「…えっ!?…拓也お兄ちゃんじゃん!…なんで?なんで居るのぉっ!?」
「…た、卓哉君…、久しぶり…。」
部屋に1人、静かに待っていた"卓哉"は…、"拓也お兄ちゃん"を見て、明らかにテンションが上がっていた。
…正座させられているところを見る限り…、すでに卓哉の母親に、軽く叱られていたことが窺える。
「…こら卓哉、大人しく正座して待っていなさいって言ったでしょう?」
「…だっ、だってぇ…。」
「…"タクヤ"ッ!?」
「…は、はぁい…っ。」
拓哉の母親が、息子の卓哉を一喝する。
…それによって、下の名前が同じである拓也も、自分が叱られているような気持ちになるのだった。
(…こ、これって…、僕が叱られている訳じゃないのに、僕が言われているみたいだ…。)
拓也はそこで初めて、この場の異常な空気感を知った。
…しかし卓哉の母親には、そんな拓也の気持ちの変化に気付いてあげられるほどの余裕は無い。
今は自分の息子のことで精一杯だ。
「…"拓也お兄ちゃん"にも、後でお母さんから大事なお話があるのよ。…それよりも卓哉…、本当にお母さんを困らせるような悪戯ばっかりしてぇ…。…今日はお仕置きですからね?…お尻を出しなさいっ!!」
「…えっ!?…だ、だって…、今は拓也お兄ちゃんが…!?」
「…拓也お兄ちゃんが見ていても関係ないでしょっ!?…卓哉昨日、自分が何をしたのか、もう忘れたのっ!?」
「…う…っ。」
「…お母さん今日、お尻ペンペンするって言ったでしょ!?…早くお尻を出しなさいっ!」
…どうやら卓哉は自分が昨日、悪さをしたことは覚えているようで…、"拓也お兄ちゃん"の方をチラチラと気にしながら、恥ずかしそうにズボンと下着を下げた。
「…そう。それで良いのよ。…それじゃ卓哉、こっちへいらっしゃい。」
「…うう…っ。」
観念した"卓哉"は、正座をした母親の膝の上に寝転がる。
…その光景を見ている拓也も…、母親の迫力に圧倒されていた。
(…た、卓哉君のお母さん…、普段はとっても優しいのに、本当に怖く見えるよ…。…でも、あんなに優しいお母さんを、ここまで怒らせちゃうなんて…。…卓哉君、一体何をしたんだろう…?)
ここまで聞けずじまいだった、"卓哉の悪さ"の内容について、ここでようやく気になり始めた拓也。
…もっと早く、お仕置きの理由に興味を示していれば…、今回のような安請け合いはしなかったかもしれない。
…卓哉の母親が発した次の言葉に、拓也は驚愕する。
「…どうして1人でちゃんとおトイレに行けないのっ、卓哉はぁっ!?」
…ピシャッ!
(…えっ!?)
「…夜おトイレに行くのが怖いからって…、2階の窓からオシッコをするだなんて…、お母さん絶対に許しませんよっ!?」
…パァンッ!
(…わ、悪さって…、そっち系の悪さぁ〜…っ!?)
「…ご、ごめんなさぁ〜いっ!?」
「い〜え、許しませんっ!!」
…ピシィッ!…パシィッ!…パァンッ!
…卓哉がまだ2年生ということもあり…、卓哉の母親は、昨日の"集会"で拓也におこなった強力なお尻ペンペンではなく…、相応の、そこそこ痛い程度のお仕置きにとどめている。
…しかし、傍で見ている拓也にとっても…、その叱責内容が大問題であった。
「…小学生にもなって、1人でオシッコも出来ないの!?"タクヤ"はぁっ!?」
…ピシャッ!
「…そんなんだから、まだ時々お漏らししちゃうんでしょうっ!?"タクヤ"っ!?」
…パァンッ!
「…お母さんが毎回トイレまでついて行って、オシッコするの手伝ってあげようかっ!?…どうなの"タクヤ"ッ!!?」
…ピシャンッ!!
(…こっ、これ…っ、まるで僕まで、1人でトイレに行けないみたいだよォォ〜っ!!?)
…叱られている"2年生の卓哉"は…、どうやら外が暗くなると、自分1人ではなかなかトイレに行けず…、我慢し続けてお漏らしをしたり、昨日などは、2階の窓から外に向かってオシッコをしてしまったらしい…。
…卓哉の母親の悩みというのは、いわゆる"トイレトレーニング"だったのだ…。
「…お部屋の中ではお漏らしをする、お庭にもそこら中でオシッコする…。…今度は、2階の窓からオシッコですって!?…お母さん、ちゃんとおトイレでしなさいって、いつも言ってるわよねぇっ!?」
…パシィッ!
「…ひっぐ…、ご…、ごべんなざぁい〜…。」
「…泣いたってお母さん、お尻ペンペン止めませんよっ、"タクヤ"ッ!?」
…パシィィッ!!
「…うわぁぁぁぁ〜んっ!!?」