付けをして詩を歌っている。
彼女も気になっていたのだろう、彼ほどの存在が何の理由でここにいるのか、本当の彼というものを。それに対して彼は、なんて事のないように。
「好きになっちゃったからかなぁ。この国も、人も」
そんな、命をかけるには人間臭い言葉を。まるで必要な理由であるかのように言った。
噂ではとある少女を救う為に立ち上がり、最後まで戦い抜いたと聞いていたが、それもまた真実であったのかもしれない。
「不躾な質問でした。ですが、最後に一つ伺ってもよろしいですか」
「まぁ、答えられそうな事なら」
シュヴルーズとて、フォンテーヌに住む1人の人間だ。鯨をどうこうすることも、押し寄せる水を止める事も出来ず、精々醜悪な犯罪者を取り締まる事が出来るだけの少女でしかない。
十分に人の中では強者であるが、力だけが全てとは思っていない。
「貴方にとって『正義』とは何ですか」
だからといって、信念だけは神を測れる程に強固と自負していた。
☆
シュヴルーズには、父親がいた。名をドナテッロと言い、幼い時から彼女に誠実な姿を見せ続けた法の執行者であった。この時の彼女はまだ普通の少女であり、母と共に父の帰りを待つありふれた家庭の平凡な子だっただろう。
その父親が、逮捕された。警察隊の規則を破ったからだった。
犯人を追う為に、記者へ重大な情報を漏洩した。それによって審判を受けたのだ。顔も知らぬ大人へ『パパは悪い事をしたの……?』と聞いた彼女に、父の同僚達は『……それでも彼は、誠実な人だよ』と慰められた。
誠実な罪人、それが彼女の父への抱いていなかった新しい印象だった。
そこからは生活の困窮により『サーンドル河』へ住居を移し、罪人の子として過ごしてきた。刑期を終えた父は特巡隊へ入り、かつての同僚達からの支援を受けたりして生活は改善したが、彼女は目まぐるしい変化の中で適応していた。
父が戻るまでに日に日にやつれた母を目にしたシュヴルーズは、幼ないながらも自分が守らなければと誓い、サーンドルという仄暗い世界に身を投じていたのだ。
そして正義とは何なのか、誠実な父は何を貫こうとしたのかを、自分の正義を幼ないながらも地下で見つめていた。
そして特巡隊の隊長にもなった彼女の前には、新しい正義の神であるバンパーがいる。こういった事も話せるような人柄は見て取れた、そしてその答えを求めた。
「私にとっての『正義』か……」
新しい正義の神に、自分の正義とは何なのかと問うのは失礼極まりないのかもしれない。
ただシュヴルーズの持つ正義とは『法』であり、特巡隊はあくまでも正義の声を上げる場所だ。正義を下すのはあくまでも審判、それがフォンテーヌという国なのだが。
「多分……人を助ける為の言い訳」
「言い訳、ですか?」
彼はまるで、好きな食べ物はカレーとでも答えるほどに気負うことなく答えた。それも、フォンテーヌという国のトップとは思えない答えを出して。
「誰かを助けたい時の理由にする、それが私の中で1番しっくりくるかな。私は私の正義に従うって奴」
新しい神の言葉だ、重くないわけがない。正義の国という神の自覚の無さまで感じてしまうほど、彼の言葉は『法』が伴っていないとまで感じてしまう。
「仮にフォンテーヌの法を破ってでも、己が信念を貫くと?」
「破るでしょ、実際破ってきたし」
「ですが、それでは国が……」
法治国家の根底を揺らがしかねない言葉に、少しだけたじろぐ。本当に自分達の神に相応しいのかと、法は守られるからこそ効力を発揮する。それを1番上の神が守れないなら、法への信頼と説得力が無くなってしまう。
己の正義との向き合い方が本当にそれだけで良いのかと、思わず彼女が詰め寄ろうとすると。
