十六夜ノノミという生徒との出会いは、私がこの学園都市「キヴォトス」に教師として赴任して最初の出張先となった、アビドス高等学校での一幕にまで
広大な自治区内にて頻発する大規模自然災害と、その復興のために悪徳金融から多額の負債を背負ったことで生徒数を激減させてしまった、かつてのマンモス校。
加えて地域の暴力組織による侵攻にも喘いでいるという彼女たちの苦境を解決するため、まずは要請にあった一通りの支援物資を抱えてその区画へと赴き……
『わぁ、びっくりしました。お客様がいらっしゃるなんて、とっても久しぶりですね』
彼女たちは自らを、「アビドス廃校対策委員会」と称した。
母校を蘇らせるために有志、そして全校生徒でもある計五名が集った機関。莫大な借金をアルバイト等で少しずつ返済しながら、教員はおろか職員もいない空っぽの校舎を、片手に収まるだけの人数でこれまで守り続けてきたという。
『よろしくお願いします、先生~☆』
片側をルーズに結わえたお団子が映える、ミルクティーベージュの長髪。大きくつぶらな瞳が印象的なベビーフェイスとは裏腹の、制服越しにも主張してやまない豊満な曲線。
個性派かつ美少女揃いな対策委員会の中でも、
『大丈夫ですよセリカちゃん。お昼、一緒に食べましょう? 私がご馳走しますから』
彼女は持ち前の包容力と財力で、主にメンバーの精神的支柱として立ち回ることが多かった。その時の言動もどこか浮世離れしていて……深窓の令嬢、という言葉が似合うような生徒だった。
事実として対策委員会にある間食やインテリアなどは、ほぼ全てが彼女の一存に委ねられているようで。
……彼女の母校を取り巻く様々な問題に取り組む
『――みんな自分のアルバイト代を、学校の借金を返すのに使っているので……このままじゃ学校の教室じゃなくて、まるでアルバイトの休憩室みたいで可哀そうなんです……』
買い出しのため遠隔地のショッピングモールを訪れた際の彼女のこの言葉と面持ちに、何故だかひどく胸を締め付けられたことは、未だ記憶に新しい。
今にしてみればこの頃には既に、私は彼女のことを憎からず思っていたのかも知れなかった。
それからも彼女は、私に様々な表情を見せてくれた。
仲間が敵対組織にさらわれたと知った時の、勇ましく音頭を取る姿。
自分たちのこれまでの行いを全て否定されかかった時の、失意に沈む瞳。
みんなでホシノに「おかえり」を告げた時の……満面の笑み。
それら
しかし、私も教師の端くれ。この想いを伝えるつもりも毛頭なければ、万が一何かの間違いで彼女の方から言い寄られたとしても、
曲がりなりにも教鞭を執る立場にある者として、教え子を口説き、ましてや関係を迫ろうなどとは言語道断……あってはならないことだと思っていた。
……そんな矢先の、出来事だった。
†
かの衝撃のやり取りから
私は職場――連邦捜査部「シャーレ」内部に設けられた自室のベッドで、じりじりと這い上がってくる
虚ろげに首を起こすと、掛け布団が不規則なうねりを作っていた。ちょうど腰辺りの膨らみが波打つ度に、下半身に
「――ん、ふ♡ むる……れる、ちゅぷ♡」
……大腿部の生暖かさとくぐもった水音から察するに、どうやら
私は睡魔の残り香ともたらされる快楽に目を細めながら、ゆっくりと布団を
「んっ……んぷ♡ ――うふふっ♡ おはようございます、先生♡」
むわっ、と。
彼女の甘い香りが、すっかり桃色に染まっていた
ハニーミルクにも似た、彼女の人となりを表すように優しく……そして、この上なく男を誘う香り。
その芳香の奥に、そそり立つ肉幹に頬を寄せて微笑む少女――ノノミがいた。
「ふふ、ごめんなさい。本当は普通に起こすつもりだったんですけど……先生のここが、あんまり窮屈そうにしていらっしゃったので、つい――は、ぁむ♡」
言い訳もそこそこに、彼女は再び怒張を口に含むと、亀頭を中心に舌を絡ませ始めた。温かくぬめる唾液をまとわせ、宝冠部を
どこかおぼろげだった肉悦が現実のものだと理解した途端に、下半身が明確に温度を上げ始めたことが、自分でも理解できた。
海綿体の隅々にまで、血液が行き渡っていく。こんな朝っぱらから自分の生徒に奉仕させているという倒錯感も合わさって、くらくらと目眩までするようだった。
