そこそこ作業も進み休憩時間の十分となる。基本的にパソコンを使った授業は二時間連続なので結構嬉しい。
褒められたことではないが、俺も裏で音楽を流しながら作業をしていた。
というか多分大体の生徒がしている。
というのも割とこう言う曲流すわとか教室で言っていたのを聞いていたからである。教師は黙認しているのか、知らないのか。
まあどちらにしてもやる気も出るし、眠たくならないので俺としてはOKだ。まあ悪いことしてるって自覚はある。
でもまあ誰かに迷惑をかけているわけでもないので大丈夫だ。
それに音楽が流れているからあまりタイピング音も気にならないしな。
ベッドホンを外して背伸びをする。デスク作業は何気に疲れるし、少し廊下でも歩こう。
俺が立ち上がると茶髪さんも立ち上がった。トイレだろうか。
「どこ行くの?犬塚ちゃん」
「散歩」
「散歩か。いいね、あいつらも連れて行こう」
そう言って茶髪さんは皆んなに声をかけに行ったので、俺は一足先に部屋を出ることにした。
ーーー
休憩時間はそこまでないので移動を含めて近場の踊り場に移動した。
俺が部屋を出てすぐに皆んなが駆け足でやってきたことで俺は秒で緑髪さんに捕まり今抱っこされながら皆んなと会話をしている。
俺を使って筋トレでもしているのかというぐらい緑髪さんと青髪さんが俺を抱っこするのである。
というかそれが普通になりつつあるのどうかと思うのだが、移動は楽だし、少しだけ寝れたりするので利点もあるにはある。
だが元社会人男性がJKに抱っこされるというのは中々…。
大人として恥ずかしくないんですか?なんて言われた日には寝込むこと間違いない。
今は夜一人に歩いていると補導されるくらい見た目がロリになってしまったが、中身は男なのだ。二十歳の男だぞ。むん。
「犬塚ちゃん部活には入らないの?」
おっと。自分の世界に入っていたので会話を少し聞いていなかった。
部活の話か。
「入らない」
「そっか。じゃあ俺と一緒で帰宅部だね」
ふむ。どうやら茶髪さんは結局なんの部活にも所属しなかったのか。
中学時代何か部活していたはずだが。高校ではやるつもりがないのか。
「犬塚ちゃん。海斗が部活やらない理由何かわかる?」
金髪さんが唐突にそんなことを聞いてきた。茶髪さんが部活をしない理由……。特に今までの会話を振り返ってもその理由らしきものは検討がつかないが。
「友希!お前、それは内緒だって…!」
「折角なら知ってもらったほうがいいじゃんw犬塚ちゃん鈍いっていうか、なんか敬遠してそうだし」
「?」
「確かに犬塚ちゃんはそう言う所あるもんね」
そう言って青髪さんは俺の頭を撫で始める。一体何の話だろうか。
「海斗は犬塚ちゃんが危ない時、いつでも駆けつけられるように部活をやってないんだよ」
「………なんで?」
「そりゃ海斗が「友希」
金髪さんの言葉を遮って低い声を出す茶髪さん。横顔を見る限りちょっと怒ってる?
「…悪い。余計なお節介だった」
「…気持ちは嬉しいけどな」
「?」
「あ、そうだ犬塚ちゃん。今度試合あるんだけどさ、応援に来てくれない?」
赤髪さんがそう言って話を変えてきた。赤髪さんはサッカー部だったな。
もしかしてもうレギュラーか?凄いな。
「分かった」
「来てくれるんだ。良かったぁ〜…サッカー部の奴らも喜ぶよ」
「どうして?」
「皆んな犬塚ちゃんと仲良くなりたいんだよ。学校で噂のお姫様だからね」
お姫様ってなんだ…?何がどうなってそんなことに…?まあ仲良くってのはいいんだけど…。
「元々私たちは瑠衣の応援に行こうって話はあったんだけど、犬塚ちゃんに伝えようか結構話し合ったんだよ?」
そうだったのか。俺と話してる時にそんな話は出てなかったから知らなかったな。まあ裏でやりとりしてたんだろうけど。
あれ?ということは俺抜きのグループがあるということで…。もしかして俺への愚痴とか悪口言われてるのでは…?
