「あら拓っくん、いらっしゃ〜い。」
「おばさんこんにちは、…勇太君、居ますか?」
「ごめんねぇ、まだ帰ってないの…。よかったら、上がって待っててもらえる?」
「はぁい。…お邪魔します。」
拓也は一連のやり取りを終えると、靴をキレイに揃えて、玄関から一歩上がる。
じつは、勇太がまだ帰っていない事など、すでに知っていた。
「ほんとにあの子ったら、どこで道草食ってるのかしら…。」
「はは…。」
勇太の母親・奈津子は、拓也にとってずっと憧れの存在だった。
テレビで見かける女優さんのような整った顔立ち、出る所は出ている肉感のあるプロポーション、優しさの滲み出る甘い声。
そして何より子供好きで、何でもしてあげたいという、その全てを包み込むような母性が拓也をすっかり虜にしていた。
(…おばさん、今日も最っ高に綺麗だなぁ…。)
「…拓っくん?」
「…わぁっ!?」
「…どうしたの…?ふふっ、変な拓っくんね。」
無意識に見惚れてしまっていた拓也は、慌てて、何でもない…、と返事をする。
それを聞いた奈津子は可笑しそうに、「それならよかった」と穏やかな表情で微笑むのだった。
「…それにしても遅いわね〜、うちの勇太は…。」
「…あっ、もしかして…、居残りしてるのかな…?」
「…えっ?居残り…?」
拓也はわざとらしく、勇太君は先生に居残りさせられているかもしれない…、と告げ口する。
「そっかぁ…、居残り…。」
「…うん、宿題やってなかったみたいで…。もしかしたら、…って思うだけだけど…。」
「…これは、久しぶりにお仕置きかな…?…拓っくん、おばさんに教えてくれてありがとう。」
「…う、うん…。」
どう…、いたしまして…。
その返答の裏には、拓也は勇太に対する申し訳なさと同時に…、奈津子が口にした"お仕置き"という言葉に抑えきれないほどの興奮を感じていた。
「…お、おばさん…。」
「ん?」
「…"お仕置き"って…、やっぱり、その……、…お尻とか、ぶつの…?」
「えぇ、もちろん。お尻は沢山ぶつわよ?」
「…そ、そうなんだ…。」
「うふふ、おばさん怒ると結構怖いのよ?しょっちゅう、お尻が痛い〜って泣いてるからね、うちの勇太。」
「……。」
奈津子の"溢れ出る母性"は、単純に甘やかして終わりというわけではなかった。
「単に忘れ物しただけなら、軽めのお尻ペンペンで許してあげるんだけど…、勇太ったら昨日、おばさんに宿題終わったってウソついてたのよ。」
自業自得よね。
奈津子は笑って話をする。
拓也は、"うっかり忘れ物をしただけでもお尻をぶつ"という奈津子の意外すぎる一面に驚いていた。
「…だって、痛くしないと覚えないでしょう?…そんなに酷くはしないつもりだけど…、それでも、お尻がピリピリ赤くなって、しばらく座りたくない…、ぐらいにはしないとね?…まぁ、今日の勇太は、そんなものじゃ済まないけど…。」
「…す、済まない、って…?」
「…ん〜…、ウソついてたからね〜…?…最低でも、100回以上はペンペンするかな〜?」
(…ひゃ、100……っ!?)
拓也は、母親である奈津子の膝で勇太が下着をずるりと下ろされ、ぴしゃっ、ぴしゃっ…、お尻を激しく折檻される姿を、つい想像してしまう。
もしそれが勇太でなく、自分だったら…。
「拓っくん?」
「…へっ!?」
「…どうしたの…?本当に今日、ちょっと変だよ…?」
熱でもあるのかな?
不意に、手の平の温度を額に感じる。
このあと…、この手の平で、勇太のお尻を"ペンペン"するのだ。
一度そう意識してしまうと…、ただ羨ましくて仕方がなかった。
「…へ、平気。」
「…本当に?……拓っくん、おばさんにウソついてない?」
奈津子は心配そうに、拓也の顔を覗き込む。
一方、拓也は"ウソ"という言葉にドキドキしてしまった。
友達の勇太は、宿題をやったと"ウソ"をついたせいで、おばさんからお尻をぶたれてお仕置きされるのだ。
「…ふふっ…。よかったら、拓っくんにもお尻ペンペンしたげよっか?」
「…えっ?」
「ウソをつく子にはおばさん、とっても怖いのよぉ〜?」
(…ゴクッ…。)
「もし、拓っくんがウソついたら…、そりゃ〜、もう…、大変よ〜?お尻に手形がいっぱいついて…、真っ赤な風船みたいにひりひり腫れちゃうかもね〜?拓っくんのお尻。」
奈津子の言葉を冗談だと受け取る余裕は、今の拓也には無かった。