※この作品はR-18です。

ガラヤのネジ   作:TAMZET

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⌘ふぅん、こんな世界もあったんだね。面白い派生世界だ。
⌘ナチル君とウールーちゃん2号の二人遊びを覗き見てやろうじゃないか。


ガラヤのネジ(前編)

 ナチル・コルベールは机に向かっていた。

 ボサボサの真っ赤な髪が窓から入る夜風に揺れる。

 前髪などまるで錆びた海藻のようだ。

 闇色の布出のパーカーに身を包み、丸い背中をだるんと猫背にしている。

 パーカーを弾き飛ばさんばかりに主張している胸部の張りもなりを潜める姿勢の悪さだ。

 誰か見ていれば、まるで猫そのものと思う事だろう。

 外では鳥だか風だか人の呻き声だか分からない音が、不気味なオーケストラを奏でている。

 だが集中している彼女の耳にはそれらも秋のそよ風に等しい。

 蝋燭の灯りが、部屋にわずかな灯りを作り出している。

 灯の下には壺やらメダルやらよく分からない品々が並んでいる。

 ナチルはそれらの一つ、分厚い辞書のような品を手に取りまじまじと眺めた。

 

「奇品は全部集めたけど、王室(アプス)にはまだ行けない所がある。10階の地図に書いてあった、開かない扉の奥……あそこに、きっと私達の求める答えがある」

 

 そう、ナチルの仕事は迷宮の探索なのだ。

 この巨大な屋敷・ガレリア宮。

 その奥深くに広がる超巨大な大迷宮の探索。

 正確には、迷宮に隠された7つの特別な奇品・特異性奇品(とくいせいきひん)を集める事が、彼女の役目である。

 もっともその契約を結んだのは別の人物であり、彼女はその協力者でしか無いのだが。

 迷宮は広く深い。

 その中を、ユリィカを依代に取り憑いているコーレイトウ率いる人形兵団が旅するのだ。

 内部の探索を進める内、彼女は自分の心の奥深くに眠っていた冒険心がくすぐられるのを感じていた。

 だからこそ7つの奇品が集まった今も探索を続けている。

 

「あの先にある何か、気になる……」

 

 ナチルは顎に手を当て揺れる蝋燭へと目をやった。

 今探索を阻んでいるのは謎の暗号に閉ざされた扉である。

 暗号を解読すれば扉は開く。

 ただ、その暗号が解けないから扉は開かない。

 手がかりもなく、彼女の探索は現在八方塞がりの状況であった。

 とはいえ手(・)がないわけではない。

 その手(・)こそ、彼女が今手にしている奇品・賢者の古書である。

 同居人のインチキ魔女ババアは月の下で読むと死ぬと言っていたが、おそらく嘘だろう。

 これの正体は読んだ者に凄まじい知識を授ける奇品だ。

 とある前(・)例(・)により、ナチルの思考はその正体に辿り着いていた。

 だが、その正体こそが彼女にその奇品の使用を躊躇わせていた。

 世の中に魔法のアイテムなど存在しない。

 強大な力には代償が伴う。

 強大な知識が手に入る代わりに失う物は何なのか……その思考が、彼女に二の足を踏ませていた。

 

「もう一度ユリに頼るか……でも、これ以上アイツに奇品を使わせたら、どうなるか」

 

 そこまで言って、ナチルは首を横に振った。

 賢者ラムダリアの書を読んだ人物……その人物に起きた変化は彼女の想像を絶するものだったのだ。

 これまでバカで、何も考えない事だけが取り柄だったような少女が、その奇品を読んだ途端、ナチル自身でも理解不可能だった暗号を解き始めたのだ。

 その日から彼女の言動は少しずつ変わっていった。

 訳の分からない説明をするようになったり、顎に手を当てて考え込むようになったり。

 

「アイツ、心配だな……」

 

 そう呟き、ナチルは奇品を卓上に戻した。

 怖かったというのもある。

 だが、これ以上この自分の周りを取り巻く日常が変わって欲しくないというのが本音だ。

 ずっとここにいられるわけでもない、なら、ここにいる間くらいは変わらぬ日常を過ごしたい。

 そんな願いと共に、彼女はまた他の奇品へと目をやった。

 そんな時だった、ふと甘い香りが鼻腔をつついた。

 