「犬塚ちゃんさえ良ければなんだけど、出来れば犬塚ちゃんの手料理が食べたいなー…なんて」
緑髪さんがそう言って横から覗き込んでくる。ちょっと不安そう。
この人数分の弁当か。作れなくはないけど入れる物がないな。
「弁当代は私たちが出すからお金のことは気にしなくていいからね。弁当箱も私たちが買ってくるし、何か足りないことがあっても言ってくれればすぐに用意なりするから安心してね」
な、なんて手厚い…。そんなに弁当が食べたいのか…。
「分かった」
「あ、そろそろ戻ったほうがいいね。戻ろっか」
青髪さんがスマホで時間を確認し、そう言ったことで全員がコンピューター室へ向けて歩き始める。俺は抱き抱えられたままである。
ーーー
授業も終わり放課後。俺は茶髪さんと一緒にサッカー部の練習を覗いている。というのも茶髪さんに連行されたからである。
なんか問答無用で連れてこられた。茶髪さんは楽しそうに練習を眺めている。理由がありそうだけど、特に会話もないので分からない。
サッカーは前世で少し齧っていたが、もう記憶がない。ど素人より少し動ける程度だろう。でもこの体体力あんまりないし、鈍臭いからなぁ…。
また皆んなと走ろうって話は出てるけど、遠坂さんとの事が片付かない限り出来ないしなぁ…。
「犬塚ちゃん」
「何でしょうか」
「…俺はもっと君のことを知りたい。どうしたら俺たち…俺を信じてくれるかな」
「………」
「俺も友希も瑠衣も明日花も結も。君の過去も今も全部知りたい。これは我儘かな」
「…我儘」
「犬塚ちゃん。今から君のことを一歌って呼んでもいいかな」
「………好きにすればいい」
「ありがとう。それじゃああいつらにも伝えないとな。今度からは一歌って呼んでいいって」
「…………」
「一歌ちゃん。良かったらこの後うち来る?妹がさ、一歌ちゃんに会いたがってるんだよね」
「遠慮する」
「そこをなんとか出来ないかな」
「……いつか行く」
「ありがとう!そう言ってくれて嬉しいよ!近いうちにお願いね」
「…ん」
どうやらしたい話は終わったようだし、俺はそろそろ遠坂さんのところへ行かないとな。
「帰るの?」
「ん」
「なら送るよ」
「いい」
「友達なんだから気にしなくていいのに」
「……友達なの?」
「えっ?一歌ちゃんと俺たちは友達じゃないの?」
「……よく分からない」
「そっか。…ならゆっくり知っていけばいいと思うよ。きっと一歌ちゃんにもわかる日がきっとくるから」
そんな日が訪れるのだろうか。……友達か。
「一緒に帰ろう。一歌ちゃん」
「…………ん」
俺は差し出された手を、どうしてか振り払いたくなかった。
ーーー
「はっー♡はっー♡」
「そろそろ堕ちてもいいと思うのですが…中々芯が強いですね、一歌」
しばらく動けそうにない。毎日毎日よくこんなに出来るなこの人。
「そろそろ無意識に自慰をしてしまうくらいには堕ちていても不思議じゃないんですけどねぇ…」
「うぅ…♡はぁ…♡」
「一歌。少し休んだらまたヤるので覚悟しておいて下さいね」
まだヤるのか…。もう何回目だよ…。数えるのも億劫だ。
もうベッドもぐちゃぐちゃなんだが…。股の下のシーツなんて濡れてて冷たくなってる。
「一歌。水です」
手渡されたペットボトルを持って何とか水を飲む。水を飲んでキャップを閉めて遠坂さんに渡す。
受け取ったペットボトルの蓋を開けて遠坂さんは残った水を飲み干してペットボトルをテーブルに置くと再び俺に覆いかぶさるようにしてベッドに上がる。
「ほらヤりますよ」
「………」
ーーー
家に帰ると一香が笑って出迎えをしていた。いや、なんで。
「おかえり一歌」
「………」
「ちょっと〜!無視はないんじゃない?24時まで帰りを待っていた貴女の姉に一言あってもいいと思いますけどぉ〜!」
まさかずっとここで待っていたのか。だとしたら、失礼だが阿保なのか。
「労いのチューでもいいよっ。あ、それとも女の子エッチしちゃう?」
「しない」
「そういうところだけ返事するのはお姉さんよくないと思うなぁ〜」
「早く寝たら?」
「一歌が心配で寝られなかったって言ったら?」
「……信じられない」
「うわーん!妹が酷いー!」
「……」
「はぁ…妹ならもうちょっとお姉ちゃんのこと信じてよね」
いや、俺は貴方のことを姉だと思ってないし。
「で、一歌はこんな遅い時間までセックスしてたの?」
「……関係ない」
「関係なくなんてないよ〜。だって私たちもう家族でしょ」
「……」
家族なんかじゃない。その一言が何故か言えなかった。