彼女のその台詞を聞いた時、私は連日に渡る激務でいよいよ耳か頭がおかしくなったのだと、なかば本気で考えていた。
夕刻のアビドス高等学校、対策委員会室。会議用テーブルの角を挟んだ
……おかしい。私は今の今までこの少女と二人、恒例の他愛もない雑談を交わしていたはずだったのに。いつの間に、どうしてこんな空気になっているのだろう。
いたたまれなさに身じろぎをすると、何かをこつんと蹴る感触があった。
机の下を覗き込むと、舌を突き出した不細工な鳥のイラストと視線がぶつかった。とあるアウトドアブランドと人気アニメのコラボによって作られた腹筋ローラーで、他の生徒へのプレゼントにと買ってきていたものだった。
これを見つけた時の彼女のはしゃぎようは理解できなかったが……今となってはそのかしましさに、いっそ懐かしさすら覚えていた。
閉め切られた一室に、耳鳴りがする程の静寂が流れている。ベタに夢か幻覚を疑って、強めに頬をつねってみた。
……普通に痛い。おまけに皮脂で滑る。少なくとも今この瞬間に限っては、紛れもない現実のようだった。
「――え、ええ、っと。そのう……」
漂う沈黙に耐えかねたのか、顔を上げた彼女はしどろもどろに視線を
日頃から
「な、何気ない会話の中で、しれっと
そんな困った笑顔で小首を傾げられても、こちらとしても反応に迷うばかりだった。思わず合わせ鏡のように同じ角度で視界を傾けると――こほん、と彼女はひとつ咳払いをする。
「で、では、もう一度……今度はきちんと、お伝えしますね」
そう言いながら居住まいを正す彼女を前に、私もつい背筋を伸ばし、
かつてなく真剣で深刻に映る様子もあるが……何よりやはり、先程の彼女の言葉が、どうしても信じられなかったためだった。
そうして一拍、
「わ、私を――」
もう一拍が置かれて、
「――私を……え、
少女――