敗北からの活動拠点での目覚め。
次のフロムゲーまで何話投稿できるかな……
「……はっ!?此処は?」
目を覚ますと俺は何処かの森の中に横たわっていた。
あの時、突如現れたドラゴンに襲われた際この身を焼かれ俺は確かに死んだはずだ。
だが、体を見回してもカインの鎧には傷一つ所か亡者を切った際に浴びたはずの返り血すら付いていなかった。
「ああ……そうか、あの時と同じってことか」
今の俺はヤーナムで獣狩りをしていた時と同じように疑似的な不死の存在となっているのだろう。
とは言え此処はヤーナムじゃないのだから夢で目覚めることは無い。
だとしたらジャンヌの言っていた不死者とは狩人とは根本的に異なる存在なのだろうが、今はそんな事を考えても何の意味もないな。
それよりも、此処が何処かなのか確認した方がよさそうだ。
「やぁ、目が覚めたみたいだね」
「ん?」
立ち上がって周辺を確認しようとすると、誰かに声をかけられたのでそっちに視線を向けると、そこには黒い体毛の喋る兎がいた。
「……兎?」
「まぁ、確かに兎だけど……一応こんな姿でも、この聖森を守っているんだよ」
「そ、そうなのか……」
喋る兎に驚きつつも周囲を見回してみると俺の視界にある存在が映った。
背中に半透明の羽を生やした小さな存在……つまり、妖精である。
「まさか、此処は妖精の住む地なのか?」
「ああ、そうだよ。君は此処へ運ばれてきたんだ」
「運ばれた?……いや、なるほど」
俺はあの砦で突然現れたドラゴンの襲撃を受け、そのまま殺されてこの森で目覚めた。
恐らくこれはヤーナムで最初に死を迎えた際に狩人の夢で目覚めた時と同じようなものなのだろう。
「ふっ……結局俺は死ねないって事か……」
「そりゃ君は不死者なんだから当り前じゃないか」
そう言う事じゃ無いんだが話がややこしくなるから反論はしないでおこう。
ともかく、俺は第一目標となっていた妖精の地にいるようだ。
そう言えばジャンヌは……いや彼女は俺の目の前で……これ以上は考えたくはない。
「これからどうするか……」
最初に目指すはずだった妖精の地に最悪の形でたどり着いたが、その後はどうするのかは具体的には決めていなかった。
(兎に角、情報を集めないと……)
現在俺はジャンヌから聞いた事以外の情報を持っておらず何故こんな大規模な異常が起きたのか調査する必要がある。
となれば目指すべきは俺が牢屋に入っていた砦の先にあるロストエンパイア城だろう。
それにジャンヌの遺品ももしかしたらあそこにあるかもしれない。
そう思って行動をしようと思って居た時、また兎が話しかけてきた。
「おや、何処かに行くのかい?」
「……ああ、あの霧の正体を知らないとな」
「それじゃあ、まずはリィフと言う子を探してごらん。他の妖精と違って、きっと君の力になってくれるよ」
「……そうか」
どうやら俺の近くに飛んできては煽る感じで適当な言葉を吐いては離れていく妖精とは別に協力してくれる妖精が居るらしい。
別に俺は一人でも構わないのだが、この世界に詳しい奴に当ては全くないし、常識とかそう言った事も知らないのも流石に不味いと思う。
ヤーナムで狩りをしてた時は常識もクソもなかったが……。
取り合えず、そのリィフと言う妖精を探そうと歩き出した時だった。
「なぁ、あんた……」
「ん?」
声を掛けられた方を見ると、そこには鎧を纏った青年が倒れた大木に腰を下ろしていた。
だがその眼には生気が無く、まるで全てを諦めた方な様子だ。
「俺か?」
「ああ……あんたロストエンパイアに行くつもりか?」
「そのつもりだが?」
「……どうやって行けば良いのか分かってるのか?」
「むっ……」
言われてみれば俺はあの場所からこの森に転移していたが、どうやって此処に来たのか分からないし、この世界の地理なんて知っているはずもない。
とは言えあの城は有名みたいだし、その辺の情報はどうにかして集めるつもりではあったけどな。
「その様子だと知らないみたいだな」
「まぁ、あの城は有名だろうから、誰かは知っているだろう」
そう言うと、青年は目を伏せ、ぼそぼそと呟き始める。
「ロストエンパイアはここから北にある。捨てられの森を通って、下水道から淫腐街へ。その先のアイバーン砦を越えればたどり着くはずだ」
「……」
「まずは捨てられの森にいる魔女を訪ねてみな。ひねくれてはいるが、根は親切だから協力してくれるはずだ」
「そうか、ありがとう」
