私は人間(倫理観)を捨てるぞ、旅人!! 作:札幌ポテト
実はこれ他の名前でやってる作品の現実逃避で描いてますが、万が一にも名前当てられたらビビります。
最初に言っておくと、私はお金持ちではない。モラは確かに気ままに遊べる分はあれど、一般人より少し多い程度であまり使わないから溜まっているだけだ。
前世から趣味らしい趣味もなく、金が溜まっていくのは私の性質なのだろう。ただそこは正直どうでもいい、ただお金を使わないという事はお金を持っている人間の世界についての理解が乏しいという事だ。
なのでそういったモラルを求められる群玉閣に招かれて困惑しているのが、今の私である。
ちなみに群玉閣とはテイワット大陸1番の金持ちである璃月の権力者、七星の1人でもある凝光の所有する空中の城であり、そんな場所に一般人が、ましてや招待されるなんて事はないのだ。
一応、私だけを呼んだ宴会ではないのが救いか。
ちなみに一度、14歳の時にこれは断っている。璃月で洪水が発生した謎の事件、その解決を私がしたからだ。当初七星は原因も何もかもが分かっておらず、更に仙人達と揉めて事態が悪化していくことに後手にならざるを得ず、多くの被災者を産んではその対応に追われていた。
自然災害を前にして、解決しろというのがまず難しいのだ。
そして私はそんな中、災害地のど真ん中に手紙の配達に向かっていた。なおこんな災害が起きてる事すら知らず、手紙の配達にしては割りの良い仕事だと思って意気揚々と仕事に向かっていたのである。
キャサリンさんが恐る恐るといった様子で受理してた時に気づけなかったのが失敗だったのだ。
そして配達先の住人が一応心配だってので確認に向かい、なんやかんやあったが、そのまま元凶をぶっ飛ばしてきた。
ここまで聞いてわかると思うが、意図せずに解決してしまったのだ。その方法とが聞かれたくないので無視してきたのだが……またやってしまった。
なおその事件そのものは私じゃなくても時間が経てば七星や仙人が和解して解決していた、和解したタイミングで私が解決しただけで事態も避難がほとんど済んでいたので、それ以上悪化はしない状況だった。
なので前回は固辞したのだが、今回はそうもいかなかった。
「初めまして、バンパー。私は璃月七星『天権』凝光よ」
「……どうも、生憎と天上人に対する作法など習っていない野蛮人ですが。招いていただきありがとうございます」
「ふふ、中々に太々しくて良いわ。分かった上で言うんですもの」
私が璃月郊外にて高跳び先、潜伏先として色々と飛び回っていたらトンデモない怪物と相対してしまったのだ。名をエンシェントビシャップ、岩のような巨躯と力を持った怪物、そしてそれが襲いかかってきたのだ。
敵が属性を使ってきたので利用して何とか撃退したのだが、その瞬間を見つかってしまった。
「警戒しなくても良いわよ、ただ貴方を知りたかっただけ」
「それだけで十分怖いんですけど」
「安心して、貴方については略歴しか知らないから」
略歴は知ってるのかよ、というツッコミはできない。そんな間柄でもないし、正直意図が本当に読めない。ただの冒険者をわざわざ呼びつけた理由に裏がない方が、おかしい。
「まずは感謝を、貴方のおかげで璃月は危機を脱したわ」
凝光さんはそう言って頭を下げた、そして従者らしき方々も同様に下げている。
「意図してやってないので頭を上げてください。今日来たのも今後は呼ばないで欲しいからで、目立ちたくもないんです」
素直な気持ちを伝える、本当に目立ちたくないのだ。だって大変な事になるから、最悪の場合全ての国で国際手配される。稲妻なら切腹ものである。
「目立ちたくないにしては、過去の経歴は可愛げがないように見えたけど」
「向こうからトラブルがやって来るだけで、私は対処してるだけなんです……」
前世は一般人なのだが、実は子供の名探偵が前世にあるんじゃないかと思うぐらいに事件からやってくる。そして解決したくもないのに事件が襲いかかってくる、奔狼領の時もググプラム食べに行こうかな程度の気持ちで行ったら大変な事になった。
もう怖い、この世界いつか滅んでもおかしくないレベルで災害が起こり過ぎている。最近のやつ全部私が解決してる、泣きそうですある。だからファデュイから『異端児』とかいう不名誉な渾名までついてるのだ、もう冒険者やめようかな……。
「どうかしら、私に雇われてみない? 貴方への興味は尽きないの」
そう思っているといきなり転職チャンスがやって来た。
「いや、誰かの上にも下にもつきたくないんで」
が、生憎と私は今の生き方をしていれば大なり小なり色々な人に迷惑をかける。なので転職先はスローライフな感じが良い、絶対にバイオレンスライフがやってくる。
「なら、普通に──ー友人になりましょうか」
「……え?」
☆
