雪の中歩く
私のイーブイは寒さに強いので、防寒具もなく平気そうに歩いている。というか折角用意したのに来てくれないためデッドウェイトとなってギュウギュウの鞄で眠っている
今、なぜ雪の中を歩いているかというと、数少ない友人からバッチを8つ集めたという連絡が来たからだ
バッチはチャンピオンリーグへの参加権、有効な期間は決まっている。今の自分は4つ、まだ折り返したが、既にチャンピオンロードでは多くの人々がしのぎを削っている。
「自転車使えればな」
歩くたびに雪で膝近くまで埋まる。さっきから風が強く守られていない顔が寒いし、先程ユキノオー様と合って全力で逃げる時に体力も結構消耗した。
ふと横を見ると、やはり楽しそうにイーブイは歩いている。寒さにこんなに強いあたり、グレイシアに進化するんじゃないかと睨んでいる。 不意にイーブイが走る。
「ブイちゃんまって!」
イーブイを追うと、雪が無くなっている場所を見つける。直径だけでと身長じゃ足りないくらいの大木の根本に洞か空いている。これはいったい……?
『ブイブイ……ブイ!』
中に入ったイーブイは中を何かを確認後呼ぶように鳴く。入れということなのか?
中に入ると、枯れ葉が沢山、そして動く緑の何か。
「クルマユ様?」
縁起がいい。この地方ではクルマユ様には幾つか逸話がある。震えるクルマユに服を着せたら寒波の時、ハハコモリとなって服を縫ってくれて一冬超えることができたとか、雪崩に飲み込まれたはずの子供を連れて帰ってきてくれるとか。
「クルマユ様お邪魔しますね」
横に座る。地面が不思議と温かい。
最近怒りっぽくイーブイも大人しく座って外を眺めている。流石に疲れたのだろうか。
「イブちゃん、コッチおいで」
カバンからオレンの実を取り出す。結構いいカバンの中でイーブイの防寒具に包まれてたからか、芯まで冷えてない感じだ。皮を手で剥いて半分に分けて、半分を齧りながらイーブイに出すと、イーブイも喜んで食べ始めた。
昔はそのまま食べていたが、皮を剥いてを食べているのを見てから皮を剥かないと食べてくれなくなった。贅沢者め。
「クルマユ様もどうぞ」
場所代として比較的キレイなオレンの実を差し出す。食べてくれたのを確認してから、端末を取り出す。今回向かっている所はノーマルタイプのジム。ジム巡りでは、持っているバッチの数に合わせて使うポケモンをや戦術変えてくるため、強いジムリーダー程ポケモンが弱い序盤に倒した方が良いと言われており、故に先にこのジムは比較的難しいなため、序盤にしたほうが良いと言われている。
「勝てるかな……」
折り返しの5個目のバッチ、相応の手強さのポケモンだろう。
ビュービューと吹いていた風がやんだので、立ち上がる
「イブちゃん、そろそろ行こう」
うたた寝していたイーブイはゆっくり動き出す。そこで、ブルブル震えてるクルマユが目に入る。折角なので、カバンからイーブイの防寒具を出して着せる。
「クルマユ様ありがとうございました。今後もどうか健やかにお過ごし下さい」
そしてジム戦勝たせてください、と声を出さずに祈る
さあ、寒くなる前に進み切ろう。