「…う、嘘…、嘘でしょ…?」
「…嘘じゃありません。…拓っくん。おばさんはね、勇太が悪いことをした日には必ずお尻を叩いてきたの。勇太と同じようにするって言った以上、今までのぶんも全部調べてお仕置きをします。」
「…そ、そんなの…、ぐすっ…、聞いてない…!」
「…えぇ、言ってないわよ?…でもおばさんが叱るのは、拓っくんが今まで悪いことをしたぶんだけだから…。」
「…ずずっ…、ひっく…。」
「…拓っくん。…可哀想だけれど、おばさんはやると言ったら本当にやるのよ?…さ、お尻を出して?」
「…い、いや…、いやだ…!!」
…パッシィィィィ〜ン!!
「…ひぃぃぃ〜っ!?」
「…拓っくん。…おばさん今日は、連絡帳のぶんだけで済まそうと思っていたのよ。…なのに…、昨日の今日で、宿題を忘れましただなんて…、もうっ!」
…ピシャァァァン!!…パシィィィ〜ン!!…パシィィ〜ンッ!!
「…痛い痛い痛い〜っ!?…あああっ!?」
「おばさん、本当はすごく怒っているんですからね〜っ!?」
…バチィィィ〜ン!!…パァァンッ!!…パァァンッ!!
「…うわぁぁぁ〜ん!!…ごめんなさい〜!!…ごめんなさいぃ〜っ!!」
なおも激しく尻を叩かれ、半泣きになる拓也。
演技で痛いふりをしていた一面は完全に消え、嘘をついたあの時のお仕置きに届きそうなほどの尻の痛みが、徐々に拓也を侵し始める。
「…拓っくん、これに懲りたらね…、帰ったら宿題はきちんとやる。連絡帳のぶんも叩かれるんだから…、毎回これだと辛いわよ?」
…パッシィィィ〜ンッ!!
「…や…、やります…、絶対に、宿題、しますぅぅ〜っ!?」
「…良しっ、良いお返事。」
そこで奈津子は手を止め、拓也はすっかり反省したのだが…。
「…じゃあ、拓っくん。4月21日のぶんは終わりね?…じゃあ次…、4月27日。」
「…ぐすっ…。…へっ…?」
「…へっ?じゃないでしょ拓っくん。1日1つだけだったら、いつまで経っても減らないでしょ?」
「…だ、だって…!…もうお尻がぁ…っ!?」
「…それは自業自得です。…4月27日。今度は教科書の忘れ物ね…?さぁ拓っくん、お尻を出しなさい。」
「…も…、もう嫌だぁぁ〜っ!?」
結局、拓也は4月27日ぶんの尻叩きが終わった後…、さらに4月30日ぶんの尻叩きを追加され、尻をパンパンに腫らしてようやく解放されたのだった。
「…うわぁぁ〜ん…、…ぐすっ…、…ぐすっ…。」
「…まぁ、こんなところかしら…。…さすがに、これ以上叩いたら痣になっちゃうものね…。…拓っくん?」
「…ひっく、…はぃぃ…。」
「…今日はこれで許してあげるけど、連絡帳は3日ぶんずつ消化していくつもりだから…、また忘れ物をしたり、悪いことをしてお仕置きになった日は毎回、今日みたいなお尻になるからね?」
「…はっ、はい…っ!!」
「…うん、良いお返事。…拓っくんは素直ね?…おばさんもあまり強く叩きたくないから…、出来れば連絡帳のぶんだけペンペンして終わりたいかな。」
「…はい。…おばさん、本当にごめんなさい…。」
「…ふふっ、良いのよ拓っくん。今日のお尻ペンペンはもう済んだんだから、いつも通りで。」
「…はい…、…ぐすっ、ホントに痛かったぁ…っ!」
「…あらら…、拓っくん、また泣いちゃったの?…うふふ…、本当に、勇太の小さい頃みたいね…。」
「うわぁぁ〜ん!!…ぐすっ…、…ひっく…!」
「はいはい拓っくん。…おばさんとっても怖かったねぇ〜?…お尻、こんなに赤くなって…。」
奈津子は我が子にするのと同じように、拓也をぎゅうっと抱きしめ、落ち着くまで優しく背中をさすってやる。
その光景だけを見ると、まるで本当の母子のようであった。
「…拓っくん、これから当分の間は、とっても沢山お尻ペンペンしないといけないけど…、頑張れる?」
「…うん、おばさん…。それでね…?」
「…ん?」
「…僕、まだ…、言っておかなきゃいけないことが…、ぐすっ…。」
そこまで言いかけて、拓也が黙る。
何やら言い辛いことのようだと、奈津子は表情で察した。
「…良いわよ、拓っくん。無理に言わなくても…。」
「…で、でも…、ぐすっ…、僕…、ひっく…。」
「……おばさんに、聞いて欲しいのね?」
「…っ!」
拓也は涙を流しながら、無言で頷く。
どうやら尻が痛くて泣いている訳ではないようだ。
奈津子は、よしよしと背中を撫でながら、拓也が落ち着きを取り戻すのを待つことにした。
「…も、もう…、だいじょ…、ぶ…。」
「…本当に?…ふふ、おばさんもう今日は沢山お尻ペンペンしたから…、拓っくんが何を言っても平気よ?」
「…本当?」
「…えぇ。…その代わり、明日はお尻ペンペンになるかもしれないけどね?」
「…へ、平気じゃないよ、それ…っ!」
「…うふふっ…。」