「………」
父親に散々レイプされた後俺は精液でベトベトになった体を洗い流していた。四回も中出しされた後顔に胸に精液をかけられてしまった。その後腰が抜けてしばらく立たなかったところ父親は俺の腹を踏んでから体を洗い流して出て行った。
とにかく明日の朝にアフターピルを貰いに産婦人科へ行くか。でも朝に行けば学校は遅刻…。何かあったと思われるのも面倒か。
ま、なるようになる…かな。
やることも済ませて風呂上がりにリビングでお茶を飲んでいると扉の向こうから弟が手招きしているのが見えたのでコップを洗い食器乾燥機へと入れてそちらへ向かう。
リビングを出ると弟が俺の手首を掴んで二階へと連れて行かれた。
俺が弟の部屋に入るのは久しぶりだ。というかどうしたと言うのか。無言で俺の手を引いて部屋に連れ込むとは。何か緊急の用事だろうか。
ベットに腰掛けると弟は俺の左隣に座り俺の手を握ってくる。
何か悪いことでもあったのか。そう思い弟の顔を見てみる。
表情は真剣そのもので、いつも緩い雰囲気の弟とは違っていた。
「ねぇーさんレイプされたでしょ」
ここで明かすのは簡単だ。ただ一言父親にレイプされたことを認める旨の発言をすれば良いだけの話。それと同じくらい簡単なことがある。俺が耐えること。一度目と同じように不正解をあえて選択すること。
得られるものなんて何もないのだからどちらを選ぼうと同じことだ。
なら俺がここで選択した答えがこの先の未来にどう影響するかは神のみぞ知るといったところか。
「されてない」
俺の選択肢が間違ってるのは分かる。分かるけど…俺にとっては二人目の父親であっても弟にとっては血の繋がった父親だ。例えどんな父親だろうとだ。犯罪者として捕まれば近所に広まらないわけがない。
ならば確実に弟のしていることにも人間関係にもヒビが入る。それは姉として守らなければならない。幸い俺は人生は二度目。しかも前世の記憶を持っている。いわば人生のやり直しをしているようなものだ。ならその二度目で少しぐらい我慢するのは難しいことじゃない。
「見てたから否定したって無駄だよ」
は?見てた?俺のレイプ現場を?いや、鎌をかけているに決まってる。じゃないと困る。俺の覚悟ていうか決意が無駄になっちゃうじゃん。というか本当に見ていたのだろうか。視線とか全く感じなかったが…。
「見てたと言うのなら証拠を出して」
いや、もっといい言い訳があるだろ。くそ、少なからず動揺してるのかも。
弟はポケットからスマホを取り出して慣れた手つきで操作をした後画面が見えるように俺の膝の上に乗せる。
『んあっ…ふぐっ…』
画面には俺がレイプされている動画が流れている。つまり正樹が見ていた、というのは本当だったと言うことだ。
「これでもまだ否定する?」
俺の顔も父親の顔もバッチリ映っていてもう言い逃れは不可能と判断した俺は小さく息を吐いた。
「…ごめん」
「ねぇーさんは色々考え過ぎなんだよ。もっとシンプルに考えて」
弟は俺を抱きしめて頭を撫で始める。こいつなんだかんだ鍛えてやがる。というか大きくなったもんだ。少し前まではあんなちっこかったのにな。
「大切な俺のねぇーさんが傷つく方が俺は耐えられないんだ」
あれ?一人称が変わった。俺は僕の方が好きだったのに。
ーーー
「おはよ〜」
「おはよー!結ー!」
時刻は8時15分。一年生の教室は今日も騒がしく多くの生徒が雑談に花を咲かせている。
「あれ?犬塚さんは?」
「結は知らないのか?」
「何を?」
「犬塚さんの父親捕まったんだよ」
もう既にこの教室だけではなく、この学校に在籍するほとんどの生徒たち、ひいては教師たちも周知していた。
「どういうこと!?」
山里結はいつもの面子へと詰め寄りどういうことなのか問いただす。
「犬塚さんをレイプしてんだってさ」
「はぁ!?」
「それだけじゃなくて暴力も振るってたって話だ」
「…あの痣はそう言うことだったのね」
「犬塚ちゃんがそんな目に遭ってるなんて知らなかった…」
「それもあるけど私たち犬塚さんに信頼されてないってことでもあるんだよ」
「仕方ないだろ。まだ知り合っても間もない。言わば他人に頼れるような内容じゃない」
「おかしいとは思ってたんだ。犬塚ちゃんとその父親の関係性」
「海斗は昨日父親と会ったんだよな?」
「ああ」
「どんな感じだったんだ?」
