※この作品はR-18です。

転生狩人箱庭世界へ   作:髑髏丸

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お待たせしました。次話投稿します。


第二十四話 上位者の力再び

「うぉおオォオオオおぉお!!」

 

初めてアイリスと出会った時に使った上位者の力を解放すると、あの時のように俺の顔には目が開いたような感覚と同時に全身に力が廻って行くのを感じるとそのままドラゴンの元へと突っ込んでいった。

当然ドラゴンは自分に向かってくる俺に対して迎撃しようと息を吸い込んでブレスを吐こうとするが、さっきまでと違って俺の身体能力は上がっているのでそれが来る前に俺はドラゴンの元へとたどり着く。

 

「喰らイやがレぇ!」

 

グォオッ!?

 

ドラゴンがブレスを吐く前に隙だらけとなっていた胴体に向かって剣を振るうと、その巨体に傷をつけること自体は出来なかったがさっきまでビクともしていなかった筈のドラゴンの体が大きく仰け反る。

どうやら上位者の力を解放している時は俺自身に相当なバフが掛かっているらしく、今まで通りが悪かった俺の攻撃が自身の予想を上待っていたのか、ドラゴンは明らかに驚きの声を上げた。

その隙を逃さず続けざまに攻撃を加えようとしたが、いきなり自分の体を仰け反らさせられた事を警戒してか、それを翼の羽ばたきによる風圧によって防がれ、更に空中へと逃げられてしまう。

 

(くっ、アれをどうニかしないト……)

 

流石に上位者の力を解放したからと言って元々俺は飛行能力を持っていなかったし、ヤーナムでも飛ぶと言うより浮いて移動するやつの方が多かった。

勿論、今なら跳んでドラゴンに攻撃する事も出来るが、此処は城壁の上なので万が一跳んでいる最中に叩き落されでもしたら砦の下まで真っ逆さまだろう。

そうなってしまったら死にはしなくてもすぐに復帰する事は出来ないだろうし、その間にアイリスが襲われてしまい彼女がどうなってしまうのかは想像に容易い。

 

(だカらと言って降りてくルまで待つナんて……っ!!)

 

空中へと飛翔したドラゴンに対してどうするべきかと考えていると、あの時と同じように俺の頭の中である光景がフラッシュバックする。

 

それはヤーナムに存在していた組織、医療教会の上級会派である聖歌隊が信奉していたと思われる上位者、エーブリエタースと戦っている場面だった。

 

何故この時の光景が浮かんだのか分からないが、狩人だった時の俺はエーブリエタースから放たれている光弾を必死に避けようとしており、この光景に何の意味があるのか理解できない。

 

(いヤ、待てヨ……)

 

アイリスと初めて出会った時に遭遇した魔獣との戦いではマリアや女王ヤーナムが使っていた血のエンチャントが使えるようになった。

だとしたら、今回エーブリエタースの事が浮かんだのはその時と同じ意味があるのかもしれない。

そして、俺はある事を思い出す。

エーブリエタースは彼方の呼びかけと呼ばれている秘儀を使うことができ、それは狩人が使う事ができる物よりも性能が違い、一部の者はそれがオリジナルではないかと考える者もいた。

実際、狩人が使える彼方の呼びかけは失敗作として扱われてはいたが、その力は確かに強力で聖歌隊以外にも使ってくる奴らもいたくらいだ。

 

(もシかしタら……)

 

エーブリエタースの事が浮かんだと言う事は、と思った俺は一度剣を鞘に納めると両手を上げ、意識を集中する。

すると、俺の両手の間にまるで宇宙を思わせるかのような光が展開され、その中に更に光の球が9つ生成された。

これはまさしく先程浮かんだ光景のエーブリエタースが使用していた彼方への呼びかけであり、俺が上位者になった事で使えるようになったのかは分からないが、今まさに必要としていた物なのは確かだ。

 

「喰ラえ!」

 

これならば空へ飛ばれたドラゴンに対して有効であると確信した俺は展開された光の球が全てドラゴンを狙うように意識を集中させると同時に光の球はドラゴンに向かって放たれる。

それを見たドラゴンは光弾を避けようと空中で回避しようとするが、光の球の弾速に回避が間に合わず命中してしまった。

俺もエーブリエタースのあれには何度も苦汁を味わわせられたからな。まぁ、それを俺が使えるようになるとは思ってもみなかったが……。

 

グォオオオオオ!!