ロストエンパイアまでの道順を教えてくれた青年にお礼を言うと青年はもう一度俺の方を見て少しだけ笑うが、その表情には応援というよりも憐れみを感じていた。
「まぁ、せいぜい頑張りな。お前も俺の仲間みたいにくたばるかもしれねえけどよ」
なるほど、この青年もロストエンパイアを仲間と共に目指していたようだが自分だけが生き残って孤独となってしまい、それによって心が折れてしまったのだろう。
誰かを失う事による絶望、俺にはその全てを理解することは出来ない。
だからと言ってそう簡単に俺が心を折る訳にもいかない。
「悪いが、俺はそう簡単に心を折るつもりは無い」
それだけ言って俺が青年から離れようとした時だった。
「ところであんた、変わった鎧を着ているな?」
「……」
青年は俺の着ているカインの鎧について言及してきたので俺は再び足を止め、青年の方へ視線を向けてしまう。
まさかこの鎧について疑問を抱かれるとは思わなかった。
「そうか?」
「ああ、あんたの鎧はロストエンパイアでもアンドールの物でもない。何処で手に入れたんだ?それ」
まいったな……カインの鎧は間違いなくこの世界に存在しない鎧だから何処で手に入れたなんて説明なんて出来ないぞ。
かと言って適当に誤魔化しても納得してくれなさそうだし、どうしたものか……。
(……いや、待てよ)
俺はこの鎧を誰から入手したのかを思い出し、その時の会話の内容を変えて話す事を思いついたのでそれを話す事にする。
「こいつはある人が俺に託してくれた特別な鎧でな。他で見た事が無いのも仕方ないさ」
「……」
あの少女から鎧を受け取った時の事を大きく変えて青年に話すが、青年はあまり信じておらず、疑いの目で俺を見てくる。
この場を乗りきる為だけの話だから別に疑われてもかまわないが、更に追及されると流石にマズいな。
「……まぁ、そう言う事にしておいてやるよ」
青年は取り合えず納得してくれたようだが、明らかに腑に落ちないと言う雰囲気を出していた。
とは言え、一応切り抜けられた事だし俺も良しとしておこう。
「もう良いか?そろそろ行きたいんだが」
「ああ……呼び止めて悪かった」
「何、その代わり良い情報を貰えたからな」
ロストエンパイア城までの道のりを知れたのは大きい。
情報なしで土地勘の無い場所で歩き回るのは本当に危険だと言うのはヤーナムで嫌と言うほど味わったし、ゲームと現実は違う物だと思い知ったからな。
そこはこの青年に感謝しないと。
「それじゃあな」
そう言って俺は青年の元を離れ、森の北の方へと歩いて行く。
(それにしてもなんだこの森は?一見穏やかな雰囲気だが。何処か違和感を感じる)
森には草木が生えており周囲には小鳥や小動物なども見かける事から自然豊かな感じがするものの何処かおかしいと感じており、なんだか落ち着かない。
(この感じはなんだ……ん?)
俺が森の雰囲気について考えながら歩いていると、木に背中を預けて座り込んでいる中年の男がいた。
だが、中年は先ほど会った青年よりも暗い雰囲気を出しており、何かに対して怯えているようだ。
「おい、あんた」
「畜生……どこまで狙われなくちゃ、いけねぇんだ……」
俺は中年の様子が少し気になったので近づいて声をかけてみるが男は俺に話しかけられた事に気づいていないらしく、俯いたままブツブツと呟き始める。
「黒の裁判……」
(黒の裁判?)
男から気になる単語が飛び出し、その事を男から聞き出そうとした……その時だった。
「なっ!?」
突然男の体が透き通り始め、俺がその事に驚いている間にも男の体は段々と透き通っていき、やがて完全に男は消えてしまった。
「い、一体何が……」
俺の目の前で起きた事は明らかに異常な現象であり、やはりこの場所には何かあるようだ。
(どうやらこの森も安全な場所とはいかないようだな……)
目の前であんな現象が起きた以上、全てを信用できる訳じゃないと認識した俺は更に森の奥へ進んでいく。
やがて俺の視線の先に先ほどの広場で見た妖精たちとはまた違った妖精の姿が映った。
「ふんふふんふふーん♪」
緑色の髪をした妖精はなにやら上機嫌に鼻歌を歌いながら飛び回っており、俺には気づいていない様子だった。
恐らくだが、先ほどの兎が言っていたリィフと言う妖精はこいつなのかもしれない。
それを確認するために俺が近づいていくと妖精は俺の事に気づいたらしくこっちを振り向く。
その妖精の顔を見た瞬間、俺はこう思った……。
こいつは信用できない……と。
信用できないと言ってますが、まだ彼女の本質には気づいていません。
初見でそう思ったのは彼が上位者だからです。