金持ちの考えはわからん、というか凝光さんの考え方がわからん。友人になろうと誘われて『まぁ、友人なら……』と了承はしたが、油断は出来ない。
この空の孤島の主人は璃月を覆わせると言っている本物の野心家だ、日照権とかご存知ですかと聞きたいが、そんな高層ビルはないし、法律もまだないだろう。
そんな野心家に友人になろうと言われて、素直には受け取れない。
「凄いですね、凝光様がお認めになるなんて」
すると、一人で黄昏ている時に声がかかる。
「貴方は……たしか、甘雨さんでしたか」
「さん付けは不要です、貴方は凝光様のご友人なのですから」
私がエンシェントビシャップを撃退した瞬間に視察しに現れた女性だ、見た目は20歳ぐらいに見える。凝光さんの部下でかつ、この若さで七星全員の秘書を務めるという凄腕だ。
しかも、神の目を持っている。大きな信頼を得ているのだろう、そしてエンシェントビシャップを相手してもどうにかできる存在。
「めちゃくちゃビビってるんですよ、高々16歳の小心者なんで」
「雄々しくエンシェントビシャップに向かっていたように見えましたが……?」
「あれがそう見えたんですか……?」
泣きながら突貫してた、心の中は阿鼻叫喚だった。あれ自分を奮い立たせないと大変だっただけですから。てかその瞬間から見てたなら助けてください、急に足元からバケモノが現れた時に敵を威嚇するのはもう本能だと思う。
「とりあえず、もう用はないなら私は帰りますから」
もうよくわからない社交会も終わったし、やることも無いので帰る事にする。多少の人脈はあると便利かもしれないが、あり過ぎればがんじがらめにされてしまう。
「またいらしてくださいね」
群玉閣には2度と行かない、そんな覚悟を持ってこの日は帰った。
これが麒麟の血を引く淑女、甘雨との出会いであった。
☆
「あ、バンパー様、お久しぶりですね」
2度目の出会いは、早かった。というか次の日だった、お金持ちがいなさそうな普通の場所で会ってしまった。だが凝光さんにではない。
「……こんな街中で会うとは思いませんでしたよ」
甘雨さんだ、エロい格好をしてるが本当に街中もそれで出て業務をしているのか。てっきり凝光さんの趣味がなんかかと思ったが、本人がそうしているのか。
長年璃月に訪れてはいるが、実は金持ちの中では普通の格好なのかもしれないと思ったが千岩軍の兵士が目を逸らしてる、やはり普通じゃないのか。ただ本人は自覚がないらしい、だって近いし。
胸に触っても許してくれそうな雰囲気を感じる。
「お仕事中でしたか」
「はい、飛雲商会の手続きや確認を少々」
「……その書類の束が、少々?」
彼女が優秀なのは色々な所で間違いないとは思っていたが、優秀過ぎるのかもしれない。常人の抱えるレベルではない、騎士団の仕事を半ば強引に手伝わされていた事も過去にあったが、書類の量だけで見れば私の抱えていた数の3倍はある。
「あー、今は繁忙期だったりします?」
「いえ、通常業務通りですよ」
「……にしては部下の方とか見当たらないんですけど」
「ここの担当は私1人だけですから」
で、それを1人で抱えてるようだ。ブラック企業なのか璃月七星、もしくは凝光さん。
「……悩みとかあります?」
「悩みですか? そうですね……」
するとめちゃくちゃに考え込む、悩みが多過ぎるのかもしれない。凝光さんに色々と扱かれてるのかもしれないのだ、こんな所で言える悩みでもないだろう。
何か助けたい気持ちが現れてくる。
「あ、仕事中でしたね。今日一緒にごはんに行きましょうよ、そこで話しましょう」
☆
野菜料理しか食べれないベジタリアン、夜まで暇だったので聞き込みによりそう耳にした私は大量の野菜料理を彼女に振る舞っていた。
「えっ、えっと……その……」
そしてやはり困惑している、無理もないだろう。彼女は多忙そうなので食事を作る時間も食べる時間も多く取れない、これも聞き込みで知った。
レストラン街に顔を出さないとも聞いている、それだけ時間に厳しいのだろう。しかし私は凝光さんの友人である、つまり正当性をもって仕事を休むことができるのである。
たまには良い事をしておかなければ、普段の行いに相殺できない。善行の積み立てである、なお緊張しているのか甘雨さんはまだ箸をつけない。
「まぁまぁ、今日は色々と甘雨さんを知りたかっただけですから。ゆっくり楽しみましょうよ」
だが、その緊張はゆっくりとほぐせば良い。本音としては凝光さんのブラック度合いとかを知りたいが、まずは彼女の信用を勝ち取らねばならない。
なのでまずは関係ない話から始めよう。
「この国とかまだあまり知りませんから、岩神の話とかでも「帝君の話ですか!?」ぁ、うん。色々聞きたいかな」
めっちゃ食いついた、あれ? めちゃくちゃ顔近いんだけど、ガチ恋距離とかご存知ですか?