「じゃなきゃ、フリーナも守れなかったしね」
「そ、それは」
言葉が、詰まってしまった。彼は既にメロピデ要塞脱獄の件で前科のある元犯罪者だからだ。その理由も、予言の危機にあったフォンテーヌを救う為であり、フリーナを助ける為でもあった。
あの瞬間に彼が現れなければ更に悲惨な未来も有り得たのだ、ポワソン町の人間など戻ってこなかったかもしれない。
結果としては彼が脱獄という法を犯す事でフォンテーヌに安寧が訪れた、それは正義と言って差し支えはない。そして彼はさらに付け加えるように言う。
「法は後から変えれば良い、その方が良かったと思わせるのが『正義』でもあるんじゃない?」
後から変えたら良い、そんな事が言えて良いのか。いや良いのだ、法とて穴があり万全でなく、全てを網羅するわけではない。日々精錬されていき、正しい形に変わっていくのが法である。
彼が言うのは、フォンテーヌの安寧の為ならば特例措置ぐらい作って法を破ってでも正義を貫けという話をしたのだ。そこまで言われてしまえば、最初の言葉は浅いものとは言えない。
「……そう、ですね」
だから、彼女はそうコメントする事しか出来ない。彼女にとっては想像よりも自由な形の正義を語られたのだ、犯罪者を捕まえる為なら犯罪者の顧問を使い、能力があるなら特巡隊へ元犯罪者を囲い込むのがシュヴルーズであり、正義の為に使えるものを使うのが彼女だからだ。
彼の言葉は、かつての誠実な父すら肯定するような、正義を語ったのである。それを聞いて、彼女は肩の力を抜いた。
「失礼を承知で申し上げます。私は少し、貴方を疑っていました。噂にある潜在的な犯罪者ならば、誰であっても法の裁きを受けねばなりません」
彼女が護衛を志願したのは、フォンテーヌの治安を守る為ではあった。しかし1番の理由は個人的とも言える、彼が神としてどのような存在か知りたかったからであり、まだ表沙汰にされていない彼の人柄ならぬ神柄を見たかったのだ。
そして、それを知れたことは安心できた。
「だからこそ……フォンテーヌを救ってくれたのが、貴方で良かったです」
「……なんか、正面から言われたら気恥ずかしいんだけど。そういうのはちゃんと予言と戦ってたフリーナに言ってあげて」
フリーナが彼を慕う理由、それが分かった気がした。彼女を救ってくれたのが彼なのだ、フォンテーヌを任せられる神など彼を除いて居ないだろう。
力もあれば想いもある。だから人はその背中を追いかけていけるし、安心出来る。
「フリーナ様については御心配はいりません。ヌヴィレット様が直々に結界を貼り、その周りを我ら特巡隊が固めております」
「え?ヌヴィレット、フリーナに甘くない?」
それにヌヴィレットまで加われば怖いものなど無いだろう。噂では既に数々の仕事を水神としてこなしているとも言われているが、相応の信頼関係が為す秘匿性もあるのか漏れ出てはいない。
「まぁ、なら安心するかな……でも暫くここで過ごすならちょっとなぁ……」
「何か、御心配が?」
ただ、彼の表情に少しだけ翳りが見えた。まるで諦められないものを吟味するかのような、そんな小さな溜息も出てくる
「いや、シュヴルーズには言えな……ん?」
「ご不便な事があればホテルに掛け合う事も可能ではありますが」
「……うん、んん?」
ただ、そう聞くと何故か今度はシュヴルーズと目が合った。彼女にも関係する事なのかと、見つめ返されているのはこそばゆいものの、大事なことなのかもしれないと視線に耐える。ただ思ったよりもマジマジと、長く見られてくると流石に声も出る。
「あの、何か……?」
「ん──……いや、いいや。我慢するの諦めて楽しむ事にするよ」