 「紅茶の香りか……」

 

 ふと机の上を見ると、薄桃色のローズヒップが湯気を立てていた。

 

 ナチルは無造作にそれを口元へと運ぶ。

 ちょっと酸っぱい感覚と共に、熱を帯びた液体が喉の奥へと流れ込んでゆく。

 冷えた身体が少しだけ温かくなった気がした。

 何だかちょっと味が変だが、それはこの紅茶の入れ手に問題があるのだろう。

 そこでナチルは思い至った。

 この紅茶を運んできたのは誰かと。

 候補は2人いる、だが可能性の高い方は……

 慌てて振り返ると、そこにはその可能性の高い方が、くったくない笑みを浮かべていた。

 

「ユ、ユリ!? 起きてたの!?」

 

 ナチルは慌てて手元の奇品をかき集め手当たり次第に机の引き出しの中に突っ込んだ。

 慌てるあまりいくつかが床に散らばってしまう。

 そんな奇品のいくつかを拾い、少女はにこっと柔和な笑みを浮かべ、ナチルへと差し出した。

 ナチルは小声で「ありがと」と囁き、高速でそれらを机の引き出しに叩き込む。

 

 彼女の名前はユリィカ・ド・ソレイユ。ナチルの住む部屋の同居人だ。

 金髪碧眼に小顔と、お人形さんのような顔立ちの少女である。

 ほっそりとした四肢はお嬢様が着るような白のシャツと青い丈長のスカートで隠されている。

 まぁ見た目はこの通りお嬢様だが、中身はただのお人好しのバカなのだ。

 そこら辺で倒れている野良猫がいたら餌をやるばかりか持ち帰って傷を手当し、しまいにはそのまま飼ってしまうバカ具合だ。

 その後に待ち構える領主からの叱責、その後の顛末にまで頭が回らない。

 だが、始末が悪い事にこのお転婆は行動力だけはあるのだ。

 お節介の矛先はナチル自身にも向いた。

 ベッドを明け渡そうとしてきたり、ご飯を勝手に運んできたり、終いには領主に無断宿泊が見つかったナチルを庇ったりもした。

 良いことをしようと空回りし続ける様子を見ていられなくて……ナチルは彼女を助ける事にしたのだ。

 そこから、二人はいろいろな苦楽を共にした。

 コーレイトウの迷宮探索を手伝ってはユリィカがドジを踏み。

 ナチルが拗ねたかと思えばユリィカが機嫌を直しに向かい。

 ある日ナチルはユリィカと共に、ユリィカの実家に赴いた事があった。

 ……そこでナチルは彼女の置かれた待遇を知った。

 よく言えば金を運ぶ鳥、悪く言えば頭の悪い厄介者。

 彼女の父親は彼女の事をまともに見ていなかった。

 その様子にあまりにも腹が立って。

 これまで稼いだ金を全て置いていった。

 こんな金なんかくれてやるからユリィカに2度と近づくな、そんな想いさえあった。

 そこまでこの少女との心の距離が近づいていたのだと、ナチル自身驚いていた。

 そして二人はこの部屋で暮らしている。

 もはやそれがナチルにとっての日常だった。

 そして今夜もまた、いつものお節介がやってきたというわけだった。

 

「ナチ! 夜遅くまでお疲れ様! お夜食持ってきたよ!」

「ありがと。正直腹ペコだったから助かる」

 

 ナチルはユリィカを見て軽く会釈してやった。

 ユリィカもそれに応えるようにぱあっと笑顔になる。

 そう、まるでオジキソウか何かのように、コイツはこういう仕草に答えるのだ。

 しかし、不思議である。

 その不思議をナチルはそのまま口に出した。

 

「アンタは寝ないの? もうだいぶ遅いよ」

「えへへ! ナチが頑張ってるのに、私だけ寝てられないよ。やっとナチの役に立てるようになったんだもん、私も手伝うよ!」

 