その日は、岩王帝君の話だけで終わった。
☆
甘雨には最近、悩みがあった。彼女自身全く非はなかったとは言えないが、この悩みが現れてしまうの仕方なかった。
「いや、その……今日は……」
「一昨日は確か帝君と塩の魔人の話でしたっけ」
「はい! それでその後は」
2日に一回ほどのペースで、バンパーという冒険者と食事をしている。その食事に問題があった、いや食事そのものにはないが彼女の体質的に問題だった。
「(き、昨日も食べ過ぎてしまいました……た、体重が……)」
麒麟の親を持つ彼女は野菜料理を好むのでヘルシーではあるのだが、璃月の料理は美味しく食べ過ぎてしまい、結果彼女のお腹周りには肉がつき始めていた。
彼女は体質的に太りやすい、というのも彼女は元々太っていた。その丸々とした姿により食べられそうになっても喉に詰まって難を逃れた程であり、彼女そのものの黒歴史でありもはや知るのは仙人達ぐらいだが、その悪夢が再来の予兆を見せていた。
しかし、食事を断ろうにも彼女自身それも難しかった。
「(あんなに真摯に帝君の話を聞いてくれるし、話してて楽しいから箸は進んじゃうしか……太らなければ本当に、太りさえしなければ……)」
彼女自身、帝君の布教が楽しかったのだ。璃月の人々なら皆が知っているかもしれない話であっても、新鮮さがあり、自分の好きなものを語るというのは早口になってしまうほど楽しいものだ。そして料理に手が伸びる、気付けば全ての皿を1人で平らげでいたほどだ。
「あ、甘雨さん。いらっしゃい」
「こんにちは。ただその……き、今日は少なめにしてもらえると」
「はいはい、その分品数は増やすってことね」
「そ、そうではなく……」
そしてもはや常連となった甘雨の元へ、特に注文が無くてもいつもの量の料理が並び始める。
「(ど、どうしましょう……作ってもらった手前無下にもできませんし、残すなんてもってのほか……)」
お腹は並んでいく料理を前に準備ができていると鳴らして反応する、咄嗟にお腹を押さえるもその音は鳴り止んではくれない。
「(はわわ……危なかったです、もしバンパーさんが居たら……)」
「元気そうですね、甘雨さん」
そして、その音を聞きつけてか待ち人もやって来る。
「い、今のをもしかして……」
「え? 何の話ですか」
「いえ、聞こえてないなら良いんです」
「もう食べましょうか、また鳴っても恥ずかしそうですし」
「聞こえてるじゃないですか!?」
いつの間にかこのような掛け合いもできる仲になっていた、彼自身のコミュニケーションの取り方と距離感の取り方が上手かったのもあるかもしれないが、いつの間にか様付けはなくなっていた。
「ほら、冷めちゃいますよ」
「知りません! バンパーさんはいつも意地悪してきます!」
だがごはんに罪は無いので口に運んでしまう。蕩けるような野菜と餡掛けが最高である、もうこの料理そのものが罪である。それほど凛月の料理はうまいのである。
「……美味しいです」
思わず口に出るほど心の中に幸せが溢れてきたが、やはり頭の中には太ってしまうことがよぎる。そのせいか純粋に楽しめない、それも口に出ていた。
「甘雨さん、何か悩みがありますよね」
「え?」
そして、それはすぐに汲み取られている。
「どうしてそう思うんですか」
「短い付き合いでも、甘雨さんを見てれば分かりますよ」
「や、やっぱり……わかっちゃうんですか?」
「はい、こう見えて色々と経験してるので」
「それってどういう意味ですか!?」
「え? ……まぁちょっと特殊かもしれませんが、冒険者ですから」
「そ、そうなんですか……?」
もう短い期間でも気付くほど丸くなっているのか、そこまでは意識していなかった。だがここまでバレているなら仕方ない、包み隠さずに話したほうが良いだろう。
「その、実は……」
☆
甘雨さんの悩みだが、まさかの太りやすい事だった。ブラック企業か何かについての悩みはないかとやんわりと聞いてはみたが、そっちは全くないと言い、目を見ると嘘はついていないように見えた。
太りやすい体質が嫌だという話の方が本題だとはまさか思わなかったのだ。
そして今、私は甘雨さんの自室に招かれている。
なんでかって? 今回のことでそんな彼女の事情を知らずに食事に誘いまくった私には責任がある、なので少し頑張ってもらう必要はあるが確実に痩せる方法があると教えたのだ。
