突然だが少し考えて欲しい。もし2度目の人生があるとしたら君は何をしようと思うだろうか。
前世での知識、教養を活かして無双する?それとも…あんまり思いつかないけど色々やれることはあるだろうけど俺に思いつくのはその程度だ。
というか現実的に考えて2度目の人生とかあるわけないじゃん。
しかも前世の記憶を持って生まれるとかそんなことあり得るかよ。
何度か人生のやり直しを考えたことも少なくはないし、もし過去に戻れるなら何度もやり直して正解を選んだことだろう。
正解が分からなかった俺は人生の選択肢を間違い続けた結果。
自殺という道に至ってしまった。社会人2年目にして鬱病を発症し、自宅にて首を吊って死んだ。
取り敢えず死んで分かったことは人間なんて信用出来ないってことだ。
2度目の人生は極力人と関わらないようにしよう。そう心に決めた。
そんなことを頭の中で思い出していると始業式が終わった。
既にグループが形成されつつある我がクラスで俺は既に孤立し始めている。
というか始業式、つまり高校一年生としての生活が始まったばかりだと言うのに既にグループが出来始めてるとかこいつらのコミュニケーション能力は化け物か。
ぞろぞろと講堂から生徒が出て行く。最初は三年が出て行き、次に二年、そして最後に俺たち一年が。と言うわけで俺も流れに乗って講堂を出て自身の教室へ向かう。
先生の静かに移動しろと言う声が聞こえたが、一年生が静かに移動するかと言えばそう言うわけでもなく。
「マジあの校長話長すぎなんだけどw」
「ねぇ〜w最早子守唄なんですけどw」
ガヤガヤするのも仕方ないだろう。新しい制服に身を包み新しい友達とやらが出来て青春を楽しむのだろう。
そんな奴らを後ろから眺めつつ、ゆっくりと教室へ向かう。
「今日は快晴だな」
窓から見える青く澄み切った空。俺の心とは大違いだ。
引き戸を開けて中へと入る。俺が最後尾と言うこともあり、もう既に俺以外のクラスメイトは自身の席に座っている。
とは言ってもほとんどの生徒が誰かと喋っている。俺は静かに自身の席である窓際の一番最後。つまり最高の位置に俺の席はある。
席に座ると前の席の男子が振り返ってこちらを見始めた。
「ねぇねぇ、君さ!名前なんて言うの?俺山田!」
白い歯を見せながらこちらに手を差し出す山田と言う男子。
「…どうも。犬塚です」
俺は手を出すこともなく、目も合わせることもなく自身の苗字を言って会話が終わることを願った。だがそんな願いは呆気なく砕けちる。
「犬塚さんは彼氏とかいんの?」
少し興奮気味な山田に引きつつ俺は「いません」とだけ答える。
その答えが余程嬉しいのか山田の表情は徐々に変わり笑顔になっていく。
彼氏がいないのがそんなに喜ばしいことだったのだろうか。とてもじゃないがいい性格とは言えないだろう。
「ねね!ライン交換しよっ!」
何が楽しいのか山田は笑顔満点にスマホを取り出して素早く操作すると液晶画面をこちらへ向けた。そこにはラインのQRコードが映っている。
心底嫌だが、ここは素直に応じてさっさと会話を終了させよう。
俺もスマホを取り出し操作する。
「初めての女子ゲット〜!」
俺のラインなんてもらって何が嬉しいのだろうか。よく分からないが喜んで貰えたのなら良しとしよう。
「後でさ一緒にカラオケなんてどうかな?」
よく初対面の人間を誘えるな。俺には到底無理だ。
「いえ、結構です」
「じゃあさじゃあさ!スタブとかどう?」
スタブに興味がないわけではないが、値段が高すぎるし、それならスーパーでカフェオレ買った方がいいと思ってしまう。
「結構です」
早くこの会話が終わって欲しいが、一向に終わる気配がない。
何だこいつ。メンタル鋼か?普通一回断られたらもう誘わないだろう。
「じゃあさ、空いてる日教えてよ。俺も合わせるからさ」