 返しは筋が通っている。

 合点も行く。

 だが不思議であった。

 このオジギソウは本当に植物のようで、朝も早ければ夜も早いのだ。

 それがナチルの思考に引っかかった。

 何か裏があるのか、企みがあるのか。

 昔ならあり得ないが、今の彼女には賢者の古書の効果が及んでいる。

 前(・)例(・)とは彼女の事なのだ。

 奇品の効果が及んでいる彼女は今や凄まじい思考力を持つ。

 何を考えていても不思議ではない。

 ナチルは後ろめたさを感じながらも、ユリィカの前でシッシッと手を振った。

 あっちへいけという事だ。

 

「……気持ちはありがたいんだけど、アンタは寝てて」

「ええーっ!? 何で!?」

 

 当然のように彼女は膨れっ面で抵抗した。

 まぁそれもそうである。

 夜食を持ってきたのに終わったらあっちへ行けなど、失礼にも程があるからだ。

 ましてや自分達は蟠りを乗り越えた者同士。

 その関係の中でその仕草をされれば誰だっ傷つくだろう。

 だが、それでもナチルは思考の中の僅かな引っかかりが消しきれなかった。

 指を一本立て、ナチルは早口で話し出す。

 

「奇品の力で頭良くなっても、ドジな所は変わってないでしょ。変な魔道具弄って、屋敷ごとドカンなんて事になったら怖いし」

「ドカンって……そんなのあるの……?」

 

 ユリィカが目をまん丸にする。

 ネコは卵から生まれるんだよと言う言葉を信じる子供のようだ。

 

「へへ。ヒミツ!」

 

 ナチルは悪戯っ子のように笑むと、机に戻った。

 まだ奇品で試したい事もあったが、それよりこの会話を終わらせたかったのだ。

 対する不信を抱き続けたまま、彼女と会話をしたくなかったのだ。

 ユリィカの足音が遠ざかってゆく。

 ベッドがギシリと音を立てる。

 ゴソゴソと布団が動いてゆく。

 そこまで確認し、ナチルはふぅと息を吐いた。

 瞬間、ベッドの方から声がした。

 

「ねぇナチ? 私に隠してる事、ない?」

 

 先程よりも明らかに低い声であった。

 心臓がいきなりバクンと跳ねた。

 何に勘付かれたのか? 

 不信に? 

 今の会話で? 

 ユリィカからは聞きたくない声のトーンに、これまでの日常がいきなり非日常の冷たい怖気を帯びる。

 

「どしたのいきなり。そりゃ、誰だって隠し事の一つや二つあるでしょ。アンタだってそうじゃん」

 

 流行る鼓動を抑え、ナチルは努めて冷静に答えた。

 その返しに、ユリィカは「うん……」と答えた。

 どこか寂しそうな声色であった。

 それっきり、ベッドから声は聞こえなくなった。

 少しして、綺麗な寝息が聞こえてくる。

 

「ごめん……ユリィカ」

 

 ナチルは心の中でそう呟いた。

 

 


 

 夜も更け深夜。

 東の国ではこの時間を丑三つ時とも言うらしい。

 よくは知らないが、幽霊の出る時間だそうた。

 それがなぜ牛が3匹いる時間なのかは分からない。

 東洋の神秘の一つである。

 

 蝋燭の火を消し、ナチルは一つ大きく伸びをした。

 ベッドからは相も変わらず可愛い寝息が聞こえてくる。

 ナチルは猫背をぐいっと伸ばすと、ポケットに手を突っ込んだままベッドへと向かった。

 寝巻きを脱ぎ、下着姿になる。

 少し大人っぽい黒の下着だ。

 ベッドの中には、金髪をふぁさっと散らばらせ眠るオジギソウ姫の姿があった。

 両手は頭の横に添えられている。

 育ちの良さが滲み出ているようだ。

 

「このまな板め。いつか、元のバカなユリィカに戻してやるからな」

 

 手触りの良い金髪をワシワシと撫ぜ、ナチルは彼女の隣へと器用に潜り込んだ。

 ベッドの中はほんのりと温かく、まるで待っていたかのように彼女を迎え入れた。

 ひんやりと冷えた自分の裸足が、ホカホカの小さな裸足にぶつかって不思議な感覚が生まれる。

 そんな感覚を楽しみながら、ナチルは目を閉じた。

 もう一度目を開けた時にはまたいつもの日常が始まる。

 そう信じて、意識のチャンネルを切った……

 

 瞬間であった。

 

 ゴソゴソゴソゴソッッ!! 