モンドで1年前に流行らした痩せるマッサージ、痩せられない女子達は痩せれて幸せ、私も欲望を満たせて幸せのウィンウィンのボランティアをしていたのだが、騎士団にしょっ引かれそうになったので流石にやめた。
しかし、ここは璃月なので問題ない。
「その、目隠しもするんですか?」
「その方が恥ずかしくないってよく言われたので」
「わ、わかりました……」
ちなみに選んだのは彼女である、私は悪くない。
「じゃあ2時間ほど、頑張ってくださいね」
やりたいこと、やったもん勝ちである。
失われた青春を今、解放するのだ。
☆
痩せたいという話をしたとき、一緒に食事はやめようと話したかった甘雨であるが、いつの間にか彼を自室に招き入れていた。
「す、すごいですね……こんなに気持ちの良いものなんですか」
「いや、痩せるとか関係なく凝りすぎだからですよ?」
そして今、上半身と下半身にタオルを巻き、目隠しをしてマッサージを受けている。
普段から超絶にブラックな量の仕事をこなす彼女であるが、その疲れが出ているのだろう。マッサージという初めての感覚に彼女は自身の体調が生まれ変わるように良くなっていく事を実感していく。
「スライムのオイル使うんで、ちょっとヒヤッとしますよー」
「は、はい……ひゃっ!」
「じっとしててくださいよ、やり直しになったりするんですから」
背中や足にオイルが塗り込まれていくと、指圧が行き届きやすくなっていく。マッサージされるのに少しだけあった違和感も無くなり、すんなりと体が受け入れ始める。
「甘雨さん、痛くはないですか?」
「……あ、大丈夫です」
「今寝かけてました?」
「あ、その……すいません」
そしてあまりの気持ち良さにうたた寝をしそうになっていく。それだけ疲労が蓄積していたのだろう、普段の激務から解放されて力も抜ければそうなってしまう。
「きゃぁっ!?」
が、その眠気は一瞬で吹き飛んでいく。
「え、その……え?」
困惑する甘雨、無理もない。何故なら今の彼女の両胸へ、直に手が当てられているからだ。
「それじゃあ、痩せる方のマッサージを始めますね」
そして、その手は動き始めた。
「ひゃ、ちょっと待っ……ひゃうっ!?」
「脂肪を燃やすには、まず体温を上げないといけませんからね。今はその途中です」
「そ、そうなんですか……?」
優しく彼女の胸元をまさぐる動きは、徐々に変わっていく。先端部を優しく弄り始めており、断る間も与えずに進行していく。
「そ、その……あまり、そこは弄らないで……っ!?」
「ここが硬くなってきたって事は、体温が上がってきた証拠ですよ。ほら力を抜いて」
「はわ、ふわぁっ!?」
じわじわと、痛みもなく優しくこねられていくのにもどかしさを感じる。彼女は耐えなければならないと手や足に力を込めているが、ふいにつまみ上げられると。
「じゃあ、少し強めにいきますよ」
「へっ……? ひゃぁぁぁぁ!?!?」
強めに弄られ始めた。親指と人差し指で挟まれているのか、何度も弄られていく。
「あ、ぁぁっ!? んぁっ!!?」
頭の中が感じたことのない感覚で何度も思考を溶かされていく。自分の体が仙人の体であってもここまで弱いところがあったとかと考える余裕も無いほどに、彼女の頭はその感覚に支配されていく。
が、ふいにその手は離れる。
「これは自分でも出来ますから、2日に一回ぐらいで試してみてくださいね」
「は、はぃ……」
もう息も絶え絶えにされた甘雨は、ぐったりとした様子で返事をする。全身の体温が上がり、吐く息も熱を帯びている。オイルのせいか熱った体に空気が清涼感を感じさせ、感覚も鋭敏になっている。
少しずつ頭もスッキリしていき、息も落ち着いてくると。
「はぁ……はぁ……。へぁ? ……あぁっ!? ひゃぁぁぁぁぁ!?」
続きが始まった。しかし胸にではない、彼女の股に手は侵入していた。
「ま、そこ……だ、めです!! あ、あぁっ!? っぁぁぁ!?」
「汗が沢山出てきましたね、痩せていってる証拠ですよ。それとこれも自分でできるんでさっきのと合わせてやってみてくださいね」
そして、彼女の体に彼女のものではない異物が侵入していく。その違和感は先ほどとは比べ物にならない、とてつもない感覚として彼女の全身を駆け巡っていく。
「声を我慢したり、恥ずかしがらなくて良いんですよ。これは医療行為ですし。女性って赤ちゃんを作る時に体力を使いますよね、それを今は擬似的に行ってるだけですよ?」
「あ、あっ!? んっ、うぁっ!?」
「あー、もう聞こえてないか」