何を迷っていたのか、部屋に篭るのが窮屈だとか考えていたのだろうか。それとも直々に犯罪者を取り締まることでも考えていたのか、ただ逮捕権は水神は与えるものであって持つものではないのでそれは違うだろう。なら楽しむというのも部屋でくつろぐ程度の意味合いだと捉えられる。
さしあたっては、いくつか娯楽に通じた何か用意すべきかと考え始めたが。
「ところで、シュヴルーズは着替えとか無いの?」
「用意してあります」
「そう、なら良かった」
「……はい?」
何の気遣いか、ただ先程まで正義を語って貰ったので細かい所まで配慮をしているのかもしれない。
「いや、気にしないで良いよ。あと一緒にご飯でもどう?暫く一緒だしさ」
「……分かりました、ご一緒させていただきます」
ただここで食事に誘ってもらえているのならば不快には思われず、それどころか気に入られてしまったのかもしれない。ただ彼女としても彼についてさらに踏み込んで知りたいと思い、それを了承するのであった。
☆
世の中には、据え膳食わぬは男の恥という素晴らしい言葉がある。ばっちこいの女の子を抱いてやらぬ男は男じゃないだろという、勇ましさをとく言葉だ。
概ね私はその通りだと思う、そりゃ男を誘ってるのだから食ってやらねば恥だろう。ただ、私は少しだけそれに異を唱えたい。
それって別に据え膳じゃなくても、食ってから同意にした方が早めに食べれるしお得じゃね?と。
「んぁ……?」
「あーあ、飲み過ぎは良くないよ?それも、男の前でそれはダメ」
シュヴルーズを食事に誘い、その後に部屋で晩酌に誘った。何か簡単に付いてきたのは拍子抜けしたが、まぁ都合が良かったので気にせず軽くお酒を開けた。色々と正義やかつての彼女の父親について話したりしたが、彼女も苦労しながら今を過ごしていたのがわかった。
まぁそれはそれとして、ちょっとエッチな気持ちになるお薬を混ぜたら簡単に出来上がった、今は私の肩へ寄りかかる様に頭を預けている。
うん、これ薬なくても同意だな。ここまで気を許してるなら最早据え膳だろう。というわけで、私は彼女の肩を抱き寄せながら頬に手をやる。
「バンパー様、申し訳ありません……普段は、ここまで……んむっ!?ん、んん!?♡」
とりあえず、彼女の無防備な口から楽しむ事にする。触れた瞬間肩が大きく震えたが、舌と舌が触れた瞬間には更に大きく肩を震わせている。眼帯の無い瞳はぼやけていたのに、捕まえた瞬間に見開いて私を見てて可愛い。そんなことされないとか思ってるの可愛いね♪
「んっ、んっ、んっ!?♡」
軽く舌を絡めて、その後に口の中を掃除するようにクマなく彼女の弱そうな事を探してみる。お、舌の裏を舐められるとビクッとした♪もっと色々教えて貰えそうなので、更に深めにしてみる。
「んんんんん!!??♡♡♡」
すると慣れてないのが丸わかりな程に喉を震わせながら体が大きく痙攣する。まぁそれでも逃がさないように肩を捕まえているので、唾液をしっかり飲ませてあげた。もう凄い顔をしてる。
キスだけで軽く果てちゃうほど普段はキリッとした美人系なのに初心で可愛い警察官なんて背徳感が大変ですな、もっと楽しもっと♪
「ぷはっ、はぁ、な、何をして……!?」
「女の子がそんな無防備になって、男に背を預けるとか良くないんだよ?そうな事しちゃうから……」
「ひっ!?」
彼女を背中から抱き寄せてお尻の辺りに大変になってる部分を押し当ててみる。やっぱり良いスタイルしてると思ったけど、お尻と足が良いね、ムチムチしてて楽しめそうだ。
「私のここ、こんなにした責任取ってよね♪」
「な、なんで、これって!?♡」
とりあえず、戸惑ってる今が畳みかける時だ。正気になられちゃったら私本当に捕まっちゃうし、有耶無耶に気持ち良い事を出来たらセーフだもんね!