 

 布団の中の裸足が凄まじい速さで動いた。

 寝返りなどではない、明らかに意志を持った速度の動きであった。

 緩み切っていた意識が瞬時に覚醒した。

 

「(何が起き……!?)」

 

 考える間もなく、開けた口の中に何が生温かいものが突っ込んできた。

 先が尖っている……その何かは容赦なく喉の奥へと侵入し、呼吸器付近の自由を完全に掌握した。

 

「モガモガ……」

 

 耐え難い異物感が喉の付近を駆け巡る。

 嘔吐を強制される直前の、そのギリギリを責められているような感覚だ。

 息も満足に吸えない。

 

「ぐ…………え……おえ…………っ」

 

 真っ暗な視界が混乱と息苦しさでぐにゃぐにゃ歪む。

 噛んでやろうと顎に力を込めるが、全く力が入らない。

 何か自分の身体に起きていると言うよりは、生物的な反応で噛めない感覚だ。

 混乱に思考がまとまらないまま、手を動かし口に入った異物をどけようとする。

 しかし、その動きはまたしても阻まれた。

 何やら重いものが体を押さえつけたのだ。

 人の体重と同じくらいの重さであった。

 足をばたつかせてもそれはピクリともしない。

 両腕はその何かに押さえつけられている。

 混乱に涙が出そうになる中、ふと暗闇から声がした。

 

「しーっ……大きな声出すと、オババ様起きちゃうよ」

 

 それはとても聞き覚えのある声だった。

 さっき聞いたばかりの、低く冷たい声。

 それがユリィカの声だと分かるのに、数秒を要した。

 そしてその理解が追いつくと共に、ナチルは今自分が置かれている状況へと理解が追いついた。

 眠ろうとしていた自分は、いきなりユリィカに口を封じられたのだ。

 両腕は細い手と膝に押さえられている。

 そして彼女は自分の真上から覗き込むように話しかけてきているのだ。

 

「(ユリィカ!? 何でこんな事……)」

 

 耐え難い喉の異物感に耐えながら、ナチルは思考を巡らせる。

 当然、彼女にはユリィカがこんな事をする理由など思いつかない。

 そもそも彼女はそんな色恋沙汰とは無縁の少女という認識だった。

 

「(夢かもしれない……てか、こんな事あるわけない! 奇品が見せる悪夢? でも……)」

 

 しかし、喉を襲う異物感がすぐさまその考えを否定した。

 この感覚は現実のものだ、そう訴えかけてくるのだ。

 四肢を押さえつける力はあまりに強い。

 それでも抵抗をしていると、またユリィカの低い声が聞こえてきた。

 

「私、ナチの本当の気持ちが知りたいんだ。頭の中にずっと残ってる小さなモヤモヤをはらしたいの」

 

 言っている事の意味は分からなかった。

 それを問い正そうにも、喉が動かせないので声は全く出せない。

 そんな状況下でナチルは不思議な感覚が股の奥底から湧き上がってくるのを感じていた。

 こんな酷い目に遭っているのに、不思議と子宮のあたりが温かくなってくるのだ。

 切なさが堪えきれなくなり、腕を股の下に伸ばしたくなるあの時の感覚に近い。

 視界の中の黒い影は不思議そうに首を傾げた。

 

「あれ? 薬の効きが悪いのかな。だったら、こうやって気持ちよくすれば……」

 

 そう言うや否や、黒い影は手を動かした。

 動かした……どこに……? 

 予想される感触にナチルは全身を硬直させる。

 その感触は確かに数秒後襲い来た。

 だが、その場所はナチルの予想を遥かに超え場所であった。

 股……ふくらはぎから膝の辺りを、滑らかな指腹の感触がつつーっと登ってくるのだ。

 くすぐったい感触と共に、ナチルは今されている事の正体へと思考を巡らせる。

 そんな間も、手はまるで蛇のように股座を侵略し続ける。

 膝から太ももへ……

 太ももから鼠蹊部へ……

 

「や、ひゃめ……ッッ!?」

 