 

いきなり空中への対抗手段を得た俺に脅威を感じたのか、ドラゴンは空中から狙いを定めてこっちに向かって突っ込んできた。

その状況に俺はもう一度彼方の呼びかけを使って迎撃するのではなく、ドラゴンの攻撃を回避してから剣を抜いてすぐに反撃を行う。

 

ガァアアア!?

 

攻撃を避けた直後に反撃した事によってドラゴンは俺の攻撃に反応する事が出来ず、攻撃を受けた事によってバランスを崩した事によりその巨体が地面に倒れこむ。

当然、そのチャンスを逃す訳にはいかず、ドラゴンが体制を立て直す前に少しでもダメージを与えようと追撃をしようとしたが、なんとドラゴンは倒れたまま顔をこっちに向け、さっきまで広範囲に吐いていたブレスを俺を迎撃する為だけに一吹きだけでブレスを放ってきた。

流石に上位者の力を解放している俺でもブレスの直撃を受ける訳にはいかない為、すぐさま迎撃を止めてブレスを回避する。

 

(厄介ナ奴だ…)

 

どうやらこのドラゴンは知性がないケダモノでは無いらしく、さっきからこっちの攻撃に対処したり、力任せのごり押しをして来るような事がない。

 

(こノ感じ、まるデ上位者の相手をしてイるよウだ……)

 

ヤーナムで何度か戦った事のある人智を超えた存在、上位者達。

その中でもアメンドーズやエーブリエタースと言った奴らとこいつはほぼ同じレベルの強さを持っている。

とは言え、俺自身ドラゴンとの戦闘経験がないから一概に強さの比較は出来ないが、それでも強敵なのは間違いない。

 

グオオオオオッ!!

 

「くっ!」

 

俺がそんな事を考えている間にドラゴンは体制を立て直し、さっきと同じようにブレスを一吹きで吐いて来たのでそれを避けると、その隙をついてこっちへ一気に近づいてきた。

どうやら奴は相手を牽制しながら近づくと言う事を覚えたらしい。

空を飛ばなかったのは恐らくさっき俺が彼方の呼びかけを使ったからだろう。

 

「だガっ!」

 

ドラゴンは俺の遠距離攻撃を警戒して近づいて来たのだろうが、それは悪手と言わざるを得ない。

俺自身、遠距離攻撃が得意でないのと、ヤーナムではその手段は限られていた為、必然的に近接戦での戦闘がほとんどだった。

おまけに目の前のドラゴンのように巨大な相手も周回した事で何度も戦った経験がある。

だから……

 

「ソこダっ!」

 

ガァア!?

 

近づいてくると言う事は俺にとって好都合であり、対処も容易だ。

ドラゴンの攻撃を避けるのではなく逆に突っ込んで迎撃した事により、ドラゴンは体制を崩す。

その隙をついて俺は続けざまにアーマーブレイクを使って追撃をしようとしてもう一度ドラゴンに近づこうとした。

 

グゥオオオ!!

 

当然ドラゴンの方もやられっぱなしと言う訳ではなく、俺の攻撃の僅かな隙をついて体制を立て直すと再びブレスを吐いて来たので俺はそれを咄嗟に回避する。

しかし、ドラゴンは俺に反撃を与えないようにする為なのか俺の回避の直後を狙って尻尾をふるってきたので咄嗟に防御の姿勢を取ってその攻撃を防いだが、その衝撃でまた距離を離されてしまう。

 

「グっ……だッタらっ!」

 

ドラゴンの攻撃によって距離を離された俺は再び彼方への呼びかけを使うが、さっきとは違って光の球は5つだけしか生成されなかった。

だが、これは俺が意図的に減らして生成したのだ。

確かに最大数を生成すれば相手にダメージを与える量も大きいかもしれないが、それは状況によって変わってくる。

俺としては敵が目の前にいる状況で毎回最大火力を狙おうとするなんて、隙だらけもいいところだ。

勿論、それが間違っているとは思っていないし、そう言った奴に対して考えを改めろと言うつもりもない。

だが、だからと言ってそれを相手が悠長に待ってくれるなんて絶対とは言わないが、俺だったら間違いなくその最中に攻撃する。

現に俺が戦っているドラゴンは俺が彼方の呼びかけを使おうとしているのを阻止しようとしていたが、その前に光弾が放たれた。

それをドラゴンは避けきれないと判断したのか、翼を盾のように使って光弾を防いでしまう。

けど、それでいい……。

 

「モらっタぁ!」

 

ドラゴンが光弾に気を取られた事により生まれた隙をついた俺は剣を構えて一気に相手へと近づき、その巨体に剣を突き刺した。

今の俺の力と勢いをつけた事により、剣はドラゴンの体を貫いたが……。

 

(浅イ!)