「だ、ダメです!これは立派なはんひゃい!?♡」
これからそれなりに立派なものを入れる事になる場所を指で確かめてみる。経験は無さそうなのは分かっていたが、少しほぐしておかなければならなさそうだ。
「こんなにここ濡らして、拒めてないのに嘘つくの?ダメだよシュヴルーズ、嫌ならちゃんと体の方も拒まないとさ」
長い夜、始めよっか♪
☆
そうだ、思い出した。シュヴルーズは思い出した、昨日は晩酌後に朦朧とした瞬間に口付けをされ、ベットに運ばれ服を脱がされて、彼のものが自分の中に入って来たのだ。
その時は「シュヴルーズの初めて、私が貰えて嬉しいよ♪」と耳元で囁かれながら挿入され、その後も「可愛い」やら「綺麗」など囁かれながら一晩中抱かれてしまったのだ。
それを、思い出した。
「あっ!!あ、あ、あ、ああっ!?♡」
触られちゃいけない場所を、好き放題にされながら。
「どう?朝からのえっちも、楽しいでしょ♪」
「や、やめっ……んんんっっ!?!?♡♡」
起きてすぐに彼に抱き寄せられてお腹を撫でられると、体を隠していた毛布を剥がされて色々とされてしまった。
今は朝を過ぎて昼前だというのに、昨日散々されてしまったというのに、彼女は色々と疲労困憊だというのに、彼はまだまだ元気だった。
「んぁっ……な、ぜ……どうしてぇ……?♡」
「男と同じ部屋で一晩過ごすなんて、えっちされても仕方ないでしょ?それに、私はシュヴルーズみたいな普段仕事に真面目な子に色々教えるのは好きだからね♪」
「はあっ!?♡」
シュヴルーズは力無く彼の体へ背中を預けていたが、腰を掴まれながら彼に座らされてしまう。当然、座る所は彼の望むがままの体制をさせられており、一際大きな声と同時に足をガクガクと震わせている。
「ほら見て。私の、シュヴルーズが全部咥え込んでるよ?」
「そ、そんな、広がって……いやぁ♡」
昨日初めてを失ったばかりだというのに、彼のモノを彼女は咥え込んでいる。ただ馴染まされたからといっても、お腹の中は彼のモノでいっぱいにされているせいか身動ぎをされるとそれに合わせて「ひぎっ!?♡」といった普段の彼女からは聴けない声を出している。
「はぁ♡はっ、はぁ、はぅぅ♡」
だが、彼はここであえて動かずに彼女が落ち着くのを待つ。掴まれた腰に手をやって動かされないように必死になっている彼女を楽しんでいるのだろう、昨晩とは違い意識のハッキリとした彼女はある種別の味わいがある。
ただ、彼女とて好き勝手されているわけじゃない。お腹に杭を打たれたままであるが、そのままでも慣れて落ち着いてきた顔をしている。
「こ、これは婦女暴行罪……犯罪です、逮捕します、貴方であっても法で裁かれます!」
精一杯、彼女は後ろのバンパーへ睨み付ける。こんな事をしても許されないぞと、いくら国の英雄でも法は平等に裁くと、涙に滲ませた眼光と紅潮した頬を見ると負け惜しみにしか聞こえてこないが、実際彼女の言うことは正しいし、このままなら彼はメロピデ要塞から暫く日の目を見る事は出来なくなる。
お前は終わりだと、彼女はここで恥辱に塗れようと犯罪者には屈しないという目をしてる。
「逮捕ねぇ……でもシュヴルーズ、あっち見てごらん?」
だが、まるでバンパーには追い込まれてる様子が見えない。何の足掻きかと、彼女はそのまま彼の指差す方へと顔を向けてみると。
「っ!?」
そこには、朝に自分の至る所にあった彼からの食み跡を見つけたキッカケがある。ただ今は違う、別のモノを写している、彼と繋がっているシュヴルーズを写している。
「さっきから、嫌がってないでしょ?」
鏡に写った彼女は、抵抗しようと思えば抜け出せそうな状態だ。腰を掴まれているが握られているわけじゃない、鍛えている本気の彼女が彼を殴り付けることも出来るだろう。
でもしていない、何故なら神を相手にそんな無謀なことをしても仕方ないから。逆に言ってしまえば、そう考えて諦めてしまっているから。更に踏み込んで言うならば、先ほどから動かされていない腰にもどかしく、自分から身じろいでいる。
それら全て、彼の目は分かっていると言っている。
「ち、違っ!!これは、違います!!」