 ナチルはたまらず声を漏らした。

 口内を手で塞がれているが故にまともな声は出せない。

 当然、蛇の侵略は止まらない。

 ナチルは力を振り絞り、全身を揺らして抵抗した。

 ユリィカの小さな身体を振り落とそうとしたのである。

 しかし抵抗も虚しく、ユリィカは慣れた手つきで下着を剥き、裸になった恥穴へと到達した。

 自慢じゃないが男性と関係なんてない。

 もちろん手入れなんてしていない。

 滑らかな指先は、真っ赤なジャングルのゼンマイをつまむと、クルクルと弄ぶ。

 されている事はとっくに理解している。

 絶対にユリィカには見られたくなかった、自分の暗部……恥部……

 羞恥心が思考を埋め尽くす。

 とにかく、やめさせなければ……

 ナチルは精一杯の力を振り絞ると、またをぐいっと引き、力いっぱいかち上げ……ようとした。

 しかしそれは未遂に終わった。

 それを察知したかのように、口の中のユリィカの手が動き、喉の奥を引っ掻いたのだ。

 

「あご………………ごほっ……」

 

 喉の奥、丁度嫌悪感が最大になる点を的確に引っ掻かれたのだ。

 気持ち悪い……気持ち悪いはずなのに、何故だろう。

 お腹の奥、子宮の辺りがどんどん熱くなる。

 グツグツと鍋を煮えたぎらせるように。

 それから注意を逸させるように、ユリィカの指が喉を引っ掻いてくる。

 

「げ…………ぐふ…………」

 

 意識が、嫌でも喉の奥に集中させられる。身体の他のところに、意識が行かない。

 ふと、股の奥で衝撃が爆ぜた。

 

「ッッ!?」

 

 衝撃の正体はすぐに分かった。

 いつも自分がやっている事だからだ。

 蜜豆を摘まれたのである。

 それも程よく快感を感じられる的確な力加減で。

 ユリィカのもう片方の手が私の蜜豆をクリクリと弄ってくる。

 何という熟れた手つきであろう。

 自分が弄っているより、格段に上手い。

 的確に快感を蓄積させてくるのだ。

 ナチルは動かせない喉で何度もえずき、スタッカートの効いた甲高い矯正を漏らす。

 そんな彼女の元へユリィカが口元を近づけた。

 柔らかな口元の摩擦音が鼓膜を撫ぜる。

 それ程に近い。

 

「ナチ……どう? 今どんな気持ち?」

「ひもち……わ…………」

 

 ナチルは喉から声を振り絞り、答えた。

 喉を動かすたびユリィカの長い爪先が喉の粘膜を引っ掻いて気持ち悪かった。

 その間も蜜豆はクリクリと弄られている。

 カリカリカリカリカリカリ…………

 クリクリクリクリクリクリ…………

 苦しみと快感の二重螺旋。

 行き場のない感覚は

 そんな中、ナチルは自分の喉が勝手に動き始めるのを感じていた。

 

「喉、上手く息(のろうまふいふぃ)……できなくて(れふぃなふへ)……でもお豆の所(おまめのふぉふぉろ)……気持ちいい(ふぃもふぃふぃい)……」

 

 強烈な違和感であった。

 喉を動かせと命令した記憶はない。

 自分の口から出た言葉を自分の耳で聞くという違和感。

 不気味な感覚の正体を考察するナチルの前で、ユリィカは「あはは!」と楽しそうに笑った。

 まるで悪戯が成功した子供のような、無邪気な笑みであった。

 

「やっと効いたよー! こんなに効くのに時間がかかるなんて知らなかったなぁ」

 

 いつの間にか、蜜豆を弄くる手が止まっている。

 下半身を襲う強烈な媚痛と切なさを堪えつつも、ナチルはユリィカの青い瞳を覗き込んだ。

 知りたかったのだら彼女が何をしているのか。

 自分の身体に何が起きているのか。

 ユリィカはそんな彼女の思考を読んだかのように、嬉しそうに話し出した。

 

「不思議だよね、何で本当の事言っちゃうのか」

 

 ユリィカはこれまで股の所を弄っていた手をピッピッと払い恥液を飛ばすと、ナチルの寝巻きのポケットに手を突っ込んだ。

 中には何か硬い感触がある。

 

「答えはこれ。見覚えあるよね」

 

 ユリィカはその何かを取り出すと、ナチルの目の前にぐいっと差し出した。

 アンモニアのキツい匂いに混じって、何やら錆びっぽい匂いが鼻についた。

 

「(なに…………これ……?)」

 

 真っ暗な部屋の中でその何かが、窓から漏れる月の光に照らし出される。

 その何かは、ねじれた形をしていた。

 丸い頭部に、下半身はネジネジと捻れている。

 ねじ……ネジ!? 