「ん、ぷぁは♡ ……はあ、さっきまでよりもっと硬くて、大きい……♡ 私のおくち、きもちいいですか?」
言葉にするまでもないことだと、私は手を伸ばして、ノノミの形のよい頭部を優しく撫でた。柔らかく艶めく髪を
「ぁ、んむ……♡ んる、ちゅぶ♡ ふ、るぶ、えるうっ……♡」
それまでのなだめるような動きとは打って変わった、容赦のない舌遣い。併せて片手で肉胴をしごかれ、もう片方の手にはやわやわと
仕事に忙殺され、今日という日に向けて色々と溜め込んでいた私にとって、その口交は少々刺激が強過ぎた。否応なしに背筋が震え、彼女の前髪が下腹をくすぐる感覚も相まって、図らずもその抽挿から逃れようと腰を
「んぶっ、ちゅる……んもう、先生。もぞもぞしちゃダメです。――えいっ☆」
悪戯っぽい笑みを浮かべたノノミが、竿と袋から手を放し、のしかかるようにして私の
「あはっ。捕まえましたよ、先生~☆ ……れろぉ♡ あむっ、はぷ♡ ねろぉっ……♡」
股間に顔を埋める形となった彼女が、わざとらしく声を立てながら男根を
「はむ……ん、んうっ♡ ふうっ、んぐ、んぶ――んふうッ♡」
そのまま大きく咥えられたペニスが、深く――深く呑まれて彼女の中に消えていく。唇を押し広げ、蒸されるような口腔を通り過ぎると、先端に喉奥の隆起や収縮が伝わってくる。
「ふーっ、ふうーっ……おぶ、ううーッ……♡ じゅるっ♡ うぐ――えう、じゅるうっ♡」
ノノミはさらに舌を伸ばして、ストロークに合わせて
「んむう♡ ……じゅるっ♡ ずる、ずる、ずるっ――じゅうううーっ……♡」
そんな私を見て満足そうに目を細めた彼女が、不意に、そして段階的に逸物を強く吸い上げる。そして――
「――んん、っぷぁ♡ ッはあ……はぁ~い、ないないですっ♡」
臨界点まであと一歩――というところで突如として行為を中断されてしまい、私は思わず上半身を跳ね上げた。それまでの熱心なもてなしが冗談だったかのようなすまし顔で、私の
ここで止められるなんて生殺しもいいところだ、と――私は本来の身分も忘れて、抗議の眼差しを送った。
「うふふっ♡ 残念ながら、もう起きる時間になっちゃったので~。私も本当は先生に、びゅるる~ってして欲しかったんですけど……タイムア~ップ、です♡」
そんな私の視線もどこ吹く風と意地悪く口角を上げて、自らも衣服――学生服を整えながら、ノノミは会話を続けた。
白いブラウスの襟元を正し、黒チェックのプリーツスカートにその裾を押し込む。手近な椅子にかけられていたクリーム色のカーディガンにも緩く袖を通して、
感触を知り尽くした柔らかな肢体が迫り来る様を間近にして……下着の中であらぬ方向へと張り詰めたままの息子は、未だ鈍痛を訴えてきていた。
「うんうん。今日もちゃあんと、
幼児語を用いられながら、今度は逆に彼女が私の頭を撫でつける。もちろん全く嬉しくないかと言われればそんなことはないのだが、それよりも先に恥ずかしいような悔しいような、複雑に入り組んだ感情がもごもごと口の中で転がった。
こうなれば
「うん? ……うんうん、そうですね~。先生のおちんちん……私のせいで、とってもつらそうです。ここから出してよ~、ぼくもよしよししてよ~って聞こえるみたいで、私も心苦しいのですが――」
ベッドに腰掛けたノノミにしなだれかかられながら、ゆったりとした指遣いで強張りをさすられる。衣服を隔てたもどかしくもごわごわとした刺激に、反射的に肩を震わせたが……そこでぴたりと、彼女の手が止まる。
「――でも、先生~? この間、私とのデートをすっぽかされたこと。まさかお忘れではありませんよね~?」
ぐっと言葉に詰まり、目を逸らす。
……それを言われてしまうと弱かった。日頃の労いにとなんとか予定を空けてこちらから声をかけ、彼女との外出を取り付けた矢先に緊急の用件――オフィスのある自治区近くの海域に出現した超大型エネミーの撃退――が入ってしまったのだ。
元々無理やりねじ込んだ休暇だったため、その後積み重なった書類の山に追われることになったのも必定であり……今日ここに至るまで謝罪の連絡をひとつ入れただけで、まともな埋め合わせもできていなかった。
「きっと
もしかして今日もつけてきてくれてる?