「そうだな…外面を作ってる感じはしてた。後犬塚ちゃんが父親をよく思ってなさそうなのは分かったけど…それ以上はなんとも」
「そっか…」
この面子たちだけではなく犬塚一歌が好きな人たちにも重苦しい雰囲気に包まれている。
「俺たちにできることはセカンドレイプをしないことだ」
山田空の言葉に全員が頷き、そのことを心がけるようにと想う。
ーーー
「犬塚ちゃん一緒に行こうー!」
面倒なことも終わり、俺は絶賛周りに気遣われながら生活を送っている。
青髪さんを含めた皆んなが常に言動に気をつけ男子は出来るだけ近づかないように立ち回っている。
前のように事あるごとに頭を触るようなことしなくなった。青髪さんは言動を気をつけながら俺をいつも通りに抱き上げてくる。緑髪さんは前より抱っこする回数が少なくなっている。
俺は抱き上げられても眠れなくなってしまったが、まあ些細な問題だろう。
「何する?」
「…パフェ」
それと最近食が細くなった。これも大した問題じゃない。
さらに最近眠れなくなってきた。これも大した問題じゃない。
まあいずれなんとかなるだろうし大丈夫だ。
「最近パフェしか食べてないけど大丈夫?」
「うん」
最近眠れないせいなのか人の声がないと眠れなくなってきている。隈が少し出来ているけどこれも些細な問題だ。
「犬塚ちゃん後で俺のカレー食う?」
茶髪さんが俺との距離に細心の注意を払いつつそう聞いてくる。俺は静かに頷きそれを了承した。
「それじゃあ私のプリンアラモードも一口食べる?」
青髪さんがそう言ってくれたので素直にプリンアラモードも頂くとしよう。
「うん」
この人たちは変わらない。俺が傷つかないように立ち回る事が追加されただけで変わることはない。
他の人たちは少なからず憐れみの目を向けてきていたけどな。あんまり可哀想とか言われなくて少し助かっている。俺としては早く忘れたい案件だからな。だからこの人たちの気遣いは俺の中では半分正解で半分不正解だ。
皆んなでお昼を食べていると他の生徒たちが俺を見てヒソヒソと話をしているのが視界に入る。
これは仕方ないことだ。
「犬塚さん今日の夜一緒にゲームしようぜ」
金髪さんに誘われたので取り敢えず頷いておく。茶髪さんもこちらを見て頷いていたのでそちらにも頷いておく。
「楽しみだな、海斗」
「ああ」
俺とやっても楽しいかは定かではないが、楽しみにしていくれるみたいだ。
「犬塚さんは部活やらないの?」
「俺らはそれぞれ部活しようかと思ってるんだけどさ、一緒に何かやらないか?」
部活、ねぇ…。特にやりたいものもないし、やろうと思うものもないからな。
「いい」
「そっか…。もしやりたい部活とかあったら教えてくれよな。一緒に見学とかも行けるだろうし」
その後皆んながどの部活に所属するのかを話してくれて、赤髪さんはサッカー部。金髪さんはバスケ部。茶髪さんはまだ決めてなくて、青髪さんと緑髪さんは弓道部。山田は美術部だそうだ。
お昼も食べ終わって午後の授業も順調に進み放課後。
「犬塚ちゃん帰ろ」
茶髪さんだけが俺の席の前に来ている。他の人たちは体験入部をしにそれぞれの場所へと向かっている。
拒否する理由もないので取り敢えず頷いておく。
「んじゃ行こう」
俺の歩調に合わせて茶髪さんと一緒に教室を出る。茶髪さんは一定の間隔を保ちながら歩き進める。
「折角だしコンビニ寄らない?」
何が折角なのかは分からないが、奢ってくれるそうなので頷いて返答する。
学校を出てしばらく歩いたところでバァミラーマークがあるので一緒に店内へと入る。
「犬塚ちゃん何欲しい?」
何が欲しいかはもう決めていて、俺はアイスコーナーへと足を向ける。茶髪さんは俺の後ろを付いて歩く。
「これ」
アイスコーナーに着き、俺はバビゴを指差す。
「バビゴでいいの?バーゲンダッチでも良いんだよ?」
「これでいい」
奢ってもらうのにわざわざ高いやつを選ぶわけがない。それにバビゴなら二つに分けて一緒に食べられるではないか。
「そう?じゃあちょっと待ってて」
茶髪さんはバビゴを一つ取ってレジへと進んでいったので俺は外で待つことを決め、茶髪さんが会計している後ろを通って外へ出る。
程なくして茶髪さんがバビゴを持って出てきた。
「はい。犬塚ちゃん」
俺は手渡されたバビゴの袋を開けて中身を取り出し二つに分けるとその一つを茶髪さんに渡す。
「え?くれるの?」
「うん」
「ありがとう」
この後一緒にバビゴを食べながら帰路に着いた。