 ナチルはとある結論に思い至った。

 

【ガラヤのネジ】

 

 それは7つある特異性奇品の一つである。

 このネジは他の奇品と同じく特殊能力を持っている……所有者は嘘(・)が(・)つ(・)け(・)な(・)く(・)な(・)る(・)という効果だ。

 これを何かに利用した事は無かったが、その効果の程は以前の実験で裏が取れていた。

 だが……

 

「(これ、机の引き出しの中にしまったはずじゃ……)」

「ナチ、おっちょこちょいだよね。ナチが奇品を落としちゃった時に、これだけポケットの中に入れておいたんだよ?」

 

 心の中を読んだかのように、ユリィカはクスクスと笑った。

 歌うように彼女は続ける。

 

「これがあれば、ナチが本当に考えてる事が分かる。どれだけ頭が良くなっても、人が考えてる事はわからないんだ。ナチは嘘つきだから、なおさら……だからね、私知りたいんだ。ナチが何を考えてるのか!」

「ッッ!?」

 

 瞬間、蜜豆への責めが再び始まった。

 それは先程までとは比べ物にならない程に激しく、まるで電動の器具で責められているのかと錯覚するほどである。

 グリグリグリグリグリ…………

 グリグリグリグリグリ…………

 

「ねぇナチ? 気持ちいい? 今気持ちいい?」

 

 ナチルは必死で首を振って抵抗しようとする。

 だが、本人の意思とは裏腹に、その首は何度も縦に振られてしまう。

 その反応をユリィカは笑い、さらに責めの手を強めた。

 

「あ…………ッッ…………!? ご……ご……」

 

 すぐにでも矯声を上げてしまいたい。

 アンアン言ってよがってしまいたい。

 けれど、それは許されなかった。

 ユリィカが抑えている口内の不快感が、それを許さないのだ。

 快感を絶妙に打ち消してくる不快感。

 活火山の上にあるちり紙一枚ほどの不快感が、ナチルの絶頂を許さない。

 それでも、蜜豆を弄る手の動きは激しさを増してゆく。

 子宮の中にある快感の壺は、既にグツグツと煮え立ち、今や今やと解放を待っている。

 本来ならとっくに爆発している快感を子宮の中に蓄え続けているのだ。

 お腹が焼け落ちそうなほどに熱い。

 顔の横を涙が伝う……その涙が冷たく感じる程、熱くなってしまっている。

 

「(だめ……もう…………イきたい……苦しいのやだ……イッちゃいたい…………!!)」

 

 ナチルは必死に意識のターゲットを、喉の奥から股の方へとシフトさせようとした。

 少しでも不快感が無くなれば、絶頂できる。

 溜まりに溜まった快感を爆発させられる。

 そうすれば……

 ナチルは隙を窺う。

 またを襲う指の動きが強まる瞬間を、喉の責めが弱まる瞬間。

 どれ程の時が経っただろう、その瞬間は訪れた。

 一瞬、ユリィカの喉の責めが緩んだのだ。

 瞬間、ナチルは股下に全意識を集中させた。

 子宮の壺の蓋が、爆薬でも仕掛けたかのように凄まじい勢いで弾け飛んだ。

 

「ッッッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ゥゥッッッッッッッッ!!?」

 

 絶頂の瞬間であった。

 ナチルは全身を痙攣させ、背をこれでもかと言うほどに海老反りにさせた。

 恥穴からは溜めたに溜めていた快感と共に、高熱の潮がぷしゃあと噴き出る。

 潮はさながら噴水の如く布団の上へと撒き散らされた。

 これまで一人遊びしかしてこなかったナチルが初めて感じる、狂気の快感。

 快感の波が凄まじい速度で蜜壺から脳へ、脳から蜜壺へと駆け巡る。

 全身を痙攣させ続けていたナチル……ユリィカは喉に入れた手をぐいっと動かした。

 喉の奥を強く引っ掻いたのである。

 呼吸器が反射でひきつけを起こし、快感が不快感と正面衝突する。

 