何なんだよこいつ…。流石に呆れるぞ。
「いやあの…結構ですので」
何だその顔は。えっみたいな顔をするのやめろ。そろそろ気づけ。避けられてるの。
「あ〜…じゃあまた今度ね!」
そう言って山田は前を向き他の生徒と話し始めた。
やっと諦めてくれたか。俺は喧騒をBGMに外を眺めた。
担任教師の話も終わり俺たちは下校を許された。
俺はそそくさと教室を出ていこうとしたのだが。
制服を引っ張られ「ぐえっ」と声を漏らしてしまう。
制服を引っ張った奴の顔を知るためにも俺は後ろを振り返る。
振り返るとそこには銀髪ショートカットの女子がいた。
「えっ…で、デカ…」
170はある高身長女子に俺は思わず後退りしてしまう。ちなみに俺は145しかない。だから思わず口に漏れてしまった。
「あんた危なかったよ」
そう言って高身長女子は短い銀髪を靡かせて颯爽と教室を出て行った。
何が危なかったのかを説明して欲しかったのだが、彼女はそれをせず立ち去った。
何かは分からないし、俺はゆっくりと教室を後にした。
ーーー
「お、ねぇーちゃん。おかえり」
家に帰ると廊下ですれ違った弟にそう言われて俺はただ静かに頷き自身の部屋のある二階へと移動する。
ここで少し俺の弟について説明しておこうと思う。弟は所謂天才という奴なのだ。まだ中学一年生だというのにあらゆる検定を取り尽くし、株やらYouTubeやらで彼の貯金は既に三億を超えているそうだ。
そんな弟に対して姉の俺はまさしく平凡そのもの。成績は中の上で見た目のそこそこ。胸もそこまで大きいわけでもなく、スタイルも平均的。
何か持っていると言えば前世の記憶くらいだ。
部屋に入り、俺は制服を脱ぎ適当な部屋着に着替えベットにダイブする。
ゴロゴロとしてる間に既に眠くなってきたので目を閉じて深い海に落ちていった。
ーーー
僕の姉は少し変わってる。昔から僕と会話というものをほとんどしたことがない。交わしたとしても業務連絡のような会話のみ。友達も作らない姉は昔からいじめられていた。服をズタズタにされても、靴をびちょびちょにされても。体操服を捨てられても。トイレの際に水をぶっかけられても。カッターで体を傷つけられても。綺麗な黒髪を切られても。
シャーペンで刺されても。殴られても、蹴られても。全く反応しない姉に周りはいじめることをやめたようだった。寧ろ手を出さなくなった。気味が悪いと。
両親は姉に興味すら持たなかった。例え姉がどんな目にあっていたとしても両親は何も聞かないし何も行動しなかった。
だから僕が裏で手を回して姉に手を出した奴らを地獄に送ってやった。
全員僕と姉に頭が上がることは一生ないだろう。
まあ実行犯は僕じゃないけどね。
今頃姉は寝ているだろう。いつものことだけど、たまには夕飯を作って欲しい。姉のエプロン姿は背徳的で興奮するし、何より料理腕はこの家の中で一番だ。味付けは薄めだけど凄く美味しいのだ。
僕は今165しかないからあまり身長差はないけど、高一で145しかないロリ姉は最高に綺麗で可愛いのだ。
シスコンだと言われたことはないし、恐らく普通だろう。
さていつも通り姉の撮影に向かうとしよう。僕は自身で稼いだ金で買ったカメラで寝ている姉を連写する。
5歳の頃から姉を撮り続けているが、本当に姉は変わらない。
身長は少しだけしか変わらないし、胸も可愛いものだが、感度は高い。
さて、200枚ほど撮ったところで僕は姉の体を舐め回して部屋を後にした。
ーーー
夜起きると何故か体の一部がベトベトしているが、何故だろうか。
俺が8歳くらいからこの現象に悩まされている。
2度目の人生だからだろうか。でもそんな妖怪みたいなのいるのだろうか。この世界には。
まあともかく夕飯は弟が作っているだろうし、俺はそれを食するためにも体を起こして部屋を出た。