……などと調子の良いことをこの状況で言える胆力もなく。腕に押し当てられる感触や温もり、再開された指先の動きにペニスを腫れ上がらせたまま、囁かれる甘い声音に耳を傾ける。
「先生がお忙しいことも、みんなにお優しいことも知ってますけど……特に私とは、こういう関係を結んでいるのですから。私との約束を、どうしても優先できないご事情があっても……せめてご遠慮なく呼びつけて、おそばに置いてください。じゃないと――」
そろりと振り向く。少女のくりくりとした深緑の双眸に、慈愛の色が垣間見える。
「――じゃないと、私。先生が心配ですし……ちょっぴり、寂しいです」
そう言って眉尻を下げつつ笑顔を作る彼女に、私は胸を詰まらせた。
形容しがたい、甘酸っぱい情動に引きずられるまま……彼女の名前を呟いて、肩に手を回し、唇を寄せて――
「と、いうことで~☆」
そこでぱっと立ち上がられてしまい、つんのめった上半身をそのまま寝具に転がされる。
そんな私の無様にノノミはくすくすと、
「今日はおしおきデーにしますっ。きちんとお仕事が終わって、お日様が沈んじゃうまで。いつもみたいにおちんちんがむずむず~ってしちゃっても……私、
おおよそ教師と生徒の間柄にはふさわしくない言葉の羅列をにこやかに並べ立てた。
腕をついて上体を起こした私も私で、まあそれくらいなら――と自分の行いを省みて、この異常なペナルティーを甘んじて受け入れる。
「うんうん。それでは、私は朝ご飯の支度を始めておきますから。お布団が恋しいのも、と~ってもよくわかりますけど――ん、ちゅっ♡」
両のこめかみに指を添えられて、額に口づけられる。たわわに実った乳房が眼前で揺すられて、生唾を飲んでしまう。
「……うふふっ。二度寝も、
人差し指で小さくバツ印を作った後、ノノミはスカートを翻して、上機嫌に部屋を出て行ってしまった。
終始彼女の手の平の上だったなと、情けなさと心地よさのない交ぜになった微妙な心境で……私はふと、あの日の夕方の出来事を思い返していた。
……あの後、紆余曲折の末に私はノノミの提案を受け入れ……いくつかのルールを決めた後に、この関係を結ぶに至った。
一つ。シャーレの当番表の中に、一定周期でノノミだけがシフトに入っている日を作ること。
二つ。報酬は一日あたりの限度額――つまり通常の十倍の給与を、彼女に支払うこと。
三つ。その日は仕事のみならず、私の身の回りから
……常軌を逸した契約だと、自分でも分かってはいた。いくら取り繕おうとも、これは現役の女子高生――未成年を相手取った立派な援助交際で、紛うことなき犯罪だ。
しかし――
そこで鳴り響いた目覚ましの音に、私は現実へと引き戻された。枕元で甲高く叫ぶそれを黙らせながら、もやついた思考を振り払う。
……今日も忙しくなる。過ぎたことに思いを馳せるのは、また時間ができてからにしよう。
ふと下半身に目をやる。よっぽど溜め込んでいたのだろうか、時間が経過してもなかなか治まらない昂りに苦笑しつつ。
苦し紛れに顔でも洗おうと、私は先に洗面所へ向かうことにしたのだった。