「ごぎゃっ!?」

 

 ナチルはこれまでの気持ち良さげな痙攣とは打って変わり、ビクゥンッと腰を跳ね上がらせた。

 ユリィカの小さな身体が軽く浮いてしまうほどの凄まじい力であった。

 ナチルは「ひゅ……ひゅ……」と乾いた息を漏らし、両目をカッと開いてベッドの天蓋を睨んでいる。

 そんな彼女の様子に、ユリィカは笑んだ。

 窓から刺す月明かりが彼女の表情を照らし出す。

 その表情は狂喜に歪んでいた。

 

「かわいい……ナチの喉の奥、震えてる…………! 身体はこんなに喜んでるのに、頭では苦しがってるんだね! はぁ……かわいい…………」

 

 ユリィカはナチルの身体をひとしきり撫で回すと、ナチルの喉から手をスッと引いた。

 粘っこい唾液が綺麗なその手をベトベトに汚していた。

 ユリィカは唾液に塗れた指と恥液に塗れた指を両方口に咥えると、くちゅりと咀嚼した。

 

「ねぇ、ナチの唾とお股の味……どっちも酷い味だよ、ねぇ……」

 

 瞬間、ユリィカの言葉が途切れた。

 

ガッ! 

 

 鈍い音と共に、彼女の身体がベッドの上に倒れる。

 何が起きたのか……

 ナチルが上体を起こし、ユリィカの顔面を殴りつけたのである。

 

「この……ッッッッ!! よくもやってくれたな!!」

 

 ナチルは動かない腰を引きずるようにしてベッドの上を這うと、ユリィカの上に馬乗りになった。

 そして拳を振り上げた。

 そこでふと、光が差した。

 窓から刺す月明かりが、ユリィカの表情を青く照らし出したのだ。

 彼女は笑っていた。

 それも嬉しそうに。

 目の周りに紫のアザを作っているのに。

 それでも嬉しそうに笑っていた。

 

「ナチ……気持ちよかった?」

 

 ユリィカは屈託ない笑顔でそう問うた。

 

「あんなの……気持ち良くなんかないッッッッ!!!」

 

 ナチルは憤怒の形相でそう答えた。

 殴ろうとしていた拳を解き、そのままユリィカの下着のホッグを掴み倒した。

 余程の力で掴んだのだろう、ホッグはブチリと音を立て、簡単に千切れてしまった。

 ユリィカはそれでも笑っていた。

 そして、ナチルに問いかけた。

 

「本当は? 本当の事教えて……?」

 

 本当に気持ち良くなんかない……

 奇品のせいで本当におかしくなったんだね! 

 アンタとはもう絶交だから! 

 そう答えたつもりだった。

 だが、ナチルが己の耳で聞いた台詞は、そんな心の声とは全く違っていた。

 

「すっごい、気持ちよかった。けど、完璧にイけなかった!! だから……もっとして……欲しい…………」

 

 自分で言った言葉が信じられなかった。

 そしてナチルは思い出した、自分が今持っている奇品・ガラヤのネジの効果を。

 この奇品の所有者は、嘘がつけなくなる。

 

「(なら、さっきの言葉は……ワタシの本心…………?)」

 

 震えるナチルの視界の中で、ユリィカがにいっと笑った。

 その笑みは、いつもの彼女の笑みと変わらない。

 だが、それがとてつもなく怖かった。

 狂気すら孕んでいた。

 

「分かった。じゃあ、もっと滅茶苦茶にしてあげるね!」

 

 ぐちゃぐちゃに濡れたナチルの股の下で、ユリィカは本当に楽しそうに頰を歪めた。

 二人の夜はまだ続く……




魔法使いプリキュアを観ていたらなんかムラムラしてきたので書きました。
短い小説なので次で完結です。
とっとと書きます。
誤字脱字あったら教えて下さい。
感想、評価等くれるととっても嬉しいです。
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