 

俺の身体は上位者の力を持っているとは言え、使っている武器は特に何の変哲もない普通の物だからか手応えが思ったよりも浅い。

これじゃあ……

 

グォオオオオ!

 

「ちィ!」

 

案の定、ドラゴンは俺の攻撃にひるむ事無く俺に反撃してきたので俺はそれを回避するが、その際に剣から手を離してしまいそれがドラゴンに突き刺さったままになってしまった。

今の俺ならば上位者の力を使えば武器無しでも戦えるとは言え、あまり多用するとこの世界を覗いている奴がどう出るか予想できない。

勿論、今の状況で出し惜しみをしている場合ではないのは分かるが、俺自身が上位者の力を理解できていないと言うのもある。

だが、今はそんな事を言ってられない。

 

グオオオオオッ!!

 

(此処だ!)

 

ドラゴンが勢いよく俺に向かって爪を振り下ろしてきた瞬間、俺は素手でその攻撃を弾く。

すると、剣を使って弾いていた時よりも比べものにならないほど腕に強い衝撃が走るが、それと同時にドラゴンの体が大きく仰け反って体制を崩す。

はっきり言って武器を使わずに出来るかどうか一かは八かの賭けに等しいやり方ではあったが、どうにかなったようだ。

 

「こイつも、持ッてけ!」

 

ドラゴンが体制を崩した隙をついて俺は攻撃を弾く際に使った腕とは逆の方の手で彼方の呼びかけを使い、今度は光弾が3つ放たれた。

当然、体制を崩しているドラゴンはそれらを避ける事が出来ず、がら空きの体に光弾が全弾命中する。

 

「おマケだ!」

 

こっちの攻撃のお陰で反撃に移れないドラゴンに俺は更に追撃としてさっき手放してしまった剣の柄に向かって思いっきり殴りつけると、その勢いで中途半端に刺さっていた剣は一気にドラゴンの体へと突き刺さった。

それと同時にドラゴンは更に体制を崩すことになり、強者が今まで一度も膝をついたことがなかったかのように地面へと倒れこんだ。

 

(しメた!)

 

ドラゴンが地面に倒れこんだのを見て、このチャンスを逃す訳には行かないと感じた俺は一気に勝負を決める為にドラゴンの頭の方へ向かおうとする。

しかし、ドラゴンも黙ってやられるつもりは無いらしく、俺に向かってブレスを吐こうと大きく息を吸い込む。

 

「させない!」

 

グオォオ!?

 

その声が聞こえたと同時にドラゴンの頭に俺が放った物ではない光の弾が命中し、予想外の所から攻撃を受けたドラゴンは大きく怯み、攻撃を中断されてしまう。

 

「こレで……」

 

アイリスが作ってくれた隙を無駄にしない為にも、ドラゴンの頭付近まで一気に近づいた俺は右手を獣の腕へと変化させ、ドラゴンの頭へと突出す。

 

「終わリだアぁ!!」

 

そして突き刺した腕に力を込めて引き裂くと同時にドラゴンの頭から鮮血が激しく吹き出し、その返り血で俺の身体が赤く染まる。

ああ……やっぱり、この相手の血を浴びる感覚は堪らないな……。

 

グオォォォ……

 

俺の内臓攻撃がトドメの一撃となったのか、ドラゴンは頭から血を流しながらも俺に向かって憎しみとも取れる眼でこっちを見てくるが、その眼から生気が段々と失われ、やがてその巨体が地面へと倒れ伏せた。

 

「俺ノ……勝チだ……。ぐっ……」

 

ドラゴンが倒れ伏せたと同時に俺は勝利を確信するが、それと同時に全身から力が抜けていき、その場に倒れてしまう。

最後の最後で情けないが、今はとにかく休みたい気分だったので俺はその脱力感に身を任せる事にした。




今年最後の投稿になります。
それでは皆様また来年もよろしくお願いします!
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