「違わないよ。本当はエッチな事が好きで、恥ずかしいだけなんでしょ?でも良いんだよ、気持ち良くなるのは何にも悪い事じゃないんだからね♪」
「んぎっ!?♡」
彼が動く、一気に押し込まれたせいで呻き声のような人に聴かせられない声が出る。反射的に手を口に当てるが、彼は掴まれてない方の手で彼女のお腹に手を回すと。
「それに、シュヴルーズとの子なら絶対可愛いよ?」
「なぁっ!?♡」
優しく、彼女のお腹の奥を大事にするように撫で始めた。シュヴルーズとて色恋沙汰に疎い人生を送ってきたが、それが愛を囁かれてるのだと分かってしまう。
先程よりも艶が出た声が出たのは慣れて無い方向からの攻めだからだろう、そのまま首に口付けをされて熱を感じてしまっていると。
「だから、出来ちゃったら一緒に名前考えようね♪」
彼は今度こそ、腰を動かし始めた。
「だ、だめです!そんな事言って、嫌です!私は貴方の子供なんて!!」
「そう?じゃあ、嫌ならちゃんと拒むんだよ?」
「言われなくてもそうし……ひっ!?♡」
腰ではなく体を抱きしめながら彼は彼女に密着する、彼の与える振動が直に彼女の中に響いていく。既に昨日の時点で彼女の弱い所とその攻め方と焦らし方を分かっているのだ、正気の状態で初めてされた時に近い体は容易く頭を溶かしてしまう。
「だめ、そこだめ!♡そんなにだめぇ!♡」
「女の子は鍛えてても柔らかいね、私の体はどうかな?気持ち良さそうな顔してるね」
「ひゃあっ!?♡あ、あ、あ、あ、ああっ!?♡」
「でも、そろそろ直に顔も見たいかな」
一通り後ろから突かれてしまったシュヴルーズは、手を離されるとそのままベッドに倒れ込んでしまう。力が入らないのだろう、まだ初めてを失ったばかりの彼女では、頭に打ち付けられる快感に痺れて動かなくなるのだ。
ただ残念な事に、その程度の事を分かっているからこそ止まる彼ではない。
「無防備だね。良いのかな、私の子供産んじゃってもさ」
「んあああ!!??♡♡」
正面から腰を掴み、彼女の事を捕まえてしまう。無論、お腹の奥も捕まえている。そのまま震える彼女を抱え上げ、無抵抗に抱きつかれるとそのまま動かされてしまう。
「あっ!?♡はぁっ!?♡」
「ほらほらシュヴルーズ、拒まないとママになっちゃうよ?」
「だ、だめ♡これ、はげしっ、ああ!?♡」
耳元に囁かれる甘い言葉、体に響かせられる彼の熱と抱擁、互いの汗と何かで無茶苦茶な匂い、その全てが彼女の思考を狂わせる。何も出来ずに、彼からの愛を受け止め続ける。
「じゃあ、今日も1番奥に出すからね」
そして、不意にお腹にある彼のモノが膨らんだ気がした。熱が大きくなった気がした。瞬間に、彼女の澱んでいた思考がソレが何をしようとしているのか理解するが。
「だめぇ!♡だめええええええ────!!♡♡」
彼の体が震えると、それ以上に彼女の体が震える。足など伸ばし切って痙攣しており、目は見開かれているが思考で塗りつぶされて見えていないだろう。
「あ、ああ……♡」
「あー、濃いのが出た気がする。授かっちゃうかもね?」
「はぁ、はぁ、う、うう……だめって、言ったのにぃ♡」
彼女をゆっくりと体から下ろしてベッドへ横にさせる。最初の頃は隠していた体も全てを見られ楽しまれたからか、その余裕が無いからか丸見えであり、股の方からは彼に注がれたばかりのモノがゆっくりと垂れ落ちてきている。
ただ、それでも涙目ではあるものの睨み付けられるだけ彼女の心は強靭なのだろう。
「変態、犯罪者、性欲魔神……!」
「えっちで負けて取り締まれないシュヴルーズが悪いんだよ?」
「それだけは絶対違う!!」
なお、まだまだ強気な彼女だが、それがむしろ彼を楽しませてしまうことには気づけていない。このまま朝の4回戦まで続けられて惨敗してしまうのはこの時の彼女は気づけていない。
焦らして自分から腰を振らせるほど調教されてしまい、結局彼を捕まえられなくなるのだが、相手が悪かったとしか言えないだろう。
手慣れたクソ野郎は、今日も平気な顔で被害者を増やすのである。
(これ仕事の出来るOLを喰う若手社長みたいな展開なのでは…?)