何かを言っているが、そんな言葉はもう耳に届く余裕もない。彼女の3000年以上あった時間の中で、こんな体験はしたことがないのだから。そんな余裕を作る方法もないし、知らない。
声を出すことでしか、少しでも耐える事はできなかったのだ。
「じゃあ、強くしますね」
だが、そんな彼女の抵抗を嘲笑うように水音が大きくなる。
「あ、あぁっ!? ……ふわぁぁぁぁぁぁぁっ!?!!?」
シーツを掴む手にも、力が込められて伸びている。タオルが汗で肌に張り付き、体が反り上がっていく。逃げ出そうとしているのか、しかし片手で足を固定され、もう片方が施術に勤しんでいるので、逃げる事はできない。
「んあぁぁ、あぁぁぁぁぁっ!!!?」
そして、反り上がった体が跳ねた、頭の中が真っ白に染まった。同時に施術も一度終わりを迎える、体から異物がゆっくりと引き抜かれていく感覚を残った頭の感覚で感じながらも、何も考えられない。
「大丈夫ですか、甘雨さん」
「はぁ……はぁ……だい、じょ……れす……」
だが少しの時間であるが休ませて貰えたようで頭もクリアになってくる、羞恥心などを感じる余裕はなく、ただ体の疲労感を全身で感じることしかできないが、受け答えがギリギリできるレベルにまでは回復していた。
「まだ始まったばかりですよ」
「へ?」
そんな彼女を絶望の淵に落とすような言葉が、聞こえてくる。
「30分も経ってませんからね」
「……ま、まだ経ってないんですか!?」
この程度では痩せれない、もちろん継続すれば痩せていくかもしれないが、一度に大きく負荷を掛けた場合でも脂肪が燃えやすくなっているという点では有効なのである。
「今度はゆっくりしますから、頑張りましょうね」
その後、施術は定刻通りに進められたのであった。
☆
「ん……朝……」
窓から差し込む日の明かりが甘雨に注ぎ込まれる。
ゆっくりと倦怠感を感じる体を持ち上げると、彼女はゆっくりと伸びをする。
「あ、起きました?」
すると当たり前のようにキッチンの方向から人が現れる。自前のエプロンを付け、鼻腔をくすぐる匂いとともに現れた。
「あれ? 私、昨日……っ!?」
そして、それで全てを思い出す。昨日は施術が終わった直後に寝てしまった事を、しかし汗まみれになっているはずのベッドは綺麗であり、彼女の体も汗によるベタベタとした感触もなく、ましてや寝巻きなど着ていなかった。
「あ、シーツとかは洗ってますよ。汗は拭いておきましたけど、水浴びはした方が良いですね」
「え、あの……その、まさか」
「気にしないで良いですよ、終わって直ぐに寝ちゃう人はいるので」
「そ、そこじゃなくて……!?」
当たり前のように言われているが、つまり甘雨の全てを見たということである。羞恥心でどうにかなってしまうそうな彼女であるが、それをとやかく言うことはできない。
自分から言い出すのも恥ずかしいからだろう、なし崩しに話ができないでいる。
「あ、朝ご飯ありますよ。ヘルシーなんで気にせず食べてください」
「……い、いただきます」
それだけ相手がこの分野において上手な相手だったのを、甘雨が知ることはなかった。
主人公、この時点で甘雨が仙人とは知りません。
なんなら凝光の部下だと思ってます。
R-15なら上半身をソフトタッチして終わる予定でしたが、R-17.5ならいいかと書きました。
次回は凝光です。
本番まで100とした時、どのくらいの進行度が好きですか?
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アンバー回(70)
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リサ回(80)
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直接描写無しのジン回
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煙緋回(45)
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甘雨回(90)
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100
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結果だけ見たい人用